そもそも無料素材、フリー素材とはどういったものを指すのでしょうか。無料素材、フリー素材の2つの言葉は同じ意味合いで利用されることも多いですが、実は含まれているニュアンスが異なるケースもあります。
「無料素材」とはその字のとおり、無料で利用できる素材のことを指し、誰でも自由にダウンロードや利用ができるケースと、無料会員登録を行えば自由にダウンロードや利用ができるケースがあります。無料素材の中には著作権は配布元に帰属しているものも含まれます。
対して「フリー素材」は「フリー」という言葉に「フリー(無料)」という意味合いと「著作権フリー(なし)」という意味合いが含まれているケースがあります。もちろん「フリー素材」と検索してヒットするWebサイトが、それぞれどちらの意味合いで素材を配布しているかまで検索エンジンは知り得ません。
「著作権フリー」ではない場合「無料素材」同様、著作権は配布元に帰属しているため、利用する場合は「フリー」の範疇をしっかり確認することが重要です。著作権フリー以外の無料素材に関しては、配布元のWebサイトに利用規約が掲載されているため、必要な著作権表記について正しく理解したうえで利用する必要があります。
フリー素材は、動画の配信目的によっては利用できないケースもあるため、配布元のWebサイトに「商用利用」について言及する一文がある場合は注意が必要です。
フリー素材の配布にあたって、この「商用利用」は重要な要素でもあるため、多くの配布元が「商用利用禁止(不可)」や「商用利用可」などと記載しています。「商用利用」とは「営利目的での利用、二次利用や販売チャネルとして用いたりすることで利益を得ること」と定義されています。つまり「商用利用」が可能かどうかという点は、利益目的で制作・配信される動画内でフリー素材が利用可能かどうか、ということを表しています。
YouTubeチャンネルでの動画配信の場合、YouTubeチャンネルが収益化され、フリー素材を利用した動画に広告を付けて配信する行為は「商用利用」にあたります。2021年6月からは収益化の有無や投稿者の意思に関わらずすべてのYouTube動画に広告が表示されるように変更されました。
投稿者側で個別の動画に対して収益化の有無を設定することも可能ですが、現状では閲覧者側から個別の動画に対して収益化の有無を確認する方法は提供されていません。そのため、YouTubeチャンネル自体が収益化されている場合、「商用利用不可」の素材を利用した動画は閲覧不可にするなどの対策を取るほうが現状では無難といえます。
このように「商用利用」についてはYouTubeチャンネルを長く運営するうえで必要不可欠な知識と言えます。また、YouTubeチャンネルを運営し収益化を目指している人は、今の段階から「商用利用可」の素材のみを使用することをおすすめします。
著作権や商用利用のように使用する際に一定の条件が明記されているフリー素材は少なくありません。こういった権利の侵害があとから発覚してしまうと取り返しがつかない事態に陥ります。
著作権や商用利用以外にも、フリー素材の配布元が定めている規約は数多く存在します。こういった利用に際しての条件は必ず配布元のWebサイト内にある「利用規約」に詳細が明記されています。フリー素材を利用する際は、配布元の「利用規約」に目を通し、書かれている内容を正しく理解する必要があります。
YouTubeは不特定多数の人に閲覧される影響力の高いメディアという意識を持ち「フリー素材だから」と軽い気持ちでルールを逸脱した利用を行わないように注意しましょう。
最近では無料の動画編集ソフトで制作できる動画もクオリティが上がり、動画編集のハードルはかなり低くなってきています。
数年前まではプロやセミプロのみが可能と考えられていたYouTubeの動画編集も、今では趣味や副業の一つとして多くの人に親しまれています。動画撮影や動画編集は独学でも一定のレベルまでは到達可能ですが、動画に使用するBGMや効果音の制作は、多くの人にとって依然高いハードルとなっています。
今回は、そんなBGM・効果音などの音楽素材を無料で配布してくれているおすすめのサイトをいくつかご紹介していきます。
YouTubeオーディオライブラリは、YouTube公式が配布している無料BGMが集められたサイトです。YouTubeアカウントを取得している人であれば誰でも自由に利用することが可能です。商用利用可能で、ほとんどの楽曲で著作権明記が不要ですが、なかには著作権明記が必要なものも含まれているため注意が必要です。この著作権明記を避けたい場合、検索フィルターの「帰属表示が不要」を選択して検索することで、著作権明記が不要なもののみを表示することが可能です。
