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バンパー広告とは、2016年からYouTubeで提供されている広告です。基本的には、動画再生中に流れる映像広告とさほど変わりません。
ただし、長さは6秒以下で、視聴者が手動でスキップできないことが特徴でしょう。YouTubeの視聴中に、ふだんと変わらない広告なのにスキップボタンが表示されない広告を見たことがある方もいるかもしれません。スキップしようとしていたらいつの間にか広告が終わっていた経験もあるでしょう。
6秒という短い時間で強烈なインパクトを残すバンパー広告は、日本文化になぞらえてGoogleから「動画広告の俳句」とよばれています。
バンパー広告と混同されやすいのが、従来の「TrueViewインストリーム広告」です。TrueViewインストリーム広告の主な種類は、以下の2つです。
バンパー広告も、スキップできないという点では上記のノンスキッパブル広告と同種といえます。
ただし、ノンスキッパブル広告は15~30秒という長い尺の広告でした。長い尺がユーザーに与える不快感を考慮した結果、代替手段として登場したのが6秒という短い尺のバンパー広告です。
<従来のスキッパブル広告>
<バンパー広告>
バンパー広告を活用するメリットは、以下のとおりです。
それぞれ詳しく確認しましょう。
バンパー広告のメリットの一つは、視聴者が広告をじっくり見られることです。スキッパブル広告のようにスキップボタンが表示されると、視聴者は基本的に広告を飛ばすでしょう。
しかし、バンパー広告はスキップボタンが表示されないため、広告を見てみようという意識になるのです。バンパー広告は6秒という短さで終わるため、視聴者の集中力が持続し、記憶に残りやすいこともメリットでしょう。視聴者の記憶に残れば、広告として最低限の仕事はできたといえます。
バンパー広告は、視聴者に不快感を与えにくいです。従来のノンスキップパブル広告は15〜30秒と長かったので、見たい動画を邪魔するものと思われやすく、不快に感じられるケースがありました。
バンパー広告の場合、広告として最低限の仕事を果たしながら、視聴者に不快感を与える前に終わります。動画広告の悪い面を最小限に抑えているのが、バンパー広告といえるでしょう。
バンパー広告は、ブランディングにも効果を発揮します。上述したとおり、バンパー広告は従来の動画広告よりも視聴者に与える不快感が少ないです。そのため、長期的な目線で商品やサービスを売り込みたいときに適しています。例えば、ビジネスを始めるときは強く宣伝したいと思う方が多いでしょう。
しかし、従来の動画広告では視聴者に不快感を与える可能性があります。「見たい動画があるのに邪魔されて無理やり広告を見せられた」と感じさせることもありました。
バンパー広告の場合、よい印象だけを視聴者に与えられるため、スピーディに想定したイメージを浸透させることが可能です。バンパー広告は、近い将来ブランディングに欠かせない広報手段となるでしょう。
バンパー広告は「YouTube Select」と組み合わせることができます。YouTube Selectとは、大きな影響力をもつチャンネルに限定して広告を出稿できる仕組みです。テレビCMのように広告枠を買うことをイメージすればわかりやすいでしょう。
視聴者の多いチャンネルに絞って広告を配信できれば、短い期間でも多くの視聴者の目に触れるので広告としての効果が飛躍的に高まります。短期間で自社の商品やサービスの認知度を高めたいときに効果的です。
バンパー広告は、若者への宣伝力が強いことも大きな魅力です。昭和から国民的メディアとなったテレビですが、現在の若者のテレビ視聴率は大きく低下しています。
一方、YouTubeを中心とした動画サイトの人気は爆発的に広まりました。バンパー広告の運用場所は主にYouTubeのため、若者向けの宣伝として最適です。うまく活用することで、多くの支持を集められるでしょう。
バンパー広告にかかる費用は、ジャンルによって異なります。平均すると1,000回の視聴につき、400~600円程度の費用がかかるといわれています。バンパー広告ではCPMという課金システムを採用しており、1,000回視聴されるごとに課金される仕組みです。
まったく広告が視聴されていないのに費用だけかかることはないため、安心して運用できるでしょう。
バンパー広告は6秒という短い尺の動画広告なので、制作する際には注意するべきポイントがあります。
バンパー広告を制作する際のポイントは、以下のとおりです。
それぞれ詳しく確認しましょう。
バンパー広告に限らず、オンライン広告はターゲットを絞って配信できることが最大のメリットです。広告を制作する前に、ターゲットとなるユーザーの年齢・性別・職業・家族構成・年収・居住地など、細かい属性を明確にしましょう。
