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まず、タクシーを利用する人物像を考えてみましょう。国土交通省の発表によれば、平成29年度のタクシー・ハイヤー利用者数は約14億人にも上ります。
そんな日常的に多くの人に利用されているタクシーを利用したタクシー広告にはどういったメリットがあるのでしょうか。
タクシーが公共交通機関であるということと、タクシーを利用するユーザー属性が特徴的であるということから、タクシー広告における主なメリットとして以下が考えられます。
それでは、1つずつ詳しく解説していきます。
前述のとおり、タクシーは年間10億人以上の人が利用しています。タクシー自体が日常的に多くの人に利用されているため、タクシー広告も必然的に多くの人にリーチすることが可能です。
タクシー広告には車内を利用した広告も多いですが、車外へのラッピングや窓を利用したデジタルサイネージなど、タクシーの利用客以外にリーチできる広告もあります。車外広告はタクシーを利用しにくいユーザーにもリーチできるため、後述のエリアターゲティングなどと合わせて利用することで高い広告効果が期待できます。
タクシーには営業エリアが設けられているため、都内で営業しているタクシーがその他の地域で乗車と降車を繰り返すことなどはできないようになっています。つまり、どのエリアのタクシーに広告を出稿するかを選定することで、ターゲットとなるユーザーが多いエリアに絞って広告出稿をするエリアターゲティングが可能です。
タクシー広告といえば、全国的に利用されているサービスやオンラインで完結するような地域性のないサービスが多いイメージですが、バス広告のようにエリアターゲティングを利用した広告が出稿されているケースも見かけられます。
タクシーは性別・年齢・職業、さまざまな属性のユーザーに利用されている公共交通機関です。多くの人に利用されているタクシーですが、その中でも経営層や富裕層のユーザーは特に利用する頻度が高いといわれています。
エリアターゲティングと合わせて利用することで、企業の経営層や、富裕層のユーザーに効果的にアプローチすることが可能になります。これらの属性のユーザーはその他の広告手法で直接リーチすることが難しいため、経営層・富裕層をターゲットとしている商品・サービスの広告手法として、タクシー広告は魅力的な広告手法といえます。
さまざまなメリットがあるタクシー広告ですが、どういった種類の広告が出稿可能なのでしょうか。前述のタクシーサイネージやアドケースといった車内広告から、車体ラッピングや窓サイネージといった車外広告など、タクシーに出稿可能な広告を1つずつ解説していきます。
タクシーに乗ると、目につくのは車内のあちこちにある広告です。ふだんなんとなくでしか見ていないと思っていても、ステッカーや広告を見せると商品やサービスに見覚えがあるという方もいらっしゃるでしょう。一口にタクシー広告とは言っても、さまざまな種類があります。
アドケースとは、運転席・助手席の後ろに取り付けられた、リーフレットを入れられるケースのことを指します。ケースはさまざまなものがあり、数種類のリーフレットが入るものから、大きなリーフレット1つが入るサイズのものなどバリエーション豊富です。乗客に広告を手に取って帰ってもらえるため印象に残りやすいという特徴があり、置き型のため利用料金もかなりリーズナブルです。
アドケースは乗客が座った場所の目の前に来るものなので、ふと目に入り、そのまま手に取ってもらえる確率が高い広告として知られています。
タクシーはほとんどの場合、車内で利用料の精算を行います。レシート裏の広告は、精算時に発行されるレシートの裏面を利用した広告手法です。
タクシーでの金銭授受はトレイ上で行われることが多く、また、利用者が座っている状態で行われるため、お釣りと合わせてレシートも受け取られる確率がその他の業種よりも高くなるともいわれています。
レシート裏の広告はカラーで出稿することも可能なため、目を引くデザインにすることで訴求力も期待できます。財布にしまわれたレシートを自宅で整理するという人も少なくないため、広告を繰り返し見られる反復性も高く、一定の広告効果が期待できる広告手法です。
サンプリングは、比較的小さいサイズの試供品をユーザーへと直接配布する広告手法です。
タクシー広告として利用されるサンプリングは、主に降車する際の精算時にドライバーから直接手渡しするかたちで行われます。タクシーはビジネスシーンで多く活用されるため、ビジネスマンに向けた商品を試供品として配布することで高い広告効果が期待できます。
また、タクシーでのサンプリングは、鞄が手元にあり、かつ、座っている状態で配布されます。そのため、街頭で配布されるサンプリングのように商品を受け取ってもらえない、また受け取った商品をすぐに破棄されるといったケースが少なくなります。
