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クリップスタジオの正式名称はクリップスタジオペイントで、漫画やイラストを制作できるペイントアプリです。略称である「クリスタ」という呼び方もよく使われています。
※クリップスタジオという呼び方はクリップスタジオペイントをさす場合がほとんどですが、この呼び方は正式に言えば「クリップスタジオモデラ―(CLIP STUDIO MODELER)」(モデリングソフト)など、ほかのクリップスタジオシリーズを総称したものです。ここからは、正式名称のクリップスタジオペイントという呼び方を使っていきます。
クリップスタジオペイントは、東京に本社をおく株式会社セルシスが開発しています。国産のアプリなので、日本語の入門動画や使い方マニュアルが数多く見られるのがメリットです。さらにクリップスタジオペイントは、買い切り型と月額利用プランから好きな購入方法を選べます。Adobe製品のサブスクリプション型が割高と感じる人にも魅力的なペイントソフトです。
クリップスタジオペイントにはいくつかの種類があり、それぞれ機能と価格が違います。
基本機能が付いたクリップスタジオDEBUTは、ペンタブレットやパソコンに付属して配布されています。対象のペンタブレットやパソコンを購入した人は、無料で利用できます。
ただし、パソコンでしか使えません。また、ベクターレイヤーなど使えない機能が多いです。
ベクター形式(拡大・縮小しても画像があれない形式)の描画や、ツールカスタマイズ機能等DEBUTにはない便利機能が付いています。月額利用プランなら、パソコン・タブレット・スマートフォンで使用できます。料金は買い切り型で5000円・月額利用プランで240円~(ともに税込 2021年10月時点)となっています。
漫画やイラストだけでなく、アニメーション表現も可能な高機能ペイントアプリです。月額利用プランなら、パソコン・タブレット・スマートフォンで使用できます。料金は買い切り型で2300円、月額利用プランで650円~(ともに税込 2021年10月時点)となっています。
クリップスタジオペイントをデバイスにインストールしたら、さっそくクリップスタジオの基本機能を試してみましょう。
※解説には、WindowsにインストールしたクリップスタジオペイントDEBUTを使用しています。
デスクトップ画面もしくはスタートメニュー内にある「CLIP STUDIO」のアイコンをクリックすると「CLIP STUDIO」のポータル画面が開きます。前述したように「CLIP STUDIO」はサービスの総称で、ここから「CLIP STUDIO MODELER」などのアプリや素材集にアクセスできます。
左メニューの一番上に表示される「PAINT」をクリックすると、クリップスタジオペイントが起動します。
クリップスタジオペイントは、ペンタブレットとともに使うことで手描きさながらのイラストを作成することができます。最初にペンタブレットの感知度を設定して、手書き線の再現度をあげていきましょう。
初めてクリップスタジオペイントを起動したときには、「筆圧調整のためのウィザード」が開くはずです。ここからペンタブレットの設定ができます。「後で調整する」を選択し、ウィザードをスキップすることも可能です。そのときは新規ファイルを作成した後、画面上部メニューの「ファイル」→「筆圧検知レベルの調節」でペンタブレットの設定をしてください。
では「筆圧検知レベルの調節」を行っていきましょう。
まずペンタブレットをパソコンとつなぎます。「筆圧調整のためのウィザード」上の指示に従い、ペンタブレットで適当な線を描いてみましょう。ペンタブレットの入力結果が認識されると「調整結果を確認」が押せるようになるので、クリックしてください。
調整後の筆圧で、キャンバスに描画できるようになりました。
いろいろな線を描いてみて、この筆圧でよい場合は「完了」を、気に入らない場合は「もっと柔らかく」「もっと硬く」で筆圧を調整します。「筆圧グラフを表示」にチェックを入れるとグラフが表示され、もっと細かい調整ができます。納得のいく線が描けるまで試してみてください。
ペンタブレットの準備ができたら、新しいファイルの作成をします。画面上部のメニューの中から「ファイル」→「新規」をクリックしてください。
新規ファイルの設定メニューが開きますので、ファイル名・キャンバスサイズ(用紙サイズ)・解像度・用紙の色などを選び、「OK」をクリックします。キャンバスのサイズについては「カスタム」をクリックすると、ドロップダウンメニューの中から「A4」「B5」などのよく使う用紙サイズを選択できます。
一度決定したキャンパスサイズを変更したいときは、上部メニュー「編集」→「キャンパスサイズを変更」から変更設定を行います。
クリップスタジオペイントでは、左のツールパレットから使いたいツールを選び作業をしていくのが基本です。
ツールパレットには、色を塗ったり、図形を挿入したり、画面を拡大縮小したりといったイラスト作成に必須の基本ツールがそろっています。
まずは、ツールを使って線を描いてみましょう。線を描くツールには「ペン」「鉛筆」「筆」といろいろなものがそろっています。ここでは、「ペン」を選んでクリックします。
ツールを選択すると、右側にツールの詳細を決めるサブツールパレットが開きます。「ペン」ツールには、ペンの種類を選択するサブツールがあります。ミリペン・カブラペン・リアルGペンなど、イラストにあったものを選びます。上のタブから「ペン」と「マーカー」を切り替えることもできます。
サブツールから使うペンの種類を選んだら、サブツールプロパティパレットでペンの太さや透明度の設定をします。サブツールプロパティパレットは、ツールパレットとサブツールパレットの間にある設定アイコンをクリックすると開くことができます。
設定が完了したら、ペンタブレットを使って自由に線を描いてみてください。
クリップスタジオペイントの特長的な機能を使うと、より快適にペイント作業を進めることができます。
