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スキップされない動画広告について考える時にまず重要なのは、まずユーザーがどのような広告を見ているのかを知ることだと言えるでしょう。
2020年にマイボイスコム株式会社が行った「第3回「インターネット広告に関するアンケート調査」の結果では、直近1年間で表示された動画広告の1位はが「画面端に表示される動画の広告」(ディスプレイ広告)で56.5%、2位はが「YouTube等の動画サイトのスキップできる動画広告」(インストリーム・スキッパブル広告)で39.2%、3位はが「YouTube等の動画サイトのスキップできない動画広告」(インストリーム・ノンスキッパブル広告)で28.5%という結果でした。
しかしこの中で動画内容を確認する読む人はわずか4割弱で、動画広告の中で一番視聴されている「画面端に表示される動画の広告」(ディスプレイ広告)でも、わずか8%~9%の人がその内容を確認しているに過ぎなかったのです。
動画情報を文字情報に換算すると約180万単語分に相当し、1分間の動画ではWebページ3,600ページ分の情報量に匹敵すると言われるため、動画広告はリスティング広告などのテキストのみの広告と比較すると動画広告の訴求効果は格段に高いはずです。
しかし、アンケート結果から浮かび上がるによると、広告を見たユーザーのうち最も多い行動は、「広告を閉じた」で37.1%を占めます。また、20%以上の人が、「YouTube等の動画サイトのスキップできない動画広告」に好感がもてずを不快に感じているというデータもあるのです。
これらのことを総合すると、ユーザーにとって動画広告には興味がない場合は不快感があるため、り画面を閉じるといった行動を引き起こし、興味がある場合には訴求効果が見込めるということがわかります。
また、2012年にYouTubeでは、「インストリーム動画広告に関する調査」において、スキッパブル広告とノンスキッパブル広告を見た人の生体反応を調べる実験を行いました。その結果、スキッパブル広告・、ノンスキッパブル広告どちらでもにおいても、最初の5秒間でエンゲージメント率(動画広告に対して、どれだけのいいね・、クリック・、シェアなどの反応がどれだけあったかを示す数値)が通常より高くなっていることがわかりました。
この2つの調査結果から、スキップされない動画広告を作るためには「最初の5秒」が重要で大きな意味をもつあることがわかります。
参照元:マイボイスコム株式会社 第3回「インターネット広告に関するアンケート調査」
スキップされない動画広告の制作について考える前に、YouTubeのTrueView広告とは何かについておさらいしておきましょう。
TrueView広告とは、YouTubeのサイト上に配信できる広告のことを指します。
YouTubeはGoogleのサービスの1つなので、TrueView広告はGoogle広告の管理画面で編集・設定することが可能です。
YouTubeは日本で6,500万人、全世界で20億人のユーザー数を誇る大規模動画プラットフォームであるということからも、TrueView広告のは運用次第でかなりの訴求効果を見込めることがわかります。
TrueView広告には主に3種類のフォーマットがあるので、特徴を表にまとめてみました。
TrueView広告の種類 | 配信場所 | 課金方法 | スキップ |
---|---|---|---|
インストリーム広告 | 動画本編が再生されるディスプレイ内 | スキッパブル広告はCPCV課金(動画広告が完全視聴されると課金される)、ノンスキッパブル広告はCPM課金(動画広告が1,000回表示されると課金される) | スキッパブル広告は可、ノンスキッパブル広告は不可 |
ディスカバリー広告 | トップページや検索結果、関連動画の横の部分 | CPC課金(クリックして動画広告が視聴されると課金される) | 不可 |
バンパー広告 | 動画本編が再生されるディスプレイ内 | CPM課金(動画広告が1,000回表示されると課金される) | 不可 |
3種類の広告フォーマットについて、それぞれのメリットをご紹介します。
インストリーム広告のメリットは次の3つです。
動画時間がには短くても動画から多くの情報を盛り込めることから、商品名やサービス名・、概要などをユーザーに広く認知してもらうことにつながるでしょう。
テレビCMなどと比較すると広告料金が安いため、インストリーム広告は費用対効果が高いと言えます。
ユーザーにとって面白いと感じる動画広告はSNSなどで拡散されるので、二次的な広告効果が見込めるでしょう。
ディスカバリー広告のメリットは次の3つです。
ディスカバリー広告はユーザーが自らクリックしないと再生されない動画広告のため、本当にその情報をが必要としているなユーザーのみにリーチすることが可能となります。
2020年に総務省より発表された「令和2年版情報通信白書」によると、インターネットを利用する際に使用する機器の割合は、2016年を境としてPCよりスマホ・タブレット端末が上回るようになりました。
そのため、動画広告もスマホ・タブレットで視聴されることを予想して出稿する必要がありますが、ディスカバリー広告は広告主のこのようなニーズにぴったりと合致したフォーマットだと言えるでしょう。
ディスカバリー広告はユーザーが自らクリックして動画を視聴する形のため、内容次第でユーザーの購買に行動へとつなげることが可能になります。
バンパー広告のメリットは次の3つです。
バンパー広告の尺は6秒と短いため、ユーザーの気分を害することが少ないに比較的不快感を与えにくいと言われています。
