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そもそもYouTubeにおけるVSEOとは、どのような意味をもつのでしょうか。
Webマーケティングに興味がある方なら、SEO対策(Search Engine Optimizationの頭文字を取った略称)という言葉を耳にしたことがあるでしょう。SEO対策は「検索エンジン最適化」を指し、Googleなどの検索エンジンで自分のサイトを上位表示させるための対策をいいます。
このYouTube版がVSEO対策(Video Search Engine Optimization)の頭文字を取った略称)で、インターネット動画配信サービスの検索結果で自分の投稿した動画を上位表示させるための対策です。
VSEO対策が重要な理由は、3つあります。
1つ目は、インターネット動画配信サービスのユーザーが増加しているためです。
国内でインターネットを利用している人のうち、55.6%もの人が動画配信サービスを利用していると報告されました。さらに、年代別で見ると20〜29歳は70.5%と最も多く、若年層からの支持が非常に高いことがわかります。これは、スマートフォンの普及や5Gが主流になったことに加え、コロナ禍でおうち時間やリモートワークが増えたことにより、動画配信サービスを利用する機会が増えたためと考えられます。
動画配信サービスの利用率は今後も上昇すると予想され、動画配信サービスを活用したマーケティングの重要性はますます高まっていくでしょう。
2つ目は、動画が伝えられる情報量が多いためです。
動画マーケティングが情報を多くのユーザーに的確に、わかりやすく伝えているのを証明する統計結果には、次のようなものがあります。
これらの統計結果から、動画マーケティングはユーザーにとって情報を理解させるだけではなく、行動のあと押しの役割を果たしているのがわかります。
3つめは通信速度の高速化により動画視聴の敷居が下がるためです。
2020年3月、「超高速通信」「超低遅延通信」「多数同時接続」という特徴をもつ5G回線の商用サービスが開始しました。サービス開始から3年経った2023年3月時点で、すでにスマートフォンやタブレットといったモバイル端末での高速通信が一般的になっています。
モバイル端末の高速通信は、スマートフォンの普及にも影響し、2020年時点でスマートフォンの世帯保有率は8割を大幅に超えるなど、一家に一台以上のスマートフォンが当たり前にある時代になっています。
参照元:情報通信白書 令和3年版|総務省
YouTubeにおけるVSEO対策の重要性についてご理解いただいたところで、次はVSEO対策を行うメリットを3つご紹介します。
1つ目は、費用対効果が高いことです。
自分の売りたい商品やサービスを宣伝しようとすると、まず思いつくのは、4マス広告(テレビ・新聞・ラジオ・雑誌)やリスティング広告(検索エンジンでの検索結果に応じてユーザーに表示されるテキスト広告)などの広告を使った宣伝手法でしょう。広告を使って宣伝をする場合、広告を出稿し続ければし続けるほど広告費用が多くかかってしまいます。
しかし、YouTubeでは、動画を視聴するたびにリスティング広告のようなクリック単価は発生しないのです。また、条件を満たせば自分の動画に広告を貼り付けられるため、広告収入も得ることができます。
VSEO対策をして動画をYouTube検索の上位に表示させれば、ユーザーの目に触れる機会がそれだけ増え、広告収入を得ながら多くのターゲット顧客にリーチできるといえるでしょう。
2つ目のメリットは、ブランディングがしやすいことです。
VSEO対策をしてYouTube検索に動画が上位表示されると、ユーザーは「このキーワードでは有名だ」と感じるのではないでしょうか。その結果、動画で取り扱う商品やサービスへの信頼性が増し、問い合わせや商品購入などのコンバージョンにつながる可能性も高まるでしょう。ロゴを表示するなどの工夫をすると、より効率よくブランディングできます。
3つ目のメリットは、VSEO対策が比較的新しい概念であるため、競争相手が少ないことです。
SEO対策を施してGoogleで上位表示するのは、Googleのアルゴリズムが非公開であることや変更が多いことから難しいですが、YouTube検索のアルゴリズムは2020年現在、まだGoogleのアルゴリズムほど対策が難しいとはいえません。
