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動画広告市場は年々拡大し、特にYouTube広告は企業のマーケティング戦略において重要な役割を果たしています。
その中でも「インフィード動画広告」は、視聴者が自らクリックすることで再生される広告として注目されています。
この広告フォーマットは、2021年11月に「TrueViewディスカバリー広告」から名称変更されました。
従来の広告手法よりもユーザーの意思を重視した広告形式へと進化し、企業にとっても無駄な広告コストを削減しつつ、ターゲット層へリーチしやすい手法として活用されています。
インフィード動画広告は、YouTubeの検索結果、関連動画のサイドバー、アプリ版のトップページなどに表示され、ユーザーの検索履歴や関心に基づいて最適なターゲットへ配信されるのが特徴です。
また、Google広告のターゲティング機能を活用することで、検索キーワード、興味・関心、年齢・性別、特定のYouTubeチャンネルや動画など、細かい設定が可能です。
これにより、購買意欲の高いユーザーにダイレクトにアプローチでき、ブランド認知向上やコンバージョン率の向上が期待できます。

それでは、インフィード動画広告の特徴をメリット・デメリットと2つの側面から解説していきましょう。
インフィード動画広告の主なメリットは、以下のとおりです。
インフィード動画広告は、ユーザーが自発的に広告をクリックすることで初めて再生される動画広告です。そのため、動画の前後や途中に自動で再生される動画広告とは違い、どれだけのユーザーに広告をクリックされるかが重要といえます。
インフィード動画広告は、広告宣伝に興味・関心が高い(と思われる)ユーザーに絞って広告表示をすることが可能です。インストリーム広告と呼ばれる動画視聴時に再生される動画広告と比べると、ユーザーのエンゲージメント率(クリック率)が高いといわれています。
参照元:Surface your videos when viewers are looking for what to watch with TrueView discovery ads |(GOOGLE ADS)
インフィード動画広告は、ユーザーが広告をクリックすることで動画広告が再生され、再生された時点で初めて費用が発生するクリック課金型(CPC)の動画広告です。ユーザーの意思に基づいて動画広告が再生される仕組みのため、広告費の無駄を抑えやすく、高い費用対効果が期待できます。
特に、限定的な予算の中で効率的にリーチを増やしたい中小企業やスタートアップには、有力な選択肢となります。
インフィード動画広告は、ユーザーが広告をクリックすることで再生される動画広告について、自社のYouTubeチャンネル内に投稿されている動画の1つとして管理されています。そのため、広告をクリックされることで、運営しているYouTubeチャンネルの動画が1回再生されることになるのです。
また、インフィード動画広告として出稿している動画のほかにも関連する商品・サービスの動画を多く投稿することで、ユーザーを動画広告以外の動画へと誘導することにも繋がります。インフィード動画広告を能動的にクリックして視聴しているユーザーにとって関連する商品・サービスの動画は興味・関心が高いことも多く、そのままチャンネル登録に繋がるケースも考えられます。
このように、動画広告としてだけでなく、YouTube運用にとってもインフィード動画広告は一定の効果が期待できます。
それでは反対に、インフィード動画広告のデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
インフィード動画広告のデメリットは、大きく以下の2つが挙げられます。
インフィード動画広告は、クリック課金型(CPC)のためユーザーにクリックされない限り費用は発生しません。
とはいえ、広告を出稿するにあたって広告を制作する費用や管理する費用など、広告出稿にかかる費用以外にもさまざまな費用や手間がかかります。手間暇かけて作った広告がユーザーにクリックされず、効果が得られないという可能性がゼロではないのがインフィード動画広告の最大のデメリットです。
スマートフォンでYouTubeを閲覧しているユーザーは、スクロール操作が中心であるため、広告が目に入ってもクリックされる確率がPCより低くなる傾向があります。スマホユーザー向けには、特に視認性を意識した広告デザインが求められます。
インストリーム広告では、広告出稿さえしてしまえば一定のユーザーに広告が視聴されるため、広告出稿自体が全くの無駄に終わるというリスクは少なくなります。ユーザーに全くクリックされないという最悪の事態を避けるためには、ユーザーがクリックしたくなるような魅力的な訴求が必要です。
インフィード動画広告において最も力を入れて制作する部分は、もちろん広告のメインとなる動画部分です。
しかし、その重要な動画広告を視聴してもらうために、まずは表示された広告をクリックしてもらう必要があります。
インフィード動画広告において、ユーザーが最初に目にする広告内容は、表示されたサムネイル画像とその横に表示されるテキスト部分のみです。
つまり、訴求するためには、ユーザーを惹きつける魅力的なサムネイルとテキストにしなければいけません。動画広告は画像とテキストのみの広告と比べると、何十倍もの情報量を有した広告だといわれています。そのため、インストリーム広告のように最初から動画でユーザーに訴求ができる広告手法よりも、画像とテキストでユーザーを動画広告へ誘導するインフィード動画広告はより魅力的な広告を意識して作る必要があるのです。