クリップスタジオペイントの特長は、豊富な素材を自由にダウンロードして作品に取り込めることです。素材には、画像はもちろん、ブラシ・カラーセット・3Dオブジェクトまで、さまざまなものがあります。有料のものもありますが、無料で利用できる素材もたくさんそろっているので一度のぞいてみてください。
素材は「CLIP STUDIO」(アイコンをクリックしてすぐ表示されるポータル画面)の左メニュー内「CLIP STUDIO ASSETS使える素材を探す」から検索できます。
気になる素材を見つけたら、クリック→画面右上のダウンロードボタンを押します。なお、素材によっては、使えるクリップスタジオペイントのグレードに制限がある場合があります。どのグレードで使えるのかを確認してからダウンロードしてください。
ダウンロードされた素材には、「CLIP STUDIO」の「素材管理」メニューからアクセスできます。あとはクリップスタジオペイントの作業画面にドラッグアンドドロップすることで、利用できます。
素材の利用にあたっては、CLIP STUDIOへのログインが必要です。また、素材の使用には一定の制限がありますので、よく読んでから使用してください。
クリップスタジオペイントでは、多くのペイントアプリと同じく、ワークスペースを自由にカスタマイズできます。特長的なのは、ワークスペースの共有が可能なことです。自分が作ったワークスペースを保存しておくことはもちろん、ほかの人が作った便利なワークスペースをいろいろと試すことができます。例えば、PhotoshopやSAIなど別の有名ペイントソフトに類似したワークスペースも公開されています。
ワークスペースは、「CLIP STUDIO ASSET」から探すことができます。また、クリップスタジオペイントの「ウィンドウ」→「ワークスペース」→「ワークスペースを探す」から検索することも可能です(ただし、この機能はDEBUT版には付いていません)。
「ツールパレットを使い、線を描いてみよう」では、ペンツールを設定できるサブツールについてご紹介しました。サブツールには、リアルGペンやミリペンなどペンの種類がそろっていました。さらに、ツールプロパティパレットではブラシサイズや透明度などサブツールの詳細を設定できました。
クリップスタジオペイントには、PhotoshopやIllustratorとは違う用語がときどき登場しますので、ほかのペイントソフトから乗り換える人は少し混乱してしまうかもしれません。迷わないように、用語をもう一度確認しておきましょう。
クリップスタジオペイントの一番左にあるメニューです。まずは、ツールから作業内容を選びましょう。
ツールを選ぶと表示される、ツールの詳細設定画面です。
サブツールの詳細を設定できる画面です。
基本的な作業の流れは、①ツールを選ぶ→②サブツールを選ぶ→③ツールプロパティを選ぶとなります。
なお、ツールプロパティの他にブラシサイズを選べる「ブラシサイズパレット」や、文字の色を選べる「カラーサークルパレット」などがあります。それぞれの位置関係は、画像を見て確認してください。
赤がツールパレット、青がサブツールパレット、黄色がツールプロパティパネルの起動アイコン、緑がブラシサイズやカラーサークルパレットのアイコンです。
クリップスタジオペイントでは「ペン」「鉛筆」「筆」という3つの描線ツールが使えます。どのツールを使っても線を描くことができますが、どのブラシを使うべきなのか迷ってしまうこともあります。ブラシの特徴をつかめば、場面によってどのブラシを使うべきか判断できるようになります。
ペンを使うと、はっきりとした濃淡のない線を描くことができます。漫画の制作やアニメの輪郭を描くときはペンを使うとよいでしょう。ペンの中でもGペンは線の強弱をつけやすいです。筆圧による表現をしたいときに使ってください。
鉛筆は、ペンと違い線に濃淡をつけることができます。全体的に柔らかい印象の絵を描くのには鉛筆が適しています。塗り重ねて濃さを調節したり、水彩画と一緒に使ったりしても面白いでしょう。また、ペンに比べて線の主張が弱いので、下書きをする際にもよく使われます。
濃淡がはっきり出て、線のかすれやにじみまで表現できるのが筆の特徴です。線の強弱を生かした個性的な絵を描きたいときにぴったりです。水彩ブラシや油彩ブラシのサブツールもセットされているので、芸術的な絵を描いてみたい人はぜひ筆ツールを利用してみてください。
クリップスタジオペイントにはクラウド機能が搭載されています。クラウド機能を使うと、現在のクリップスタジオペイントの環境を別のパソコンと簡単に共有することができます。パソコンの買い替えや、複数人での作業にはとても便利です。また、クラウド上に作成したファイルを保存しておけば、パソコンが壊れてしまいファイルが開けなくなってしまったときでも安心です。
初期状態ではクラウド同期は行われていないので、同期設定が必要です。まず、「CLIP STUDIO」にログインします(アカウントを持っていない場合は、作成してください)。
ログイン後、画面上部の雲のアイコン(クラウド)をクリックします。
クラウドの画面が出てくるので「クラウド設定」を選んでクリックします。
同期設定は「作品の同期」「素材の同期」「アプリ設定の同期」に分かれています。クラウドの容量を考えながら、好みの設定を行い「設定を保存」をクリックします。
クリップスタジオペイントは、初心者からグラフィックのプロまで広く使われているペイントソフトです。数多くのツールがあるため最初は戸惑うかもしれませんが、一度基本のやり方を覚えてしまえばスムーズに使うことができるのではないでしょうか。また、各種素材やツールを追加でき、クラウド機能で作品や設定をバックアップできるのが魅力です。買い切り型があるので、サブスクリプションは損だと感じている人にもぜひ試してほしいアプリです。
クリップスタジオペイントには、ここで紹介した以外にもさまざまな機能があります。基本の使い方に慣れたら、ほかにどんな便利な機能があるか検索してみてください 。
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