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インストリーム広告とは?費用やポイントを基礎から解説
動画マーケティング

インストリーム広告とは?費用やポイントを基礎から解説

社内でマーケティング担当になるのが初めてという方は、動画広告を出稿する際その種類の多さに驚かれる方も多いのではないでしょうか。
この記事では日頃何気なく視聴している動画広告の中でも、認知度や利用率の高いインストリーム広告について詳しく解説します。

目次

インストリーム広告とはそもそも何?

インストリーム広告とはそもそも何?

インストリーム広告とは、動画プラットフォームや動画配信サイトの“再生画面内”で流れる動画広告を指します。YouTubeのほか、TVer、ABEMA、Facebook、Instagram、TikTok、Twitterなどが代表的な掲載先です。

バナー広告と比べて画面いっぱいのインパクトを与えられるため、音声や映像、テキストを活用して商品やサービスの魅力を大きく訴求できるのが特徴です。

インストリーム広告の種類

インストリーム広告の種類

インストリーム広告は、動画コンテンツの再生中に挿入される形式であり、その表示のされ方によって視聴者への影響や広告効果が大きく変わってきます。効果的に活用するためには、配信形式の違いを理解し、自社の目的やユーザーの視聴行動に合った形式を選択することが重要です。

スキップ可否・掲載タイミングによる分類

インストリーム広告は、大きく「いつ表示されるか(掲載タイミング)」と「ユーザーがスキップできるか(スキップ可否)」という2つの軸で分類されます。それぞれの形式には明確な特徴があり、視聴態度や視聴環境に応じた最適な設計が求められます。

プレロール広告(Pre-roll)

プレロール広告は、本編動画の再生直前に流れる広告形式です。ユーザーが目的の動画にたどり着く前のタイミングで表示されるため、最も注目度が高い瞬間を狙って情報を届けることができます。ブランド認知の初期接点として有効であり、企業や商品・サービスの第一印象を強く残したい場合に適しています。視聴者の視線が確実に画面に向いていることが多いため、特に訴求力の高い映像やメッセージ設計が求められます。

ミッドロール広告(Mid-roll)

ミッドロール広告は、本編動画の途中に挿入される形式で、主に8分以上の長尺コンテンツを対象としています。ユーザーがコンテンツに集中しているタイミングで再生されるため、視聴の継続率が高い一方で、途中に広告が入ることに対する心理的抵抗感もあります。

ただし、関心度の高い視聴者に対して情報を届けられるため、商品の詳しい説明やストーリー性のある構成など、内容で引き込むタイプの広告との相性が良い形式です。

ポストロール広告(Post-roll)

ポストロール広告は、本編動画の終了直後に再生される広告です。ユーザーが目的のコンテンツを見終えた直後のタイミングであるため、視聴完了後の“余韻”や満足感を活かしながら、関連情報や次のアクションへ誘導する用途に向いています。

一方で、視聴後にすぐ離脱するユーザーも多いため、訴求の強さや導線設計に工夫が必要です。継続的な関係性構築やクロスセルを目的とする場面で効果を発揮します。

スキッパブル広告(Skippable Ads)

スキッパブル広告は、広告再生の5秒後に「スキップ」ボタンが表示され、視聴を継続するかどうかをユーザーが選べる形式です。興味のないユーザーに無理に見せることなく、関心の高いユーザーにだけリーチできる点が特徴で、費用対効果を重視する広告主に好まれます。

YouTubeでは30秒以上の視聴またはクリックが発生した場合にのみ課金されるCPV(Cost Per View)型が主流であり、無駄なコストを抑えつつ効果的な認知を狙うことが可能です。

ノンスキッパブル広告(Non-skippable Ads)

ノンスキッパブル広告は、ユーザーがスキップすることなく、強制的に最後まで視聴する必要がある形式で、通常は15〜20秒程度の尺で構成されます。ブランドやキャンペーンメッセージを確実に届けたい場合や、短期間で広く認知を獲得したいケースに適しています。

ただし、視聴者にストレスを与えないよう、テンポの良い映像構成や耳に残るサウンド設計など、短時間で惹きつける工夫が求められます。

バンパー広告(Bumper Ads)

バンパー広告は、6秒以内で完結する超短尺のノンスキッパブル広告です。スキップができない代わりに、時間的なストレスが少ないことから、ユーザーにも比較的受け入れられやすい形式です。限られた時間で印象を残すためには、ブランド名やキーメッセージを冒頭に配置したり、視覚的に強い映像を用いたりすることが有効です。単体での使用に加えて、他の広告形式と組み合わせた「補強広告」としての活用も多く見られます。

