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トランジションは「移行」「過渡」という意味をもちます。動画編集における移行とは、カットとカットのつなぎ目、場面転換の切り替えのことです。トランジションは、場面転換を自然に見せる効果のことを指します。
テレビ番組や有名YouTuberの動画の場面転換を思い出してみてください。カットとカットの間が自然に切り替わっているでしょう。カットやトリミングで発生するシーンの切り替わりを自然にする、単調な動画にインパクトをつけるなど、トランジションを使うシーンは多岐にわたるのです。

トランジションには、さまざまな種類があります。今回は、数あるトランジションのなかから、多くの編集ソフトに搭載されている代表的なものをご紹介します。
それぞれ詳しく確認しましょう。

ワイプとは英語で「拭き取る」という意味です。画面がワイパーによって拭き取られるように、前のカットから次のカットへと切り替わります。
ワイプの種類は、上から下、右から左など、上下左右から切り替えるタイプや、円を描くように一周するタイプなどさまざまです。似たような映像が続く部分にインパクトをつけたい場合や、内容が異なる映像へ切り替える場合などに使用できる万能型といえます。

ディゾルブは、前のシーンの上に次のシーンを重ねて、緩やかに不透明度を増しながら切り替わる手法です。ほかの方法と違い、時間の流れがよりわかりやすいことが特徴で、ロケーションの変化などにも使われます。
映画の回想シーンや、テレビ番組の転換などに使われることも多いです。ディゾルブのなかにも「クロスディゾルブ」「フィルムディゾルブ」などがあります。時間の経過や場面の転換など、表現したいものによって使い分けましょう。

ズームは、前のカットでカメラが一度ズームアップし、ズームアウトしながら次のカットに切り替わるトランジションです。
スピード感を出してかっこよく演出することができ、映像と映像が一連の流れでつながっているように見せることができます。映像に躍動感をもたせることが可能です。

ホワイトインは、画面が白くなった状態から映像が浮かび上がって次のカットに切り替わるトランジションです。ホワイトアウトは反対に、画面全体が徐々に白くなって次のカットへと切り替わります。
映像が一度白くなるため、場面をリセットさせる効果があります。

ブラックアウトとは、映像が徐々に暗くなり、真っ黒にフェードアウトしたところで次の場面に切り替わるトランジションです。一度黒くなって次の場面に切り替わるので、シーンの切り替わりがわかりやすいことが特徴です。
ダークな印象を与えるため、夜の撮影やムーディーな場面で使うと効果的でしょう。動画の雰囲気にあわせて、ホワイトアウトと使い分けてください。

スピンは名前のとおり、画面が回転しながら次のシーンに切り替わる効果です。特徴的で場面が移り変わることがわかりやすいため、視聴者に映像の切り替わりを意識させる効果があります。
インパクトもあるので、視聴者を動画に引き込めるでしょう。

スライドは、パワーポイントを使ったプレゼンテーションでもよく用いられるトランジションの一つです。映像があとから流れる映像に押し出されるように切り替わります。
テンポよく映像を切り替えたいときなどに用いられます。視聴者が見やすいトランジションの代表例です。

トランジションを使う主なメリットは、以下のとおりです。
動画の場面が切り替わる際に何も編集をしていないと、突然場面が変わることで視聴者に違和感を与えます。例えば、外で撮影しているシーンから突然自宅にいるシーンに切り替わると混乱するでしょう。
トランジションを使うと、視聴者は次のシーンに移行したことを自然と認識できます。
トランジションを使って動画に動きをつけることで、飽きにくい動画に仕上げることができます。場面転換がない動画の場合、単調な印象が生まれるでしょう。
単調な動画だと、視聴者が飽きてしまい再生をやめるので、途中離脱が多くなります。トランジションを効果的に活用することで動きが生まれ、飽きにくい動画になるのです。

今回は、PowerDirectorという動画編集ソフトを使ってトランジションを入れる方法を解説します。

PowerDirectorを起動したら、編集したい動画をドラッグ&ドロップしましょう。カットやトリミング、字幕の挿入など、必要な編集を行ってください。

左側の項目から「トランジションルーム」を選択します。

トランジションの種類が表示されます。使いたいトランジションを選択したら、動画で使いたいシーンにドロップしてください。

トランジションの調整を行いましょう。選んだトランジションごとに調整することが可能です。
なかには動きを調整できるものもあるので、動画に合ったトランジションをつけてください。

