そもそもロゴとは、会社・ブランド・製品・サービス等の特徴を分かりやすく伝えるためのものです。色合いや全体の雰囲気(かわいい・かっこいい・洗練されているなど)を通して、名称と特徴を同時に認知してもらうことができます。
ロゴは、デザインによっていくつかに分類できますが、今回は「イラスト中心」「文字中心」「イラストと文字のミックス」の3つに分類して解説します。
イラスト中心ロゴのメリットは、伝えたいメッセージを直感的に伝えられる点でしょう。また、一見意味が伝わりにくいイラストでも、視覚情報として顧客の印象に残りやすいというメリットもあります。
一方で、イラストをはじめから制作する場合は時間やコストがかかります。特に初心者の場合、イラスト制作から自力で行うのは非常に難しいでしょう。自社や製品の思いをイラストとして抽象化するには、高度な専門知識が必要です。
初めてロゴ制作をするという場合は、この後ご紹介する「文字中心のロゴ」の方が制作しやすい傾向にあります。
会社や製品などのロゴは文字中心のものが多く、会社名や製品名などを広く認知させる目的であれば、非常に使い勝手の良いロゴとなるでしょう。また、フォント・配置・色などを工夫するだけで本格的なロゴを作成できるため、初心者でも作りやすいでしょう。
一方で、文字中心のロゴは、ほかのロゴとデザインが被りやすいというデメリットもあります。業種ごとにデザインの方向性も似たものになりやすいため、競合とデザインが酷似していないか細心の注意が必要です。
イラストと文字をミックスしたロゴは、商品ロゴなどによく見られるデザインです。イラストと文字をミックスするため、名称と特徴を一番バランス良く伝えやすいデザインといえます。社名や製品名だけでどんな会社・製品かが伝わりにくい場合には、このようにイラストも添えたロゴにすると良いでしょう。
イラストと文字をミックスしたロゴは、配置やカラーリング、さらにはイラストの制作技能など、高度な技術を必要とするケースも多いです。いざ作ってみてもしっくりこなかったり、雑然としたイメージになったりしがちなので注意しましょう。
ロゴは上述の通り、会社やサービスなどの「名称」と「特徴」を一目で伝えることができる、とても便利なものです。では、ビジネスにおいてロゴは、どのくらい重要な役割を担っているのでしょうか?
まず、ロゴはブランディングの一環として非常に大きな役割があります。
例えば、人気ペットボトル飲料『綾鷹』は、漢字をメインに据えることで「落ち着き」や「洗練された風味」などをイメージさせるデザインになっていると言えるでしょう。また、同じペットボトル飲料でも『FANTA』はポップなテイストで「現実から解き放ってくれるような楽しく親しみやすいイメージ」というブランドの方向性が明確に伝わってくるデザインとなっています。このように、ロゴデザインは見た人がその会社やブランドなどに対してどのような第一印象をもつかを左右する、非常に大切な存在なのです。
さらにロゴは、ファンを作るためにも大切なものです。
例えば、食品であればパッケージ上部にロゴが配置されていることが多いですが、顧客はこの「ロゴ」を見て「この会社はいつもおいしいから買おう」などと判断することが少なくありません。このように、リピーターを増やすのもロゴの役割といえます。
ロゴの意味や重要性についての理解が深まったら、さっそくロゴを作ってみましょう。ロゴを作る際には手当たり次第に始めるのではなく、まず事前準備をするのが非常に大切です。
ここでは、ロゴを作る前の「事前準備」について詳しく解説します。
まず、使用する場面を明確にしましょう。
使用する場所によって適しているデザインは微妙に異なります。あらかじめ「主にどこで使用するか」を定めておけば、デザインに関する迷いを減らすことができます。
例えば、ホームページやパッケージなどで使用する場合は、横長のロゴが主流です。一方で、スマホアプリでの使用を想定している場合は、正方形で作成したほうがアイコンとして使用しやすいでしょう。
使用する場面を明確にしておくことは、ロゴ作成の事前準備において非常に重要です。
次に、コンセプトを決めます。
これは、企業理念や商品コンセプトなどを基に決めていくとよいでしょう。コンセプトを決めると、ロゴの雰囲気や色合いなどを具体的にイメージしやすくなります。