ジャンル(ポップ、ジャズなど)やムード(明るい、暗いなど)といった音源のテイストで検索することが可能なため、動画のイメージにあった音源を見つけやすい点も特徴の1つです。ダウンロード可能な曲数もかなり多く、さまざまなジャンルが用意されているため、YouTube動画のBGMに悩んだ際は、まずこのサイトを見てみることをおすすめします。
講談社とUUUMが運営している「ボンボンTV」では「Bike Rides」や「The Farmer In The Dell」など、動画の中でよくオーディオライブラリの楽曲を利用しています。
魔王魂は、森田交一さんが作曲した楽曲の無料配布を行っているWebサイトです。古くからYouTuberやゲーム制作者が魔王魂の音源を愛用しており、月間平均150万PVと驚異的なPV数を稼ぐ人気の無料音源配布サイトの1つです。
ネオロックと呼ばれるジャンルが最も多く、オーケストラ・ファンタジー・サイバーなど、ゲーム音楽などでも人気なジャンルが多く配布されています。魔王魂で配布されている楽曲は、すべてプロの作曲者である森田交一さんが作曲しているため、クオリティの高い楽曲が多いのも特徴です。
「シャイニングスター」という楽曲は、多くのYouTuberが動画に使用しているだけでなく、その楽曲のかっこよさから歌ってみた動画や叩いてみた動画など、楽曲に焦点を当てた動画も多数投稿されている人気の楽曲です。
DOVA-SYNDROMEは、複数の作曲者が登録し、自身が制作した楽曲を配布しているWebサイトです。1万曲以上が配布されており、BGMだけでなくジングルや効果音が配布されている点も魅力的といえます。
商用利用可能ですが、一部著作権表記についてルールを設けている作曲者もいるため、利用の際は注意が必要です。とはいえ、多くの作曲者が著作権表記を不要としているため、YouTubeのBGMを探すうえで非常に使いやすいサイトの1つです。
最大の特徴は、複数の作曲者によって制作された楽曲が配布されている点です。自ずと曲調も多岐にわたるため、動画のジャンルに適しているBGMが見つけられるのではないでしょうか。
DOVA-SYNDROMEで提供されている「shuffle shuffle」や「雨の町子さん」などはトップYouTuberのHIKAKINも使用しているなど、多くのYouTuberが愛用しているサイトの一つです。
甘茶の音楽工房は、管理人の甘茶さんが制作した音楽を無料配布しているWebサイトです。アコースティックからエレクトロまでさまざまなジャンルの楽曲が配布されています。商用利用可能で著作権表記も任意(「してもらえると嬉しいです」と記載)のため、収益化がされているYouTubeチャンネルでも使用可能です。
ジャンルだけでなく、イメージ(明るい、コミカル、シリアスなど)からも楽曲を検索することが可能なため、動画のイメージに最適なBGMが探しやすい点も魅力の1つです。なかでもアコースティックな楽曲が多く、イージーリスニングやヒーリングといったジャンルのBGMを探している方には特におすすめです。
ファミコンのようなレトロゲーム調の楽曲「レトロゲームセンター」は、YouTuberのはじめしゃちょーが動画内で使用していることでも有名です。
和風や8bitをはじめとして、配信向けの可愛い曲やファンタジーRPG向けの曲など、様々なジャンルのフリーBGMが400曲以上揃っています。YouTubeやゲーム、イベント、演劇など、用途を問わず使用可能です。
また、300以上の曲はRPGツクール等に対応したループ形式のOGGもダウンロード可能となっており、ゲーム制作者にも優しいサイトです。
クレジット表記なしや法人での利用の場合は有料プランへの加入が必要となります。
SHWは、和風な楽曲に特化したフリー音源を配布しているWebサイトです。音源素材配布サイトのなかでも特に利用規約が簡素な点が特徴です。著作権を保有している管理人さんの「きわめてオープンにやろう!」という意向から、著作権表記不要・商用利用可能・利用報告不要と非常に使いやすい音源配布サイトとなっています。管理人さんが「よさこい」の楽曲制作をされていることもあり、高いクオリティの和風テイストな楽曲が多数配布されていることが魅力の一つといえるでしょう。
そのほかのフリー音源を配布しているサイトに比べると配布数自体は少ないものの、数少ない和風テイストに特化したサイトということもあり、多くのユーザーが愛用しているサイトの1つです。
