動画編集を始めるためには高性能のPCと専用のアプリケーションを購入しないといけない、と考えている人が多いかと思います。その原因は、『動画編集=重い(PCに負担がかかる)』というイメージが先行しているからだと思います。
確かにエクセルやワードのようなソフトに比べると容量も大きく、必要なスペックも高いものが多いですが、実は編集ソフトが求めるPCスペックというのはそこまで高くないんです。
実は、編集したいジャンルによっては5万円~10万円程で十分なスペックのPCが購入できる場合もあります。つまり動画編集をしているとPCが重いと感じている人はスペック以外のところに原因がある可能性が高いということです。
そもそもPCが重い(動作が遅くなる)原因はPCのメモリ不足にあります。本来、使用するソフトに対応している容量のメモリがPCに搭載されていれば、スムーズに動作するように設計されているはずです。事前に使いたいソフトの必要スペックを確認してからPCを購入することはもちろん重要ですが、スペックは足りているはずなのに重い、という場合はスペック以外の原因が考えられます。
先ほどPCが重い=メモリ不足という話をしました。では、メモリ不足とは一体どういう状態のことを指すのでしょうか。
動画編集に関わってくるPCスペックとして『CPU』、『メモリ』の2つが最も重要です。この内の1つ『メモリ』が不足することでPCが重い(動作が遅い)という現象が起きます。後ほど説明しますが、『メモリ』とはPC内に存在する計算をするために設けられた作業台(スペース)のことを指します。この作業台はPCに搭載されているメモリ以上は確保できませんので、大きな容量を必要とするソフトを使用するとその分多くの作業台を占領することになります。この作業台は同時に2つ以上のソフトで同じ作業台を使用することは基本的にはできません。つまり複数個アプリケーションを同時に起動しているとそれだけでメモリ不足に陥ってしまう可能性があるということです。この『メモリ』の知識を踏まえた上で、動画編集中にPCが重くなってしまった時の対処法をまとめてみました。
先ほど説明したように、PC内のメモリは有限ですので、一度に複数のアプリケーションを起動しているとその分PCにかかる負担は大きくなります。動画編集中はブラウザやエンコーダーなど、その他のアプリケーションも同時起動することが多いですが、不要なアプリケーションを閉じるだけでも動作が軽くなる場合もありますので、常にPCが重いという人は意識してみると良いと思います。
キャッシュとはアプリケーションを使用していると自然と蓄積していくファイルで、画像ファイルなどを指定のフォルダ内に一時的に保存する仕組みのことです。編集ソフトによっては無制限に蓄積されていくものもあるようです。ある日を境に動画編集でPCが重くなったという人はぜひ一度アプリケーションのキャッシュ削除を試してみてください。
どうしても動画編集中はPCが重たくなることもあるかと思います。そんな時は編集ソフトの設定を変更することでPCへの負荷を減らしてみましょう。作業中の編集ソフトを軽くする方法はいくつかありますが、一番簡単かつ効果的な方法としてプレビュー画面の設定変更が挙げられます。
編集中は常にプレビュー画面が表示されているかと思いますが、この画質を通常より下げることでPCへの負担を減らし動作を軽くすることができます。それでも4K動画などを編集している場合は素材となる動画ファイル自体が重いためどうしても動作も重くなりがちです。
そんな時はプロキシファイルの作成が効果的です。プロキシファイルとは元動画から画質などを落として作成された軽量版のファイルのことで、編集ソフトによっては簡単にこのプロキシファイルを作成できます。一度作成するとプレビュー画面などにもこのプロキシファイルが利用されるため、低スペックのPCで4K動画を編集する際などに重宝する機能です。もちろん編集後に保存する動画は元動画の画質などに戻っていますので、動画自体が劣化することもありません。
この方法は、重い元動画の編集が必要な場合に必須ですので、これから4Kのような高画質な動画やゲーム画面のように重たい動画を編集する予定のある人はぜひ覚えておいてほしい知識の1つです。