例えば「辛さと旨さのバランスが絶妙で、やみつきになるスナック菓子」というコンセプトならば、赤やオレンジなどをベースとしたロゴが適していると考えられます。また、唐辛子や炎などのイラストを使用するイメージも浮かんでくるでしょう。
コンセプトを具体的に決めることで、ロゴの方向性をより具体的に定めやすくなります。
ターゲットを定めるのも、ロゴ作成を始める前に必ずしておきたい作業です。
同一ジャンル・業種のロゴでも、ターゲットが異なればデザインも大きく異なります。ターゲットによるロゴデザインの違いは、雑誌などを見ると一番分かりやすいでしょう。
「旅行をより気軽な遊びとして再定義したい」というテーマで創刊された「じゃらん」のロゴは、文字が横に引き延ばされたポップかつリラックス感のあるデザインで有名です。一方、「旅好きな大人の女性が好む、小旅行をメインに紹介する旅行誌」を目指した「ことりっぷ」のロゴは、リラックス感とスタイリッシュさのバランスを重視したデザインとなっています。
ターゲットによってデザインの方向性を合わせていくのも、ロゴ制作において非常に重要な作業です。
「どこで・何を・誰に伝えるのか」が明確に決まったら、ロゴのタイプやカラーを決めます。
この段階までくると、ある程度どのようなロゴにすべきかという大枠は見えてきますから、それをさらに詰めていく作業になるでしょう。ここまでの事前準備をしっかりと行えば、とてもスムーズにロゴ制作の作業が行えます。
事前準備が終わったら、実際にロゴを作っていきましょう。
今回は5つのステップに分けて、ロゴの作り方を解説します。実際にはこれよりも細かい過程が必要となることもありますが、おおまかな流れが掴めればご自身で制作する時にもスムーズに作業ができるでしょう。
まずは、おおまかなテイストを決めましょう。
文字を中心に据えるタイプもあれば、イラストメインで文字はほぼ使わないタイプもあります。また、縦長・横長・正方形などの縦横比も全体のイメージに大きく関わってくるでしょう。
今回はイラストと文字が1:1くらいの割合で、正方形のロゴを制作していきます。
次に、各パーツの配置や色を決めます。
配置によって重さ(どっしりした見た目・軽やかな見た目)や雰囲気(明るく楽しげな印象・すっきりとした印象)が変わるため、慎重に決めていきましょう。また、色もこの段階で細かく決めます。色合いの微妙な違いによって、受ける印象だけでなく、印象に残りやすいか、目に付きやすいかなども変わります。
テキストフォントは、とにかくさまざまなものを試してみましょう。
昨今はフリーで配布されているフォントもあるため、フリーフォントを使用できるツールであれば活用してみるとデザインの幅が広がります。フォントによって受ける印象は異なります。
例えば、有名な「MS明朝」は硬い印象、「MSゴシック」はポップな印象を受けるフォントです。フォントにこだわると、より伝えたいメッセージが伝わりやすいロゴになるでしょう。
全体的なデザインが固まったら、細部を修正していきます。
文字同士の余白をどの程度あけるか、文字やイラストの大きさやバランスはどうかなど、細かな部分にこだわることでロゴのクオリティを高めていきましょう。
細部の修正が終わったら、数日空けて再度確認と修正を行います。
数日空けるのは、長時間にわたり1つのロゴを見続けると見慣れてしまい、ミスや違和感を見落としやすくなるためです。完成した時は「とても良いロゴだ」と思っても、数日後に見てみると粗が見えてくることも少なくありません。また、フォントが場所ごとに微妙に違っていたなど、思わぬミスに気付くこともあるでしょう。こうしたことに気付きやすくするためにも、数日空けてからの確認はとても大切です。
良い物が作れればブランディングやマーケティングなど幅広い分野で活用できるロゴですが、作成にあたってはいくつかの注意点があります。
場合によっては会社の信用を傷つけてしまったり、とても使いにくいロゴになってしまったりするので、今回解説する3つのポイントを意識しながらロゴを作成してみてください。
まず、著作権や商標に抵触していないかは、時間をかけて慎重に調べる必要があります。意図的でなかったとしても、制作したロゴが既存のロゴと酷似していた場合、著作権侵害などで訴えられる可能性があるからです。
