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バズる動画とは、「短時間で爆発的に拡散される動画」のことを指します。ただの話題性ではなく、想定ターゲットを超えて幅広い層の間で共有・拡散されるという特徴があります。
一度バズると、関連動画への視聴導線が生まれ、フォロワーの獲得やコンテンツ全体のエンゲージメント向上にもつながるため、動画マーケティングにおいては跳躍台のような役割を果たします。
「バズる」は英語のBuzz(=蜂の羽音)に由来し、「ざわつき」「皆が話題にしている状態」を表します。つまり、バズる動画とは、多くの人の会話にのぼるような、共感・驚き・ツッコミたくなる要素を含んだネタで構成されている必要があります。
多くの人が認識していることではありますが、確実にバズる動画というものは存在しません。動画が公開されたタイミングで起きた出来事や、たまたま有名人の目に触れるなど、偶発的なきっかけが重なることによって、動画がバズるのです。
確実にバズる動画を作ることはできませんが、バズる可能性がある動画を作ることはできます。逆に言えば、絶対にバズらない動画というものも存在し、バズらない動画はいくら量産しても、ほぼ間違いなくバズることがありません。
つまり、バズるための唯一のポイントは、バズる可能性のある動画を量産し、確率を上げていくことになります。

バズることと共に語られることの多い言葉に炎上というものがあります。どちらも動画が拡散される現象ですが、その拡がり方と印象には大きな違いがあります。バズる動画はポジティブな感情でシェアされるのに対し、炎上動画はネガティブな反応によって広まる傾向があります。
企業やブランドが動画マーケティングを行う際は、バズと炎上の境界線を意識しながら企画を立てることが重要です。バズった場合は知名度向上と共に、世間に好意的なイメージを与えることができるので、マーケティングでの活用が容易で、利益にしやすいのが特徴です。

先述したように、確実にバズる動画というものは存在しません。しかし、バズる可能性がある動画を制作することは可能です。バズる可能性のある動画には、以下のような特徴があります。
詳しく見ていきましょう。
1つ目の特徴は、大きなギャップがあるということです。イメージと真逆の内容の動画は、視聴者に驚きを与えてくれるため印象に残りやすく、拡散される可能性が上がります。
例えば、お堅いイメージのある団体がコミカルなコンテンツを動画にしていたり、普段はお茶目な人物がシリアスな演技をしていたりすると、普段のイメージとのギャップから驚きが大きくなり、印象に残りやすくなるでしょう。
情報が整理されておらず、あれもこれも詰め込まれた動画は、視聴者にとって「何を伝えたいのか」が伝わりにくくなります。
ターゲット層の興味関心に合った1メッセージに絞ることで、バズりやすさが格段に向上します。
動画のテーマは「誰に」「何を」「なぜ今」届けたいのかを明確にし、情報の取捨選択を意識することが重要です。
バズる動画は、「見て終わり」で終わらせない仕掛けが大切です。
視聴者がコメント、模倣、拡散といった形で参加できる動画は、自然と広まりやすくなります。
TikTokでは、視聴者が同じテーマで投稿する「ハッシュタグチャレンジ」が定着しており、#〇〇チャレンジのように拡散される流れが一般的です。
一方で、SNS全体で話題になった例としては、ALS支援を目的に始まった「アイス・バケツ・チャレンジ」があり、氷水をかぶる動画を投稿し次の人を指名する形式で世界中に広まりました。
このような巻き込み力のある構造が、バズの起点になります。
予測不能性とは、文字通り予測できない事象が盛り込まれていることを指します。人は良くも悪くも、想定外の出来事が起こると記憶に残りやすいです。また、想定外のことが起こった際には、珍しさから他人に話したくなってしまうものです。
上記のような性質を利用すると、バズる可能性のある動画を制作しやすくなります。例えば、YouTube上の動画であれば、サムネイルから想像できる内容と実際の内容が大きく違うと記憶に残りやすいです。
同じく、動画の終盤で大どんでん返しが起こったり、動画の表面的な内容と本質的に伝えたいことにわずかな繋がりがありつつも大きな差異があったりすると、視聴者の印象に強く残るでしょう。
今回ご紹介する特徴の中でも、「誰もやっていないことをやる」というのは、最も再現性が低く、難易度も高い手法です。
確かに、まったく新しい切り口のエンターテインメントはバズる可能性が高い一方で、ゼロから独創的なアイデアを生み出すには、相当な発想力と経験が求められます。そこで現実的な方法として有効なのが、既存のアイデアの掛け合わせによる新規性の創出です。
たとえば、理科実験のような演出を取り入れた料理動画、漫画のような演出が施されたVlog、かわいらしいキャラクターを使って社会風刺を描いたアニメなどは、一見異なるジャンルを融合させることで新しさを生み出し、実際に拡散された実例です。
このように、まったくのゼロから何かを生み出すのではなく、ずらす、混ぜる、視点を変えることでバズる可能性のある新しい動画ネタを作り出すことができます。アイデア出しの際には先入観を取り払い、柔軟な思考で「これとあれを組み合わせたら?」という遊び心を持つことで、意外なヒットコンテンツが生まれるかもしれません。

