目次

「ライブコマース」とは、一体どのような販売手法なのでしょうか?ここでは、ライブコマースの定義や従来の動画マーケティングとの違い、メリット・デメリットについて、分かりやすく解説します。
ライブコマースとは、ライブ配信とECサイトを組み合わせた新しい販売形態です。
ライブ配信で商品を紹介し、視聴者がリアルタイムで質問やコメントをしながら、気に入った商品をその場で購入できる仕組みとなっています。
「ライブ」と「コマース(商業)」を組み合わせた造語であり、「ライブ配信」×「EC」と理解すると分かりやすいでしょう。
従来の動画マーケティングは、あらかじめ制作した動画をYouTubeなどのプラットフォームに投稿し、視聴者に一方的に情報を届ける形式が主流でした。
一方、ライブコマースでは、配信者と視聴者がリアルタイムでコミュニケーションを取れる「双方向性」と、視聴から購入までをシームレスに行える「即時性」が大きな特徴です。

近年、ライブコマースが注目を集めている背景には、いくつかの要因が挙げられます。ここでは、EC市場や動画配信市場の動向、5Gの普及など、ライブコマースを取り巻く環境の変化について解説します。
日本国内のBtoC-EC市場(消費者向け電子商取引)は、年々拡大しています。経済産業省の調査によれば、2022年のBtoC-EC市場規模は22.7兆円、物販系EC市場は前年比9.91%増の13.9兆円となりました。また、国内EC化率(商取引におけるECの割合)は9.13%に達しています。
さらに、野村総合研究所(NRI)の「2028年度までのICT・メディア市場に関する洞察」では、デジタル化の進展によりEC市場の成長が加速し、関連産業や市場構造の変化が予測されています。この成長は、消費者がオンラインで商品を購入する行動が一般化し、多くの業界がECプラットフォームを活用するようになったことに起因しています。
こうしたデータから、今後もEC市場が拡大し、2026年には28.4兆円規模に成長するとの予測が立てられています。
参照元:経済産業省「電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」
参照元:野村総合研究所、2028年度までのICT・メディアに関連する主要7産業と19の国内市場への洞察を発表~デジタル化促進による産業の変革と市場の融合に対し、どう備えるべきか~
動画配信市場は、スマートフォンの普及や5Gの導入により急成長しています。MMD研究所の調査(※1)によれば、YouTubeのライブ配信経由で商品を購入した人は25.7%に達しており、動画を介した購買行動が定着しつつあることがわかります。
ライブ配信はリアルタイムの双方向コミュニケーションを通じて、従来型広告よりも強いエンゲージメント(※補足1)を生み出すのが特徴です。中国では、ライブコマース市場が2017年から2021年で約50倍に拡大したという報告もあります(※2)。
こうした傾向は日本にも広がっており、顔を見ることができて、信頼できる発信者を通じた購入行動が今後さらに増えると考えられます。
(※1)参照元:MMD研究所
(※2)参照元:ジェトロ(日本貿易振興機構):「ライブコマース、健全な発展を見据えて(中国)」
次世代通信規格である5Gの普及も、ライブコマースの成長を後押ししています。5Gは、従来の4Gと比べて、「超高速」「大容量」「低遅延」という特徴があります。
これにより、高画質なライブ配信がスムーズに行えるようになり、視聴者のストレスが軽減されます。また、タイムラグの少ないリアルタイムなコミュニケーションが可能になり、より臨場感のある購買体験を提供できます。
新型コロナウイルスの感染拡大は、消費者の購買行動に大きな変化をもたらしました。外出自粛や実店舗の休業などにより、非対面販売の需要が急速に高まり、ECサイトの利用が拡大しました。
ライブコマースは、非対面でありながら、実店舗での接客に近い体験を提供できるため、コロナ禍で注目を集めました。
近年、YouTuberやInstagrammerなどのインフルエンサーが、大きな影響力を持つようになりました。
企業は、インフルエンサーを起用したライブコマースを実施することで、インフルエンサーのファン層に効率的にアプローチできます。
また、インフルエンサーは、商品に関する専門知識や使用経験を持っていることが多く、視聴者に商品の魅力を効果的に伝えることができます。

