動画制作は、コンセプトの決定や絵コンテの作成、撮影、編集などさまざまな工程を経て進みます。以下、動画制作の工程を6つのステップにわけて確認しましょう。
まずは、何を目的としてどのような動画を制作するか計画します。目的が決まっていないと、どのような内容の動画にするべきか決まりません。スムーズに動画を制作するために、動画制作の目的と企画の詳細、動画コンセプトなどを決定しましょう。
制作の目的を決める段階では、マーケティング分析を行うケースも多いです。市場や自社のポジション、ターゲット属性、ブランドイメージなどを調査して、より最適な動画に仕上げるためです。
動画制作の目的と企画の概要が決まったら、動画内容を具体化します。シナリオ原稿や台本を作成して、全体的な流れを決定しましょう。カット割りやアングル、構図などを決めるために、絵コンテも制作します。
シナリオ原稿や絵コンテは、制作に携わるスタッフ全員が完成形のイメージを共有するために欠かせません。ネットでもテンプレートを入手できるので、必要であればダウンロードしましょう。
動画の具体的な内容が決まったら、撮影を行います。事前にスタジオや撮影地のロケハンをして、必要になりそうな機材や、人通りの多さ、適切なアングルや日照時間などを確認しましょう。野外撮影においては、人の写り込みや太陽の位置などが撮影に大きく影響します。
どのような場所で撮影する場合でも、事前の調査と準備が非常に大切です。撮影する内容、公開するプラットフォーム(Twitter・YouTube・テレビ・タクシー広告など)に合わせ、適切な機材や撮影手法を選びましょう。
昨今では動画を撮影せず、動画素材サイトから素材を入手して編集する方法もあります。商業用の動画素材を集めたい場合は、ArtlistやMotion Arrayのような有料サイトを利用するとよいでしょう。フリーのサイトよりもクオリティが高く、著作権や規約の面でも安心して利用できます。
動画素材がすべて揃ったら、編集します。カット編集だけでなく、字幕や動画エフェクトなどを挿入して、より見応えのある動画に仕上げましょう。
動画編集は、公開するプラットフォーム(Twitter・YouTube・テレビ・タクシー広告など)やターゲットによって適切なスタイルが異なります。いくつかのプラットフォームで公開する場合は、縦長と横長どちらにも対応できるように仕上げるとよいでしょう。
音入れは、動画に合わせてナレーションやセリフなどの音声をつける作業です。編集の前段階に行うケースもありますが、基本的にはある程度編集してから行います。
音入れをする際は、雑音が入らないように、できる限り専用のスタジオを用意してください。また、よいマイクを使うとクリアで聞きやすい音声に仕上がります。
スマホスピーカーで音を聞く人もいれば、テレビ、Bluetoothスピーカー、大型スピーカーなどで聞く人もいるでしょう。よい音質で録音すると、どのような環境でも聞きやすい音に仕上がります。
編集・音入れが完了したら、最終的な調整をします。音と動画のズレや、字幕のタイミング、エフェクトの具合などを細かく確認しましょう。動画全体のテイストや各音声のバランスなども調整します。すべて問題がなければ、動画の投稿・公開作業を進めましょう。
動画制作の依頼先は、大きく「個人」と「企業」の2つにわかれます。個人は、カメラマンや動画編集者など複数のプロに依頼する場合と、すべてを行える人に依頼するケースがあります。企業に依頼する場合は、動画制作会社や広告代理店などがあるでしょう。
以下、個人に依頼する場合と動画制作会社に依頼する場合の、それぞれのメリット・デメリットを詳しく解説します。
個人に動画制作を依頼する場合、動画制作の工程の一部分だけを行っているフリーランスの人が多いことを忘れないでください。例えば、動画制作の工程を大きく、企画・撮影・編集の3つにわけた場合、編集のみを行う人、撮影のみを行う人というように、細分化しているケースが多いです。
大手クラウドソーシングサイトのクラウドワークスでは、動画制作に携わるフリーランスが多数登録しています。クラウドワークスの仕事検索の画面を参考に確認しましょう。
画面左側に「仕事カテゴリ」があります。動画制作の工程として分類できる仕事は「ライティング」「動画」「音楽」「ナレーション」「3D-CG制作」の5つが挙げられるでしょう。