インストリーム広告とアウトストリーム広告の違い

インストリーム広告とアウトストリーム広告の違いのイメージ画像

動画広告は、大きく「インストリーム広告」と「アウトストリーム広告」に分けられます。両者は表示される場所や視聴者との接点が異なり、目的に応じた使い分けが重要です。

インストリーム広告は、YouTubeやTVerなどの動画配信サービスで、本編の前・途中・後に再生される広告です。視聴中の動画と同じ画面で再生されるため、自然な流れで視認性が高く、短時間でも商品やサービスの魅力を印象づけやすいのが特長です。

一方、アウトストリーム広告は、WebサイトやSNSの広告枠に表示される動画広告です。たとえば、記事中に自動再生される動画や、SNSのタイムラインに表示されるプロモーションが該当します。動画コンテンツとは独立しているため、視聴のきっかけはユーザーの関心に委ねられます。

インストリーム広告が「動画視聴中に差し込む形式」であるのに対し、アウトストリーム広告は「他の閲覧体験に添える形式」と言えます。どちらを選ぶかは、広告の目的やターゲットの視聴習慣に応じて判断することが大切です。

インストリーム広告で見込める効果

インストリーム広告で効果がでて伸びる

ここでは、インストリーム広告を活用することで期待できる代表的な3つの効果を解説します。動画は文字や静止画より伝達情報量が多く、訴求力が強い手法だからこそ、うまく設計することで高い成果を得やすいといえます。

商品・サービスの認知度が上がり、コンバージョン率・クリック率のアップにつながる

インストリーム広告は動画再生画面をフル活用できるため、視聴者に強いインパクトを与えやすいです。

1分間の動画は、文字情報換算で約180万単語分とも言われるほどの情報量を含むという調査もあり、ユーザーが少しでも興味を持ってくれれば、商品・サービスの認知度が上がるだけでなく、クリック率(CTR:広告が表示されたうち実際にクリックされた割合)やコンバージョン率(CVR:購入や問い合わせといった成果につながる割合)の向上も期待できます。

ターゲティングができる

YouTubeやFacebook、Instagramなどの動画配信プラットフォームは、年齢や性別、興味関心、閲覧履歴などを基にした精密なターゲティング機能を備えています。

そのため、「○○のジャンルに興味があるユーザーだけ」にインストリーム広告を効率よく配信でき、興味のない層へ無駄に広告を見せるリスクが低減します。

Webサイトに効率的に誘導できる

インストリーム広告では動画の中や画面内にリンクボタンを配置できるため、広告を見て興味を持ったユーザーをワンクリックでランディングページ(LP:広告から遷移させる商品紹介や申し込みページ)やWebサイトへ効率的に誘導できます。

また、「詳しくはこちら」などのCTA(Call To Action:行動喚起のためのボタンやメッセージ)を設定すれば、視聴者の行動を後押しすることも可能です。

インストリーム広告作成のポイント

インストリーム広告作成のポイント

実際にインストリーム広告を作るとなると、限られた尺(5~30秒程度)の中でいかに印象的な映像を作り、ターゲット顧客に商品の魅力を伝えきるかが勝負です。本章では、効果的なインストリーム広告を作るうえで意識すべきポイントを5つにまとめました。

最初の5秒でターゲット顧客の心を惹きつける

スキッパブル広告の場合、広告が始まってから5秒経つとユーザーは「スキップ」ボタンを押せるようになります。この5秒間は強制視聴されるため、ここで興味を引けないとほとんどのユーザーがスキップしてしまい、広告の意味を失ってしまいます。

逆に言えば、この冒頭5秒で印象的なキャッチコピーや映像を配置することで、視聴を継続してもらう確率がグッと高まります。

ターゲット設定を明確にして作成する

インストリーム広告はターゲティングが可能ですが、そもそも「どんなユーザーに見てほしいか」自社内で明確にしていないと、中途半端な内容になりがちです。

ペルソナを設定することで、「20代の女性」「美容に関心がある」「SNSを頻繁に使う」など、具体的な像を踏まえた映像作りができます。複数の担当者間で共通認識を持ちやすくなるメリットもあります。

