COLUMNコラム
後部座席でタクシーサイネージを見る女性
動画マーケティング

「タクシーサイネージ」とは?メリットや活用方法について解説!

生活者の移動空間に直接アプローチできる手段として、「タクシーサイネージ広告」への注目が高まっています。
車内に設置されたデジタルディスプレイを通じて、場所や時間、さらには乗客の属性に応じた映像コンテンツの配信が可能となり、広告の分散化が進む中でも有効なチャネルとして再評価されています。
広告規制やプライバシーへの配慮が求められる今、移動中という特有の環境を活かしたタクシー広告は、ブランド訴求の新たな選択肢となりつつあります。
本記事では、その特徴や種類、活用戦略について詳しく解説します。

タクシー広告とは?

タクシー

タクシー広告は、乗車中の乗客や走行中の歩行者・ドライバーに訴求できる移動型広告の一つです。ここでは、その代表的な種類についてご紹介します。

アドケース広告

座席背面に設置されたケースにリーフレットを入れる手法です。手に取って持ち帰ってもらいやすく、低コストで実施可能です。

レシート裏広告

精算時に受け取るレシートの裏面を使う広告です。自然と目に触れやすく、家に持ち帰ることで再認知も期待できます。

サンプリング広告

降車時にドライバーから試供品を直接配布します。受け取り率が高く、商品体験を通じた訴求が可能です。

車体ラッピング広告

車体に直接デザインを施すインパクトのある広告です。街中で目立ちやすく、ブランド認知度の向上が見込めます。

行灯広告

タクシー上部の表示灯を使った広告です。周囲への視認性が高く、エリアターゲティングにも向いています。

ステッカー広告

タクシーの車内外にステッカーを貼り付けるシンプルな広告手法です。車内ではドア付近や座席前などに掲出され、乗客の視界に入りやすく、車外では歩行者や後続車へ自然と訴求できます。

動画広告

車内に設置されたタブレットで映像を配信する新しい広告形態です。車内タブレットを活用した動画広告について、詳しく解説していきます。

動画を活用した広告:タクシーサイネージとは?

動画を活用した広告:タクシーサイネージのイメージ

デジタル技術の進化により、タクシー広告も映像コンテンツによる表現が導入されるようになりました。中でも「タクシーサイネージ」は、車内に設置された専用タブレットを通じて動画を配信する形式であり、紙媒体とは異なる情報提供が可能です。

従来のポスターやチラシと異なり、動画による表現はより多様な情報を伝えることができます。配信されるコンテンツは、事前に収録・編集された映像であり、特定の時間帯や曜日ごとに変更されることもあります。

タクシーサイネージの市場規模

タクシーサイネージの市場規模

引用元:株式会社CARTA HOLDINGS  CARTA HOLDINGS、デジタルサイネージ広告市場調査を実施 ~2021年のデジタルサイネージ広告市場規模は594億円の見通し、2025年には1083億円と予測~

この図は、2021年12月に株式会社CARTA HOLDINGSが発表した、タクシーサイネージ広告市場規模の推計です。同調査によると、2021年の屋外広告におけるデジタルサイネージの市場規模が75億円となっており、屋外広告との比較からも、いかにタクシーにおけるデジタルサイネージ広告が積極的に活用されているかがわかります。

市場規模からも多くのタクシーで今や当たり前のように設置されていることがわかるタクシーサイネージですが、さまざまな企業が積極的に活用する理由はどこにあるのでしょうか。

タクシーサイネージ広告の主なメリット

タクシーサイネージ広告の主なメリット

車内タブレットを活用した動画サイネージ広告は、視認性やターゲット精度の高さから注目を集めています。タクシーという特殊な環境を活かし、他の媒体とは異なる広告効果を生み出せる点が最大の特徴です。ここでは、タクシーサイネージ広告の主な強みを具体的に紹介します。

乗車中の自然な視線誘導で高い視聴率

乗客は限られた空間で座りながら移動するため、視線が自然と車内のタブレットに向きます。スマホ操作に疲れたタイミングや、情報収集をしたい時間帯に広告が目に入ることで、高い視認率が期待できます。

