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近年、多くの企業がYouTubeチャンネルを開設しているようです。では、なぜ多くの企業がYouTubeマーケティングに参入しているのでしょうか。
実は、YouTubeマーケティングは企業にとってさまざまなメリットがあるのです。具体的には、次の5つが挙げられます。
YouTubeは、多くの日本人が利用するプラットフォームです。2023年5月時点で、日本国内の月間YouTube利用者数は7,120万人と推定されています(※1)。
また、総務省の「令和6年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」によると、10代から50代の各年代で80%以上がYouTubeを利用しており、60代でも65.2%がYouTubeを視聴しているというデータもあります(※2)。
これにより、YouTubeは若年層に限らず中高年層にも広く浸透していることがわかります。企業のマーケティング施策においても、YouTubeは幅広い世代にアプローチできる重要なメディアといえます。
参照元:
(※1) 【2025年2月版】人気SNSのユーザー数まとめ|X(Twitter)、Instagram、LINE、TikTokなど
(※2) 「令和6年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」の公表
動画を活用することで、画像やテキストだけでは伝えきれない「音」「質感」「サイズ感」などを視覚的・聴覚的に伝えられる ため、顧客の理解度が向上します。
例えば、「1分間の動画には約3,600ページ分の情報量がある」ともいわれており、短時間で効率よく情報を伝えられます。これにより、「思っていた商品と違った」などの購買後の不満を軽減し、購入意欲の向上につながる のです。
また、購入を検討している視聴者に対しても、自社商品の魅力を最大限に伝えられる ため、コンバージョン率(CVR)の向上が期待できます。
テレビCMの場合、出稿料やタレント起用料などがかさみ、数十万〜数百万円の費用がかかってしまいます。
YouTubeは無料で動画をアップロードできます。コンテンツ制作にはお金がかかりますが、テレビCMより高額になることはほとんどありません。また、テレビCMや広告の場合出稿期間が決められていますが、YouTubeの場合は一度アップロードした動画は半永久的に残り続けます。
以上の理由から、YouTubeはテレビCMに比べて費用対効果が高いと考えられます。
YouTubeでは、一度視聴した動画を繰り返し表示したり、似た動画を「関連動画」や「ホーム画面」でおすすめする機能があります。つまり、一度自社チャンネルの動画を視聴してもらえれば、ほかの動画も併せて視聴してもらえる可能性が高くなるということです。
繰り返し自社チャンネルの動画を視聴してもらえれば、チャンネルや企業に親近感や信頼感を抱いてもらいやすくなります。また、コメントやコミュニティ機能で視聴者とコミュニケーションを取ることも、視聴者のファン化につながるでしょう。
顧客の企業への親近感や信頼感を与え、ファン化することで、商品の購入や競合への流出を防ぐ効果が期待できます。
動画の概要欄やチャンネルの説明欄、固定コメントに、自社サイトやSNSアカウントのURLを添付すれば、視聴者が自社サイトを見に行ってくれたり、SNSをフォローしてくれる導線になります。「商品の購入は概要欄のURLからどうぞ」のように、動画内で誘導するのもよいでしょう。
反対に、アップロードした動画をほかのSNSで共有することで、YouTubeの視聴回数を伸ばすこともできます。
YouTubeの無料サービスである「YouTubeアナリティクス」を活用することで、視聴者の年齢や性別、居住地域、視聴時間などの詳細なデータを取得できます。
これにより、自社のチャンネルや商品・サービスが どの層にリーチしているのかを分析し、マーケティング施策の改善に役立てる ことが可能です。
さらに、動画ごとの 視聴維持率やクリック率(CTR)、エンゲージメント指標 なども確認でき、効果測定を行いながら より効果的な運用戦略を立てる ことができます。
YouTubeアナリティクスの具体的な使い方については、のちほど詳しく解説します。

何事も行き当たりばったりではうまくいきません。YouTube運用も、始める前にいくつか準備が必要です。具体的には、次の5つを準備・検討しておきましょう。
まずは、何のためにYouTube運用をするのかを明確にしましょう。
企業やブランドの認知度の向上、商品の魅力を伝える、商品を購入してもらうなどがYouTube運用の目的として設定されることが多いです。もちろん、認知度を上げたうえで商品も購入してもらえるなど、複数の効果が得られるに越したことはありません。
しかし、あれもこれも追い求めると、コンセプトがぶれてしまったり結局どれもうまくいかなかったりするため、目的はできるだけ絞るようにしましょう。
目的を明確にできたら、KGIとKPIを設定しましょう。
KGIとは最終目標のことで、先に決定した目的を具体的な数値にしたものです。KPIは、KGIを達成するための細かな目標のことで、YouTube運用であれば視聴回数やチャンネル登録者数、高評価率などを設定するとよいでしょう。
YouTubeは利用者層が広いため、いろいろな人に見てもらいやすいですが、幅広い層を狙うあまり、ターゲティングを怠ると、結局どの層にも刺さらないチャンネルになってしまいます。そのため、チャンネル運用を始める前に必ずターゲットを設定しましょう。
チャンネルのターゲットは、基本的には商品やサービスのターゲットと同じ層に設定することをおすすめします。
動画制作の費用は、クオリティを追求すれば際限なく膨れ上がります。クオリティの高い動画を投稿すれば人気が出やすくなるかもしれませんが、YouTube運用のせいでほかの予算を圧迫しては意味がありません。事前に予算を立てて、予算内で運用するようにしましょう。
YouTube運用には、人件費や撮影機材、編集機材、ロケ地までの交通費などさまざまな費用がかかります。思ったより費用がかさんでしまったということもあるため、予備費も用意しておくとよいでしょう。

