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動画自動生成ツールとは、動画制作の経験やスキルがない人でも短時間で動画を制作できるプラットフォームサービスです。
動画自動生成ツールは下記のような仕組みになっています。
動画制作のための素材(画像、フォント、テキスト、音楽、動画)を選択
↓
あらかじめ用意されたテンプレートとの合成
↓
動画ファイルとして出力
たったこれだけです。
この3ステップによって、AIがテキストや画像、テロップなど合成し、動画を制作してくれます。このシンプルな操作だけで、AIが自動的に構成・編集を行い、プロ顔負けの動画が完成します。

近年、AIを活用した動画自動生成ツールが次々と登場している背景には、スマートフォンを起点とした動画広告市場の急成長があります。
企業のマーケティングにおいて動画広告はますます重要性を増しており、とりわけモバイルデバイス向けの短尺動画コンテンツへのニーズが高まっています。総務省が公表した「令和5年 情報通信白書」によれば、スマートフォンの世帯保有率は90.6%と、ほとんどの家庭に1台以上普及している状況です。
また、メディアの利用動向を見ても、インターネットの利用時間がテレビ(リアルタイム視聴)を3年連続で上回るという結果が出ており、生活者の情報接触の主軸が完全にデジタルシフトしていることが分かります。
インターネットの1日あたりの平均利用時間は約2時間52分であり、そのうち約69.5%がスマートフォン経由のアクセスとなっています。つまり、企業がユーザーとの接点を最大化するためには、スマートフォン向けの動画をいかに効率よく制作するかがカギとなっているのです。
このような背景から、誰でも簡単に短時間で動画を制作できるAI動画自動生成ツールの需要が高まり、各社からのリリースが相次いでいるのです。
引用元:総務省「令和5年 情報通信白書」

ここからは、動画自動生成ツールでできることやできないことについて解説します。まずは、動画自動生成ツールでできることを解説しましょう。
自動で動画を生成できるとはいえ、動画自動生成ツールも万能ではありません。多くの動画自動生成ツールに搭載されている機能は、主に以下のとおりです。
ほとんどのツールは、テンプレートに沿って画像・動画・テキストを入力するだけで、数分以内に1本の動画が完成します。まるで「動画の自動組み立てキット」のように、直感的に操作でき、編集経験がなくても使いこなせるのが最大の魅力です。
動画自動生成ツールでは、素材がなくとも動画を制作することができます。例えば、VIDEOBRAINというサービスであれば、有料画像素材サイトのPIXTAやamanaimagesと提携しています。画像一つあたり数千円〜の素材が使い放題です。素材探しの手間が省略できるため、スピードとクオリティを両立できます。
動画自動生成ツールの中には、動画の一部分が明るすぎる・暗すぎるという場合に、自動で明るさ調整をしてくれる機能があるツールもあります。そのほか、動画内の人物に自動でフォーカスを当ててくれるオートフォーカス機能や、音声が聞き取りにくい・声が大きすぎるという場合に自動で音量調整を行ってくれる機能など、動画全体のバランスを調整してくれるツールも存在します。
長尺の動画でも、音声を読み取ってテロップを自動挿入できる機能を持つツールが増えています。わずらわしい手動入力の手間が省けるだけでなく、視聴者の理解度も向上するため、教育系・広報系の動画に特に有効です。
サービスによっては、素材を組み合わせることで、視覚的に迫力ある、まるで短編映画のような演出のムービーを制作できます。
動画制作の際に選択するテンプレートの種類が豊富なことはもちろん、業種や用途によって構成(配信先、配信サイズ、配信秒数、業種、トレンドデザイン)を選ぶことができます。そのため、デザインのトレンドに沿ったフォーマットを利用することができます。ユーザーが動画広告を閲覧する時間は短くなっていくといわれているため、それに合わせた10秒以内の短い動画も簡単に制作できるのです。
次に、動画自動生成ツールでできないことをご紹介しましょう。
動画自動生成ツールでは、テンプレート内での編集しかできません。テンプレートを選択し、そのテンプレートや素材とのマッチングによるパターン作成が基本です。そのため、テンプレートをはずれるようなオリジナル動画を制作することはできないのです。ゼロから構成を考えるようなオリジナル性の高い動画には不向きです。「動き」や「見せ方」を細かく制御したい場合は、従来の動画編集ソフトを使う必要があります。
具体的にできないこととしては、文字や図形などのベクター処理(拡大しても画質劣化しない処理)、レイヤー合成やレタッチ・エフェクト、フレームアニメーション(1コマずつ動きを設定する方式)、マルチトラック処理や音声合成などは、用意されているものの中からしか選択することができません。

