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動画解像度とは?推奨されている解像度・アスペクト比をSNSごとに解説

動画を制作する際に重要なのが、解像度とアスペクト比です。
配信先の媒体によって、適した解像度やアスペクト比が変わります。
解像度やアスペクト比を適切に調整することで効果的な配信が可能になり、
視聴者の満足度を高めることができるでしょう。
今回は解像度・アスペクト比の基礎知識と、SNSごとに推奨される規格について解説します。

動画解像度とは

パソコンを見ながら悩む男性

動画解像度とは、動画の鮮明さを示す尺度です。動画は異なる色をもつピクセルが集まってできており、ピクセルの数が多いほど動画は鮮明になります。動画解像度は横×縦のピクセル数で表現され「1920×1080ピクセル」というように表記されます。1920×1080ピクセルの場合、動画を構成するピクセル数は1920×1080=2,138,400個です。

また、代表的な解像度は「FDL」という名称でよばれることもあります。のちほど詳しくご紹介します。

※正確には動画の1フレーム

動画サイズに関する用語

顎に手を当てて悩む女性

解像度と併せて、動画サイズに関する用語を確認しましょう。

ピクセル/ppi

解像度の単位でもあるピクセルは、色情報の乗った小さな点(ドット)のことで、色を表現できる最小単位です。ピクセルの多い動画(画像)は「解像度が高い」「画素数が多い」と表現されます。

解像度の単位として使用されるppiは「pixel per inch」の略称で、1インチ四方にどれだけのピクセルが含まれているかを示しています。ppiが高いほど、高密度にピクセルが並んでいるのです。ppiは表示サイズによって相対的に変化するため、ppiが高い=高精細の映像とは限りません。

先ほどご紹介したピクセル数で表現する解像度は「画面解像度」ともよばれ、絶対的な画像(映像)の精細さを表す指標です。

※一般的には「画面解像度」を解像度とよぶことが多いため、本記事でも同様に表記します。

プログレッシブ/インターレース

動画の規格の名称として「1200p」や「1200i」があります。数値は縦のピクセル数で「p(プログレッシブ)」や「i(インターレース)」は、走査方式を示す用語です。

画像をモニターに表示する際は、1枚の画像を横長に細かく分割し、分割した画像を順に伝送して受信側で再構築し、全体の画像をモニターに表示させます。分割した画像のことを「走査線」とよぶのです。

プログレッシブとインターレースでは、走査線を伝送する方式が異なります。方式と特徴・用途は、以下のとおりです。

<走査方式と特徴・用途>

規格の名称 走査方式 特徴 用途
プログレッシブ ・走査線を上から順に送る方式
・1枚の画像が一度に表示される
ぶれのない鮮明な映像になる SNS動画サイト
インターレース ・走査線を偶数・奇数に分け、1本おきに伝送する方式
・画像は偶数・奇数2回に分けて表示されるが、高速で描画されるため違和感なく見える
動きの速い動画を滑らかに表現するのに向いている テレビ

アスペクト比

アスペクト比とは、動画の縦横サイズの比率のことです。「縦:横」の形式で「16:9」「4:3」などと表現されます。近年主流のアスペクト比は「16:9」で、テレビの地上デジタル放送やYouTubeで用いられています。

ほかにも地上派アナログ放送で使われていた「4:3」、スマートフォン向けに正方形となる「1:1」、縦長の「9:16」などがあるでしょう。

動画を制作する際は、配信するデバイスや媒体に適したアスペクト比を選ぶ必要があります。

コンバート

コンバートとは、動画の解像度や形式を変換することです。特に、解像度を下げることをダウンコンバート、解像度を上げることをアップコンバートといいます。

後述しますが、動画は解像度が高ければよいというものではありません。目的やプラットフォームによって最適な解像度は異なります。目的などに合わせてコンバートする必要があるのです。

16:9の動画を4:3に変更するなど、アスペクト比を変える場合の方式は、以下のとおりです。

<アスペクト比のコンバート方式>

サイドカット ・左右両端をカットして変更後の画角に整える方式
・違和感なく見ることができるが、左右部分が欠落する
レターボックス ・上下に黒を入れて変更後の画角に整える方式
・欠落しないが、映像が小さくなる
中間サイズ ・サイドカットとレターボックスを組み合わせた方式
スクイーズ ・動画そのものの縦横比を変換して変換後の画角に整える方式
・16:9に引き伸ばす表示処理(アナモルフィック)を行う前提で使用される場合が多い

代表的な動画解像度

大きな画面でオンライン動画サービスを見る男性

上述しましたが、代表的な動画解像度には名称がつけられているものもあります。それぞれの解像度は、以下のとおりです。

  • SD:720×480
  • HD:1280×720
  • FHD:1920×1080
  • 2K:2048×1080もしくは2560×1440
  • 4K:3840×2160
  • 8K:7680×4320

必ずしも高解像度がよいわけではない?

