目次

各フォーマットの配信面・推奨尺・得意目的を2025年時点の仕様に沿って要点だけ比較し、目的別(到達・視聴・行動)の選定判断に直結する基礎知識をまとめてみました。
YouTubeとGoogle動画パートナー(GVP)の動画の前後・途中に挿入され、5秒後にスキップできます。到達と視聴のバランスが良く、商品の理解促進や比較検討段階に向いています。課金や最適化はキャンペーン設定に依存し、マルチデバイスで配信されます。
最後まで視聴される前提の短尺フォーマットです。地域・在庫条件つきで「最大30秒」のノンスキップがGoogle広告で利用可能になっており、確実なメッセージ到達やCTV接触を狙う場面で有効です(一般仕様としては15秒以下の案内も併記されています)。
検索結果、関連表示枠、YouTubeアプリのホームなどフィードにサムネイル+テキストで表示され、クリック後に視聴が始まります。能動的に「選んで視聴」されるため、比較検討やチャンネル育成と相性が良い形式です。公式ヘルプ上で旧称「Video discovery ads」は「In-feed video ads」に改称されています。
ショートのフィード間に差し込まれる縦型短尺の広告です。モバイル中心に広範へリーチでき、自然なスワイプ体験に溶け込むクリエイティブ設計が重要です。専用のショーツ広告ガイドが公開されており、縦動画前提で設計します。
6秒以内の超短尺ノンスキップで、フリークエンシーを抑えながら想起を積み上げたいときに適しています。シリーズ配信や他フォーマットとの組み合わせで効果を発揮します。
YouTubeホーム上部に掲出する大型フォーマットで、一定インプレッション量を予約購入して短期に大規模到達を実現します。購入はGoogle担当者経由、またはDV360/Google AdsのReservation機能からの予約が必要です。
YouTube外の提携サイト/アプリ(Google動画パートナー)に、記事やフィード内でミュート自動再生される動画広告です。YouTube到達だけでは取り切れない増分リーチの積み増しに有効で、可視範囲やユーザー操作に合わせて再生/ミュート解除が制御されます。
各フォーマットの到達面・尺・課金/最適化の違いが判断軸です。まずは表で全体像をご確認ください。
〈YouTube動画広告 主要7種類の比較表(2025年最新版)〉
| フォーマット | 主な目的 | 主な配信面 | 推奨尺・仕様 | 課金/最適化 | 強み | 注意点 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| スキップ可能インストリーム | 視聴・比較検討・行動 | YouTube、Google動画パートナー | 5秒後スキップ。尺上限の実質制約なし | CPVまたはインプレッション(最適化はキャンペーン設定に依存) | 汎用性が高く在庫が広い | 冒頭5秒での離脱を想定した設計が必須 |
| スキップ不可インストリーム(~30秒) | 確実な到達・認知 | YouTube(一部 YouTube TV/CTVも) | 一般的に15秒以内。Google Adsでは30秒対応が順次展開(地域・在庫条件あり) | tCPM(インプレッション課金) | メッセージ完遂・認知効率 | 在庫/地域制約や単価上昇に留意 |
| インフィード(旧 Video discovery) | 発見・比較検討・チャンネル育成 | YouTube検索結果、Watch Next、ホーム | サムネ+テキスト表示。クリック後に再生開始 | 視聴選択時に課金(実装仕様に依存) | 「選んで視聴」で関心層に届く | クリエイティブ(サムネ/タイトル)の影響大 |
| YouTubeショート広告 | モバイル広範囲の到達・頻度 | Shortsフィード間 | 縦9:16。スワイプで即スキップ | キャンペーンタイプに依存(VVC/VRC/Demand Gen 等) | 若年層を含む大規模到達 | スクロール速度が速く、冒頭可視性の設計が要点 |
| バンパー(6秒) | リーチと想起の積み上げ | YouTube ほか | 6秒以下ノンスキップ | tCPM | 低負担で高頻度設計に向く | 伝達できる情報量は限定的 |
| マストヘッド(予約型) | 短期で大規模到達・話題化 | YouTubeホーム上部(全デバイス) | 予約購入(Instant Reserve/DV360/Google Ads Reservation) | 予約型のCPM | 圧倒的な視認と面の優位 | 事前計画・高単価・審査に留意 |
| アウトストリーム(YouTube外) | 増分リーチの獲得 | Google動画パートナー上の記事/フィード/アプリ | 画面内でミュート自動再生、可視範囲で再生 | 主に vCPM 系(可視範囲ベース課金の設計) | YouTube外で新規接触を拡張 | 無音前提の最適化が必要 |