インフィード動画広告では、以下の3つの箇所へ動画広告を出稿できます。
どの表示箇所もYouTubeを視聴しているユーザーがよく目にする部分のため、広告の露出度も非常に高い広告枠といえます。


引用元:Google広告ヘルプ 「インフィード動画広告」
ユーザーがYouTube内の検索窓でキーワード検索した際に表示される、検索結果画面の上部に動画広告へ誘導するサムネイル画像と広告文が掲載できます。


引用元:Google広告ヘルプ 「インフィード動画広告」
ユーザーの動画再生ページに表示される関連動画欄に動画広告へ誘導するサムネイル画像と広告文が掲載できます。パソコン版では再生中の動画の横に、モバイル版では再生中の動画の下に、それぞれ関連動画と合わせて広告が表示されます。


引用元:Google広告ヘルプ「インフィード動画広告」
表示されている画面は「フィード」と呼ばれます。ホームフィードとは、YouTubeにアクセスした際に表示される画面のことを指します。
インフィード動画広告は、YouTubeの検索結果、関連動画欄、モバイル版のホーム画面などに表示されます。ただし、どの表示面に配信されるかは、キャンペーンタイプ(例:動画アクション、動画表示)やフォーマット、ネットワーク設定(YouTube、動画パートナー)など、複数の広告設定によって異なります。そのため、ホームフィードなど特定の面に確実に表示させたい場合は、Google Adsの最新ヘルプを参照のうえ、設定内容を十分に確認する必要があります。

インフィード動画広告は、広告視聴単価(CPV:Cost Per View)方式で課金されるYouTube広告の一種です。このフォーマットでは、ユーザーがサムネイル画像をクリックまたはタップして動画を再生した場合にのみ課金が発生します。
インストリーム広告のように自動再生されるものと異なり、広告を能動的に選んだユーザーにだけ費用がかかるため、広告費の無駄を抑えやすいのが特徴です。
実際の費用感としては、1回の視聴(クリック)につき約3円〜10円が一般的な相場です。たとえば、1日あたり1,000回再生を目指す場合、3,000円〜10,000円の広告予算が目安となります。費用は、入札額、ターゲティング、競合状況などによって変動します。
費用対効果を最大化するためには、明確な目標に応じて入札戦略と予算設定を調整し、広告の掲載面やターゲット属性も細かく設計することが重要です。

インフィード動画広告の出稿方法は、大きく分けて4つの手順で行います。
インフィード動画広告を出稿する動画は、事前にYouTubeチャンネルにアップロードしておく必要があります。アップロードする動画は通常の投稿と同様、YouTubeにログインし、YouTube Studioから動画を公開・限定公開のどちらかでアップロードするだけでOKです。
キャンペーンとは、インフィード動画広告の目的やかける予算、地域や言語などを設定する機能です。キャンペーンの作成は、YouTube StudioではなくGoogle広告へログインして行います。
Google広告へログイン後、キャンペーンをクリックし、キャンペーンの管理画面で「新しいキャンペーンを作成」をクリックします。画面の指示に従って出稿する動画広告のキャンペーンを設定していきます。
設定する項目は、以下の11項目です。
キャンペーンが作成できたら、次は広告グループの設定を行います。広告グループの設定もキャンペーンの作成と同様、Google広告で行います。
広告グループでは、動画広告でリーチしたいターゲットを以下の5つの項目から設定します。
キャンペーンの作成、広告グループの設定が終わったら、事前にYouTubeチャンネルにアップロードしておいた動画のURLを入力します。設定・入力した項目に問題がなければ、キャンペーンの作成ボタンを押してインフィード動画広告の広告出稿は完了です。