タクシー本体のラッピングは、サッカー・野球など地元のチームの広告だったり、大手企業の商品に関連した広告だったりとさまざまな種類がありますが、とにかくインパクトが大きいことが特徴です。
通常のタクシーと比べて色鮮やかで、目立ちやすいというメリットがあります。アドケースのように設置型ではなく台数が少ないため、話題性が高いというメリットもあります。
行灯とは、タクシー上部に設置されている表示灯のことを指します。通常、運営企業のロゴがデザインされている行灯ですが、ここを車体ラッピングと合わせて広告スペースとしている利用することも可能です。
通常は前後から見えるように設置されている行灯ですが広告スペースとして利用する場合は、タクシーの天井部分を上下に分断して設置することで広告スペースを確保するとともに左右への訴求力を増すようにデザインされています。タクシーの利用客より、そのタクシーの営業エリア内で勤務している、もしくは、居住しているユーザーに向けた広告という意味合いが強くなるため、エリアターゲティングを意識した広告出稿を行うことで高い効果が期待できます。
ウインドウステッカーとも呼ばれるステッカー型の広告は、たとえば運転席に取り付けられている防犯ボードに貼られているもの、後部窓ガラス、いわゆるリアウインドウに貼られているもの・後部ドアに貼られているものなど種類も豊富です。貼り付けるのみで良いため、広告費としてのコストも最小限に抑えることが可能です。これらの広告はただ見てもらうために闇雲に貼られているのではなく、その場所によって効果的だと考えられている広告が掲載されています。
たとえば、後部窓ガラスに貼られている広告は、いったい誰が見るものでしょうか。信号待ちの後続車や、歩行者など、さまざまな人物像が浮かびます。信号を確認するために必ず前方を確認するため、目立つ広告があればついつい見てしまうでしょう。そのため、ドライバーに向けた商品として目薬やガムなどのアピールにつなげることができます。
また、ウインドウステッカーはタクシーの乗客・周囲のドライバー・歩行者など、広く訴求が可能になります。貼るだけで良いという手軽さから手間がかからず、リーズナブルな広告のひとつとして活用されています。
近年急増しているのが動画広告です。運転席や助手席の後部に取り付けるアドケースではなくタブレットを置き、デジタルサイネージによる広告配信をするというもの。
デジタルサイネージとは、ディスプレイやプロジェクターを使って文字・映像を映す広告媒体のことで、ショッピングモールやエレベーターの中、タッチパネル式の自動販売機などに使われている技術です。
ステッカーやアドケースのように文字やイラストのみの広告ではなく、静止画はもちろん動画によるコンテンツの配信が可能なため、乗客の目に留まる可能性が格段に上がるという特徴があります。
従来の動画広告の配信から進化し、現在はインターネットを経由してタブレット端末に動画配信を行うことができるため、時期や時間によって異なる広告を配信することも容易になりました。
タクシーを利用した動画広告は、タクシーという限られた広告スペースを最大限に活用できると、多くの業種・業態で導入されている広告手法です。ここからは、そんなタクシーを利用した動画広告について詳しく解説していきます。
「タクシーサイネージ」と呼ばれるタクシーを利用した動画広告は、ここ数年で急速に普及し、今ではほとんどのタクシーに導入されています。日常的に見かけるようになったタクシーサイネージですが、一体どのように活用されているのでしょうか。まずは、具体的にその市場規模から見てみましょう。
この図は、2021年12月に株式会社CARTA HOLDINGSが発表した、タクシーサイネージ広告市場規模の推計です。同調査によると、2021年の屋外広告におけるデジタルサイネージの市場規模が75億円となっており、屋外広告との比較からも、いかにタクシーにおけるデジタルサイネージ広告が積極的に活用されているかがわかります。
市場規模からも多くのタクシーで今や当たり前のように設置されていることがわかるタクシーサイネージですが、さまざまな企業が積極的に活用する理由はどこにあるのでしょうか。
タクシーを利用すると、ユーザーは目的地に到着するまでの間、一定時間車内に留まり続けることになります。そのため、車内を利用した広告に落ち着いて目を通してもらえる可能性が高くなります。このタクシーの特徴と非常に親和性が高い広告手法が、タクシーサイネージです。
動画広告は情報をすべて伝えるためには、一定時間動画を視聴する必要があります。タクシーではユーザーの行動が制限されるため、このタクシーサイネージを利用した動画広告が視聴される可能性が高いといわれています。タクシーサイネージは、このタクシーと動画の特性を活かしたタクシーサイネージならではのメリットと、その他のタクシー広告で得られるメリットと合わせ持った広告手法です。そのため、経営層のような直接リーチすることが難しいユーザーにも、タクシーサイネージを利用することで動画広告という情報量の多いコンテンツを視聴してもらうことも可能です。