ライブコマースは、リアルタイム配信を活用して視聴者と直接コミュニケーションを取りながら商品を紹介できる販売手法です。近年ではその即時性と臨場感、双方向性を活かし、売上向上だけでなくマーケティングや顧客関係構築の面でも注目を集めています。ここでは、企業がライブコマースを導入することで得られる5つの代表的なメリットを紹介します。
ライブ配信では、視聴者からの質問やリアクションにリアルタイムで対応できます。これにより、企業は顧客のニーズや関心をその場で把握でき、商品の改善点や訴求ポイントを明確にする手がかりが得られます。顧客の“声”を直接受け取れる点は、アンケートやレビューでは得られない深い理解につながります。
商品の使用シーンや操作方法、質感などをその場で見せられるため、写真や文章よりも具体的かつ説得力のある訴求が可能です。また、視聴者の疑問に即座に答えられることで、購入前の不安を解消し、購入意思を後押しすることができます。
ライブ配信はオンライン上で完結するため、実店舗を持たない事業者でも全国のユーザーにリーチできます。また、時間や場所の制約が少なく、平日夜間や週末など自由なタイミングで販促が可能になるため、従来の販売チャネルでは届きにくかった層にもアプローチしやすくなります。
視聴者の名前を呼んだり、コメントに反応したりといった細かな対応により、視聴者との距離が縮まり、ブランドに対する親近感が高まります。ライブ配信を通じた体験が記憶に残ることで、商品や企業に対するロイヤルティの向上にもつながります。
配信中の視聴者数、平均滞在時間、コメント内容、クリック数、購入数といった多様な行動データをリアルタイムで取得できます。これらのデータは、商品や訴求ポイントの分析だけでなく、次回以降の配信改善や広告戦略の最適化にも活用できます。

一方で、ライブコマースはすぐに成果が出る万能な手法ではありません。準備不足や設計の甘さによって期待した成果が出ないこともあります。ここでは、実施前に把握しておくべき代表的な4つの課題について解説します。
ライブ配信を安定して行うためには、高速かつ安定したインターネット環境、画質や音声を確保する撮影機材、配信プラットフォームの選定など、事前準備が不可欠です。特に初めて導入する企業にとっては、一定の初期投資とノウハウの蓄積が必要になります。
ライブ配信の成否は、配信者の話し方や表現力によって大きく左右されます。商品知識が浅かったり、視聴者とのコミュニケーションが不自然だったりすると、配信そのものの魅力が損なわれ、離脱につながる可能性があります。社内人材に任せるか、プロのインフルエンサーを起用するかの選定も重要です。
生配信は編集が効かないため、言い間違いや不適切な発言がそのまま公開されてしまいます。誤情報や不用意な発言によってSNS上で炎上し、ブランドイメージを損なうリスクもあるため、台本や事前確認体制の整備、モデレーターの配置などが求められます。
どれほど優れた配信内容でも、そもそも視聴者が集まらなければ効果は得られません。ライブ配信は「告知力が命」とも言われ、事前のSNS告知や広告配信、メールでのリマインドなど、複数チャネルを活用した計画的な集客設計が必要不可欠です。

ライブコマースはすべての業界に適しているわけではありません。視覚的な訴求力や即時性が活きる分野もあれば、その特性が活かしにくい商材・業種も存在します。このセクションでは、ライブコマースとの相性が良い業界と、導入に注意が必要な業界について整理します。
視覚的な訴求が有効で、感覚的な理解が購買に直結する商品ジャンルは、ライブコマースと高い親和性を持ちます。特に「体験」「使用感」「変化」が可視化しやすい商材では効果が発揮されやすくなります。
サイズ感や素材の質感、シルエットの動きといった要素は写真では伝わりにくいため、ライブ配信による着用シーンの紹介は効果的です。コーディネート提案やリアルタイムの質疑応答により、視聴者の購買意欲を高めることができます。
色味やテクスチャーといった微細な情報を伝えやすく、モデルやスタッフによるメイクアップ実演は高い人気を集めます。視聴者の悩みに応じた使用アドバイスや、美容部員による講座的コンテンツは信頼感と購入動機を強化します。
調理のライブ配信や食事シーンを通じて、香りや食感を想像させる演出が可能です。さらに、生産者や開発担当が出演し、こだわりやストーリーを語ることで、商品の信頼性とブランド価値の向上にも寄与します。
家電製品の操作性や機能性は、静的な説明よりも動画での実演が効果的です。特に高額家電では、購入前に丁寧な比較や確認を行いたいニーズが強く、ライブでの説明・質疑応答が購買促進に直結します。
専門性が高い、あるいは価格や構造上ライブでの即時訴求に向かない商品については、ライブコマースの導入に慎重な検討が必要です。
法人向けの商品は専門知識や課題理解が必要とされ、一般消費者向けのライブ配信では魅力を伝えきるのが難しい傾向があります。また、購買プロセスも長期的であるため、ライブ配信の即時性と噛み合わないケースが多いです。
単価が数十円〜数百円の低価格商品は、ライブ配信にかかる人件費・配信コストとのバランスが取りづらく、利益を圧迫する可能性があります。反対に数百万円を超える高額商品は、ライブでの訴求だけでは即時購入には至りにくく、商談や比較検討を要するためライブコマースとは相性が悪いといえます。