1本の動画を完成させるには、ライティングカテゴリで台本作成、動画カテゴリで撮影、音楽カテゴリでBGM作成、ナレーションカテゴリで音声、3D-CG制作カテゴリでアニメーション制作など、それぞれ別々で依頼しなければなりません。例として挙げた5つはすべて別の仕事として登録されているため、それぞれに料金がかかり、担当するフリーランスも異なるのです。
1本の動画を工程ごとに別の人に依頼すると、その都度動画の目的やコンセプトを伝えなくてはいけません。すべての作業を依頼したい場合は、個人に依頼するのは適していないでしょう。動画制作の一部分のみを自分の代わりに行ってほしい場合は、フリーランスに依頼するのも手段の一つです。
個人に動画制作を依頼するメリットは、以下の3つです。
制作実績が豊富で、クラウドソーシングサイトでの評価が高いフリーランスに依頼することができれば、希望のクオリティの動画を安価で制作できるでしょう。
個人に動画制作を依頼するデメリットは、以下の4つです。
多くはありませんが、連絡が取れなくなる、納期を守らない、守秘義務に違反するなど、信頼性に欠ける人がいます。クラウドソーシングサイトを通じた依頼の場合、運営会社を通じての交渉である程度解決できることもあるでしょう。
運営会社がフリーランスを独自の基準でランク付けしていますが、評価と実態が異なる場合も多いです。SNSなどで知り合ったフリーランスの場合、トラブルを解決するのは難しいです。
動画制作においてリスクを抱えたくない場合は、実績のある企業に制作を依頼したほうがよいでしょう。
動画制作会社に動画制作を依頼する場合、企画・撮影・編集など、すべての工程を一つの会社に依頼することが可能です。依頼の流れは、動画制作会社のホームページに設置されているメールフォームや記載されているフリーダイヤルから問い合わせをする、または無料の見積り依頼をすることから始まり、担当者から説明を受けたあとに契約するのが一般的でしょう。
問い合わせや見積り依頼をする際は、必ず複数の企業のサービス内容と価格を比較してください。
動画制作会社に動画制作を依頼するメリットは、以下の5つです。
個人に依頼した場合と比較すると、よいサービスや高いクオリティが提供されるでしょう。制作したい動画の目的やイメージが依頼前に決まっている場合は、ミスマッチが起きにくいことも魅力です。納期を守らない、連絡が取れなくなるなどのトラブルが起きる可能性も低く、安心して依頼できるでしょう。
動画を使った広告運用や分析なども提供している企業が多いため、動画制作だけでなく運用まで任せられることは大きなメリットといえます。
動画制作会社に動画制作を依頼するデメリットは、以下の3つです。
個人に依頼する場合と比較すると、リスクというほど大きなデメリットはありません。
動画制作を依頼する場合の費用は、依頼先によって大きく異なります。一般的には個人のほうが安いですが、具体的な依頼内容によって相場は変動します。以下、動画制作を依頼する場合の費用相場を、個人と動画制作会社にわけて確認しましょう。
個人に動画制作を依頼する場合にどのくらいの費用がかかるのか、大手クラウドソーシングサイトの「クラウドワークス」と「ランサーズ」の価格相場をもとにご紹介します。
クラウドワークスの相場一覧表から、動画制作の工程として分類できる仕事を抜き出し、表にまとめました。
<クラウドワークスの仕事の内容と価格の相場>
仕事の内容 | 価格の相場 |
---|---|
記事企画 | 1記事 1,000円~ |
記事作成 | 1文字 1円~ |
シナリオ・台本作成 | 1分(短尺)1,000円〜
5分 5,000円〜 10分 10,000円〜 |
YouTube動画作成・編集 | 1動画 8,000円~ |
TikTok・短尺動画 | 1動画 3,000円~ |
映像編集・映像制作 | 1動画 120,000円~ |
作曲・BGM制作 | 1曲 30,000円~ |
声優・ナレーション | 1分 10,000円~ |
ランサーズの仕事の種類・参考価格から、動画制作の工程として分類できる仕事の価格を抜き出し、表にまとめました。
<ランサーズの仕事の内容と価格の相場>
仕事の内容 | 価格の相場 |
---|---|
シナリオ・脚本・小説作成 | 1本 1,000〜10,000円
平均:5,000円前後 |
新規動画作成 | 1動画 50,000~500,000円 |
作曲・音源・BGM制作 | 1曲 5,000~50,000円 |