このように、タクシーサイネージはその他の広告手法にはない、さまざまなメリットがあります。そんなタクシーサイネージですが、一体どのように活用されているのでしょうか。具体的な活用方法について、代表的なものをいくつか紹介していきます。
タクシーサイネージの代表的な活用方法は以下のとおりです。
商品やサービスの利用につながることはもちろん、単純にブランドの認知に大きく貢献できるとあって、タクシーにおけるサイネージサービスの導入・利用が増えています。キャンペーンの周知・集客にも利用でき、またターゲットを絞った使い方ができるため効果的な訴求が可能です。
また、タクシーを個室としてとらえたとき、移動の合間にほっと一息つける空間で、リラックスした状態で動画を見ることができます。目の前の動画広告に集中するため効果的に印象を残すことができ、電車やバス内の広告とは違い、限られた乗客に向けた訴求が可能になっています。
そしてもうひとつ、タクシーの動画広告が利用される理由として挙げられるのが、配車アプリの存在です。いざ乗ろうとしたときにタクシーがなかなかつかまらないという経験をした方は多いでしょう。そこでとても便利なのが電話をしなくてもスマートフォンひとつで、すぐに好きな場所に配車手続きができる配車アプリが役立ちます。好きな場所・好きな時間で予約ができ、予定変更の多いビジネスの場面において重宝されています。 配車アプリのおかげで効率良くタクシーに乗車することができ、待ち時間をぐっと短縮することができます。そのため、タクシー1台あたりの1日の乗客数が増えることから、より動画広告を乗客に見てもらう機会が増えたということです。
タクシーでの動画広告を配信するサービスは増えており、特に東京都内でのサイネージサービスが多くなっています。動画広告にプラスワンを行い、より効果的なアピールを行うサービスもあるようです。
運営会社 | 株式会社ニューステクノロジー |
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展開地域 | 東京都内(港区・千代田区・中央区が中心) |
タクシー会社 | 株式会社グリーンキャブ、国際自動車株式会社、寿交通株式会社、大和自動車交通株式会社、株式会社チェッカーキャブ |
こちらのサービスでは、東京都内約12,500台にも及ぶタクシーへタブレットを搭載し、ビジネス場面での移動が多いエリアを狙い、より効率良く動画配信を行っています。
オプションとして、LP制作からサイトへの流入などレポート作成、問い合わせの管理などオンラインへ送客した顧客情報の管理をサポートするサービスも展開しています。
広告メニューは東京版で4種類、地方版で3種類です。
※2023年1-3月より700万円
※最大60秒…2枠同時購入時
※2023年1-3月より500万円
※最大60秒…2枠同時購入時
※2023年1-3月より300万円
RIDE VIEWは東京版のみのサービスです。上記は2022年10月〜12月東京版の広告メニューです。
運営会社 | 株式会社IRIS |
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展開地域 | 東京・神奈川・埼玉・千葉・名古屋・京都・大阪・神戸・福岡・札幌 |
タクシー会社 | 日本交通、帝都自動車交通、東京無線協同組合など |
Tokyo Primeは国内設置台数No.1のタクシーサイネージサービスです。導入台数は2022年10月時点で61,500台にも上り、東京を中心に全国主要12都市で展開されています。
富裕層・ビジネス層をターゲットにした広告掲載を強みにしており、六本木ヒルズ・虎ノ門ヒルズやザ・リッツ・カールトン東京といった高級ホテルに専用の乗り場を設けています。日本最大のタクシーサイネージサービスとあって、株式会社電通、株式会社ビズリーチ、株式会社日本経済新聞社など大手企業の掲載実績も豊富です。
広告メニューは大きく分けて5種類あります。
上記は2022年10月〜2023年3月の広告メニューです。枠数はFULLメニューのものとなります。
タクシーサイネージは細かいターゲティングが可能な動画広告の1つです。
視聴されるシチュエーションやターゲットの属性が少し特殊なため、高い広告効果を発揮するためには、オンライン広告として利用される動画広告とは少し違ったポイントを意識する必要があります。タクシー広告「タクシーサイネージ」を制作する際のポイントを以下に2つご紹介します。