上記の方法でもPCの動画環境が改善されない場合や、使用したいアプリケーションが増えPCスペックが足りていない場合の最終手段として、PCの買い替えを検討することをお勧めします。
動画編集を行う場合、PCの動作が重い状態での作業は一つ一つの動作に対する反応が悪く、非常に作業効率が悪くなってしまいます。突発的に必要に迫られて動画編集を行う場合は別ですが、継続して動画編集を行う予定で現在のPCが慢性的に重いという人は、早めにPCの購入など環境を整えることの検討をお勧めします。
それでは、実際に動画編集に必要なPCスペックについて解説していきます。これは編集したい動画の内容や、使用する編集ソフトによって多少違いはあります。まずは動画編集に関係するPCスペックについて簡単に説明します。
PCは様々なパーツからできているため、そのスペックを表す一覧にも多くの項目があります。その中で動画編集に関係する項目として最も重要なのが『CPU』と『メモリ』の2つです。
メモリについては先ほど説明した通り、PCが作業をする作業台のことを指します。この広さをGBで表現されており、もちろん数字が大きければ大きいほどこの作業台のスペースが大きいため多くの計算を同時に行うことが可能です。
動画編集を行う場合、有料編集ソフトの推奨スペックとしては8GB程度とされていることがほとんどです。比較的推奨スペックが低い無料の編集ソフトを検討している人であれば4GBでも問題なく使用できます。4Kやゲーム画面などの編集でもなければ4GBのメモリと無料の編集ソフトでも問題ないことが多いようです。
メモリが作業台を担当するのに対して、CPUはPCの頭脳とも言うべきパーツで、PC内で行われるほとんどの処理をこのCPUが担当しています。CPUはメモリとは違いGBなど容量を表す単位は記載されていないことがほとんどです。そのため初心者がPCを購入する際の1つの鬼門となるポイントでもあります。
CPUで一般的なものはIntelが製造しているCoreiシリーズですが、最近ではAMDが製造しているRyzenもコストパフォーマンスが良いと注目されています。
有料ソフトでの動画編集や4Kやゲーム画面などの比較的重たい動画の編集を考えている人であれば、Corei7以降やRyzen7以降のものがお勧めです。無料ソフトでの編集の場合、比較的安価なCorei5で試してみるのも良いかもしれません。
グラフィックボードは3D処理が必要なゲームなどをPCで行う際に必要なPCのパーツです。動画編集で必要な映像処理はCPU内臓のGPUでも行えるため、動画編集をこれから始める初心者の人にとってグラフィックボードの性能は特に重要視する必要はない項目とも言えます。
ですが、検索エンジンで『動画編集 PC』と検索するとグラフィックボードに関する記事がかなりの数出てくるかと思います。先ほど初心者の人にとってグラフィックボードは特に必要ないと説明しました。では、動画編集とグラフィックボードは一体どういう関係があるのでしょうか。結論から言うと、グラフィックボードは編集ソフトの一部機能で処理速度を大幅に向上させることが可能です。
グラフィックボードの性能は、動画を処理する機能に影響があるため、グラフィックボードの性能を向上させることで、プレビュー画面に表示される動画、動画を出力するエンコードなどを軽くできます。
4K動画やゲーム画面などのように容量の大きい動画を編集する場合には、ある程度グラフィックボードの購入も検討が必要ですが、初心者の人はCPU内蔵のGPUのみでも十分に動画編集は可能と考えてよいでしょう。
HDDもSSDもPC内にデータを保存できる容量を表す項目です。GB(ギガバイト)やTB(テラバイト)といった単位を使用し、数字が大きいほど保存できる容量も大きくなります。HDDとSSDでは違う仕組みでデータを記憶しており、それぞれにメリット・デメリットがあると言われています。
編集後の動画を保存するためには一定の容量が必要なため、特段の事情がなければ比較的安価で購入が可能なHDD搭載のPCを購入することをお勧めします。HDDは外付けで増設することも可能なため、初心者の人にはまずは低容量のHDD内蔵PCを安価で購入するのもお勧めです。