パソコンを見ながら考え込む男性

動画が鮮明になるため高解像度のほうが望ましいと思うかもしれませんが、実はそうではありません。動画の解像度が高過ぎると、視聴者の満足度を下げることもあるのです。

高解像度の動画が効果的でない主なケースは、以下のとおりです。

使用中のデバイスで再現できない

デバイスはそれぞれ表示できる解像度が決まっています。デバイスで表示できないほど高い解像度の動画を再生すると、正確に再現できません。解像度を上げたことで、快適に動画を見ることができなくなるのです。

動画ファイルが大きくなり過ぎる

解像度が高い動画は、それだけ容量が大きくなります。動画ファイルが大きくなり過ぎると、制作者側にも視聴者側にもデメリットが生じるでしょう。

制作者側のデメリットとしては、制作中に動画編集ソフトがフリーズする、パソコンが落ちるなどのトラブルが生じることが挙げられるでしょう。保存時にストレージを圧迫する場合もあります。

視聴者側のデメリットは、動画読み込みに時間がかかることや、処理が追いつかず動画がカクつく・フリーズすることなどが挙げられます。データ通信量がかかるため、視聴を控える可能性もあるでしょう。

解像度が大き過ぎる映像は視聴者の快適性を低下させるため、動画の視聴をやめるおそれがあります。動画は見てもらうことに価値があるため、美麗さだけではなく視聴者が快適に見られるかどうかも考えなくてはなりません。

動画解像度はどのように選ぶ?

窓辺のソファに座って考える男性

動画解像度の規格はさまざまであり、解像度が高ければよいというものではありません。目的に最も適した動画解像度にするためには、どのような点に注意すればよいのでしょうか。動画解像度の選び方を解説します。

用途や動画の内容で選ぶ

用途や動画の内容は、画像解像度を選ぶ際の重要な要素です。例えば、風景やプロモーション動画など、映像が美麗になればなるほどユーザーに強い印象を与えられる動画は、FHD以上の高解像度を選択するとよいでしょう。

一方、細密さより手軽さや再生しやすさが重視されるセミナーや研修用の動画は、低めの解像度のほうが望ましいです。720p程度を目安にしてください。

適切な解像度がわからない場合は、低解像度と高解像度の両方の動画を制作し、見比べて選ぶとよいでしょう。

映像表示装置で選ぶ

展示場のPR動画のようにモニターやデジタルサイネージを設置して動画を再生する場合は、機器の対応解像度やアスペクト比に合わせて動画を編集してください。

インターネット上で配信する場合は、最も利用者数の多い解像度を選ぶとよいでしょう。モニター解像度シェア率は「StatCounter」で調べることができます。

例えば、2023年7月における日本のデスクトップモニター解像度シェア率は1920×1080が25.91%と、最も多くなっています※1。FHDが最も適しているといえるでしょう。

モバイルにおけるモニター解像度シェア率は390×844が18.83%と最も多くなっています※2。375×667、375×812などもシェア率が高いため、モバイル向け映像はSD程度が向いているといえるでしょう※3

※1  Desktop Screen Resolution Stats Japan (アクセス日 2023/7/13)

※2  Mobile Screen Resolution Stats Japan (アクセス日 2023/7/13)

※3  iPhoneはRetinaディスプレイを採用しており、通常のピクセルの2倍で表示されるため解像度が倍になります。HDやFHDの映像が適している場合があります。

プラットフォームで選ぶ

SNSにマーケティング動画を配信する場合は、各SNSに適した解像度で動画を制作することが重要です。解像度が高過ぎるとアップロード時に自動的に圧縮されて、動画のパフォーマンスが落ちる場合があります。また、アスペクト比が異なると、動画が引き伸ばされる場合や切り落とされる場合があるため、動画の質が悪くなるでしょう。

SNS別 | 推奨されている動画の解像度・アスペクト比

タブレットを見て笑う男性

推奨されている動画の解像度・アスペクト比をSNSごとに詳しく解説します。

※掲載している規定は2023年7月時のものです。最新情報は各プラットフォームのヘルプページなどでご確認ください。

Instagram

Instagramは、国内月間アクティブユーザー3,300万人(2019年6月時点)を誇る人気のSNSです。画像や動画のビジュアルに特化しており、独特の世界観が創出できる点が大きな特徴です。10~20代の若年層の女性向けというイメージですが、現在では年齢・性別問わず広く利用されています。

広告枠としては、フィード・発見タブ・ストーリーズ・リールに動画を配信することができます。それぞれで利用できる動画の解像度・アスペクト比は、以下のとおりです。

<Instagramで利用できる動画の解像度・アスペクト比>

広告枠 解像度 アスペクト比
推奨 推奨 利用可能
フィード
発見タブ
1080×1080px以上 1:1 1.91:1
16:9
1:1
9:16
2:3
ストーリーズ
リール
1080x1920px 9:16 1.91:1
16:9
1:1
2:3
4:5

また、Instagramでは1つの広告につき複数の画像・動画を使って配信できる「カルーセル広告」とよばれる広告フォーマットも用意されています。カルーセル広告は主にフィード、ストーリーズで配信可能で、推奨される解像度・アスペクト比は、以下のとおりです。

<カルーセル広告で利用可能な解像度・アスペクト比>

広告枠 解像度 アスペクト比
推奨 推奨 利用可能
フィード 1080×1080px以上 1:1 1.91:1
16:9
9:16
2:3
4:5
ストーリーズ 1080x1920px 9:16 1.91:1
16:9
9:16
4:5

