EFOは、「Entry form Optimization」の頭文字を取ったもので、直訳すると「入力フォームの最適化」です。
入力フォームは、顧客に商品の購入や契約を促すもので、サイトやランディングページの中でも特に重要な部分です。通常、HTMLとCSSにinput要素やbutton要素などを加えて作成しますが、実際に運用するには、他にもPHPやCGIを操作する必要があります。
入力フォームの項目を多くしてたくさんの顧客情報を取得できれば、リードナーチャリングに役立てる、リピーター獲得の施策に活用するなどのメリットがあります。しかし入力項目がありすぎると、途中で面倒になってしまう、入力し終わる前に離脱してしまうなどのリスクもあります。
また、入力する文字は全角なのか半角なのか、電話番号にハイフンは必要なのかなど、適切な案内がなければ入力ミスを起こしてしまい離脱させてしまうこともあるのです。
このようなことを減らし、ユーザーにとって入力しやすいフォームへ最適化を行うことで、CV数や成約数を増やしていくのがEFOの目的となります。
スマートフォンのEFOが重要視されている理由はなんなのでしょうか。
スマートフォンの利用者は、年々増加しています。総務省が発表したデータによると、2017年時点のスマートフォンの利用率は、20~30代で90%と高い水準にあり全世代でも70%を超えています。また、インターネットへの利用率も10~50代までが90%を超えており、60代でも73%、70代でも46%と年々、増加しているのです。
このことから、ほぼ全ての世代がインターネットを利用し、なおかつ若い世代を中心にスマートフォンを利用してインターネットに接続している人が多いことが分かります。
スマートフォンの利用率が増加傾向にある現在、スマートフォンのEFOはもっとも重要な販売戦略のひとつと言えます。
スマートフォンは、誰でも直感的に使うことができ、どこでも手軽に利用できます。そのため、契約や購買に結びつきやすい反面、簡単に操作を中断することができてしまうため、ちょっとしたことが原因で入力フォームから離脱されてしまうのです。
入力を最後まで行ってもらうには、スマートフォンの特性や欠点を考慮した入力フォームを構築することが必要となるのです。
パソコンの入力フォームをスマートフォンの入力フォームに流用していると、スマートフォンからのCV率(成約率)は大きく下がってしまう可能性があります。
もともと、パソコンとスマートフォンのCV率(成約率)には差があり、スマートフォンで入力を完結してくれるユーザーはパソコンに比べて低くなっています。
利用者の多いスマートフォンのCV率(成約率)がパソコンに比べて劣るのは、操作性の悪さや入力フォームの不備が原因であることが多いのです。
スマートフォンのEFOを行うにあたって、まずはスマートフォンの特性を知り、ユーザーの立場に立って考えることが必要です。その手順を説明していきます。
スマートフォンのEFOを行うにあたってもっとも重要なデータは、CV率(成約率)です。CV率は、CVR(Conversion Rate)とも言われ、
CVした人の数 ÷ 訪問者数 × 100(%)
で表されます。
CV率の計算式は、サイト(フォームページ)のセッション数やページビュー数を母数にすることもありますので、どの数値で計算するかをしっかり定めておくようにしましょう。
たとえば、サイト全体の訪問者数やフォームへの訪問者数が増えているのにも関わらず、CV数が増えていない場合は、CV率が下がっているということになります。
また、一定の期間で数値を比較した場合にCV率下がってしまっている場合も、フォームによる原因が考えられます。
EFOを行う場合は、施策により効果が出たのかどうかをしっかり把握するためにも、事前にしっかりデータを調査しておく必要があります。
次に、フォームの状況を分析します。
申し込みフォームの入力開始から終了までをチェックし、途中で離脱したユーザーが、どの時点で記入を止めてしまったのかを把握するのです。
たとえば、全く記入せずに離脱してしまった場合、住所を記入している途中で離脱してしまった場合、メールアドレスを記入している途中で離脱してしまった場合、といった具合に項目ごとに細分化していきます。
それぞれの記入方法に、ユーザーがストレスを感じるようなポイントがないかを確認していきます。