インフィード動画広告を制作する際のコツを3つご紹介します。
インフィード動画広告は費用対効果が高い広告手法の1つですが、ユーザーがサムネイル画像をクリックして初めて効果が発揮されるのです。そのため、広告効果を最大化するために、まずは「サムネイル画像をクリックさせる」ことが重要です。
サムネイル画像は最初にユーザーの目に留まる非常に重要な部分であり、サムネイル画像から広告の内容を読み取れることが最も重要といえます。そのうえでアピールしたいポイントを目立たせるなど、ユーザーの目を引く工夫が必要です。
見出しはサムネイル画像とセットで表示される広告のタイトルで、説明文は簡易的な動画広告の説明文にあたります。見出しは説明文よりも大きく表示されるため、サムネイル画像を見て広告に興味を持ったユーザーは、サムネイル>見出し>説明文の順番で目を通すことになります。見出しと説明文にサムネイル画像だけでは伝わらない部分の補足や詳細などを記載することで、ユーザーを動画広告のクリック(タップ)へ誘導します。
見出しは半角で最大100文字、説明文は最大2行で、1行あたり最大半角35文字が入力できます。どちらもユーザーが閲覧するデバイスによってすべての文字が表示されない場合があるため、重要な文言は可能な限り前のほうに記載するようしましょう。また、見出しに「今すぐ視聴する」といった行動を促すような文言を記載することもクリック率を高めるポイントの1つです。
動画広告はあくまで「広告」であるため、動画が再生されることがゴールではありません。そのため、動画を視聴したユーザーが商品・サービスの購入や資料請求、自社サービスへの登録など、何かしらのアクションを起こしたくなるような動画広告を作成することも重要です。
動画広告を作成する際には、自社の商品・サービスがユーザー自身の課題解決に繋がることを短時間で伝えられるよう、動画の構成を工夫するのもポイントの1つです。

ここまでインフィード動画広告について詳しく解説してきました。
高い効果が期待できるインフィード動画広告ですが、制作する際は以下の注意点も把握しておくようにしましょう。
多くのユーザーはサムネイル画像を見て動画広告をクリックします。
サムネイル画像はユーザーにとって魅力的なものである必要がありますが、動画広告の内容から逸脱するような表現や、過度に誇張した表現などでユーザーを動画へ誘導してしまうと、ユーザーの満足度は大きく下がってしまいます。
このようなサムネイル画像で広告出稿を繰り返していると、企業イメージ自体も損なう可能性があるため、サムネイル画像は動画広告の内容に合ったものにしましょう。
インフィード動画広告は、その名のとおり商品・サービスの広告宣伝を行う動画です。
とはいえ、テレビショッピングのように「今ならお買い得!」「〇〇名様限定!〇〇%OFF!」のような文言を強調した動画広告にしてしまうと、ユーザーの満足度は下がるといわれています。
YouTubeを使用した動画広告の場合「動画コンテンツを通して商品・サービスの魅力を伝える」といった趣旨で動画広告を作成することが望ましいとされています。「なぜこの商品が役に立つのか?」というストーリーを重視しましょう。
インフィード動画広告は、その他の動画コンテンツと同じ形式でサムネイル画像・見出し・説明文が表示されます。そのため、広告と認識せずにクリックするユーザーも少なくありません。また、デバイスによっては関連動画の一番上やトップフィードの最上部に表示されるため、ユーザーが無意識にクリック・タップしてしまうケースも考えられます。このようなケースも考慮しながら広告効果を検証していかなければいけないという点は注意にも必要です。
インフィード動画広告では、広告動画を視聴したユーザーの動画に対する評価や同じチャンネルの別動画を視聴したかなど、その後の行動を確認することができるため、費用対効果の測定の際にはこういった機能も有効活用していきましょう。

インフィード動画広告は、TrueViewディスカバリー広告と呼ばれていた頃から多くの企業に利用されてきた動画広告です。その特徴やメリット・デメリットを正しく理解して利用することで、費用対効果の面でも優れた成果が見込める広告手法の1つといえるでしょう。
インフィード動画広告の成功には、クリック率(CTR)を最大化し、視聴者の興味を引く工夫が欠かせません。
また、広告の目的は「視聴されること」ではなく、最終的なアクションにつなげることである点を忘れずに制作することが重要です。
まだ利用したことのない人は、これを機にYouTubeインフィード動画広告を利用してみてはいかがでしょうか。
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