都市部・富裕層への精度高いアプローチ

タクシー利用者は都市圏のビジネスパーソンや富裕層が多く、広告主にとって魅力的なターゲットが乗車しています。エリアや時間帯に応じて動画を出し分けることで、購買意欲の高い層への訴求が可能です。

動画ならではの豊かな情報量

映像と音声によって、テキストや画像だけでは伝えきれないサービスの魅力やストーリーを効果的に訴求できます。特にブランディングを目的とした認知施策において、記憶に残りやすい表現が可能です。

配信内容の切り替えが柔軟

インターネット経由でリアルタイムに広告の差し替えができるため、曜日・時間帯・イベントなどに応じた柔軟な運用が可能です。紙媒体や車体ラッピングと比べて、鮮度の高い情報発信が行えます。

ロスがない

Web広告やSNS広告では、スクロール飛ばしや誤タップなど、ユーザー側の拒否反応的な接触も多く見られます。
一方、タクシー内広告では、「目にする=接触」であり、広告主の意図した通りに情報が提示されるため、ロスの少ない形でユーザーの印象に残すことができます。

タクシーサイネージを行う上でのターゲティング

タクシーサイネージを行う上でのターゲティング

タクシーサイネージの効果を最大限に引き出すには、ただ動画を流すだけでなく、「どのエリアで」「誰に向けて」「どのような接点で」届けるのかといったターゲティング戦略が重要になります。以下では、ターゲティングを考える上で押さえておきたい視点を3つ紹介します。

不特定多数の人へリーチ

タクシーは日常的にさまざまな人に利用されており、自然と多様な層への接点を持ちやすい媒体です。さらに、車内広告だけでなく車外のラッピングや窓面を活用したサイネージなどを通じて、乗客以外の歩行者や周囲の車両にも視認される機会があります。このように、不特定多数に接触する機会を活かしつつ、誰に届いているかを意識することで、より効果的な配信設計が可能です。

エリアターゲティング

タクシーには営業エリアの制限があるため、広告出稿エリアを意図的に絞ることができます。例えば、特定の都市部やビジネス街を中心に稼働する車両に限定して出稿すれば、自然とその地域に滞在するユーザーに情報が届きやすくなります。地域性の高い商材やイベント告知などでは、こうしたエリア選定が広告効果に直結します。

経営層・富裕層へのターゲティング

ビジネス目的でタクシーを頻繁に利用する経営層や富裕層は、他の広告媒体では接点を持ちにくい層です。こうしたターゲットにリーチしたい場合、乗車率の高い時間帯やエリアを分析し、適切なタイミングで動画サイネージを配信することで、接触機会を最大化できます。静かな空間で自然と視聴するタクシー車内は、情報をしっかり届けるのに適した環境です。

タクシーサイネージはどのような場面や目的で活用されている?

タクシーサイネージはどのような場面や目的で活用されている?

タクシーサイネージの代表的な活用方法は以下のとおりです。

  • 商品やサービス、ブランドの認知アップ
  • キャンペーンの周知
  • 他の媒体とは違う幅広いジャンルの広告掲載

商品やサービスの利用につながることはもちろん、単純にブランドの認知に大きく貢献できるとあって、タクシーにおけるサイネージサービスの導入・利用が増えています。キャンペーンの周知・集客にも利用でき、またターゲットを絞った使い方ができるため効果的な訴求が可能です。

また、タクシーは外部の視線が届かないプライベートな空間であるため、移動の合間にほっと一息つける空間で、リラックスした状態で動画を見ることができます。目の前の動画広告に集中するため効果的に印象を残すことができ、電車やバス内の広告とは違い、限られた乗客に向けた訴求が可能になっています。

そしてもうひとつ、タクシーの動画広告が利用される理由として挙げられるのが、配車アプリの存在です。いざ乗ろうとしたときにタクシーがなかなかつかまらないという経験をした方は多いでしょう。そこでとても便利なのが電話をしなくてもスマートフォンひとつで、すぐに好きな場所に配車手続きができる配車アプリが役立ちます。好きな場所・好きな時間で予約ができ、予定変更の多いビジネスの場面において重宝されています。 