最適化の軸は「視聴(VVC)」「到達(VRC)」「関与〜行動(Demand Gen)」の3本です。どのフォーマットをどんな目的でどう混ぜるかはこの3タイプで決まります。
視聴数や視聴率を最大化する設計です。インストリーム、インフィード、ショートなど複数フォーマットを自動で組み合わせ、より多くの「視聴」を獲りにいきます。視聴を起点にした比較検討の促進や、チャンネル資産の育成と相性が良いです。設定はGoogle 広告の新規キャンペーン作成で「Video → Video views」を選択します。
予算当たりのユニーク到達(または計画した頻度)を最大化します。バンパー、スキッパブル、ノンスキップ、インフィード、ショートなどから最適ミックスを組みます。短期間に「まずは幅広く届ける」フェーズの起点に向き、到達重視のKPIに適合します。作成手順や最適化オプション(効率的リーチ、ノンスキップ重視など)は公式に詳細が整理されています。
YouTube(ショート、ホーム、検索結果、次の動画)に加え、DiscoverやGmailなどブラウズ面に広げて関与と行動を獲得します。ソーシャル起点の静止画・カルーセル・動画を横断でき、素材の組み合わせで閲覧→比較→CVの回遊を設計しやすいのが特長です。既存のVideo Action Campaigns(VAC)はDemand Genへ段階的に置き換えられています。
3タイプの主目的・対応面・入札の違いが判断軸です。
〈キャンペーンタイプ比較表〉
| タイプ | 主要KPI/最適化 | 主な配信面 | 対応クリエイティブ | 代表的な入札 | 使いどころ | 注意点 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| VVC(Video views) | 視聴数・視聴率を最大化(ターゲットCPV) | Skippable in-stream/In-feed/Shorts(マルチフォーマット) | 縦・横・正方形。最大5本まで登録し、向きの異なる素材推奨 | tCPV(Cost-per-View) | 比較検討の促進、視聴獲得、チャンネル育成 | Shortsはマルチフォーマット有効時のみ。バンパー/ノンスキップはビュー対象外 |
| VRC(Video reach) | ユニークリーチ/計画頻度の最大化 | Bumper/Skippable/Non-skippable/In-feed/Shorts(構成選択可) | 横・縦の短尺中心。15秒/30秒(CTV)や6秒の組み合わせも可 | tCPM(インプレッション最適化) | 認知の立ち上げ、短期の大規模到達 | 30秒ノンスキップは主にCTV在庫。面の組み合わせで推奨尺が異なる |
| Demand Gen | クリック/コンバージョン(価値) | YouTube(Shorts/ホーム/検索/次の動画)+ Discover + Gmail(+ GDN) | 動画・画像・カルーセル・商品フィード | Maximize Clicks/Maximize Conversions/Conversion Value | ブラウズ面での関与→行動獲得、CV設計 | VACは順次Demand Genへ移行。面が広いためクリエイティブの適合が重要 |

認知(到達)を最大化したいならVRC、視聴や関与を増やしたいならVVC、行動・コンバージョンを狙うならDemand Genが第一選択です。KPIと面の特性が合うフォーマットを組み合わせるのが基本です。
VRCで「効率的リーチ」などの到達最適化を選び、バンパー/スキッパブル/ノンスキップ/インフィード/ショートから最適ミックスで配信します。短期間にユニークリーチを取りにいく設計で、必要に応じてCTVやショートを含めた到達面の拡張も可能です。
VVCを使うと、インストリーム/インフィード/ショートを自動で組み合わせ、もっとも視聴が伸びる面に配分されます。視聴指標(View、視聴率)を主KPIに据え、ABCD原則に沿った冒頭設計とブランディングで視聴完了や後続行動を促します。
Demand GenはYouTube(ショート・ホーム・検索・次の動画)に加え、DiscoverやGmailなどのブラウズ面にまたがり、画像/動画/カルーセルや商品フィードを使って関与〜行動を獲得します。最適化はクリック、コンバージョン、またはコンバージョン値に対応します。
認知ではユニークリーチやフリークエンシーに加え、ブランドリフトで想起・認知の変化を確認します。視聴ではView・視聴率・エンゲージメントを主軸に、行動ではクリックやコンバージョン指標で評価します。