ライブコマースを成功させるためには、事前の告知・宣伝が非常に重要です。ここでは、効果的な配信告知方法について、具体的な手段を挙げながら解説します。
ライブコマースの告知において、自社のWebサイトやSNSは、最も基本的な告知方法です。Webサイトのトップページやブログ、SNSのタイムラインなど、目立つ場所に告知を掲載しましょう。
また、複数のメディアで告知を行うことで、より多くのユーザーに情報を届けることができます。
例えば、以下のようなメディアでの告知が効果的です。
ライブ配信者やインフルエンサーを起用する場合は、彼らのSNSでも告知を行いましょう。
特に、自社の商品やサービスと親和性の高いインフルエンサーを起用することで、ターゲット層への効果的な訴求が期待できます。
インフルエンサーのフォロワーは、そのインフルエンサーに興味関心を持っているため、商品やサービスにも興味を持ってもらえる可能性が高いです。
多くのライブ配信プラットフォームには、告知機能が備わっています。例えば、SHOWROOMでは、配信スケジュールを事前に登録し、ユーザーに通知することができます。
また、プラットフォームによっては、トップページやおすすめ欄などに告知を掲載できる場合もあります。これらを活用することで、ユーザーへの案内を効率よく行うことができるようになります。
より多くのユーザーにライブコマースを認知してもらうためには、広告配信も有効です。Facebook広告やInstagram広告、YouTube広告など、ターゲット層に合わせて広告媒体を選択しましょう。
広告配信を行う際には、費用対効果を意識した運用が重要です。
例えば、配信日時やターゲット層を絞り込んだり、クリエイティブを複数用意してA/Bテストを行ったりすることで、広告効果を高めることができます。
ライブ配信後も、アーカイブ動画を活用して、継続的にユーザーにアプローチすることが重要です。アーカイブ動画を自社のWebサイトやSNSに掲載したり、YouTubeなどの動画プラットフォームにアップロードしたりすることで、ライブ配信を見逃したユーザーにも視聴してもらうことができます。
また、次回の配信告知も忘れずに行いましょう。ライブ配信の最後に次回予告をしたり、アーカイブ動画の概要欄に次回配信の情報を掲載したりすることで、リピーターの獲得につながります。

近年、ライブコマースの市場拡大に伴い、様々な企業が関連サービスやアプリを提供しています。ここでは、ライブコマースを実施できるサービスやアプリの代表例を用途別に分類し、それぞれの特徴を詳しく解説します。
ライブコマースを実施できるサービス・アプリは、大きく分けて以下の3種類に分類できます。
ここでは、上記の3種類に分け、具体的なサービス・アプリを紹介します。
リード文: SNS型プラットフォームは、導入のハードルが低く、手軽に始められる点が魅力です。すでに多くのフォロワーを抱えている企業や個人事業主であれば、既存のフォロワーに対して効果的にアプローチできます。

国内で約3,300万人が利用している画像・動画共有SNSです。近年、アパレルブランドやインフルエンサーによるライブコマース活用が活発になっています。ライブ配信画面に商品をタグ付けすることで、ユーザーは、配信を視聴しながら商品の詳細確認や購入を行うことができます。利用料は無料です。
※今回はInstagramを活用してライブ配信を行っているユナイテッドアローズのアカウント画像を使用しています。