配車アプリのおかげで効率良くタクシーに乗車することができ、待ち時間をぐっと短縮することができます。そのため、タクシー1台あたりの1日の乗客数が増えることから、より動画広告を乗客に見てもらう機会が増えたということです。

タクシーに動画広告を配信するサービスと費用

タクシーに動画広告を配信するサービスと費用

タクシーでの動画広告を配信するサービスは増えており、特に東京都内でのサイネージサービスが多くなっています。動画広告にプラスワンを行い、より効果的なアピールを行うサービスもあるようです。

THE TOKYO TAXI VISION GROWTH

THE TOKYO TAXI VISION GROWTH
運営会社 株式会社ニューステクノロジー
展開地域 東京都内(港区・千代田区・中央区が中心)
タクシー会社 株式会社グリーンキャブ、国際自動車株式会社、寿交通株式会社、
大和自動車交通株式会社、株式会社チェッカーキャブ

こちらのサービスでは、東京都内約11,500台にも及ぶタクシーへタブレットを搭載し、ビジネス場面での移動が多いエリアを狙い、より効率良く動画配信を行っています。

オプションとして、LP制作からサイトへの流入などレポート作成、問い合わせの管理などオンラインへ送客した顧客情報の管理をサポートするサービスも展開しています。

広告メニューは東京版で4種類、地方版で3種類です。

  • RIDE VIEW…乗車直後、1本目に放映。1枠のみ、静止画600万円
  • FIRST VIEW…RIDE VIEWの直後に放映。1枠のみ、最大60秒750万円/週
  • BUSINESS VIEW…乗車から2~7本目に放映。7枠、最30秒550万円/週
  • ECONOMY VIEW…BUSINESS枠終了後に放映。8枠、最大30秒300万円

RIDE VIEWは東京版のみのサービスです。上記は2025年4月7日〜6月30日東京版の広告メニューです。

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Tokyo Prime

Tokyo Prime
運営会社 株式会社IRIS
展開地域 札幌・仙台・東京・横浜・名古屋・京都・大阪・神戸・広島・福岡・鹿児島・那覇
タクシー会社 日本交通、帝都自動車交通、東京無線協同組合など

Tokyo Primeは国内設置台数No.1のタクシーサイネージサービスです。導入台数は2024年10月時点で71,000台にも上り、東京を中心に全国主要都市で展開されています。

富裕層・ビジネス層をターゲットにした広告掲載を強みにしており、六本木ヒルズ・虎ノ門ヒルズやザ・リッツ・カールトン東京といった高級ホテルに専用の乗り場を設けています。日本最大のタクシーサイネージサービスとあって、株式会社電通、株式会社ビズリーチ、株式会社日本経済新聞社など大手企業の掲載実績も豊富です。

広告メニューは大きく分けて5種類あります。

  • Premium Video Ads…乗車直後1本目に放映。1枠のみ、最大60秒1,500万円
  • Collaboration Video Ads…乗車から2~7本目に放映。6枠、最大30秒1,000万円
  • Standard Video Ads…Collaboration Video Ads終了後に放映。13枠、最大30秒490万円
  • Tie-up Contents…Collaboration Video Ads終了後コンテンツ枠で放映。動画最大30秒もしくは静止画最大15秒180万円
  • Area Ads…Collaboration Video Ads終了後に放映。4枠、最大30秒17.5~360万円

上記は2022年10月〜2023年3月の広告メニューです。枠数はFULLメニューのものとなります。

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タクシー広告「タクシーサイネージ」を制作する際のポイント!

タクシー広告「タクシーサイネージ」を制作する際のポイント!