トランジションを効果的に使いこなすためのコツは、以下のとおりです。
編集された動画を実際に視聴するのは、編集者ではありません。編集者がいくらうまくトランジションをつけられたと感じても、視聴者が見づらいと感じる場合や、テンポが悪いと感じる場合もあります。視聴者目線で動画を見ることが重要です。
実際にトランジションが使われている動画を見ることで、視聴者としての目線をもつことができるでしょう。
トランジションは数多くあるので、さまざまな学びも得られます。動画を視聴していると「参考になりそう」「こんなトランジションもあるんだ」など、新たな発見があるはずです。動画から得た発見を自分の編集に活かすことで、トランジションを効果的に使えるようになるでしょう。
トランジションには多くの種類があり、各ソフトにも数多くの素材がデフォルトで入っています。
しかし、動画に合うトランジションや、希望しているトランジションが入っていないこともあるでしょう。妥協してデフォルトの素材を使わずに、新しいトランジションの素材を入手してください。YouTubeや動画素材サイトなどで入手できるので、探すとよいでしょう。
トランジションを効果的に使いこなすには、実際にトランジションを使った動画を制作することが何よりも重要です。何度もチャレンジして試行錯誤することで、動画の展開に合うトランジションを見つけ出せるようになります。
初心者の頃は時間がかかっても、上達すれば短時間で編集を終えられるようになるでしょう。

トランジションを使う際の主な注意点は、以下のとおりです。
トランジションは非常に便利ですが、使いすぎると集中しづらい動画になります。
また、場面転換とはいえない部分にトランジションを使うと、わかりにくい動画になるため注意してください。トランジションの前後のつながりが不自然になる、トランジションが過剰に強調されるなど、見やすさが損なわれるでしょう。
適度な回数であれば問題ありませんが、使いすぎると動画データが重くなります。動画データが重くなると、動画の動きがカクカクして編集がスムーズに行えないなどの問題が起きます。
トランジションはあくまでも補助的な役割として、重要な場面のみに使用しましょう。

動画編集ソフトは多くありますが、なかでもトランジションをつけるおすすめのソフトをご紹介します。

PowerDirector 365(パワーディレクター 365)は、初心者から上級者まで幅広く扱える動画編集ソフトです。世界中で約2億人に利用されています。日本でも個人や企業など幅広いユーザーが使用しており、汎用性の高さはトップクラスといえるでしょう。
国内販売本数は8年連続NO.1を記録しておりユーザー数が多いため、わからないことがあっても調べればすぐに解決します。トランジションはデフォルトで200種類以上用意されているため、困ることはないでしょう。

AviUtl(エーブイアイユーティル)は、日本人が開発した無料の動画編集ソフトです。完全無料なので気軽に始めることができ、プラグインなどを導入するとさまざまな機能を追加できます。
連携しているフリーソフトも多くあり「ゆっくりMovieMaker」と合わせるとゆっくり動画などを制作することも可能です。シンプルでわかりやすく動作も軽いため、誰でも始められるでしょう。
トランジションの種類は32種類と少ないですが、基本的なものは揃っています。

Filmoraは「ビギナーも、上級者も、オールインワン動画編集ソフト」と謳っているように、わかりやすい操作画面から多くの人に愛用されている動画編集ソフトです。難しい操作がなく、直感的に動画編集ができます。
テンプレートが豊富なので、初めての動画編集でもクオリティの高い作品を制作できるでしょう。トランジションは500種類以上あり、おしゃれなものが多いです。
8,980円で買い切りですが、無料版もあります。有料版と無料版の機能に違いはないため、ぜひ一度試してください。

iMovieは、MacやiPhoneなどのApple製品で、無料で利用できる動画編集アプリです。Apple製品同士で動画を共有できる点が特徴でしょう。編集途中でiPhoneからMacに移行し、続きの作業を行うなどができます。
クロスディゾルブやフェードなど、基本のトランジションを含む24種類から選ぶことが可能です。ドラッグ&ドロップですぐに追加できるので、うまく組み合わせてクオリティの高い動画に仕上げられるでしょう。
iMovieはApple製品なので、iPhoneでも編集可能です。iPhoneユーザーで、初めて動画編集をする方に適しています。

動画制作に関わる人であれば「Final Cut Pro」という動画編集ソフトの名前を一度は聞いたことがあるでしょう。人気YouTuberの「はじめしゃちょー」や「HIKAKIN」が利用していたことでも有名です。
Final Cut Proは、Apple社が提供しているMacユーザーをターゲットにした動画編集ソフトです。Metalエンジンが搭載されていて、サクサク快適に編集を進めることができます。
トランジションも豊富な種類が揃っており、すべてにおいて高性能で多機能です。多くの人気YouTuberの使用実績もあるため、Final Cut Proさえ買っておけば後悔することはないでしょう。無料版もあるので、ぜひ一度試してください。

シーンの切り替えを効果的に行い、テンポのいい動画にするには、トランジションが必要不可欠です。差し込んだトランジションによって視聴者が受ける印象が大きく変わるため、注意しましょう。
今回ご紹介した基本的なトランジションの種類と動画編集ソフトを使って、さらに質の高い動画を制作してください。
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