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動画編集や音楽制作の現場では、「リバーブ」や「エコー」、「ディレイ」などの効果を使って、音に奥行きや広がりを加えることがあります。カラオケでよく耳にする「エコー」もその一つですが、それぞれのエフェクトには違った特徴があります。とくに動画編集では、こうした音の演出を工夫することで、視聴者の没入感を高めることができます。
本記事では、リバーブ・エコー・ディレイの違いや、それぞれの効果的な使い方を解説します。
リバーブは「残響」を作りだします。例えば、大きなホールや学校の階段などで大きな声を発すると、ごく短い間声が反響して残って聞こえます。手をたたいたりしても感じられますね。多くの方が、こうした不思議な音の響きを一度は体験しているでしょう。
発した音は、四方八方に飛び交い壁を反射し続けます。徐々にその力を失いその音は0になります。聞き取れない程小さな音になるまでの間、反射している音は何度もあなたの耳を通り響きとなって聞こえるのです。
リバーブの種類は様々で、例えばホールの反響を再現したホールリバーブ。バネの共鳴を利用したスプリングリバーブなどが有名です。音に立体感が生まれより表現の幅が広がります。これはある意味で、ごまかしにも使うことができ、カラオケでエコーやリバーブなどを高めると少し上手く聞こえたりしますよね。(かけすぎると聴くもたえないことになってしまいますが…。)
ディレイはリバーブよりも明確な遅延のあるエフェクトです。例えばやまびこ。「アッ」と声を発すると1秒後に遅れて聞こえてきたりしますよね。これが実際にディレイの与える効果です。この遅延を人工的に作るのがディレイエフェクターです。
ディレイのエフェクトはリバーブとは違い、一つ一つが独立した音のなので、より明確に音のずれを感じることができるでしょう。伸びやかな音を作りだすことができるため、これもまた歌などが綺麗に聞こえたりします。ただ、ディレイをごく短く薄くかけるとリバーブに似たような効果になります。
ディレイはリバーブよりも、長い遅延を生み出すことに向いています。その為、音符単位で遅延の幅を設定する方もいます。例えば、発した音から4分音符分後にディレイをかけたりできるのです。(この辺は覚えなくて大丈夫です。)
楽器を演奏する方ですと、付点8分音符のディレイをよく使うことが多いようです。通常の8分音符より少し長く、独特のリズム感を生み出せます。これは例えば、Backnumberの「高嶺の花子」さんのイントロなどで使われています。音が次々に遅れてやってきて重なり合い、幻想的な音の世界を作り出すことができます。
エコーは正直ディレイと大きな差はありません。あえて言うならディレイの前進と表現しましょうか。もともとテープエコーという、音を瞬時に録音し連続して再生する装置があり、先ほど説明したディレイのような効果を生み出すことができました。その後エコーの形は進化していき、どの地点からか「ディレイ」と言われるようになりました。
そもそも「ディレイ」とは遅延という意味であり、エコーもディレイエフェクターも基本的には「遅延効果」を生み出しています。そのため、両者の機能に明確な境界があるわけではありません。一般的には、エコーはアナログ機材由来の呼称で、音が繰り返し響くような自然な反響感を指す場面で用いられることが多く、ディレイはその中でも時間や反復回数などを細かく制御するデジタルエフェクト全般を指します。長さの違いというよりも、用語の使われ方や音の質感に基づいた区別といえるでしょう。

リバーブは、音に「自然な残響」を加えて広がりや奥行きを持たせるエフェクトです。コンサートホールや部屋の反響を再現することで、音に立体感を与えます。
ディレイは、音を「明確に遅らせて」繰り返し再生するエフェクトです。やまびこのように、発した音が一定の時間をおいて聞こえるため、リズム感を強調する効果があります。
エコーは、ディレイの一種で「遅延時間が長め」なエフェクトです。カラオケで使われる「エコー」のように、音が繰り返し響くことで、余韻のあるサウンドを作り出します。
簡単に言えば、リバーブは「空間の響き」、ディレイは「はっきりした遅延」、エコーは「長めの遅延で音を繰り返す」効果があるという違いです。