MusicMaterialは、さまざまなジャンルのBGMやMIDI素材を配布しているWebサイトです。YouTube動画でも利用頻度の高いループ素材を数多く配布している点が特徴です。MusicMaterialで配布されている音源は、著作権表記不要・商用利用可能です。
また、MIDI素材を配布している数少ないサイトでもあります。MIDI素材は、DAWという音楽制作ソフトを利用して編集することが可能な形式の音楽ファイルのため、配布されている音源を細かく加工することも可能です。
配布されているジャンルも多岐にわたることや、ループ素材といったYouTubeに最適な素材が配布されていることなどから、多くのYouTuberに愛用されている音源配布サイトの1つです。
MusMusは、商用利用可能なBGM・効果音などを無料で配布しているWebサイトです。そのほかの音源配布サイト同様、ジャンルやムードから楽曲を探すこともできますが、「ラジオ」「動画」「ゲーム」の3つの使用シーンから音源を検索できる点がMusMus最大の特徴です。また、MusMusではBGMだけでなく、効果音・SEやジングルなども配布されています。
MusMusで配布されている楽曲を使用する場合、どのような場合でも著作権表記が必要となる点のみ注意が必要です。
動画に特化した音源を配布しているサイトではありませんが、その分、多種多様な音源が配布されているため、少し変わった音源を探している方は一度利用してみてはいかがでしょうか。
効果音ラボは、高品質な効果音を無料で配布しているWebサイトです。フリー音源サイトの中でも珍しい効果音に特化したサイトで「戦闘」「演出・アニメ」「声素材」「生活」「機械・乗り物」「環境音」「ボタン・システム音」「自然・動物」と、多種多様なジャンルの効果音が配布されています。プロの現場でも使用されるなど、その高い品質は業界でも一定の評価を得ています。
環境音や自然の音など、素材として収録しづらい効果音も多いため、このサイトを知っているかどうかで動画のクオリティに違いが出るといっても過言ではありません。高品質な音源を配布しているサイトですが、著作権明記不要・商用利用可能・再加工可能など制限も少ないため、多くのYouTuberにも愛用されているサイトの一つです。
ニコニ・コモンズは、株式会社ドワンゴが運営している画像・音声・動画などを配布しているWebサイトです。利用するためにはニコニコアカウントが必要です。また、20歳以上のみ利用でき(14歳以上であれば条件を満たせば利用可)、使用する素材によって利用可能な範囲が異なる点に注意が必要です。
「ドラムとベースは居残り練習」という楽曲は、YouTuberの東海オンエアが動画内で利用するなど、YouTuberの中にも愛好家が少なくないサイトです。BGMとして使用できる楽曲から効果音のようなものまで幅広く登録されている点も魅力でしょう。
Pocket soundは、効果音やジングルからクラシック、ピアノ生演奏、ボーカロイドまで幅広いジャンルの音声を配布しているWebサイトです。提供されている幅広い楽曲は、クレジット表記をすると無料で使用することが可能です。
また、クレジット表記が難しい場合などに1曲550円から購入できる点も有難いところです。定額でクレジット表記せずに全楽曲が使い放題のサブスクリプションプランも用意されているため、気に入った楽曲が多く、クレジット表記が難しい場合におすすめです。
実験動画や検証動画をメインに投稿している、YouTuberのすしらーめん《りく》の動画内で「クシコスポスト」という疾走感のある楽曲が使用されているなど、多くのYouTuberに利用されているサイトの一つです。
Music-Noteは完全無料でさまざまな楽曲が配布されているWebサイトです。
素材を利用する際、著作権表記が必要である点に注意が必要ですが、効果音やBGMをさまざまなカテゴリから検索、ダウンロードできる非常に使いやすいサイトの一つです。
Music-Noteで配布されている楽曲は、ゲーム実況者やホラー系の動画投稿者などにたびたび利用されています。
YouTubeを継続的に投稿しようとすると、非常に多くの音源が必要です。そのため、音源を無料配布しているサイトを頻繁に利用しているYouTuberも少なくありません。とはいえ、無料で配布されている高品質の楽曲には限りがあるため「このBGMどこかで聞いたな」「ほかのYouTuberもこの曲を使っていたな」ということがよくあります。