Twitter

Twitterは、国内月間アクティブユーザー4,500万人(2017年10月時)、若年層を中心に幅広く親しまれている短文系SNSです。リツイートによる拡散力は絶大で、一度バズる(急激に話題が広がる)と、一気に認知度を向上できる点が魅力といえるでしょう。

広報動画としては、通常の投稿と同様に配信できるプロモ広告が一般的ですが、ウェブサイトやアプリに誘導できるボタンの付いた動画広告なども活用できます。また、動画広告枠としてAmplifyプレロール・Amplifyスポンサーシップなども用意されています。

Twitterにはほかにもさまざまな動画広告がありますが、今回は上記の動画広告において推奨される解像度とアスペクト比を確認しましょう。

<Twitterで利用できる動画の解像度・アスペクト比>

広告枠 解像度 アスペクト比
推奨 推奨 利用可能
プロモ広告 1200×1200px
1920×1080px
1:1
16:9
ウェブサイトボタン付き動画広告
アプリボタン付き動画広告
800×800px
800×450px
1:1
16:9
Amplifyプレロール
Amplifyスポンサーシップ
1200×1200px 1:1 16:9
(Amplifyスポンサーシップ)

Twitterにおいてもカルーセル広告の出稿が可能です。推奨される解像度とアスペクト比をご紹介します。

<カルーセル広告で利用可能な解像度・アスペクト比>

広告枠 解像度 アスペクト比
推奨 推奨 利用可能
カルーセル広告 800×800px
800×450px
1:1
16:9

Facebook

Facebookは、国内月間アクティブユーザー数2,600万人(2019年7月時)、SNSとしては珍しい実名制で、高い信頼性が求められる医療関係や士業、学習塾などと相性のよいプラットフォームです。30代以上の利用者が多い点も大きな特徴といえます。

Facebookにおける広告動画の主な配信先としては、通常の投稿枠であるフィードやストーリーズに加え、利用者が視聴する動画内で配信されるインストリームがあります。

それぞれの広告枠で推奨される解像度とアスペクト比は、以下のとおりです。

<Facebookで利用できる動画の解像度・アスペクト比>

広告枠 解像度 アスペクト比
推奨 推奨 利用可能
フィード 1080×1080px以上 1:1 16:9
1:1
9:16
ストーリーズ 1080×1080px以上 1:1 1.91:1
16:9
1:1
4:5
インストリーム 1080×1080px以上 1:1 16:9
1:1
4:5
9:16

YouTube

YouTubeは、国内月間アクティブユーザー数7,000万人(2022年10月)という世界最大の動画共有サービスです。30~50代を中心に幅広いユーザーに親しまれており、広告効果が非常に高いことが特徴でしょう。

動画の前後、もしくは途中に再生されるインストリーム広告が広く知られていますが、検索結果などに表示されるインフィード動画広告や、ホームフィードに表示されるYouTubeマストヘッドなども活用できます。

基本的にはユーザーのデバイスに合わせて動画が自動調整されます。YouTubeが推奨するフォーマットの仕様は、以下のとおりです。

<YouTubeで利用できる動画の解像度・アスペクト比>

広告枠 解像度 アスペクト比
推奨 推奨 利用可能
YouTube広告 HD の推奨ピクセル数
1,920×1,080px
1,080×1,920px
1,080×1,080px
16:9
9:16
1:1
4:3
2:3

LINE

LINEは、国内月間アクティブユーザー数9,500万人(2023年3月)、今や電話に代わるコミュニケーションツールとして浸透しているメッセージングアプリです。InstagramやTwitterのような公開性はありませんが、一対一で広告を発信できます。効率よくターゲットユーザーにアプローチできる点が魅力といえるでしょう。

LINE広告における動画配信面はLINE NEWSやタイムラインなど多岐にわたりますが、自身で配信先を選ぶことはできません。配信面ごとに推奨されるアスペクト比は異なりますが、LINEが規定している以下3種類のサイズで広告を作成すれば、すべての配信面に出稿可能です。

<LINEが規定するアスペクト比と解像度>

サイズ Card Square Vertical
アスペクト比 16:9 1:1 9:16
解像度(最小) 240×135px 600×600px 135×240px
解像度(最大) 1920×1080px 1280×1280px 1080×1920px
LINE NEWS ×
タイムライン
LINEマンガ ×
ウォレット ×
LINE BLOG ×
LINEポイントクラブ ×
LINEショッピング ×
LINEチラシ ×

まとめ

暗闇に浮かぶ多数のディスプレイ

今回は、動画解像度の基礎知識をご紹介しました。解像度が高ければ高いほど鮮明な映像になりますが、容量が大きくなることで保存や再生がしづらくなる場合があります。動画の目的や配信するプラットフォームによって、適した解像度を選ぶことが重要です。

特にSNSは推奨されている解像度やアスペクト比がそれぞれ決まっています。規定の解像度・アスペクト比を守ることで、動画のパフォーマンスを最大限に発揮することができるでしょう。

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