動画自動生成ツールを使用するメリットやデメリットについても確認していきましょう。
できることが限定的ともいえる動画自動生成ツールを導入するメリットには、いったいどのようなものがあるのでしょうか。いくつか代表的なメリットをご紹介していきます。
AI動画生成ツールの最大の魅力は、動画編集スキルが一切不要な点です。あらかじめ用意されたテンプレートと素材を使うことで、営業職や広報担当者が現場でその場で動画を作成・共有することも可能になります。時間と工数の大幅な削減はもちろん、外注コストの見直しにもつながります。
AIによる、パターンの組み合わせにより動画制作できるので、多変量テストを行えます。多変量テストの目的は、すべての可能な組み合わせから、最適なバリエーションの組み合わせを決定することです。
似たような言葉で、ABテストがあります。ABテストと多変量テストの違いは、一度に変更できる要素の数です。ABテストはAorBの2つですが、多変量テストの場合は2つに限りません。そのテストによって最も効果的なクリエイティブを選ぶことができるため、PDCAを回しやすいという点もメリットとしてあります。
多くのAI動画生成ツールは、月額課金のサブスクリプション形式で提供されています。社内で自由に何本でも動画を制作できるため、外注コストをかけずに社内リソースで動画コンテンツを量産できる体制を構築できます。
次にデメリットについて解説しましょう。
さまざまなメリットがある動画自動生成ツールですが、動画自動生成ツールを導入するデメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。
わずかなデメリットではありますが、動画のデザインやレパートリーはテンプレートと素材の組み合わせに左右されてしまいます。
しかし、このテンプレートの種類は動画自動生成ツールの命綱になるところでもあるので、その数は徐々に増えています。
動画自動生成ツールはさまざまな企業からリリースされています。中にはWindowsのみでしか動作が保証されていないものもなど、ソフトによって動作環境が限られる点はデメリットといえるでしょう。動作環境や必要スペックなどは事前に確認しておくことをおすすめします。
サブスクリプションを採用している動画自動生成ツールの多くは、月額数千~数万円程度のコストが必要となるでしょう。それに対して、素材を繋ぎ合わせて簡単な動画を制作したりテンプレートに当てはめたり、限られた機能だけが搭載されたツールであれば、比較的安価で利用できます。
これらのツールを一度使ってみて、それでも少ない工数でハイクオリティな動画自動生成ツールでないと物足りないという方は、サブスクリプションを採用している動画自動生成ツールの中から、無料で試すことができるものを選んで始めてみるのもよいかもしれません。

AIによる動画自動生成ツールは、「とにかく早く」「数多く」「手軽に」動画を制作したい場面で大きな力を発揮します。ここでは、特に導入効果が高い代表的な用途・シーンをご紹介します。
InstagramやTikTok、X(旧Twitter)など、SNSでの拡散を狙った動画は、短尺かつ瞬発力のある表現が求められます。AIツールであれば、トレンドに合わせたテンプレートを活用し、スピーディに量産できます。
年賀状や誕生日カード、季節のあいさつなど、友人や家族への動画レターとしても活用できます。写真やテキストを挿入するだけで、オリジナル感のあるムービーが簡単に完成します。
お祝いの場面に合わせた動画テンプレートを使えば、結婚式や送別会のサプライズムービーなども短時間で作成可能です。特別なソフトやスキルがなくても、気持ちのこもった映像演出ができます。
バナー広告や動画ダイレクトメールのようなマーケティング用途では、複数のバリエーションを比較・検証することが重要です。AIツールなら、細かく異なるパターンを短時間で作れるため、多変量テストの運用が効率的になります。
サービス紹介やキャンペーン告知など、サイト埋め込み用のバナー動画にも向いています。静止画よりも訴求力が高く、コンバージョン率改善にもつながるため、手軽に動画化できるAIツールの恩恵は大きいでしょう。

最近ではいくつか動画自動生成ツールが世の中に登場するようになりました。それらを網羅的にご紹介します。

RICHKA CLOUD STUDIOは、ブラウザ上で動画を簡単に作れるプラットフォームサービスです。用意するものは、画像素材、動画素材、画面に表示させるテキストのみです。スキル不要で簡単に誰でも動画を制作できるでしょう。
2020年度動画自動生成ソフト広告・メディア業種でシェアNo.1、2,000社以上の導入実績があり、Yahoo!JAPANやLINE、SoftBankなど大手への導入実績も多く、幅広い業種・業態で人気のツールです。
<利用価格>問い合わせ
<導入実績>Yahoo!JAPAN、LINE、SoftBank、URBAN RESERCH、すかいらーくグループ、他多数

