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Adobe Expressは、Adobe社からリリースされているデザイン制作アプリの1つです。Adobe社は、Adobe IllustratorやAdobe Photoshopといったデザインアプリや、Adobe Premiere ProやAdobe After Effectsのような動画編集・映像制作アプリなどプロの現場でも使われているアプリを提供している企業です。
IllustratorやPhotoshopがプロの現場で使われる所謂プロ仕様のアプリだとすると、Adobe Expressは初心者から上級者まで幅広い人が手軽に使えるアプリといえます。Adobe Expressは、デザインに関する知識が少ない人でも感覚的な操作でプロ顔負けのデザイン制作ができる点が最大の特徴です。
それでは、そんなAdobe Expressの特徴やメリットについて、具体的にご紹介していきましょう。
Adobe Expressは、主に初心者にとってありがたい特徴やメリットが多いデザインアプリです。
Adobe Expressは誰でも無料で使用できるデザインアプリです。プレミアプランという有料版もリリースされていますが、デザイン制作に必要な機能がすべて無料版でも使用できます。
Adobe Express最大のメリットは、操作方法が直感的で、IllustratorやPhotoshopと比べても初心者に優しい設計になっている点です。Adobe Expressではデザインを使う用途に応じたテンプレートが複数用意されているため、デザイン制作初心者の方でもアプリ起動後すぐに制作活動ができる点も嬉しいところです。テンプレートとしてはInstagramのストーリーや投稿用、YouTubeのサムネイル用といったキャンバスサイズから、シェイプや背景などさまざまなものが用意されています。その他にもAdobe FontsやAdobe StockといったAdobe社から提供されているフォントや画像素材などがデザインに使用できる点も特徴の1つです。
また、最近ではデザイン制作アプリにあると嬉しい機能の1つ、SNS連携機能も搭載されています。Adobe ExpressをSNSと連携し、スケジュール登録しておくことで登録した日時に制作したデザインを投稿する点は魅力でしょう。アプリ版とは別にブラウザ版もリリースされているため、インターネット環境であればアプリのダウンロードが不要なためPCのスペックが不安な方も安心して利用できます。
Adobe Expressは、ショートカットキーや操作性など、一部機能がその他のAdobe製品(IllustratorやPhotoshop)と共通しているという特徴もあります。Ctrl+CやCtrl+Vでコピー&ペーストといった基本的なショートカットから、Ctrl+Zで直前の操作をやり直すなど、よく使うショートカットが共通のため、Adobe製品を利用したことがある人には使いやすい設計になっています。Adobe Expressは用意されているテンプレート自体が豊富なため、基本的には提供されているテンプレートをもとに修正や追加していくことでデザインを制作する使い方がおすすめです。
非常に使いやすいデザインアプリのAdobe Expressですが、その他のデザインアプリと違いいくつかできないことがあります。
Adobe Expressでは、デザイン制作で使用する以下の機能が搭載されていません。
それぞれ詳しく解説していきます。
Adobe Expressでは、一から図形(シェイプ)を組み合わせてデザインを制作することができません。
Adobe Expressのシェイプ機能は、既にテンプレートとして用意されている図形を配置することでデザイン追加・修正していくような使い方となっています。
上記の図形と同様、Adobe Expressにはフリーハンドでデザインを制作する機能も搭載されていません。そのため、IllustratorやPhotoshopのように白紙のアートボードにデジタルアートを描画するという使い方はできません。
Adobe Expressでは、テキストに複雑な装飾を施すことはできません。
テキストはデザイン制作において重要な要素の1つですが、Adobe Expressには、フォントやサイズの調整、テキストをアーチ状に変更する機能や、枠取りをするシェイプ、文字の縁取りをするアウトライン、文字に影を付けるシャドウといった基本的な機能のみが搭載されています。
Adobe Expressは写真やシェイプ、テキストを配置することでデザインを制作していくデザインアプリです。そのため、読み込んだ写真やデザイン全体に対しての色調調整をする機能は搭載されていません。
色調調整同様、Adobe Expressでは写真に対するレタッチや修正といった加工ができません。Adobe Expressでは、背景の切り抜き、写真の部分的な切り抜きの機能のみが搭載されています。
なお、背景の切り抜きは自動で人物などを切り抜いてくれる機能ですが、無料版では自動での切り抜きのみ使用可能で、フリーハンドでより詳細な切り抜きを行う場合は有料版の購入が必要となります。これらのほとんどは、デザイン制作において多くのシーンで使用されているIllustratorやPhotoshopには標準で搭載されている機能です。
Adobe Expressはあくまでデザインスキルの高くない初心者をメインユーザーに想定したデザインアプリということもあり、複雑な加工・編集に必要な機能が搭載されていません。これらの機能をデザイン制作に使用したいという人には、Adobe社製の20以上のアプリを使用できるAdobe Creative Cloudのコンプリートプランがおすすめです。
Adobe Expressは誰でも無料で使用できるアプリですが、使用するためには事前にAdobeアカウントを作成しなければいけません。
アカウントの作成は、Adobe Creative CloudのWebサイトから右上のログインボタンをクリック、アカウント作成をクリックします。メールアドレス、パスワード、氏名、生年月日などの必要事項を記入しアカウントを作成します。
ブラウザ版を使用する場合は、インターネット接続がある状態で、Adobe Creative CloudのWebページからAdobe Expressをクリックするだけでアプリがブラウザ上で起動します。
それではさっそく、Adobe Expressを使ってYouTubeのサムネイルを作ってみましょう!