前項ではバズる動画の特徴について、内容的な部分にフォーカスしてお話ししてきましたが、当項ではバズる可能性のある動画の作り方について、テクニック的な面で解説をしていきます。バズる可能性のある動画の作り方として挙げられるのは、以下のようなものです。
詳しく見ていきましょう。
バズる動画は必ずしも短いとは限りません。ドキュメンタリーやストーリー性のある企画など、長尺でバズった事例も一定数存在しています。ただ、TikTokやYouTube Shortsなどを中心としたSNSでは、30秒〜1分前後の短尺動画が拡散されやすい傾向にあります。
理由としては、以下のような背景が挙げられます。
こうした前提があるなかで、特に短尺動画を作る場合は、冒頭の3〜5秒で「見たい」と思わせるかどうかが重要です。
たとえば次のような入り方が効果的です。
冒頭に「何かが起きる」「この後どうなる?」と感じさせる要素があれば、視聴者の興味をつなぎとめやすくなります。
商品やサービスの紹介、キャンペーン告知など、何かを伝える目的を持った動画であっても、動画そのものに面白さや感情を動かす要素がなければ、バズにはつながりません。SNSでは多くの動画が流れており、視聴者が一つひとつの内容を丁寧に受け取るとは限りません。
むしろ、「何を伝えたいか」よりも、「この動画が面白かったか、印象に残ったか」の方が、拡散されるかどうかに直結します。
たとえば、以下のような構成があると、視聴者は「とにかく面白かったからシェアする」という行動に出やすくなります。
結果として、バズによって多くの人の目に触れた後で、「これは何の動画だったのか」と関心が本来の内容に向かう流れが生まれやすくなります。
つまり、目的がある動画こそ、「まずは見られること」「楽しんでもらうこと」を前提に構成する必要があるのです。
動画の内容がどれほど優れていても、SNS上で適切に届けられなければ、バズにはつながりません。視聴者の目に触れるためには、どのプラットフォームで出すか、どんなアカウントから出すかといった「投稿の設計」も、動画そのものと同じくらい重要です。
TikTok、Instagram、YouTube Shorts、X(旧Twitter)など、SNSごとにアルゴリズムの仕組みやユーザー層の傾向は異なります。たとえば、テンポの良いユーモア系の動画はTikTokやX、ライフスタイル系の内容はInstagramやYouTube Shortsでの拡散が期待できます。動画の方向性と投稿先の特性が合っていなければ、せっかくの工夫も視聴されずに終わってしまうことが少なくありません。
また、動画を投稿するアカウントの状態も影響を及ぼします。日頃から投稿頻度があり、フォロワーとのやり取りが行われている動いているアカウントの方が、初動の視聴を集めやすく、アルゴリズムにも乗りやすくなります。逆に、発信実績がほとんどなく、一方通行の投稿だけが続いているアカウントでは、良質な動画であっても埋もれてしまう可能性が高くなります。
動画をつくることと同じくらい、どこでどう出すかという視点もバズの確率を高める鍵です。拡散されるための設計は、動画の完成と同時に始まっています。
動画は一度制作したら終了ではありません。制作した動画の拡散度がどうであれ、綿密に効果測定を行い、集まったデータを元に改善を行っていくことが重要です。動画は他のコンテンツに比べ、効果測定によって得られるデータが多いという特徴があります。
文章コンテンツや静止画のコンテンツでは、ページのPV数やクリック率、滞在時間や直帰率、CV率などによって効果測定を行うことになりますが、動画では他のコンテンツでも収集できるデータに加え、動画自体の再生回数や視聴者維持率などのデータも参考にして考察を行うことが可能です。
視聴者維持率は、動画がどのくらい視聴されているかを測る目安となるものです。特にこのレポートを確認することで、視聴者が動画のどの秒数で離脱したかがわかります。これは、動画内容の見直しをする際の大きな指標となります。
動画を制作したら一定期間で効果測定を行い、結果を元にPDCAサイクルを回すクセを付けておきましょう。効果測定と改善を繰り返しながら動画を制作することで、徐々にバズる確率は上がっていくはずです。もし動画がバズった場合も喜んでばかりではいられません。バズった原因を蓄積されたデータから調査し、更なる改善を行っていきましょう。絶え間ない効果測定と改善を行い続けることが、動画マーケティングを行っていく上では重要です。

動画をバズらせることは簡単なことではなく、いくつかの誤解や失敗パターンが存在します。ここでは、バズを狙う際に注意すべき落とし穴を紹介し、それらを避けるためのポイントを解説します。
動画が注目されても、プロフィールやチャンネル、他の動画とのつながりが弱いと、それ以上の展開が期待できません。
せっかく人が集まっても、何も引っかかるものがなければすぐ離脱されてしまいます。シリーズ化・再生リスト・固定投稿・概要欄の活用など、受け皿としての設計がない状態では、せっかくの流入も流れて終わるだけです。バズったときこそ、次を見せる構造があるかが問われます。
動画制作に力を入れていても、投稿するアカウントやSNS運用が疎かだとバズの起点がつくれません。
普段から投稿が止まっている、フォロワーとの接点がない、プロフィールが整っていない──こうした状態では、動画の良さがあっても届かずに終わってしまいます。アルゴリズムや初動の“見られやすさ”を支えるのは、アカウントの状態そのものです。
インフルエンサーの起用や広告出稿によって一時的に視聴数が伸びることはありますが、それがイコールバズったとは限りません。
中身が薄ければ話題性は続かず、コメントやシェアといった反応にはつながりません。バズとは「自然に広がる力」であり、仕掛けで一時的に人を集めても、コンテンツとしての力がなければ定着しないのです。注目を集める導線と、中身の両輪が必要です。

ここまで、バズる動画の特徴や、バズを狙ううえで意識すべき作り方のポイントをご紹介してきました。ギャップや意外性、インパクトある展開など、視聴者の感情を動かす仕掛けはもちろん大切ですが、それ以前に「この動画で何を伝えたいのか」「誰に届けたいのか」という目的設定が何より重要です。
ただ漠然と「バズらせたい」と思うだけでは、多くの人に再生される動画は生まれません。目的を明確にした上で内容を設計し、投稿後の効果を分析して改善を重ねるプロセスの積み重ねこそが、バズに近づく最短ルートです。
本記事を参考に、ぜひ“見られるべき動画”を目指して取り組んでみてください。
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