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ブランディングを知るためには、まずブランドとは何かを明確化しておく必要があるでしょう。
一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会では、「ある特定の商品やサービスが、消費者・顧客によって識別されている時、その商品やサービスを『ブランド』と呼ぶ」と定義づけています。この定義から、ブランドとは企業と顧客両方に共通のイメージを抱かせる役割を果たしていることがわかります。
商品のデザインやシンボルマーク・商標・名称・キャッチフレーズ・記号など、様々な要素がブランドを形成するのですが、それらはすべて同じイメージで1つの方向を指し示している必要があるということです。このことからブランディングとは、商品やサービスについて顧客に共通のイメージをもってもらえるようにするために行うマーケティング戦略だと言えます。
ブランディングを行うメリットを5つご紹介します。
ブランドの名前やロゴなどで、競合他社の商品やサービスと見た目ではっきりと区別することができます。
ブランドのイメージが判断材料となるため、顧客側は商品やサービスの選択にかける時間や手間を削減できます。
競合他社と価格で競争することを避けられ、利益を担保したある程度高い価格で商品やサービスを販売できます。
商品やサービスを販売するためにかかる広告費・宣伝費などを削減しやすくなります。
ブランドネームは登録商標、商品を製造するプロセスは特許権、パッケージデザインは意匠権、コンテンツは著作権上の保護を受けることができます。
企業がブランディングを行うことでもたらされるメリットはとても多いことがわかります。
集客をするうえで、ブランディングはマーケティング戦略として重要だということがご理解いただけたかと思います。
では、なぜYouTubeチャンネルでブランディングをする必要があるのでしょうか。それは、ユーザーに自分のチャンネルの世界観を共通のイメージとしてもってもらい、覚えてもらうためです。
YouTubeチャンネルを立ち上げ、たくさんのユーザーに見てもらうためには、コンセプトや世界観をしっかりと作った上でそれを共通認識として伝えるための戦略=ブランディングが必須だと言えます。
YouTubeチャンネルでブランディングをする方法を5つのステップに分けてご紹介します。
YouTubeチャンネルでブランディングをする際は、自分のチャンネルが置かれている市場の動向やトレンドを知る必要があります。市場の動向をデータ化して分析するには、競合調査を行うのがおすすめです。
YouTubeチャンネルのブランディングのために競合調査を行う時のポイントを4つご紹介します。
現在の市場の競合状況ごとに3種類の調査目的があります。
→競合しているチャンネルの内容を調べることが目的となります。
→競合しているチャンネルの数やどのような運営母体なのかを調べることが目的となります。
→競合する可能性があるとすればどのような運営母体か、想定されるマーケティング戦略はどのようなものかを調べることが目的となります。
YouTubeチャンネルのブランディングを行うためには、まず競合しているチャンネルとの差別化をどこでできるかが重要になるため、競合チャンネルの内容や運営母体の戦略が理解できればブランディングの方向性を定めやすくなります。
競合するYouTubeチャンネルが多数存在し全てを調査するのは難しいという場合は、動画のターゲット層が似ているYouTubeチャンネルと、マーケティング戦略が似ているYouTubeチャンネルに絞って競合調査を行うことをおすすめします。
YouTubeチャンネルのブランディングを効率的に行うための項目を考えましょう。
例えば競合するチャンネルの「顧客層」「動画に対する評価」「コメントの内容」など調べたい項目はたくさんあるかもしれませんが、ブランディングとして差別化するために必要な情報とは何かを考えて調査項目を選択することが重要です。
競合調査の結果を分析するにはさまざまなフレームワークがありますが、YouTubeチャンネルのブランディングを行うなら4P分析をしてみてはいかがでしょうか。
4P分析とは「Product(製品)」「Price(価格)」「Place(流通)」「Promotion(プロモーション)」の4つの視点からターゲット市場を分析し、自社の課題や強みを発見する分析手法です。自分のYouTubeチャンネルの強みを把握できれば、ブランディングもしやすくなるでしょう。
競合調査の分析結果を基に、YouTubeチャンネルのコンセプトを決めましょう。YouTubeチャンネルのコンセプトというのは、ユーザーにもってほしいブランドイメージそのものとなります。
そのためには、競合調査の分析結果から競合する他のチャンネルと差別化できるポイントを見つけ出し、それをオリジナルのコンセプトとしてYouTubeチャンネルに落とし込んでいくのです。
競合調査とその分析がしっかりできていれば、数年後も一貫性のあるコンセプトを立てることが可能です。
決定したコンセプトを基に、YouTubeチャンネルの設計を次の手順で行います。
ブランディングをするためにはYouTube検索で名前を検索してみて、類似する名前がないかどうかを必ずチェックしましょう。
インパクトの強い名前にすることができれば、それだけでもユーザーの興味を惹くことが可能です。
GoogleやYouTube内で表示されるアイコンです。
YouTubeチャンネルの顔となる画像なので、ブランディングをするためにはロゴなどユーザーにとって覚えやすい画像を設定しましょう。