動画制作において、リバーブは必ずしも使わなければならないエフェクトではありません。とはいえ、映像の雰囲気や演出の目的に応じて、リバーブを加えることで音に奥行きや広がりを持たせることができます。特にYouTube動画では、視聴者に心地よい音の印象を与えるうえで、リバーブの使い方が効果を左右する場面もあります。ここでは、動画のタイプごとにリバーブがどのように役立つかを見ていきましょう。
リバーブは「空間系エフェクト」と呼ばれるように、音に奥行きを持たせる効果があります。風景や建物の雰囲気を強調したいYouTube動画では、リバーブをかけることで、より臨場感のあるサウンドを演出できます。例えば、広大な自然や大聖堂のような場所を撮影した映像にリバーブを加えることで、視聴者にその場の空気感を伝えやすくなります。
ただし、かけすぎると不自然に聞こえてしまうため、微調整が必要です。
トークをメインとする動画では、基本的にリバーブを必要としません。しかし、適度に加えることで、温かみや深みを持たせることができる場合もあります。例えば、YouTubeのホラー朗読動画や都市伝説を語るコンテンツでは、リバーブを加えることで、幻想的な雰囲気や不気味な空間演出を強調することができます。
また、舞台上でのスピーチやプレゼン風の演出をしたい場合には、適度なリバーブを加えることでリアルな空間の響きを再現することが可能です。ただし、過度なリバーブは言葉の明瞭さを損なうため、慎重な設定が求められます。
YouTubeで人気のある「歌ってみた」動画や楽器演奏のコンテンツでは、リバーブが特に効果的です。リバーブを適用することで、歌声や演奏音に立体感が生まれ、よりプロフェッショナルな仕上がりになります。
音の残響や遅延がないと、声や楽器の音が細かく途切れ、リズムの良し悪しが明確になりすぎるため、上手く聞こえにくくなることがあります。そのため、歌唱力に自信がある場合は不要ですが、音を柔らかく聞かせたり、空間の広がりを持たせたい場合には適度なリバーブが効果を発揮します。視聴者に感動を与えやすくなるため、多くのクリエイターが活用しています。

イベントやライブなど、リアルな環境でリバーブやエコーをかける場合、本格的な機材が必要になります。特に、演奏動画で音の質にこだわりたい場合は、専用の機材を揃えることで、より高品質なサウンドを作ることができます。しかし、動画編集でリバーブやエコーを追加するだけであれば、特別な機材は不要で、編集ソフトやアプリで簡単に実現できます。
リバーブやエコーの違いを明確に聞き分けられる人はそれほど多くなく、現在の編集アプリのエフェクトは十分なクオリティを備えています。以前は、リバーブやエコー、ディレイをかけるために「エフェクター」と呼ばれる専用機材が必要でしたが、現在では編集ソフトで簡単に追加・調整できるようになりました。さらに、リアルタイム配信にも対応したアプリもあり、ライブ配信中にリバーブやエコーを適用することも可能です。
余談ですが、バンドのライブや音楽番組で演奏するミュージシャンの足元には、小さな機材が並んでいることがあります。これは「エフェクター」と呼ばれるもので、リバーブやエコー、ディレイなどのエフェクトをかけるための機材です。楽器ごとに異なる音響効果をリアルタイムで調整できるため、ライブ演奏の現場では欠かせません。
リバーブの効果は、必ずしもデジタルエフェクトだけで得られるものではありません。特別な機材がなくても、音がよく響く環境で録音することで自然なリバーブ感を演出することができます。例えば、家具の少ない部屋や、壁や床が硬い材質で囲まれた空間では、音が反射しやすくなり、自然なリバーブ効果が生まれます。
一方で、カーテンやソファ、衣類などの布製品は音を吸収するため、リバーブを打ち消してしまいます。学校の体育館では、人がいないときに足音が大きく反響しますが、大勢の人が集まると反響が抑えられるのを感じたことがあるかもしれません。このように、録音する環境を工夫することで、機材がなくてもある程度のリバーブ効果を得ることができます。