Video BRAINは、素材と文章をアップロードするだけでAIが自動で絵コンテを生成し、その後、ユーザー自身の調整(フォントの指定など)により、動画が完成するサービスです。動画の使用用途はSNSへの投稿、動画広告、プレスリリース、採用、商品紹介、社内広報と幅広く、デザインの組み合わせは3万通りもあります。
そのほかの特徴は、フォントやアニメーションが豊富、動画から自動で文字起こしされる、リアルタイムプレビューによる制作の効率化が挙げられます。
<利用価格>問い合わせ
<導入実績>アイリスオーヤマ、KONAMI SPORTS CLUB、株式会社ビズリーチ、新潟福祉医療学園、他多数

SoVeC Smart Videoは、AIを駆使してブラウザだけで誰でもあっという間にプロのデザイナー級の動画を制作することができるサービスです。数百種類もある最先端デザインクオリティの動画フォーマットが、定額で使い放題です。
アニメーションやエフェクトなど、クオリティは非常に高いです。また、企業ごとに専用コンシェルジュが導入後のサポートをしてくれる点も特徴といえます。
<利用価格>100,000円~/月、初期費用込み
<導入実績>TikTok、SONY、星野リゾート、ASAHI、4℃、他多数

AI Video Makerは、素材がまったくない状態でも、AI技術を駆使して自動で動画を生成してくれる法人向け動画自動生成サービスです。ブラウザ上で動画が生成できるため、ダウンロードする必要がないことも特徴といえます。
使い方もシンプルで、必要な情報やキーワードをテキストで入力し、BGMやナレーションの有無などを指示に従って選択するだけで、AIが自動で動画を生成してくれます。さまざまなSNSや動画配信サービスに最適なサイズに対応しているため、動画編集の知識がまったくない人でも簡単に使うことができるでしょう。
<利用価格>月次のプランの場合 42,000円~/月

Adobe Premiere Elements は、Adobe公式の動画編集ソフトです。自動で、粗い動画の調整、トリミング、音楽のリミックス、顔検出、手ぶれ補正やスナップ写真など、あらゆる機能が備わっています。これらは、Adobe SenseiというAIが活用されることで実現しています。ちなみに、Adobe SenseiとはAdobeの人工知能のプラットフォームのことで、日本語の「先生」が名前の由来だそうです。Photoshopで、被写体をクリックひとつで選択してくれるような機能を担っています。
Adobe Premiere Elementsは、リサイズやスローモーション、カラーリングやエフェクトなど、手動で編集することも可能です。
<利用料>19,580円
動画撮影機能「AIライブストーリー」は、動画カメラで記録した映像をもとに、AIがリアルタイムで約15秒のダイジェストムービーを生成する機能です。こちらは「AQUOS R3」に搭載されています。
AIが被写体や構図を自動で分析し、笑顔の瞬間や動作など、動画の見どころとなる部分を判別してくれます。動画撮影と同時に、ダイジェスト映像化してくれる便利な機能です。
ソフトウェアではないですが、動画自動生成ツールとしてご紹介させていただきました。

たくさんのAI動画ツールがある中で、どれを選べばいいか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。ここでは、ツール選びで特に意識したいポイントをいくつかご紹介します。
SNS用の短尺動画、プレゼン用のスライド形式、採用動画など、ツールによって得意分野が異なります。自社の目的にマッチするテンプレートがあるかは、必ず確認しておきましょう。
初めて動画を作る人にとっては、UIの使いやすさやサポート体制も安心材料です。「わからないとき誰かに聞ける」環境があるかどうかは、地味に重要です。
AIツールの紹介ページでは“なんでもできそう”に見えることもありますが、実際にはテンプレート外の編集ができなかったり、細かい設定ができなかったりすることも。実際の使用感を知るためには、無料トライアルや口コミのチェックが有効です。

本記事では、AIを活用した動画自動生成ツールの概要から、できること・できないこと、選定ポイント、そして2025年版のおすすめツールを紹介しました。
AIによって、これまで専門スキルや高い制作コストが必要だった動画編集が、誰でも簡単・短時間・低コストで行える時代になりつつあります。特に、SNSや広告、採用動画など、大量の動画をスピーディに作成したいシーンでは、大きな効果を発揮します。
ただし、すべての動画制作をAIに任せられるわけではなく、クリエイティブ性が求められる本格的なブランディング動画には限界があるのも事実です。AIが得意とするのは「素材を組み合わせるルーティン作業」であり、企画力や感情を動かす表現は、まだ人間の領域といえるでしょう。
とはいえ、今後AIの進化とともに動画自動生成ツールの精度もさらに高まっていくと予想されます。まずは目的に合ったツールを選び、小さく試しながら運用を最適化していくことが、動画マーケティング成功への第一歩です。
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