素材や編集後の動画など容量の大きいファイルをPC自体に保存する想定であれば、1TB~2TB程度のHDDがあると安心です。512GB程度のHDD(SSD)搭載のPCであれば編集ソフトの動作には問題なく、かつ、比較的安価で購入可能なため、まずは安価でPCを購入し、必要に応じて外付けHDDを購入するのもお勧めです。
動画編集に関わるPCスペックは大きく分けて『メモリ』、『CPU』、『グラフィックボード』、『HDD(SSD)』の4つです。
それぞれ以下のスペックが動画編集には求められます。
必要なスペックは編集したい動画のジャンルや、使用する編集ソフトによっても様々です。YouTube動画の編集程度であれば上記より低スペックのPCでも問題なく編集できる場合も多いです。
まずは編集したい動画のジャンルと、使用する編集ソフトを定めてから必要なPCスペックを満たしたPCを購入することをお勧めします。
動画編集をこれから始めたい人にとってPCの購入は頭を悩ますところだと思います。PCは同じスペックのものでもメーカーや販売店によって価格が大きく異なります。安い買い物でもないため、どのPCを選べばよいか、初心者の人は中々決断できないという話もよく聞きます。今回は、そんなこれから動画編集を始めたい人にお勧めのPCをいくつか紹介します。
動画編集と言っても編集する動画によってPCの推奨スペックは違ってきます。YouTube動画は比較的低スペックでも編集可能です。また、YouTuberの急増で編集者が不足していることもあり、副業としてもYouTube動画の編集は今注目されています。
そんなYouTube動画の編集にお勧めのPCはmouse X4-i5がお勧めです。
マウスコンピューターはBTOと呼ばれる受注生産でPCを販売している企業で、カスタマイズPCを安価で販売してくれています。受注生産となりますので、発注してから手元に届くまでに1週間~2週間ほどかかる場合もありますが、家電量販店などで販売されている家電メーカーから発売されているPCに比べると圧倒的に安価で同スペックのPCが購入可能です。
mouse X4-i5はその中でも低スペック、低コストのPCですが、比較的軽い動画の編集であれば問題なく動作するスペックは備えています。
4Kなどの高画質動画を編集する場合、先ほどのmouse X4-i5ではスペックに不安が残ります。具体的には、メモリの容量不足とグラフィックボードの性能、SSDの容量不足が挙げられます。
上記の不安点を解消しつつ、かつ比較的安価なPCとしてお勧めの1台がmouse K5(32GBメモリ搭載モデル)です。先ほどと同様マウスコンピューターから販売されているノートPCで、性能・価格ともに申し分のない1台です。CPU、メモリともに編集ソフトを快適に使用できるスペック、グラフィックボードも有料ソフトの推奨スペックであるGeForceを搭載し、512GBのSSDと1TBのHDDを両立しているハイスペックPCです。2021年2月現在で約12万円程度と、このスペックのPCにしては比較的安価で購入可能な点も魅力の1つです。
今回のように目的があってPCを購入する場合、「わからないから家電量販店で買おう!」という買い方だけはお勧めしません。家電量販店に並んでいるPCはスペック以上の高さで販売されているものがほとんどだからです。これにはいくつかの理由があるのですが、単純に店側やメーカー側の事情が大部分で、高い分ユーザー側が得をする内容というのはほとんどありません。先ほど紹介したマウスコンピューターやドスパラなどが高性能なPCを比較的安価で買えるためお勧めです。
動画編集は比較的参入障壁が少ないため誰でも手軽に始めることができます。唯一のハードルとして編集用PCの選定と購入が挙げられますが、今回はそのハードルを少しでも低くできるよう注意点などをまとめてみました。
動画編集用PCの選び方で重要なのは、自分がどんな動画を編集したいのか、その動画に必要な素材や動画の重さをある程度把握し、適切なスペックのPCを選ぶことです。また、編集作業で動作が重いと感じるときは、まずキャッシュ削除や再起動を試してみましょう。その他にも編集ソフトの設定である程度軽減することもできますので、現在進行形でPCの重さに悩んでいる動画編集者の人は、今回紹介した方法を試してみてはいかがでしょうか。
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