YouTubeチャンネルのトップページに表示されるバナーを指します。ブランディングを行うためには商品やサービスの画像・ロゴなど、ブランドをイメージしやすいものを選ぶことが重要です。
PC・スマホ・タブレット端末などのデバイスを問わず最適なサイズで表示するためには、2,560×1,440ピクセル以上にしましょう。
新規ユーザーにそのYouTubeチャンネルの内容を紹介するための動画で、チャンネル登録を行っていないユーザーがYouTubeチャンネルのトップページを開くと表示されます。
ブランディングをするためには、動画広告と同じようになるべく最初の数秒で新規ユーザーにインパクトを与える内容とし、ブランドイメージをしっかりと伝えましょう。
過去の動画をリスト化してまとめて見てもらうことができる機能です。
ブランドイメージが伝わりやすいので、漠然と人気動画などでまとめるのではなく、個性的なまとめ方を工夫するのがよいかもしれません。
テキストでYouTubeチャンネルの説明やSNS・Webサイトへのリンクを掲載できます。
簡潔にわかりやすく表示することで、YouTubeチャンネル以外の媒体にも興味をもってもらえるでしょう。
YouTubeのブランディング機能を使用すると、動画にYouTubeチャンネルのロゴや画像を重ねてチャンネル登録を促すことができます。
表示するタイミングも選択できるので、一定のブランディング効果が見込めるでしょう。
設定したコンセプトを基に動画を制作します。この時、サムネイル・動画タイトル・動画全体の雰囲気をコンセプトに合わせて統一感を出すように工夫しましょう。
一貫性のある動画発信は、YouTubeチャンネルのブランディングにつながりやすくなります。
ただし、似たような内容の動画ばかりではユーザーは飽きてしまうので、動画の企画には注意が必要です。
YouTubeチャンネルの内容がある程度整ってきたら、ユーザーとのコミュニケーションでブランドに対する共通イメージを少しずつ浸透させていきます。
コメントへのいいねや返信・コミュニティ・チャンネルメンバーシップ・Super Chat・Super Stickersなど、ユーザーとコミュニケーションを取るための機能がYouTubeチャンネルにはたくさんあるので、ブランドイメージに合った機能を用いるのが良いでしょう。
数あるYouTubeチャンネルの中から、ブランディングに成功しているチャンネルを5つご紹介します。
「ゾゾゾとは、心霊スポットや恐怖ゾーンといった日本全国のゾゾゾスポットをレポートして、ホラーポータルサイトを作るという壮大な目標を掲げたホラーエンタテイメント番組です。」をキャッチコピーに、チャンネルタイトル通りの恐怖系動画をたくさんリリースしているチャンネルです。
チャンネル名・チャンネルアートからすぐに動画内容をイメージでき、チャンネル紹介動画に総集編をもってきて、詳細をわかりやすく伝えようという努力がうかがえます。
2021年3月現在、登録者数56.3万人とその数を増やしていて、ブランディングに成功していると言えるでしょう。
2001年~2004年まで日本テレビで放送した「¥マネーの虎」に出演していた岩井良明社長が立ち上げた、令和の時代における新しい「¥マネーの虎」を見ることができるYouTubeチャンネルです。
「¥マネーの虎」は起業志願者が虎と呼ばれる社長に事業計画をプレゼンし、出資を募るという番組でしたが、当時は今ほど起業するのは簡単なことではなかったためさまざまなドラマが生まれました。
当時の雰囲気を崩さずにYouTubeチャンネルとしてブランディングし起業志願者への出資を続けながらも、当時の裏話やビジネスについての話も聴くことのできる中身の濃いチャンネルへと仕上がっているため、登録者数も10万人超えで大人気のチャンネルです。
クレーンゲーム攻略法に特化してブランディングしたYouTubeチャンネルです。
攻略法の説明がとにかくわかりやすく、クレーンゲーム初心者でもこの動画を見れば景品をどうすれば効率良く獲得できるか理解できるようになっているため、最大2800万回再生の動画もあります。
派手さのあるブランディングではありませんが、ユーザーのニーズに合った、競合にはできない質の高い情報を発信していることがこのチャンネルの1番の魅力だと言えるでしょう。
大食い系YouTuber・谷やんさんのYouTubeチャンネルです。
谷やんさんが他の大食い系YouTuberと異なるのは、なんといってもその料理の腕です。和食のプロ料理人レベルの知識や技術を惜しみなく活用して大量の料理を作り、それをお酒を飲みながらゆっくりと楽しむという内容の動画が多く、調理時の内容も含まれるため30分以上の長尺動画がほとんどなのですが見飽きません。
差別化でしっかりとブランディングされた戦略的なYouTubeチャンネルと言えるでしょう。
かわいらしいコスプレをした男性ベーシスト・H.J.Freaksさんがボカロ曲やアニメソングなどを中心にベースで演奏し、その素晴らしいテクニックを披露してくれるYouTubeチャンネルです。
最初は服装にどうしても気を取られがちですが、スラップのテクニックやアクティブな動きをしても涼しい顔で演奏される様子に惹きつけられます。
ベーシストは地味なイメージがあるので、このような派手な雰囲気を醸し出すだけでもとても目立ち、しっかりとブランディングできることがわかります。
YouTubeチャンネルのブランディングは、ユーザーに自分のチャンネルの世界観を共通のイメージとしてもってもらい覚えてもらうために行いますが、しっかりと競合チャンネルと差別化することでチャンネルの人気が高まる効果の高いマーケティング手法であることがわかりました。
YouTubeチャンネルを開設するなら、ぜひブランディングにも力を注ぎ、たくさんのユーザーを楽しませることができる人気チャンネルへと成長させてみてください。