タクシーサイネージは細かいターゲティングが可能な動画広告の1つです。

視聴されるシチュエーションやターゲットの属性が少し特殊なため、高い広告効果を発揮するためには、オンライン広告として利用される動画広告とは少し違ったポイントを意識する必要があります。タクシー広告「タクシーサイネージ」を制作する際のポイントを以下に2つご紹介します。

ユーザーの課題を把握する

タクシーサイネージのターゲットに選ばれやすい富裕層や経営層といったユーザー層とその他のユーザー層では、アプローチの方法が少し異なってきます。これは、富裕層や経営層のユーザーは、商品・サービスの購入における価値基準として、価格面の優先順位がその他のユーザーと比べると低くなる傾向が高いためです。なかでもタクシーを繰り返し利用するユーザーは、価格よりも時間を優先する傾向が強いと考えられます。これらのユーザーには「他社よりも安い」という商品ではなく、「他社よりも効率が良い」商品や「購入までのプロセスがシンプル」のように、時間効率の良さが重視された商品・サービスが求められます。

タクシーサイネージを利用した動画広告においても、これらの点を重視した広告を設計する必要があります。商品・サービスの魅力を伝えることはもちろん重要ですが、どの魅力をどのようにどの順番で伝えるかという点も動画広告においては重要なポイントとなります。

タクシーサイネージにおいては、「安さ」という一般的に受け入れられやすいアピールが、時には逆効果となるという点を常に意識しておきましょう。

視聴してもらえる工夫をする

タクシーサイネージを利用した動画広告は、その他の動画広告に比べると最後まで視聴される可能性は高いといわれています。とはいえ、やはり最後まで視聴してもらうためには、動画の構成や演出など視聴者に飽きさせない工夫を凝らす必要があります。

どのような商品・サービスにおいても重要なポイントは、その商品・サービスの購入によって消費者が何を得るかという点です。消費者は、商品・サービスの購入によって自身が抱える課題が解決されることを期待しています。動画広告においてもこの点は重要で、動画広告の多くは、冒頭で視聴者の課題を提示・共有、その後商品・サービスの購入で課題が解決されるストーリーを展開していく構成になっています。これは視聴者が広告の内容と自身の状況を重ね合わせ、課題解決までのストーリーを具体的にイメージできるように誘導するためです。こうすることで、冒頭で動画が提示した課題に共感した視聴者は、最後まで動画を視聴するためのモチベーションを維持しやすくなります。

その他にもタクシーサイネージを効果的に活用するために、多くの企業がさまざまな工夫を凝らした動画広告を出稿しています。そんなタクシーサイネージを有効活用している企業をいくつかご紹介していきます。

タクシー動画広告の活用事例を紹介

タクシー動画広告の活用事例を紹介

では、タクシーの動画広告がどのように活用されているのでしょうか。実際に動画配信が行われているものをピックアップして、見てみましょう。

クライス&カンパニー

クライス&カンパニーは、経営幹部を中心に採用支援を行う人材紹介会社です。動画広告を2017年と早い段階から利用しており、ビジネスにおける悩み解決の期待ができる動画広告を配信しています。

HERP ATS

採用管理プラットフォームを展開するHERP ATSは、悩みの尽きない人事採用に関連したスクラム採用について提言、サービスへの興味を膨らませる動画広告を配信しています。

UPSIDER

UPSIDERは、成長企業を支援する法人カードを提供する企業です。タクシーサイネージ広告では、「利用限度額が低い」「経費精算が面倒」といった従来の法人カードに対する課題を提起し、UPSIDERがそれらの課題を解決できることを、インタビュー形式で経営層にわかりやすく訴求しています。

まとめ

動画マーケティング領域にあるタクシーサイネージ

タクシーのサイネージサービスは進化を続けており、搭載されるタブレット端末の大型化や高精細化が進む中で、より訴求力の高い動画広告の展開が可能になってきました。ニュースコンテンツとの連動や、試供品のサンプリングなど他のマーケティング手法との組み合わせによって、広告の幅はますます広がっています。

また、インバウンド需要を背景に、タクシーを利用する外国人観光客に向けた動画広告のニーズも増加しています。特に、訪日外国人向けの広告では多言語対応の重要性が増しており、今後はグローバル市場を視野に入れたサイネージ広告の展開が加速していくと考えられます。

こうした背景から、広告制作のみならず、戦略立案や調査を含むコンサルティング分野への需要も高まりつつあり、タクシー広告は次世代の動画マーケティング領域としてさらなる成長が期待されます。これまで駅や屋外ビジョンが中心だったサイネージ広告も、タクシーという移動空間において、より広範囲に、そして効果的に活用されていくでしょう。

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