世界最大の動画共有プラットフォームであり、月間ユーザー数は6,500万人以上を誇ります。2019年より、動画の下部に商品を広告表示させる機能が追加されました。この機能を活用することで、ユーザーは動画で紹介されている商品をスムーズに購入できます。ただし、ライブ配信や商品のタグ付けには、一定の条件(チャンネル登録者数1,000人以上など)が設けられているため注意が必要です。また、スーパーチャット(投げ銭機能)を活用した、配信者への応援も盛んに行われています。

10代〜20代の若年層を中心に人気を集めるショート動画プラットフォームです。日本では、2025年5月時点で、TikTokは日本市場へのライブコマース機能「TikTok Shop」の導入準備の段階にあります。そのため、現状では、ショート動画で商品を紹介し、外部サイト(ECサイトなど)に誘導したり、TikTok LIVEでリアルタイムで商品紹介する手法が一般的です。
しかし、アジア圏ではTikTok上でライブコマースを実施する機能が次々と実装されているため、今後日本でも同様の機能が追加される可能性は高いでしょう。Z世代向けの商材や、インフルエンサーマーケティングとの相性がよいプラットフォームと言えます。

ライブ配信プラットフォーム「SHOWROOM」が提供する、ライブコマースに特化したサービスです。SHOWROOMの特徴は、アイドルやアーティストの配信者が多いことです。そのため、エンタメ関連の商材や、コラボ商品・限定商品の販売と相性が良いでしょう。ただし、ユーザー数は他のSNSほど多くないため、事前に、ターゲットとするユーザー層が利用しているかどうか、確認しておくことが重要です。
ECモール型プラットフォームは、大手ECモールが提供するライブコマース配信サービスです。すでに多くのユーザーを抱えているECモール上で配信できるため、幅広い層へのアプローチが期待できます。

国内最大級のECモール「楽天市場」が提供するサービスです。「楽天市場」に出店している企業は、専用アプリを使ってライブ配信を行うことができます。ライブ配信では、商品の紹介だけでなく、クーポン配布や視聴者からの質問への回答などを通じて、ユーザーとの双方向コミュニケーションを図ることができます。楽天市場の膨大なユーザー基盤を活用できる点が最大の強みです。

世界的なECモールであるAmazonが提供するライブコマースサービスです。Amazon内で商品を販売する事業者であれば、Amazonライブクリエイターアプリを使用することで、手軽にライブ配信を開始できます。商品紹介や実演販売などを通じて、視聴者の購買意欲を高めることができます。ただし、Amazonライブで商品を販売するためには、大口出品者として登録し、月額利用料を支払う必要があります。
ライブコマースに対応したSaaS(Software as a Service)型プラットフォームは、企業は自社でシステムを構築することなく、手軽にライブ配信機能を導入できます。SaaS型プラットフォームは、自社のECサイトにライブコマース機能を導入したい企業向けのサービスです。すでに自社サイトに一定の集客がある場合、効果的に活用できるでしょう。

株式会社visumoが提供するライブコマース配信ツールです。導入企業のECサイト上に、専用タグを設置するだけで簡単にライブコマース機能を実装できます。ライブ配信だけでなく、過去の配信をオンデマンド動画として公開したり、動画内に商品情報をタグ付けしたりすることも可能です。ユーザーは、再生ボタンを押すだけで簡単にライブコマースを視聴できるため、ユーザビリティの面でも優れています。カスタマイズ性も高く、専任コンサルタントによる導入・運用サポートも提供されています。

BASE株式会社が提供する、ライブコマースに特化したサービスです。スマホ1台あれば、最短1日でライブコマースを開始できます。企画、撮影、配信、効果分析まで、ワンストップで任せられる運用サポートプランも用意されており、初めてライブコマースに挑戦する企業でも安心です。ネットショップ作成サービス「BASE」と連携させることで、より簡単にライブコマースを始めることができます。

17LIVE株式会社が提供する、ライブコマース導入・運用支援サービスです。初期費用・月額費用は無料で、販売手数料は売上金額の10%となっています。配信から販売までワンストップで任せられるだけでなく、専属のカスタマーサクセス担当によるサポートも受けられます。また、タレントやインフルエンサーのキャスティングも依頼できるため、幅広い層にアプローチしたい場合にも有効です。