ここからは、企業のYouTube運用の一連の流れをアカウント開設から解説していきます。継続的な運用のポイントも解説するので、ぜひ参考にしてください。
まずはアカウントを開設します。アカウント開設の手順は、次のとおりです。
アイコンは、チャンネル名やコメント横に表示される正方形の画像で、800×800ピクセルが推奨サイズです。
バナーは、チャンネルページ上部に表示される横長の画像で、アスペクト比16:9の2048×1152ピクセル以上が推奨されます。
重要な情報は、すべてのデバイスで確実に表示される「安全領域」(1546×423ピクセル)内に収めるのが望ましいです。
チャンネルの基本情報欄には、自社サイトや商品ページ、SNSアカウントなどへのリンクを設定することができます。
次に、YouTubeに投稿する動画を制作します。
動画制作には、企画や撮影、編集など多くの工程があります。これらすべてを自社で行おうと思うと大変なので、編集だけプロの編集者に頼むなど、一部を外注してもよいでしょう。思ったより制作に時間がかかってしまったということも起こりうるため、余裕をもってスケジュールを立てましょう。
動画が完成したら、YouTube上に動画をアップロードします。
アップロードの手順は次のとおりです。
視聴者とは、子供向けコンテンツか否かを指定する項目です。タイトルは、検索キーワードを入れるようにしましょう。ハッシュタグを付ければ、より見つけてもらいやすくなります。
サムネイルは、別途作成しなくても投稿できますが、サムネイル用の画像を設定したほうがクリックされやすくなります。余裕があれば作成したほうがよいでしょう。
YouTube運用は、動画を投稿して終わりではありません。YouTube運用を始めてから効果が出るまでは、少なくとも半年はかかるといわれています。そのため、中長期的に運用を続けられるように体制を整える必要があります。
ここからは、YouTube運用を継続するためのポイントを3つご紹介します。
動画は、時間やコストをかけるほどクオリティは高くなります。
しかし、一つの動画に時間やコストをかけすぎても中長期的に継続するのは難しくなります。そのため、予算やスケジュールは、ほかの業務に割くリソースを圧迫しない程度に設定しましょう。
動画制作には企画や撮影、編集など多くの工程があり、それぞれに専門知識やスキルが必要です。また、動画を投稿したあとの運用・分析・改善においても、マーケティングやITの知識が必要なため、社員だけで制作から運用までを行うのは難しいでしょう。
もし、社内に専門知識やスキルのある人材がいない場合は、動画制作からYouTube運用まで丸ごとプロに外注するのもおすすめです。

ただ一方的に動画を投稿するだけでは、視聴回数やチャンネル登録者は増やせません。投稿したあとは、必ず動画やチャンネルを分析し、それをもとに改善策を立てましょう。YouTubeの分析は、YouTubeアナリティクスを使って行います。
ここからは、YouTubeアナリティクスの使い方と確認できるデータについて解説します。
YouTubeアナリティクスとは、動画やチャンネルの解析を行える無料のツールです。YouTubeアナリティクスへは、以下の手順でアクセスできます。
あとはタブを切り替えて、見たいデータを確認するだけです。スマホから見るには、YouTube Studioのアプリをインストールする必要があります。
YouTubeアナリティクスでは、概要、リーチ、エンゲージメント、視聴者の4つの項目別に、さまざまなデータを確認できます。
YouTubeアナリティクスで確認できるデータの一例をご紹介します。
上記でご紹介したのは一部で、YouTubeアナリティクスではほかにもさまざまなデータを確認できます。これらすべてを分析するのは大変なので、設定したKGIやKPIに沿ったデータに絞って分析しましょう。
企業のYouTube運用なら、年齢や性別、地域などの視聴者属性にも注目するとよいでしょう。

企業のYouTube運用には、新規顧客獲得のチャンスになる、費用対効果が高い、顧客のファン化が図れる、自社サイトやSNSへ誘導できる、データを活用し、PDCAを回せるなど、さまざまなメリットがあることがわかりました。
企業のYouTube運用を始める際は、必ずKGIやKPI、ターゲットの設定や予算立てなどの事前準備を行いましょう。YouTube運用は、投稿して終わりではありません。動画を投稿したら、YouTubeアナリティクスを利用して動画やチャンネルの分析・改善を行いましょう。
また、動画制作やチャンネル運用にはスキルや専門知識が必要なので、社内リソースが足りないようであればプロに制作から運用まで外注することをおすすめします。