既存のロゴは膨大な数があるため、どのロゴにも似ていないものを作るのは非常に難しいでしょう。
しかし、できる限りしっかりと下調べをし、他社のロゴで似たものがあれば、制作し直した方が無難です。
ロゴはホームページの隅に表示されたりアプリ等のアイコンとして使用されるため、小さくても見やすいものが適しています。大きなサイズだけで確認するのではなく、縮小して確認すると良いでしょう。
例えば、アプリアイコンとして使う場合、多くのスマートフォンでは1cm×1cmで表示されます。利用方法を考えたうえで、例えば1cm×1cm、場合によってはそれ以上に縮小して表示し、それでも見にくくないかを確認しておくと安心です。
多くの目に触れるロゴを作る際には、自分だけでなく第三者の意見も必ず取り入れましょう。自分だけでチェックをすると、その人の趣味趣向が色濃く反映されてしまったり、思わぬミスに気付かなかったりします。
また、昨今厳しくなっているコンプライアンス面でのチェックも複数人で行った方が確実です。デザインはメッセージが抽象的になる分、さまざまな受け取られ方をするため、思わぬトラブルが起きる可能性もあります。ロゴ制作に際しては、必ず第三者にチェックを依頼しましょう。
ロゴは何十年〜何百年と使われる可能性のあるものであるため、流行に左右されないデザインであることも重要です。時代ごとに流行の配色やデザインの方向性はありますが、いつの時代にあってもおかしくないデザインかという視点で考えることも必要です。
特に、イラストメインのロゴは、時代の影響を受けやすいです。
例えば「スターバックス・コーヒー」のロゴは、創業から2011年までの40年間で、3回大きな変更をしています。一方で、文字中心のロゴを使用している「コカ・コーラ」や「ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ」のロゴは、創業から今までの約100年でマイナーチェンジはありつつも、大きな変更はありません。
イラスト中心のロゴ(シンボルマーク)か、文字中心のロゴ(ワードマーク)かによっても、古い印象になりやすいかは異なります。こうしたことも考慮したうえで、ロゴを作成すると良いでしょう。
ロゴ制作過程が理解できたら、ツールを使用してロゴを作成してみましょう。
ロゴ作成ツールには初心者向けから上級者向けまでさまざまな種類があります。プロ御用達の自由度が高いツールから、アンケートに答えるだけでロゴを自動生成してくれるものまで幅広く紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
Adobe Illustratorは、アドビ社が提供しているイラスト制作用のアプリです。プロイラストレーターの多くが使用しており、非常に高度な編集も可能なことが特徴のアプリとなっています。
機能が多い分、初心者の方だと少し使いにくい印象があるでしょう。
Canvaは、基本無料でロゴやポスターなどが制作できるツールです。テンプレートが豊富で、初心者でも本格的なデザインが作りやすいでしょう。
しかし、無料版だと高画質でのダウンロードができないことや、テンプレートを使うことで既存のロゴとデザインが似てしまうリスクがあるのがデメリットといえます。
Hatchfulは、基本無料で利用できるロゴ制作ツールです。業種・スタイル・ビジネス名などを入力すればロゴを自動で生成してくれるため、簡単にオリジナルロゴを作ることができます。
ただし、細かい編集をするのは難しいため、最初から自分の力でロゴを作りたいという場合には不向きです。
ロゴ制作について、具体的な作り方やおすすめのツールをご紹介しました。
昨今では、個人でネットショップを開いたりブランドを立ち上げるのも容易になったため、こうしたロゴ制作の需要は高まっています。ロゴ制作のスキルがあれば会社での活躍する幅が広がるだけでなく、副業をしたい場合にも非常に役立つでしょう。
本記事を参考に、みなさんもぜひオリジナルのロゴを制作してみてください。
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