株式会社ブランディアが提供する、ライブコマース支援サービスです。大手企業や自治体など、幅広い導入実績を誇ります。ライブコマースに必要な機能を網羅しており、初めての導入でも安心です。また、専門チームによるサポートも充実しています。企画から配信まで任せることができるため、リソースが不足している企業にもおすすめです。

ライブコマースで成果を出すためには、いくつかの重要なポイントがあります。ここでは、売上を伸ばすために押さえておくべき7つの成功ポイントを解説します。
ライブコマースを始める前に、まずはターゲットを明確に設定することが重要です。
年齢、性別、居住地、興味関心など、できるだけ具体的にターゲット像を絞り込みましょう。
ターゲットを明確にすることで、配信内容や告知方法、起用するインフルエンサーなどを効果的に選定することができます。
ライブコマースでは、視聴者を飽きさせない魅力的な企画が重要です。
商品の紹介だけでなく、視聴者参加型の企画や、エンターテイメント性の高い演出などを取り入れることで、視聴者の興味関心を高め、離脱を防ぐことができます。
例えば、以下のような企画が効果的です。
ライブコマースの成功は、配信者の選定にかかっていると言っても過言ではありません。
自社の商品やサービスの魅力を効果的に伝え、視聴者の購買意欲を高めることができる配信者を選定することが重要です。
配信者を選ぶ際には、以下のような点に注意しましょう。
ライブコマースで多くの視聴者を集めるためには、事前の告知・宣伝が不可欠です。自社のWebサイトやSNS、メルマガ、ライブ配信プラットフォームの告知機能などを活用して、積極的に告知を行いましょう。
また、インフルエンサーを起用する場合は、インフルエンサーのSNSでも告知してもらうように依頼しましょう。
ライブ配信中にコメント機能を活用し、視聴者の質問にリアルタイムで答えることで、視聴者は“自分も参加している”という意識を持ちやすくなります。さらに、視聴者の名前を呼ぶ、メッセージを拾って応えるなどの小さな工夫を重ねることで、配信に対する親近感やエンゲージメントの向上が期待できます。
ライブコマースでは、視聴者がスムーズに商品を購入できるような導線設計が重要です。ライブ配信画面から商品ページへのリンクを分かりやすく設置したり、購入手続きを簡素化したりすることで、コンバージョン率を高めることができます。
また、ライブ配信中にのみ適用される限定クーポンを発行するなど、購買意欲を高めるための施策も有効です。
ライブコマースを実施した後は、必ず効果測定を行い、改善点を洗い出しましょう。視聴者数、コメント数、購入数、売上などのデータを分析し、次回の配信に活かすことが重要です。
PDCAサイクルを回すことで、ライブコマースの効果を最大化することができます。

ライブコマースは、既に多くの国内企業で活用され、成果を上げています。本記事では、アーカイブ配信が確認できる、企業のライブコマース事例を4つご紹介します。

大手セレクトショップのBEAMSは、2020年からライブコマース「BEAMS LIVE」を定期的に配信しています。2020年3月に実施したライブ配信では、1時間で6,000人以上の視聴者を集め、約100万円の売上を達成しました。
BEAMSは、実店舗のスタッフが配信に出演することで、親近感や信頼感を醸成し、新たな顧客層の開拓に成功しています。
BEAMSのオンラインサイトで実施したライブコマースの様子は以下のリンクからご覧ください。
https://cdn1.beams.co.jp/special/live/?live_id=4jdXymTp1ukNCvB77B0N

資生堂は、自社のビューティーコンサルタントによる「接客型」ライブ配信を実施しています。ライブ配信では、商品の使い方やメイクのテクニックなどを丁寧に解説し、視聴者からの質問にもリアルタイムで回答しています。
また、三越伊勢丹や阪急百貨店などの百貨店とコラボしたライブコマースも実施し、大きな成果を上げています。
阪急百貨店のオンラインサイトで実施したライブコマースの様子は以下のリンクからご覧ください。https://web.hh-online.jp/hankyu-beauty/special.html?fkey=hb_special_shiseido_live