声優・ナレーション・音声素材 | 1~3分 5,000~30,000円 |
フリーランスに依頼する場合70,000~150,000円程度の予算があれば、1本の動画が完成します。
ただし、同じ動画制作の工程でも、修正や変更にどこまで応じてもらえるか、どのような品質で納品されるのかは、依頼するフリーランスによって異なるため注意が必要です。
動画制作会社に動画制作を依頼した場合の価格を確認しましょう。企業に動画制作を依頼した場合の価格相場を表にまとめました。
<動画制作の工程と価格の相場>
動画制作の工程 | 価格の相場 |
---|---|
企画・構成 | 30,000~200,000円 |
台本作成 | 50,000~100,000円 |
撮影 (キャスティング費、スタジオ費、ロケーション費、カメラ・照明・録音機などの機材費、撮影・照明・音声・ヘアメイク・スタイリストなどスタッフの人件費、宿泊費、交通費などの合計) ※キャスティングする人によってさらに高額になるケースもある |
100,000~2,000,000円 |
アニメーション制作 | 50,000~5000,000円 |
3DCG製作 | 300,000~2000,000円 |
編集 | 50,000~300,000円 |
BGM・音響効果 | 30,000~150,000円 |
ナレーション | 30,000~100,000円 |
価格相場に幅があるのは、制作したい動画のジャンルや尺の長さによって価格が変動するためです。また、表はあくまでも目安であり、必ずしも表のとおりに価格が計算されるわけではありません。
すべての工程の価格相場を覚える必要はありませんが、見積りを複数取った際に比較する基準として知っておくとよいでしょう。なお、動画ジャンルごとのおおまかな相場は、以下のとおりです。
<動画ジャンルごとの価格相場>
制作する動画のジャンル | 価格の相場 |
---|---|
YouTube動画 | 100,000〜1,000,000円 |
採用動画 | 500,000〜1,000,000円 |
広告用動画 | 500,000〜5,000,000円 |
企業紹介動画 | 500,000〜1,000,000円 |
社内研修用動画 | 300,000〜1,000,000円 |
ジャンルによっても相場に大きく幅があることがわかるでしょう。動画の尺や、どのような形式(ドラマ・セミナー・屋外・密着形式など)で撮影するかなどによって費用が変動します。上記をある程度の基準としつつ、制作会社としっかり相談しながら予算を設定してください。
動画制作会社に動画制作を依頼した場合、予算規模に応じてどのような動画に仕上がるのか気になる方が多いでしょう。製作会社に依頼された動画の制作事例をご紹介します。
500,000円以下での制作事例は、以下のとおりです。
ネットショップ制作やメディア運営などを手がける「INTER ROCK」のプロモーション動画です。「顧客が悩むシーン」「企業の概要を説明するシーン」などが、上下左右に入れ替わりながら展開します。スライドやアニメーションを用いてシーンが区切られるため、飽きずに見られることが特徴です。
また「初心者」というワードが入る場面には初心者マークが写り、「全国対応」を説明する場面では日本地図を写すなど、説明を視覚的に理解するためのイラストが多数用いられています。クリーム色の背景や黄色の文字枠・エフェクトなどは統一されているため、動画全体にまとまりがある点も特徴でしょう。
1分半と、通常のテレビCMよりは長いですが「どんな悩みをどのように解決してくれるのか」がしっかりと伝わる動画です。
集英社のライトノベルレーベル「Jブックス」から刊行された「ハイキュー!!ショーセツバン!!」のプロモーション動画です。
マンガ内の名シーンが散りばめられ、本編では見ることができない登場人物たちの高校生活の様子・裏話・ライバル校についてのエピソードが楽しめることをアピールしています。ナレーションを入れず、キャラクターが小説について語ることで、マンガらしい表現を残しながら小説の世界観へと引き込むことが特徴といえるでしょう。
わずか49秒の尺で凝った演出はありませんが、宣伝らしさを徹底的に排除し、ファンの知りたい情報に絞った構成が秀逸なプロモーション動画です。
500,000~1000,000円の制作事例をご紹介します。
株式会社GA technologies代表取締役社長、樋口龍さんへのインタビュー動画です。