まず、Adobe Creative CloudのWebサイトからAdobeアカウントでログインします。
Webサイト下部にあるAdobe Expressをクリックしアプリを起動します。(今回はブラウザ版で解説していきます)新規プロジェクト作成の画面(トップ画面)から「YouTubeサムネール」をクリックし新規プロジェクトを作成します。
画面左端のツールから「テンプレート」を選択、表示されているサンプル画像から使いたいテンプレートをクリックします。デザインテンプレートは、検索窓から作成するデザインに該当しそうなキーワードを検索することもできます。
※今回は「YouTube」と検索し、出てきたテンプレートを使用しています。
このデザインはメインタイトル、サブタイトル、背景の3つの要素で構成されているデザインです。
変更したい要素をクリックすることで変更できる項目が表示されます。
試しにサブタイトルを変更してみます。「私のクリエイティブな日常」をクリックし、変更可能な項目を表示します。「主なスタイル」の下に表示されている「しっぽりアンチック」は現在使用しているフォントで、フォントを変更したい場合はプルダウンから好きなフォントを選択しましょう。テキストのサイズや位置などはドラッグ&ドロップで直感的に変更できるため自由な位置やサイズに調整しながらデザインを考えられる点もありがたいところです。
※画像ではフォントを「VDL ロゴJrブラック BK」に変更、シェイプの色、文字のサイズを変更しています。
要素を追加したい場合は、左のツールから選択していきます。まずはテキストを増やしてみましょう。
テキスト>「+テキストを追加」をクリックすると、画面中央に新しいテキストボックスが追加されました。
追加されるテキストやシェイプは、直前に使用した設定が参照されるようです。
今回は、先ほど作成したタイトルの設定が反映されているため、シェイプもONになっている状態で作成されています。作成されたテキストを好みのサイズ、位置、フォントに変更して配置します。テンプレートのテキストを削除、新しいテキスト追加、メインタイトルも少し変更してみます。
サブタイトルのフォント、サイズを変更、位置を左上に移動しています。
ドラッグ&ドロップで要素を移動する際、他の要素との位置関係がガイドで表示されるため、要素の頭や後ろ、中央など簡単操作で複数の要素を整列させることができます。また、今回は「無料」の部分にアウトラインをONにし、文字とアウトラインのカラーをカラーパレットから選択し、変更しています。
※わかりやすいようにメインタイトル部分は一度削除しています。
メインタイトル部分は、テキストにシェイプと呼ばれる枠取りで構成されています。効果>シェイプを選択することでシェイプの色や形などを変更していきます。シェイプを変更するだけでデザインのイメージは大きく変わってくるため、シェイプのテンプレートが豊富な点も初心者にはありがたいポイントです。
せっかくなので、空いているスペースにテンプレートから新しいシェイプを追加してみましょう。
左のツールからシェイプを選択し、検索窓から使いたいシェイプを探します。使いたいシェイプをクリックすると画面にシェイプが反映されます。
今回は、Adobe Expressで作成できる拡張子の1つ「jpeg」を検索し、検索結果からシェイプを選択しました。テキストと同様、色、サイズや位置、角度などを調整、配置していきます。
作成したデザインは、画面右上のダウンロードから好きなファイル形式を選んでダウンロード可能です。
今回制作したデザインは、Adobe Expressに用意されているテンプレートを使用して作成しました。Adobe Expressではテンプレートを選択することで、テキストやシェイプなどに使用する色もテンプレートに設定されているカラーパレットから選択することができます。トーンや色のバランスなどはデザイン初心者にとって難しい要素の1つでもあるため、この機能もAdobe Expressが初心者におすすめの理由です。
Adobe Expressは、無料版でもデザイン制作に使うほぼすべての機能が利用できます。無料版で利用できる主な機能は、以下のとおりです。
Adobe Expressでは、基本的に無料版でも十分にデザイン制作ができます。それでは、無料版と有料版の違いはどこにあるのでしょうか。Adobe Creative Cloudのプレミアムプランに加入することで利用可能になる機能は、以下のとおりです。
有料版のAdobe Stockでは1億6,000万点もの写真が提供されているため、他のAdobe Expressを利用しているユーザーと画像がかぶってしまい同じような仕上がりになる、という可能性も低くなります。有料版は、実際に無料版を試してみて、より多くの素材やテンプレートを使用したいという方やその他のAdobe製品を使用しているユーザーにおすすめです。
今回は、デザイン初心者におすすめのAdobe Expressについて解説していきました。
Adobe Expressは、デザインツールで有名なAdobe社からリリースされた無料のデザインアプリです。Adobe Expressには「学ぶ」というチュートリアル用のコンテンツも提供されているため「今すぐに作りたいデザインがない」という人でもアプリを触りやすくなっています。これからデザイン制作を学んでいきたいという人は、徹底的に初心者に優しい設計で作られているAdobe Expressを利用してみてはいかがでしょうか。
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