ユニクロは2020年12月にライブコマース「UNIQLO LIVE STATION」をスタートさせ、視聴者との新たな接点づくりを進めています。配信にはモデルやタレントが出演し、ユニクロの商品を実際に着用しながら、リアルタイムで視聴者の質問に答え、コーディネートのポイントを解説。視覚的な訴求と双方向のやりとりを通じて、商品理解と購買意欲の向上を図っています。
また、ライブ中に気になった商品をすぐに購入できるよう、配信とECサイト・アプリをシームレスに連携させ、視聴から購買までの導線をスムーズに設計しています。さらに、「身長別スタッフ試着会」や「新作コレクションの世界最速レビュー」といったテーマを設けることで、視聴体験をエンタメ性の高いものにし、ユーザーの関心を高めています。店舗スタッフが出演する配信も行い、プロモーションでありながらも親しみやすさを感じさせる工夫が随所に施されています。
ユニクロのオンラインサイトで実施したライブコマースの様子は以下のリンクからご覧ください。UNIQLO LIVE STATION

家具・インテリア用品を手がけるニトリは、公式オンラインストアでライブ配信企画「NITORI LIVE」を実施しています。配信では、店舗スタッフやインテリアコーディネーターが出演し、収納・レイアウト・季節のおすすめなど、暮らしに関する具体的な悩みやニーズに応える形で商品を紹介します。
例えば、「小スペースでも快適に暮らすための収納アイデア」や「新生活向けの家具選び」など、テーマ設定は実用性に富んでおり、視聴者が自分の生活に置き換えやすい内容になっています。単なる商品の紹介にとどまらず、住まいの課題を解決する“提案型コンテンツ”として、ECにおける接客の代替手段を実現しています。
ニトリならではの「お、ねだん以上。」の価値を、リアルタイムのコミュニケーションを通じて伝えるライブコマースとして、他業種の参考にもなり得る事例です。
ニトリのオンラインサイトで実施したライブコマースの様子は以下のリンクからご覧ください。
【ライブショッピング】ニトリLIVE

ライブコマースは、従来のマーケティング手法と比べて、費用対効果が高いと言われています。しかし、やみくもに実施するだけでは、十分な効果を得ることはできません。ここでは、ライブコマースの費用対効果を高めるためのポイントを解説します。
ライブコマースを成功させるためには、まず目的を明確にすることが重要です。売上向上、新規顧客の獲得、ブランド認知度の拡大など、取り組む理由に応じてKPI(重要業績評価指標)を設定しましょう。目標を具体的に定めておくことで、配信後の効果測定がしやすくなり、PDCAサイクルの精度も高まります。
視聴者の興味・関心を的確に捉えたコンテンツを届けるには、事前のターゲット分析が欠かせません。年齢層、ライフスタイル、関心事などを踏まえて、ニーズに合致するテーマや見せ方を設計することで、配信の内容がより「刺さる」ものとなります。
ターゲットに合わせた企画は、視聴者のエンゲージメントを高め、最終的な購買行動にもつながりやすくなります。
せっかく魅力的なライブ配信を企画しても、ターゲットにその存在を知られなければ視聴されません。ライブコマースの告知は、WebサイトやSNS、メールマガジン、Web広告など、複数のチャネルを活用して行いましょう。情報発信のタイミングや頻度も工夫し、事前の期待感を高めることで、より多くの視聴者を獲得しやすくなります。
ライブ配信の成果は、誰が登場し、どのように語るかに大きく左右されます。商品に対する理解が深く、トークスキルに長けた配信者を起用することで、視聴者の関心を引きつけ、購買促進にもつながります。自社スタッフによる配信とインフルエンサーの活用、それぞれにメリットがあるため、目的や予算に応じて最適な選択を行いましょう。
ライブコマースは、実施して終わりではありません。配信後には視聴者数やコメント数、売上、購入率などのデータを収集・分析し、うまくいった点と改善すべき点を明確にしましょう。こうしたデータをもとに改善を繰り返すことで、次回以降の施策の質を高め、費用対効果を持続的に向上させていくことができます。

ライブコマースは、企業と顧客の双方向コミュニケーションを実現し、購買意欲を高める効果的なマーケティング手法です。本記事で紹介したメリット・デメリット、成功事例、実践のポイントなどを参考に、ぜひライブコマースに挑戦し、新たな顧客体験を創出しましょう。
ライブコマース市場は、今後さらに拡大していくことが予想されています。最新のトレンドや成功事例を参考に、自社に最適なライブコマース戦略を構築し、ビジネスの成長につなげてください。
WEBでのお問い合わせはこちら