「動画に手軽にリバーブをかけたい!」そんな要望がかなえられる時代になりました。今では様々なアプリで手軽にリバーブをかけることができ、動画の完成までのスピードがぐっと上がりましたね。配信に対応しているものもあり、マイクを通したその場でリバーブをかけることもできるものもあります。
それでは、リバーブを手軽にかけられるサービスを5つ紹介していきます。
ライブ配信ツールOBS studioは、リアルタイムで映像・音声をキャプチャーしエフェクト(フィルター)をかける事ができるソフトです。オープンソースのため、しかも無料で使うことができます。もちろんリバーブも加えることができ、このツールで操作を加えながら、同時にさまざまな動画や音声サービスに配信を行うことができます。
画面のキャプチャーも行えるため、ゲームのプレイ動画やアプリの操作方法の解説なども行うことができますね。ノイズ抑制機能や、背景を他の映像に差し替えられるクロマキー合成の機能なども搭載されています。映像、音声。どちらにとっても秀逸なサービスです。無料で使えるため、まずは使って試してみると良いでしょう。
Impactは簡単な動画編集ができる無料のiphoneアプリです。撮影した動画にリバーブなどのエフェクトをかけることができます。弾き語り用に作られたアプリであるため、 「ギターコーラス」などの項目もありますがどの動画でも問題なく使うことができます。
ただし、音声のエフェクトには長けているのですが、それ以外の動画編集機能はあまり搭載されていません。それ以外に映像に効果をつけたり、テロップを出したりは別のアプリを利用するのがよさそうです。
スマホやiphoneで高品質な動画が無料で作れると人気の名高いキネマスター。動画編集がしやすいアプリこそいくつかありますが、それでいて音声機能もここまで充実しているのは現段階キネマスターがトップではないでしょうか。EQ(イコライザー)の項目では、低音や高音などの音のバランスを調整できます。ラジオっぽい音なんか使い勝手がよさそうです。他にもボイスチェンジャーの機能もあったりしますが、本題は「リバーブ」という項目。いわゆるリバーブのエフェクトをかけられるのですが、スタジオや洞窟、教会など様々な場所の反響音を楽しむことができます。
CapCutは、TikTokやショート動画向けの編集ツールとして人気がありますが、実はPC版もあり、初心者でも直感的に操作できるのが特徴です。特に音声編集機能が充実しており、ワンクリックでリバーブやエコーを適用できます。
複雑な設定をしなくても、あらかじめ用意されたエフェクトを選ぶだけで、手軽に音の広がりを演出できます。例えば、ナレーションに軽いリバーブを加えたり、効果音にエコーをつけたりすることが可能です。無料で使える点も魅力で、手間をかけずに音の演出を加えたい方に最適です。
MorphVOX Proは、日本語対応のリアルタイム音声エフェクトソフトで、マイク音声にリバーブやエコーを直接適用できます。ゲーム実況やラジオ風の配信、音声演出が必要な動画制作で活用されることが多く、声に奥行きを持たせたり、環境音をシミュレートしたりすることが可能です。
特に、キャラクターになりきる配信や、ホラー風の語りにエコーを加える演出に適しており、簡単な操作でさまざまな音声加工ができます。プリセットが豊富で、声の変化をワンクリックで適用できるため、細かい設定をしなくてもすぐに使えるのが特徴です。

実際にリバーブやエコーが効果的に使われている動画はどんなものでしょう。参考となる作品があれば、今後の制作にいい影響を与えるかもしれませんね。
では、「The First Take」の例を見てみましょう。The First Takeとは、プロのアーティストが自身に曲を一発撮りでいどむYoutubeチャンネル内の企画です。LISAさんの「紅蓮華」やDISHさんの「猫」など有名な楽曲、アーティストが参加されています。
「猫」を例に見ていきましょう。
冒頭のボーカルの方が話しているシーンが一番リバーブを感じやすいかもしれません。マイクを通して入った音にリバーブがかかり出力されている形になります。音に広がりがあり、ボーカル北村さんの温かみのある声がさらにのびやかに感じます。曲の雰囲気ともマッチしていてより感動してしまいますね。

リバーブ、エコー、ディレイは「空間系エフェクト」として、動画編集やライブ配信など幅広い場面で利用されています。これらを適切に使うことで、音に立体感や奥行きを持たせ、より没入感のある映像を作ることができます。特に、歌や演奏動画ではリバーブが欠かせない要素となり、音声の印象を大きく向上させます。
リバーブやエコーを活用するかどうかは好みにもよりますが、適切に使えば、動画の印象を大きく変えることができます。カラオケでお馴染みの「エコー」も、実はリバーブと似た効果を持つため、普段から音の響きに注目してみるのも良いでしょう。
音の演出を工夫することで、動画のクオリティは格段に向上します。ぜひリバーブを取り入れて、視聴者にとって心地よい映像作りを目指してみてください。
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