何も記入せず、短時間で離脱された場合は、ファーストビューの情報を確認します。スマートフォンの画面に表示された情報の中に、ユーザーが不信感を抱く、購入意欲が削がれるようなものがないか確認する必要があります。
住所、生年月日、電話番号、メールアドレスなど、それぞれの離脱率を確認し、数値が高いものから優先的に状況を分析していきます。
たとえば、生年月日は西暦だけなのか、和暦でも可能なのか、郵便番号や電話番号にハイフンは必要なのか、メールアドレスのドメインには、代表的なものがプルダウンメニューなどで用意されているのかなど、ユーザーがストレスなく入力できるような仕組みになっているのかをチェックしていきましょう。
分析が完了したら、考えられる改善策を取り入れて再度、検証をしていきます。
分析→改善→検証を繰り返し、ユーザーの使いやすい入力フォームを構築していくことが、EFOの進め方となります。
スマートフォンのEFOは、スマートフォンのメリットとデメリットを分析し、誰でもストレスなく入力できるシステムを採用していくことが大切なのです。
ここでは、スマートフォンのEFOを行うにあたり、押さえておくべきポイントを紹介していきます。
スマートフォンは、パソコンに比べて離脱しやすいということを理解しておきましょう。スマートフォンでは簡単に画面をスクロールができ、ブラウザバックも容易なため、面倒と感じた時点で簡単に離脱されてしまうのです。
必要事項を記入してもらうにあたり、必要最低限でなおかつ分かりやすい説明を添付する必要があります。長々とした説明文が離脱の原因になることは当然ですが、反対に説明不足すぎるとサイトへの不信感が増してしまいます。
個人情報を入力するにあたっては、不安を感じず、さらにストレスを感じない程度の説明が必要です。
入力項目は、少なければ少ないほど離脱率は低くなります。
特に同じ項目の重複入力はユーザーの大きな負担となります。住所や氏名といった個人データの入力は、各1回ずつ、不必要な情報は記入させないといった配慮が必要です。
また、入力時におけるストレスも考慮する必要があります。スマートフォンの入力ソフトによっては、半角ハイフンを入力するのに、一度日本語から英語や数字に画面を切り替えなければならないものもあります。現在(2019年時点)の入力フォームでは、電話番号や郵便番号はハイフンなしで入力できるものが主流です。
メールアドレスのドメイン入力もユーザーにしてみると面倒なものです。@の後半部分については、最低でも携帯会社の3大キャリアのドメインや利用者の多いGmailやYahooメールのドメインは、プルダウンメニューなどで入力が省けるようにしておくと良いでしょう。
同様に、郵便番号からの住所検索、自動入力も効果的です。とにかく、ユーザーの入力作業を軽減することに注力するようにしましょう。
年齢が高くなるほど、スマートフォンの利用率が下がる理由のひとつに視認性の悪さがあげられます。携帯に便利なスマートフォンは画面サイズに限りがあり、フォントサイズなども小さく設定されてしまいます。
小さいフォントが見づらいことで、一部のユーザーからの利用が制限されてしまうことは、販売機会の損失につながります。入力フォームでは、入力のしやすさと同じくらい、見やすさといった点にも注意する必要があるのです。
これは、単にフォントサイズを大きくするというだけでなく、例えば右に指示欄、左に入力欄といった2カラムの構成を、上に指示欄、下に入力欄といった1カラムに変更するといったデザイン上の変更なども当てはまります。
1カラムでは、スマートフォンの限られた画面サイズを最大限に利用し、指示内容も見やすく、入力欄も大きく取れるため採用している企業が多くなっています。
スマートフォンは手軽に利用できるデバイスであることから、Webやパソコンに関するスキルをあまり持っていない人も多く利用しています。そのため、特別な知識がなくても直感的に入力できる入力フォームを用意したほうが良いでしょう。
たとえば、銀行やクレジットカード系によく見られる、半角と全角の数字の使い分けなどは、利用者になぜエラーになったのか分かりづらい仕様です。情報上、どうしても半角と全角の数字の使い分けが必要なら、専用のキーボードを用意するなどの対策も必要です。
また、2019年時点での傾向として、入力欄におけるクリアボタンが削除された入力フォームが多くなっています。