また、YouTubeには、VSEO対策を行う上で有効なアクセス解析を無料で行うことができる高機能なツール「YouTube Studio アナリティクス」が用意されています。
YouTube Studio アナリティクスでわかることは次です。
例えば、視聴者の年令や性別がが30代の男性と40代の男性に集中していることがわかれば、その人たちをターゲット顧客とした商品やサービスをアピールするといった対策を、リアルタイムで考えられるのが魅力的といえます。
ツールとそれが示す指標を上手に活用して、YouTube検索のアルゴリズムが複雑化しないうちに、また競合他社が参入しないうちにVSEO対策への取り組みを進めるのがよいでしょう。
YouTubeはGoogleの1つのサービスのため、本質的なVSEO対策はSEO対策と同じです。
Googleの企業理念である「Googleが掲げる10の事実」に目を通すと、Googleが大切にしているのは「ユーザーファースト」であることがわかります。動画を制作するうえでのテクニックももちろん必要なことではありますが、ユーザーが喜ぶ、ユーザーが価値を感じるような動画を制作するという姿勢を忘れてはいけません。
ユーザーファーストであることを踏まえて、YouTube検索のアルゴリズムを分析してみるとYouTube検索で上位表示される動画のポイントは次の2つであることがわかります。
このポイントを押さえるためのVSEO対策テクニックを5つご紹介します。
検索キーワードは、ユーザーにとって「動画への入り口」といえるのではないでしょうか。ユーザーは、知りたい内容の検索キーワードを用いて検索をかけるため、動画のコンセプトや内容と検索キーワードにずれがあってはいけません。
検索されやすいキーワードを調べるときは、SEO対策でキーワードプランナーやGoogleトレンドなどのツールを用いるように、VSEO対策では YouTubeキーワードツールを用いると時間をかけずに無料で調べることができます。競合が多すぎないキーワードを選ぶことや、動画と関係のないキーワードを入れないことも意識できるとなおよいでしょう。
まず、タイトルについて説明します。
2022年6月に日経BPコンサルティングが発表したYouTubeの利用状況に関する調査によると、YouTubeを視聴する際に使用するデバイスとして「スマートフォン」と回答した人が70%以上という結果が出ています。さらに、29歳以下に限って見ると、90%以上の人がYouTube視聴のデバイスとしてスマートフォンを利用していることがわかりました(※1)。
このことから、VSEO対策においては、タイトルをスマートフォンで見た際に表示される文字数27文字程度を上限とし、メインのキーワードを冒頭に入れることが大切です。独創的な言葉遣いや動画の内容をほのめかす内容で、思わずユーザーがクリックしたくなるようなタイトルにするとさらに効果的でしょう。
次に、説明文についてです。
説明文は、最大半角5,000文字(全角の場合は2,500文字)まで入力可能ですが、必ずしも文字数いっぱいに説明文を書く必要はありません。あくまでも、視聴者にとってわかりやすい説明を心がけましょう。
メインの検索キーワードを冒頭に入れて動画の説明を行い「もっと見る」以降の説明文は、SNSアカウントの紹介やYouTube外のWebサイト、ECサイトのURLなどを貼り付けて最後に関連動画のURLで締めるのです。タイトルと説明文の関連性も意識できるとさらによいでしょう。説明文にメインの検索キーワードを入れ過ぎるとスパム扱いされてしまうため注意が必要です。
タイトル・説明文と合わせて、ハッシュタグと、後述のタグの設定も非常に重要な要素の一つです。
YouTubeでは、タイトルと説明文にハッシュタグを入れることができます。ハッシュタグをクリックすると関連動画を見ることができ、自身の動画も関連動画として表示されやすくなるため、VSEO対策の一つとして使われるのです。
入れ方のルールは3つあります。
チャンネル開設直後などに、ハッシュタグを意識して丁寧につけておくと、ハッシュタグ検索でよりたくさんの新規ユーザーに動画を見てもらうことができるでしょう。
タグは、YouTube Studio内で設定する機能で、設定されたタグはハッシュタグとは違い、ユーザーには直接見えません。