タクシーサイネージのターゲットに選ばれやすい富裕層や経営層といったユーザー層とその他のユーザー層では、アプローチの方法が少し異なってきます。これは、富裕層や経営層のユーザーは、商品・サービスの購入における価値基準として、価格面の優先順位がその他のユーザーと比べると低くなる傾向が高いためです。なかでもタクシーを繰り返し利用するユーザーは、価格よりも時間を優先する傾向が強いと考えられます。これらのユーザーには「他社よりも安い」という商品ではなく、「他社よりも効率が良い」商品や「購入までのプロセスがシンプル」のように、時間効率の良さが重視された商品・サービスが求められます。
タクシーサイネージを利用した動画広告においても、これらの点を重視した広告を設計する必要があります。商品・サービスの魅力を伝えることはもちろん重要ですが、どの魅力をどのようにどの順番で伝えるかという点も動画広告においては重要なポイントとなります。
タクシーサイネージにおいては、「安さ」という一般的に受け入れられやすいアピールが、時には逆効果となるという点を常に意識しておきましょう。
タクシーサイネージを利用した動画広告は、その他の動画広告に比べると最後まで視聴される可能性は高いといわれています。とはいえ、やはり最後まで視聴してもらうためには、動画の構成や演出など視聴者に飽きさせない工夫を凝らす必要があります。
どのような商品・サービスにおいても重要なポイントは、その商品・サービスの購入によって消費者が何を得るかという点です。消費者は、商品・サービスの購入によって自身が抱える課題が解決されることを期待しています。動画広告においてもこの点は重要で、動画広告の多くは、冒頭で視聴者の課題を提示・共有、その後商品・サービスの購入で課題が解決されるストーリーを展開していく構成になっています。これは視聴者が広告の内容と自身の状況を重ね合わせ、課題解決までのストーリーを具体的にイメージできるように誘導するためです。こうすることで、冒頭で動画が提示した課題に共感した視聴者は、最後まで動画を視聴するためのモチベーションを維持しやすくなります。
その他にもタクシーサイネージを効果的に活用するために、多くの企業がさまざまな工夫を凝らした動画広告を出稿しています。そんなタクシーサイネージを有効活用している企業をいくつかご紹介していきます。
では、タクシーの動画広告がどのように活用されているのでしょうか。実際に動画配信が行われているものをピックアップして、見てみましょう。
https://www.youtube.com/watch?v=MhCFyQEkx2I
ferret Oneは、株式会社ベーシックが提供しているBtoB専門のマーケティングツールです。同社では2020年から継続してタクシーサイネージを利用した動画広告を運用しており、継続年数からもその効果の高さがうかがえます。
クライス&カンパニーは、経営幹部を中心に採用支援を行う人材紹介会社です。動画広告を2017年と早い段階から利用しており、ビジネスにおける悩み解決の期待ができる動画広告を配信しています。
採用管理プラットフォームを展開するHERP ATSは、悩みの尽きない人事採用に関連したスクラム採用について提言、サービスへの興味を膨らませる動画広告を配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=yOrNWJMk8pk&list=PLBJWt_1JKTXH1l0cggaCYBeDv1aA7nhui&index=11
サテライトオフィスは、企業のクラウド管理全般をサポートするサービスです。テレワークやシェアオフィスなどリモートワークが増えたことと、密を避けるために電車からタクシーへ移動手段を変えた経営層が多いことなどから、タクシーサイネージとの親和性が非常に高いサービスといえます。
タクシーのサイネージサービスは進化し続けており、さまざまなアップデートが繰り返されています。
今後もより効果的に、より訴求力の高い動画広告が登場するでしょう。
また、円安の影響からインバウンド需要が高まることが予想されていることもあり、富裕層への訴求はもちろんタクシーを利用する外国人観光客への動画広告も増えそうです。 訪日外国人向けの動画広告であれば多言語に対応したものの需要が高まりますし、よりグローバルな市場へと成長していくことが考えられます。それに伴い、さらに今後動画広告の制作に関する需要が高まることも予想できるでしょう。
広告制作はもちろん、コンサルティング、リサーチに関連した事業にも大きな注目が集まり、タクシーにおける動画広告のフィールドは拡大の一途をたどります。広告配信はさまざまな手法がありますが、とても早くから活用されていたタクシー広告も、サイネージサービスのような次世代のものに変わり、さらに広い地域でも今後利用されていくことでしょう。
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