ここからご紹介するWebサイトは、有料ではあるものの、毎日(サイトによっては毎週)プロのクリエイターが楽曲をどんどん追加しています。そのため、楽曲選択の幅が広くほかの動画で聞いたことのないクオリティの高いBGMで動画のクオリティアップに貢献してくれるでしょう。
YouTuberにも人気の優良なサイトは、サブスクリプションの登録が必要な海外サイトが多いですが、無料の楽曲とは一味違う楽曲を探している方は、このあとご紹介するWebサイトの楽曲を視聴してみてください。
Artlistは、著作権フリーの音源を配布している海外のWebサイトです。利用には月額費用が必要で、楽曲が使用できる範囲によっていくつかの料金プランが設定されています。SNSや動画配信サービスに個人で投稿する場合は「Music & SFX Social」の最安プランで問題ありませんが、Artlistの楽曲を使った動画を先方へ納品するようなクライアントワークへ利用する場合は「Music & SFX Pro」のプランを利用する必要があります。
月額課金制なので、提供されている楽曲はどれもプロが作ったハイクオリティなものばかりです。Artlistの楽曲を使用するだけで、動画のクオリティがアップするでしょう。
Epidemic Soundは、Artlist同様、サブスクリプションで楽曲がダウンロードできる海外のWebサイトです。さまざまなジャンルの楽曲が網羅されており、どの楽曲もハイクオリティで、YouTuberだけでなく、TV番組などでも頻繁に利用されています。
再安価なプラン「Personal」は個人利用のみが可能です。クライアントワークなどに使いたい場合は1つ上のプラン「Commercial」、ストリーミング配信やTV番組、TVCMなどに使用したい場合はさらに上のプラン「Enterprise」に登録する必要があります。
Audioioは、大手企業にも導入実績がある、有料で音楽を配布している海外のWebサイトです。月額課金制ではなく、永久ライセンスを購入することでダウンロードし放題となるプランもあるため、サブスクリプションが面倒という方におすすめです。
もちろん楽曲はプロのクリエイターが作曲したハイクオリティなものばかりです。ほかの有料サイトと同様に、Audioioの楽曲を利用するだけでだけで動画のクオリティアップに繋がるでしょう。
Audiostockは、BGM・効果音などサウンドクリエイターによって制作された作品が80万点以上配布されているWebサイトです。使用するためには単品もしくは月額プランで購入する必要がありますが、さまざまなジャンルで高いクオリティの楽曲が配布されています。
YouTuberのすしらーめん≪りく≫が使用している「カルメン組曲」は、Audiostockで配布されている楽曲です。そのほかにも、YouTube動画利用数339万件以上、YouTube総再生数366億回以上と安心の実績がある点も有料サイトながらおすすめできる理由の一つです。
MUSICBEDは、有料でハイクオリティな楽曲を配布している海外のWebサイトです。ArtlistやEpidemic soundなどと比べて、楽曲のクオリティが高いといわれていて、それに伴って料金も少し割高となっている点が特徴的です。また、料金体系もそのほかのサイトと比べると複雑で、登録するアカウントのSNSやYouTubeのチャンネル登録者数、フォロワー数によって利用料金が変動するシステムになっています。
さまざまなジャンルのプレイリストから楽曲を選択できるため、使いたい動画の雰囲気に合わせた楽曲が見つけやすい点が魅力のWebサイトです。
今回は、YouTubeで使えるフリーBGMの配布サイトについて解説していきました。
BGMや効果音はYouTube動画にとって必要不可欠なものとなっていますが、高いクオリティの素材が有志の人たちのおかげで今では無料で利用可能となり、多くのYouTuberがフリー素材を利用することで動画のクオリティアップに努めています。
動画編集者にとって非常にありがたいフリー素材ですが、フリー素材・無料素材は「フリー」「無料」と表記はありますが、誰でもどのようなケースでも自由に素材を利用できるというわけではありません。利用規約をよく読み、著作権や商用利用などの条件を正しく理解して、配布されている素材を正しく利用するよう心がけましょう。
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