タグは、動画に関連するワードやユーザーが検索時に入力することが想定されるキーワードを複数個設定すると効果的です。タグ付けされた動画は、タグ付けされていない動画に比べると、検索優位性があるとされています。ハッシュタグと同様に、タグを付け過ぎるとYouTubeのアルゴリズムにスパムと認識され、逆効果となってしまうため、タグ付けは5~10個程度にしておきましょう。
翻訳は、動画コンテンツにテキストデータを挿入するため、多言語からの検索流入を増やす効果を期待できます。翻訳に限らず、字幕を挿入することで音声がない状態で動画を楽しむことができるため、字幕を挿入すること自体がYouTubeのアルゴリズムに評価されやすいといわれています。
タイムスタンプは、YouTube動画にチャプター機能を設定する際に使用する機能です。動画の概要欄に、以下の規則に基づいてチャプターの区切りとする再生位置を記載することで設定します。
上記規則に基づいてタイムスタンプを設定すると、シークバーにチャプターの区切りが表示され、タイムスタンプをクリックすることで再生したいチャプターの頭から動画を再生することができるようになります。
タイムスタンプは、ユーザーがより快適に動画を視聴できる機能のため、設定すること自体がVSEO対策の一つと考えられています。また、タイムスタンプを設定することでユーザーが気になる箇所から動画を再生することができるため、後述の「ユーザーの途中離脱を少なくする」効果も期待できます。
YouTubeクリエイターアカデミーのホームページには、高評価された動画の9割以上がカスタムサムネイルを使用しているとの記載があります。これは、カスタムサムネイルを使用することで、タイトルや説明文などのテキストでは伝わらない動画の雰囲気を伝えることができるためではないでしょうか。
YouTubeの推奨するカスタムサムネイルの仕様は次のとおりです。
画像編集ソフトは、無料なら「GIMP」や「Canva」、有料なら「Photoshop」や「FotoJet」を使うのがおすすめです。
VSEO対策のための2つめのポイントである「ユーザーの途中離脱が少ないこと」は動画撮影時に意識する必要があります。ユーザーの途中離脱を少なくするための動画撮影のコツは3つです。
ユーザーは動画の内容がおおまかにでも最初に理解できないと、だらだらと時間を過ごしているように感じて途中で離脱してしまいます。
これを避けるためには、導入部分で動画の概要を説明し、説明文に動画の目次(1分40秒から今日の動画の概要を説明、2分50秒から商品説明などと記載)を入れておくとなおよいでしょう。
動画が始まっても、なかなか本題に行かなかったり、何が言いたいのかわからなかったりすると、視聴者はすぐに離脱してしまいます。もちろん内容にも寄りますが、あまり間延びした構成は避けましょう。
①で説明した通り、冒頭でグッと惹きつけ、魅力あるストーリー展開で最後まで視聴者を飽きさせないようにしましょう。そして最後に見せ場を作れば、メリハリのある動画になることでしょう。
トップYouTuberが作成したYouTube動画を見ると、集中力が切れそうなタイミングでアイキャッチ画像が挿入されるのをよく見かけます。人間が集中していられる時間は約15分といわれているので、この時間を目安に動画にアクセントを入れるのがよいでしょう。
そして、動画を撮影してアップしたあとに、全てではなくてもユーザーからのコメントに返事をすると、ユーザーは自分のコメントに着目してほしくなり、さらに動画をしっかりと見てコメントをするため、結果的に途中離脱を少なくできます。
VSEO対策は、動画撮影からアップしたあとまで、ポイントを押さえて継続的に行うことが大切だと言えるでしょう。
VSEO対策はSEO対策と同様突き詰めると抽象的とよく言われます。しかしGoogleが示すユーザーファーストの視点に立ち、ユーザーにとってわかりやすくするための工夫を丁寧に動画制作からアップした後まで意識して行えば他の動画コンテンツとの差別化が図られ、結果的にYouTube検索での上位表示につながるのではないでしょうか。
VSEO対策は効果が出るまで早くて数時間ですが、検索ボリュームの多いキーワードを用いると、競合が多いため、効果が出るのに数か月~数年かかる場合もあります。SEO対策と同様、ある程度の手間と時間がかかると覚悟を決め、コツコツと丁寧にVSEO対策を施していきましょう。
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