インストリーム広告の場合、スキップボタンにも意識が行くため動画への注意が削がれがちですが、バンパー広告にはそもそもスキップボタンが表示されないため、ユーザーは広告の内容により集中しやすくなるでしょう。
バンパー広告は6秒という短さから、動画広告とは言ってもそれほど多くの情報を詰め込むことはできません。そのため重要な事項だけをシンプルに、ユーザーにとってわかりやすく伝えることができます。
動画広告を配信した際、ユーザーがそれを動画広告と判断し、スキップするかどうかを決めるまでにかかる時間は、およそ0.5秒と言われています。
つまりスキップされない動画広告となるかどうかは、このわずかな時間で決められてしまうということです。次に、スキップされない動画広告を制作するためのポイントを3つご紹介します。
2015年に株式会社ジャストシステムが行った「動画広告に関するアンケート」の結果によると、YouTubeで5秒以内に動画広告をスキップしなかった経験がのある人の割合は43.4%であることがわかりました。
またYouTubeで動画広告をスキップしなかった理由の1位が「インパクトのある映像に引き込まれたから」で46.8%を占めていることから考えると、動画広告においては最初の5秒でユーザーの興味を喚起し、強い印象を与える必要があると言えるでしょう。
最初の5秒でユーザーにインパクトを与えるための具体的な手法をご紹介します。
BGMや音楽などもユーザーの印象に残るようなものを選択し、映像とともにトータルでアピールすることが大切です。
参照元:株式会社ジャストシステム「動画広告に関するアンケート」※
2019年にYahoo!Japanが行った自社調査の結果によると、5秒以内でに何の訴求かわからない動画広告に比べ、と3~5秒以内で訴求内容を理解でき興味を引く動画広告では、ブランド認知効果が144%、メッセージ連想効果が168%、購入意向が155%にまで高まることがわかりました。
この結果から、動画広告では、まず冒頭でどのような商品やサービスなのかをユーザーが理解できるような内容にすることが大切だとわかります。
参照元:Yahoo!Japanが考える「動画広告」の4原則※
インパクトを与えようとユーザーに対して5秒以内に強く商品やサービスをアピールし過ぎたり、売り込みをかけたりするのは却って逆効果となり、ユーザーの離脱につながってしまいます。
直接的な表現は避けることや、いかにも宣伝だとわかるような構成にしないことがスキップされない動画広告へとつながるでしょう。
5秒以内にスキップされない動画広告の事例を3つご紹介します。
AmazonのECサービス「Woot!」が制作したのは、結末の読めないコント仕立てにした動画広告です。最初の5秒で出演者が胸にメッセージが書かれたTシャツをいきなり脱ぎ始め、何が起こるのかわからないことから目を惹きつけられます。
その後も出演者はTシャツを脱ぎ続けることで、「Woot!」で注文すると素早く届くといったサービスの良さをメッセージでアピールし続けるのです。この動画広告は「Woot!」の公式チャンネルで2021年3月現在、1,600万回以上も視聴されています。
無印良品のイメージ動画広告です。最初の5秒間は麻のシャツの大写しから開始するのですが、ナレーションもテキストも挿入されていません。
そして不協和音を多用したBGMが、「この先どうなるのだろう」という気持ちを掻き立てる効果を発揮しています。
麻のシャツがさまざまな季節やさまざまなシーンで着られることをユーザーが想起できたあたりで、無印良品のロゴと共に動画が終了します。
女優の新垣結衣さんが出演しているサントリー「十六茶」の動画広告です。
最初の5秒で「いま スキップボタン 押そうとしてるでしょ」という新垣さんの声とテキストで語り掛けられ、「お願い!スキップしないで!最後まで見てね」とお願いされた後に本編が始まるという仕掛けが施されています。
好感度の高い新垣さんにインパクトのあるセリフを言わせることによって、最後までユーザーを離脱させず、印象にも残る動画広告と言えるでしょう。
5秒間スキップされない動画広告は、その後の目的が問い合わせや購入行動などのコンバージョンとなりますが、少しでもコンバージョン率をアップさせるためにできる動画内での工夫は何でしょうか。
2つご紹介します。
どれだけ動画広告に興味を持ってくれたユーザーでも、その集中力がいつまでも持続するわけではありません。必要なことを簡潔に伝えてユーザーに飽きさせず、良い印象を残すためにも、動画の尺は1分前後にまとめるようにしましょう。
動画広告の最後の5秒間でLPへの誘導やチャンネル登録など、目的の行動に結びつけられるように促すようにしましょう。ここがしっかり押さえられていないと、ユーザーは動画視聴後に何をすればよいのかがわからなくなり、結果的に離脱を招いてしまいます。
ユーザーからスキップされない動画広告とは、最初の5秒以内でユーザーにインパクトを与え強い印象を与え、どのような商品やサービスのを訴求ポイントしているのかがしっかりと伝わり、最後にはコンバージョンへとスムーズに結びつけることができる動画広告ものだということがわかりました。
素晴らしい映像・、ナレーション・、音楽をどれだけ組み合わせても、動画広告はまずユーザーに見てもらわなければ広告としての効果は発揮できません。
ユーザーに商品やサービスについてしっかりと理解してもらうためにも、スキップされない動画広告作りを心掛けてみてください。
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