コンセプト設定を明確にして作成する

インストリーム広告は通常、15〜30秒という短い尺が多いため、メッセージを詰め込みすぎると伝わりにくくなる可能性があります。

そこで「この広告を見たユーザーに何を知ってほしいか」「どんな印象を残したいか」といったコンセプトを一つに絞ることが重要です。

そのうえで、映像・ナレーション・テキストの内容やトーンを統一することで、視聴者に違和感を与えず、強く印象づけることができます。

印象に残るシナリオを作成する

短い時間でもユーザーの記憶に残すには、意外性やユーモア、ストーリー性などを意識すると効果的です。

たとえば、冒頭で衝撃的な映像を流す、登場キャラクターを活かしてコメディタッチに仕上げる、あるいは背景音楽を印象的にするなど、視聴者の気持ちをつかむ工夫を入れましょう。自社のロゴやキャラクターをうまく活かすことで、ブランディング効果も得られます。

ターゲット顧客に最後に取ってほしい行動を明確に伝える

インストリーム広告を見て商品やサービスに興味を持ったユーザーが、何をすればいいのかをしっかり案内しましょう。たとえば、「詳しくはこちら」や「購入ページへ」「無料資料をダウンロード」など、わかりやすいCTAを映像内や画面右下に配置します。

いくら魅力的な広告で興味を持ってもらっても、その後の導線が曖昧だとユーザーは行動を起こしにくくなります。

そのため、ボタンの視認性や配置場所、クリック後の遷移ページなど、ユーザーが迷わずスムーズにアクションを起こせるよう、ユーザビリティにも配慮しましょう。

インストリーム広告作成時の注意点

インストリーム広告作成時の注意点

ここでは、実際にインストリーム広告を運用するうえで気をつけたい3つの点を紹介します。ユーザー体験の妨げにならないようにすること、審査スケジュールを見越すことなど、事前に知っておくとスムーズに運用できます。

強制視聴である5秒間への配慮

スキッパブル広告であっても、冒頭の5秒は全ユーザーが必ず見る形になります。ユーザーは見たい動画があるために広告を我慢している状態とも言えます。

不快感の大きい内容(過剰な騒音や刺激的な演出)だと、商品の印象そのものが悪化するリスクがあります。動画の制作段階から「この5秒は、ユーザーにとって心地良く興味を引くものか」を入念にチェックしましょう。

ビジネスの3対33の法則

「サービスや物に満足した人は3人に良い話を伝えるが、不満を抱いた人は33人に悪い話を伝える」と言われます。短いインストリーム広告であっても、不快に感じられると逆効果になりかねません。

審査に時間がかかる場合がある

YouTubeをはじめ多くのプラットフォームでは、広告を配信する前に審査があります。YouTubeの審査は目安として1営業日ほどと言われていますが、内容によっては追加チェックが必要になる場合もあります。

キャンペーン開始日が決まっているなら、逆算して余裕を持ったスケジュールで動画を完成させ、審査を通すようにしてください。

動画のクオリティを高める必要がある

たとえ5秒~30秒ほどの短い動画でも、映像・音声・テキストを組み合わせてターゲットの心をつかむには、プロの技術や豊富な経験が必要です。社内リソースでは難しいと感じたら、専門の制作会社や広告代理店に部分的あるいはすべて委託するのも選択肢です。

費用対効果のバランスや内部でのノウハウ蓄積などを考慮して、最適な体制を検討してください。

インストリーム広告にかかる費用や課金方法

インストリーム広告にかかる費用や課金方法

インストリーム広告の費用は、大きく「CPV課金」と「CPM課金」の2種類に分かれます。それぞれどの形式の広告に適用されるのかを理解しておくと、予算管理や配信設計を行いやすくなります。

CPV課金

CPV(Cost Per View)は、ユーザーが動画広告を最後まで視聴、または30秒以上視聴した時、もしくは動画をクリックした時に課金される方式です。

YouTubeで言うところのスキップ可能型(スキッパブル広告)**が該当します。たとえばユーザーが5秒でスキップした場合には課金が発生しないため、興味のないユーザーに対して無駄なお金を払わずに済み、費用対効果が高いとされています。

単価計算は以下の数値を参考にしてください。

  • 広告費:100,000円
  • 再生数(30秒以上 or 最後までの視聴):5,000回
  • 単価:100,000円 ÷ 5,000回 = 20円/回

CPM課金

CPM課金とは、インプレッション(広告がユーザーの画面上に1回表示されること)ごとに費用が発生する仕組みです。クリックされなくても課金されるため、主に認知拡大やブランド訴求を目的とした広告に適しています。

ノンスキッパブル広告やバンパー広告など、ユーザーが確実に視聴する形態の広告に多いです。ユーザーに確実に見てもらえるため、ブランディングやリーチの拡大を狙う場合に向いていますが、ターゲットの絞り込みが甘いと費用が膨れ上がる可能性があるため注意が必要です。