ABCD原則に沿って冒頭で掴み、ブランドを早期に提示し、視覚と音でつなぎ、明確な行動指示を置くことが基本です。Shortsでは縦型・高速展開、CTVでは大画面での視認性と30/60秒在庫の活用を前提に設計します。
ABCDはAttention・Branding・Connection・Directionの4要素で構成され、YouTubeの実証研究に基づくフレームです。売上リフトやブランド貢献の向上が報告されており、動画広告の土台として採用します。
最初の数秒で視線を固定するため、被写体の寄り、テンポの速い編集、画面中央の動き、強いコントラストを用いると効果的です。音のない環境でも意味が伝わるよう、文字要素や視覚的合図を併用します。
開始直後からロゴ・商品・ブランド名を画面に出し、ナレーションや台詞でも名称を言及します。途中でも再提示して想起を積み上げます。
視覚の訴求と音声のメッセージを一致させ、無音でも通じる設計にします。スマートフォン中心の視聴を想定し、字幕や大きめテロップ、明瞭な被写界で理解負荷を下げます。
CTAの言語と画面内の誘導要素を一致させ、クリック先の体験とメッセージを連動させます。目的が視聴・到達以外なら、行動を明確に言い切る表現を先頭寄りに配置します。
Shortsは縦型全画面の高速スワイプ環境です。9:16のアセット、短尺、中央付近の文字配置、早い導入、音源の使い方など公式ガイドに沿って設計します。対応するキャンペーンタイプ(VVC/VRC/Demand Gen)での配信条件や推奨尺も確認します。
テレビ画面では細部より大きな構図と少ない文字量が有利です。YouTube TVやSelectの30秒・60秒在庫を活用しつつ、遠目でも判読できるサイズのロゴや商品、簡潔なコピーを用います。
横16:9・縦9:16・正方形1:1を基準に複数比率の素材を用意しておくと、面の自動最適化に対応しやすくなります。最低解像度や安全領域、比率ごとの注意点は公式の仕様ページに従います。

効果測定の3本柱(コンバージョン計測/Brand Lift/動画テスト)を順番に設計し、得られた結果を運用へ反映する一連の流れを整理します。
まず、目的に合わせてKPIと測定手段を対応づけます。認知はBrand Lift、視聴・関与は視聴数や視聴率・エンゲージメント、行動はクリックやコンバージョンで評価します。ここでCTV配信の有無やSearch Liftの要否まで見取り図を作っておくと、以降の実装が迷いなく進みます。
次に、上で定めたKPIを正しく捉えるために計測を実装します。クリックCVに加え、EVC(スキップ可能インストリームは少なくとも10秒視聴〔10秒未満の広告は最後まで〕/インフィードやショートは少なくとも5秒視聴後のCV)とVTC(非クリック経由で後日に発生したCV)を有効化し、行動指標の取りこぼしを防ぎます。これにより、Brand Liftで測る態度変容との因果の手がかりが揃います。
さらに、到達や視聴の裏側で起きる想起・認知・検討の変化をBrand Liftで可視化します。結果に基づき、ターゲティングやクリエイティブ、配分(VVC/VRC/Demand Gen)の仮説を更新します。とくに大型出稿やCTV面の活用時は、事前・事後での計測設計が改善点の特定に直結します。
そのうえで、検索行動の増減や増分コンバージョンの有無をSearch LiftやConversion Liftで補強します。提供条件に合致する期間で導入すると、Brand Liftとコンバージョン計測の間を橋渡しでき、上流の態度変容が下流の行動に与える影響を立体的に評価できます。
続いて、動画エクスペリメントでA/Bテストを行います。冒頭の掴み、尺、CTA、縦横比など1要素ずつ同条件で比較し、Brand Liftと視聴・CV指標を併読して勝ちパターンを抽出します。

最後にGoogle広告での動画キャンペーンとしての、Youtube広告の出し方を学びましょう。
キャンペーン作成前に以下の事前準備を行ってください。
それでは動画キャンペーンを作成していきます。

YouTube広告において最重要なのは、目的とKPIから設計を逆算し、配信タイプと面をそれに一貫させることです。次に、面の文脈に合うクリエイティブを用意し(誰に・何を・今なぜを一目で伝える)、過不足ない計測で「認知→関与→行動」の変化を継続的に見ます。運用は仮説→小さくテスト→速く反映の循環を崩さず、到達とブランド適合性のバランスを保ちながら不要な制限は最小にします。
最後に、素材・設定・レポートの基本を常に整え、学びを配分と表現に反映し続ける運用習慣こそが成果を安定させます。
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