広告を配信する目的を決めることも重要です。動画広告を通して、企業・商品の認知を拡大したいのか、特定の商品・サービスの購入を促したいのか、お問い合わせを増やしたいのかなど、最終的にユーザーに求める行動や内容を決めましょう。
バンパー広告は尺が短く、ユーザーに表示された回数に応じて料金が発生するインプレッション課金制です。ユーザーにアクションを求めるよりも、認知度向上に適している動画広告といえるでしょう。
バンパー広告は、6秒という限られた時間で動画広告を制作する必要があります。そのため、多くの情報を詰め込むとすべてが中途半端になり、ユーザーに伝えたいメッセージが伝わらなくなる可能性があるでしょう。
バンパー広告のように尺が短い動画広告では、目的に沿った一つのメッセージをしっかり伝わるように制作してください。
動画広告を最後まで視聴してもらうためには、最初の数秒が重要といわれています。バンパー広告は動画全体で6秒という尺でスキップ不可なので、最後まで視聴してくれるユーザーが多いです。
しかし、6秒間にユーザーの興味・関心を惹くようなインパクトがなければ、ただ動画が流れているだけになります。広告効果を最大化するために、視聴者に強い印象を与える必要があるでしょう。インパクトのある動画になるように制作することもポイントの一つです。
動画広告は、一度出稿すれば終わりというものではありません。動画広告を配信してどの程度の効果があったのか、費用対効果はどうかなど、出稿後に効果測定を行い、次に活かす動きも重要です。
YouTubeでは、どの程度のユーザーに視聴されたのかを表す「ユニーク視聴者数」なども簡単に調べられます。実際の数値も参考にしながら効果測定を行いましょう。
バンパー広告の設定方法は、以下のとおりです。
それぞれ解説します。
まず、バンパー広告を設定するには、広告として運用する動画を制作しなければいけません。動画の制作方法は割愛しますが、6秒という制限は忘れないでください。自分たちで動画を制作する場合は、6秒という短い時間でどれだけ視聴者にインパクトを残せるか、アイデアを出し合いましょう。
動画が完成したら、事前準備として非公開設定でYouTubeにアップロードします。
次に、広告の設定をするためにGoogle広告にログインします。
ログイン後、トップページの概要から「新しいキャンペーンを作成」を選択しましょう。
達成したい目標の選択画面が表示されます。ここでは「ブランド認知度とリーチ」を選択してください。
選択後、画面下部にキャンペーンタイプを選択する項目が表示されます。キャンペーンタイプは「Video」を選択してください。
さらに画面下部に移動すると、目標をどのように達成するかを選ぶ項目があります。サブタイプは「効果的なリーチ」を選択しましょう。
ページ最下部の「続行」をクリックし、次の設定画面へと移動してください。
画像のようにキャンペーンの設定画面が表示されたら、主に以下の項目を設定します。
各項目はそれぞれのビジネスモデルや戦略によって設定内容が異なります。自分たちがどのように広告を運営したいのかを踏まえて細かく設定してください。
設定が終わったら、ページ下部の「広告グループの作成」画面へと移動します。
広告グループの作成では、主に以下の項目を設定します。
こちらも、それぞれの目的や運用方法に沿って設定してください。ここまで終われば、バンパー広告の運用まであと少しです。
広告グループの作成が終わったら、ページ下部にある「動画広告を作成する」から動画設定を行いましょう。「お客様のYouTube動画」の検索ボックスから該当の動画を検索するか、動画のURLを貼り付けてください。
広告からの遷移先URLの設定もこの画面で行います。「行動を促すフレーズ」では、CTAテキストの選択と、動画見出しを設定することが可能です。
最後に、入札単価を設定します。今回はインプレッション単価を設定してください。
入札単価を設定後、ページ最下部の「キャンペーンの作成」ボタンをクリックすれば、バンパー広告の設定は完了です。
実際にバンパー広告を活用した事例をご紹介します。具体的な例を見れば、自分たちでバンパー広告を制作するときの参考になるでしょう。
・「シゲキックス × Shigekix」激シゲキックス 極刺激ソーダ&シゲキックス レモン篇 6秒
シゲキックスは、味覚糖株式会社が製造・販売している商品です。他社の商品も含めても、グミというジャンルで非常に認知度の高い商品です。
このバンパー広告は、商品のジャンルや特徴などはすでに認知されている前提で制作されている印象を受けます。あえて商品に対する説明を加えず、インパクトのある映像に商品の特徴を想起させる効果を加えることで、商品を訴求しています。
株式会社明治が、自社の看板商品でもある「明治ブルガリアヨーグルト」の商品訴求のために出稿したバンパー広告です。「実は、ずーっとトクホ」というキャッチコピーが印象的なこの広告では、同商品が「特定保健用食品」であること、腸内細菌のバランスを整える効果が証明されていることを訴求しています。