単価計算の例は以下の数値を参考にしてください。

  • 広告費:200,000円
  • 表示回数:50,000回
  • CPM:200,000円 ÷ 50,000回 × 1000 = 4,000円

インストリーム広告の最新動向と活用ポイント

動画広告や動画配信サービスの成長

インストリーム広告は、動画市場の伸びとともにますます注目が集まっています。ここでは、動画広告市場全体の動向や、ユーザー視聴スタイルの変化、具体的な成功事例などを踏まえて、今後の運用に生かせるポイントを解説します。

急成長する動画広告市場

サイバーエージェントの調査によると、2023年の国内動画広告市場規模は約6,253億円に達し、前年比112%と高い伸びを示しています。また、YouTubeの月間利用者数は18歳以上で7,000万人を超え、幅広い年齢層へのリーチが可能です。

これらの数字からわかるように、インストリーム広告は企業がブランドや商品をアピールするうえで、欠かせない施策の一つになりつつあります。

ユーザー視聴習慣の変化:コネクテッドTVの台頭

コネクテッドTV(ネット接続したテレビ)を使って、YouTubeや動画配信サービスをリビングで視聴するケースが増えています。

「家族や友人と一緒にTV画面でYouTubeを見る」ユーザーが増えており、1人あたりの平均視聴時間が長い傾向にあります。そのため、ノンスキッパブル広告や30秒の長尺広告が新たに導入されるなど、テレビ感覚で広告を見せる動きが加速しています。

インストリーム広告の事例

インストリーム広告で成功した企業のイメージ

ここでは、インストリーム広告で成果を上げた企業事例を簡単に紹介します。

楽天トラベル

楽天トラベルは、旅行の魅力を再認識してもらうため、YouTubeにて6秒や15秒といった短尺のインストリーム広告を活用しました。広告の冒頭5秒間に「楽天トラベルで〇〇旅行」といったキャッチコピーを的確に配置し、ユーザーの興味を即座に引きつける構成としています。また、動画広告とバンパー広告を組み合わせたクロスメディア運用を行うことで、認知の獲得から行動喚起まで一貫したコミュニケーションを設計しました。

この施策の結果、広告想起率は24%向上し、さらにROIは165.3%という高い成果を記録しています。ブランドイメージの再構築と効果的なターゲティングの両立に成功した好例です。

参照元:楽天トラベル、ソニー CP、日赤など 4 社の YouTube 広告戦略 —— ROI 向上など効率よく成果 

ソニー・クリエイティブプロダクツ

「きかんしゃトーマス」のリニューアルに伴い、ソニー・クリエイティブプロダクツは親世代を主なターゲットとしたインストリーム広告を展開しました。動画では初代アニメの映像資産を再編集し、親世代のノスタルジーを喚起する演出を通じて、リニューアルへの興味喚起と共感を得ることを目指しました。

さらに、QRコードをテレビ画面に表示することで、スマートフォンを通じてLP(ランディングページ)への遷移を促進。この導線設計により、CTRやページ遷移数は想定の213%に達し、高いエンゲージメントを生み出しました。ストーリー性とUI設計が融合した成功事例といえます。

参照元:楽天トラベル、ソニー CP、日赤など 4 社の YouTube 広告戦略 —— ROI 向上など効率よく成果 

TVer

日本テレビは、民放公式テレビポータル「TVer」を活用し、自社番組内にノンスキッパブル型の15秒インストリーム広告を挿入する形式を展開しました。特に注目すべきは、視聴者がコンテンツを“テレビ的文脈”で捉えている環境下で、違和感なく広告が挿入されている点です。これにより、ユーザーは広告をコンテンツの一部として自然に受け入れる傾向が強く、視聴完了率は92%と非常に高い水準を維持しました。

さらに、音声ONでの視聴が前提となるテレビ環境との親和性が高く、音楽業界など、サウンド訴求が重要な業界にとっても好適なメディアとなっています。視聴環境を活かした文脈的広告の好例です。

参照元:【日テレTVer】視聴データ分析でターゲティング!『インストリーム動画広告』

まとめ

インストリーム広告を心地よい視聴体験になるように設計する

本記事では、インストリーム広告の概要からメリット・デメリット、制作時のポイント、費用体系、最新の活用事例までを網羅的にご紹介いたしました。短時間で高い訴求力を持ち、精度の高いターゲティングが可能な点は大きな魅力です。
制作にあたっては冒頭の5秒で視聴者の心をつかむ工夫や、ユーザーにとって心地よい視聴体験の設計が重要となります。ぜひ本記事を参考に、成果につながる動画広告運用にお役立ていただければ幸いです。

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