これは、1文字だけ入力しなおしたい、押すことで所定の位置まで戻れるのではないか、と考えたユーザーがクリアボタンを押してしまったことで、最初から入力をやり直さなければならなくなった場合、多くのユーザーがその時点で離脱してしまうためです。
このように、クリアや削除といったユーザーに効果がハッキリ伝わらないアイテムは、極力、入力フォームから省くという選択もあるのです。
メールアドレスの入力欄で「@」が抜けているといったミスの場合、ユーザーに間違った箇所をピンポイントで伝えるような工夫が必要です。
また、スクロールしなければ全体像が見られない入力フォームの場合、記入漏れがあったとしても、どの部分が該当するのか分かりづらい場合があります。その場合は、自動で該当部分を表示するような配慮を行うと良いでしょう。
なぜ、エラーなのか分からなければ、多くのユーザーは改善点を探せず、離脱してしまう可能性が高まってしまいます。
ランディングページに入力フォームを設置している場合、縦に長い構造になることが一般的です。スマートフォンの場合、スクロールすることで全体像が見えるわけですが、あまりに長いと、その時点で入力を諦めてしまうユーザーもいます。
また、住所や名前など項目ごとにページが切り替わる入力フォームは、視認性にも優れ入力欄も大きく、ユーザーにとって使いやすいのですが、「いつ終わるのか分からない」といった不安感が生じてしまいます。
この場合は、画面の端に進捗状況を示すグラフなどを導入することで、ユーザーの不安感を少なくすることで離脱者を減らすことができるでしょう。
ランディングページは、必要最低限な情報だけで十分です。特に入力フォームの部分では、広告や連絡先のメールアドレスなど余計なリンクがユーザーの視界に入らないようにデザインすることが大切です。
これは、競合する情報が存在することで、せっかくアクティブになったユーザーのモチベーションが下がってしまうことを防ぐと同時に、間違ってリンク先をタップしてしまい入力が初期化されてしまうといったトラブルを防ぐことにもなるのです。
入力フォームを自社製品の販売などに使う場合、分かりやすい場所に電話番号を記載しておくことも大切です。スマートフォンのもっとも大きなメリットは、オンライン上の決済が可能なデバイスであると同時に、通話ができる携帯電話でもあるという点です。
何を記入していいのか分からない、操作の仕方が理解できないといった場合に、電話番号が分かればすぐに電話で確認できます。電話によるコンバージョンは、Webからよりも確実性が高いため、ユーザーにとっても企業にとってもメリットが高いのです。
不必要なリンクは必要ありませんが、オペレーターなどが十分に用意できている場合には、
<a href=”tel:電話番号”>表示させたいテキストまたは画像(通常は電話番号)</a>
と記述することで、スマートフォンの電話アプリを起ち上げることなく通話が可能です。
スマートフォンのEFOを行うにあたっては、スマートフォンの特性を考慮した注意点があります。
スマートフォンは機動性にすぐれ、サイトへのアクセスも早いという利点があることから外出先や仕事や家事の隙間時間に利用するケースが多いのです。
したがって、入力の途中で用事が入ってしまうといったことも少なくありません。入力作業が中断されても再入力の手間が少なくなるように、セッションの有効時間を長く設定しておくといった配慮が必要です。
また、スマートフォンは外出先でも手軽に利用できることから、電波状況が不安定な場所や、昼間の屋外で入力作業をするといったケースも考えられます。
回線速度が十分に得られないことを考え、送信してもらう情報量はできるだけ少なくすることが大切ですし、昼間の屋外での視認性を考え、コントラストのはっきりした入力フォームを用意するなど工夫を行うと良いでしょう。
スマートフォンの普及が進み、パソコンよりもスマートフォンを利用してオンライン上の決算をする人が増えています。スマートフォンは、操作における簡易性からパソコンよりも離脱率が高いため、十分に利用者のことを考えた入力フォームを用意する必要があります。
ぜひ今回紹介したポイントを参考にしていただき、スマートフォンのEFOを進めていってください!
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