訴求したいポイントが決まっている、かつ幅広い層のユーザーがターゲットになり得るため、バンパー広告との相性が非常によい事例といえます。
・Xbox|SXBX5696000H master rev1
Microsoft Xboxが、世界中で人気のゲームソフト「Halo Wars2」の発売にあたって配信したバンパー広告です。このバンパー広告は、ゲームのストーリーに関連する動画を少しだけ見せてユーザーの興味・関心を高める目的で制作されました。
長尺で作られた別のTrueView広告や、マストヘッド広告を視聴したユーザーに限定して配信されたことが特徴です。すでに一定の興味・関心があるユーザーに対してこのバンパー広告を発売日間近に配信し、ゲームの発売日にユーザーの関心度を高めることに成功しました。
・ザ・プレミアム・モルツ 『週末のごほうび・すず登場(ごほうびだー)』 6秒 広瀬すず サントリー CM
SUNTORYの人気商品「ザ・プレミアム・モルツ」のCMで、女優の広瀬すずさんを起用したことでも話題となったバンパー広告です。このCMは、バンパー広告だけでなく長尺のウェブCM版も制作・配信されています。
少しだけ構成や女優のセリフが違う2種類の動画が用意されていることからも、同社が動画広告の運用に積極的な姿勢が伺えます。「夏」と「ビール」という商品の親和性を強調した内容は、ユーザーの共感を強く意識して制作されているのです。
・【ローソン】有名店「ラ・ピッコラ・ターヴォラ」監修の「ピッツァマルゲリータ」です♪
LAWSONが2022年12月に公開した、ローソンが販売しているピザ「ピッツァマルゲリータ」宣伝用のバンパー広告です。ピザはクリスマスシーズンに購入するユーザーが増える商品のため、クリスマスシーズン前から一定期間広告を出稿することで、高い広告効果が期待できます。
「ローソンでいつでもピザを買える」ことや「ローソンのピザは有名店のシェフが監修している=味には自信がある」「リーズナブルである」ということを6秒という短い時間で効果的に伝えられています。バンパー広告のお手本のような動画といえるでしょう。
山陽女子高等学校のMusicコースが開催したオープンデーの宣伝広告です。実際の雰囲気がわかるように演奏シーンのみを流し、詳細は画面左に終始表示させています。
無駄な要素がないため、学校の清楚な雰囲気が強調され、広告としても見やすくなっています。広告を見た視聴者は映像の優雅な雰囲気に興味をもち、オープンデーに参加しようと思うでしょう。
ターゲットが若者である教育機関が、YouTubeとバンパー広告を運用している代表的な例といえます。
法人向けに名刺管理サービスを展開しているSansan株式会社のバンパー広告です。同社の新サービス「オンライン名刺」について宣伝しています。
広告は、サラリーマンとなった有名俳優同士の会話からスタートし、終わりに新サービスの宣伝を唐突に挿入する流れで進みます。どのようなときに役立つのかをしっかりとアピールしつつ、急にサービスの宣伝を始めることで視聴者の興味を引いています。サービスの内容をあえて説明しない巧みな演出です。
・先輩、後輩、売り子… 美女10人からのアプローチに思わず「汗る」
花王の男性向け柔軟剤「ハミング」のバンパー広告です。男性向けということもあり、女性を起用して訴えかけることをコンセプトにしています。それだけではなんの変哲もない動画ですが、参考にしたいのはバリエーションを複数用意していることでしょう。
いくら6秒の短い広告といっても、何度も見ていればいずれ飽きます。バリエーションを変えることで、常に新鮮なイメージを視聴者にもたせられるのです。
予算がなければ実現は難しいですが、商品のブランディングとしても効果的な戦略でしょう。
・YouTube広告運用(バンパー広告)からあげ専門店リッキー 6秒動画
最後は、沖縄のからあげ専門店リッキーのバンパー広告です。スライドショーのように写真やイラストを組み合わせた動画を採用しています。
ローカルCMならではのあたたかい雰囲気を演出しつつ、写真をテンポよく並べることでメニューが数多くあることをアピールしています。6秒という尺であれば、写真とテロップという限られた素材だけでも効果的な広告を作れることがわかる事例です。
バンパー広告の概要や設定方法、実際の活用事例などをご紹介しました。バンパー広告は6秒という短い時間で商品やサービスを宣伝する画期的な動画広告です。視聴者に不快感を与えることなく、ブランディングにも効果を発揮します。
新たなビジネス戦略を考えている人は、ぜひバンパー広告を活用してください。工夫次第で、大きな成果を得られるでしょう。
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