走馬灯のように駆け巡る様子がイメージできる早回し映像をバックに、樋口さんが今までの経歴と現在のビジネスに取り組むようになったきっかけを視聴者に語り掛けます。そのあとに語り手を執行役員や取引先の方に移すことで、飽きさせないだけではなく、株式会社GA technologiesのイメージが徐々にくっきりと浮かび上がる構成です。
樋口さんが情熱をもってビジネスに取り組んでいることをわかりやすく伝え、樋口さんの情熱を際立たせるために客観視しながら語る存在を2人出演させたのがよい演出だといえるでしょう。
1000,000円以上の制作事例の製作事例は、以下のとおりです。
製薬会社、バイオジェン・ジャパンのコーポレート動画です。最初に落ち着いたトーンのナレーションで「製薬会社で働くのはなぜ?」と問いかけることで、視聴者に考えるきっかけを与えます。そのあとに、ナレーションではなくテロップで「患者さんの役に立ちたい」という会社の回答を示すことで、メッセージが強く伝わるよう工夫されていることが特徴です。
今までの実績をイメージできるシーンを挟んだあと、初心にかえることをナレーションで呼びかけながら、再び「患者さんの役に立ちたい」というテロップを表示し、視聴者に動画のテーマが原点回帰なのだと気づかせます。
会社が動画で強いメッセージを発信しているにもかかわらず、まるで自分で気づきを得たかのように感じさせるアイデアが秀逸な事例です。
動画制作外注にかかる料金を抑える方法を、3つご紹介します。
動画を使用する目的やイメージを事前に細かく決めることで、動画制作会社とのコミュニケーションがスムーズになり、修正回数や制作にかかる時間を減らすことができます。
具体的には、以下の内容を動画制作会社に伝えられるように決めましょう。
数値化できる部分は数値化し、誰が見てもイメージを共有できるようにすることが大切です。
動画制作に使用できそうな動画素材・画像・資料などがあれば積極的に提供しましょう。新しく撮影して制作する場合と、既存の素材を組み合わせて制作する場合では大幅に価格が変わります。
動画制作では人件費がかかりますが、キャストやエキストラを会社役員や社員に依頼すれば費用を節約できます。メイクや衣装も社員に準備してもらうことで、さらに人件費を削減することが可能です。
自分に合った動画制作会社を選ぶポイントは、以下の3つです。
希望に合った動画を制作してもらうために、価格のみで制作会社を検討するのはやめてください。コミュニケーションや実績など、さまざまな要素を考慮し、総合的に判断して依頼しましょう。以下、それぞれ詳しく解説します。
制作会社によって、得意とするジャンルに偏りがある場合があります。バラエティ系動画を多く制作している、BtoB系動画の制作実績が豊富など、制作会社によって実績に違いがあるでしょう。動画制作会社を選ぶ際は、必ず動画制作実績を確認し、制作してほしいジャンルのノウハウがあるかを確認してください。
制作フローや見積もりを細かく提示してもらえない場合、予想外に費用がかさむ可能性や、制作が遅延する可能性があります。希望どおりの予算と納期で制作を進めてもらうために、制作フローや見積もりを丁寧に教えてくれる動画制作会社を選びましょう。
動画制作にはさまざまな工程がある分、追加料金も発生しやすいです。どのような作業がオプション扱いになるのか、追加料金が発生するのかなどは特にしっかりと確認してください。制作フローや見積もりに関して曖昧な点が多い会社には、依頼しないほうがよいでしょう。
どれだけ実績が豊富な動画制作会社でも、担当者との相性がよくなければ理想の動画を制作するのは難しいでしょう。動画制作においては、依頼主と制作サイドで密にコミュニケーションを取って、完成イメージを共有できていることが重要だからです。
担当者との相性がよくないと、コミュニケーションをうまく取れず、理想とは異なる動画が完成する可能性が高まります。満足いく動画を制作してもらうために、担当者との会話のしやすさや、仕事の丁寧さ、連絡の頻度なども細かくチェックしてください。
動画制作の価格は、個人に依頼する場合と企業に依頼する場合で相場が大きく変わります。受けられるサービスの内容も、依頼先に応じて異なることがわかったでしょう。
本記事を参考にして、納得できる価格で動画制作を依頼できる動画制作会社を探してください。
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