動画制作を短納期で依頼する前に、一般的な動画制作の流れと制作期間を確認しましょう。
近年、動画は活用の幅が広くなってきているため、どのような動画でも必ず同じ流れで制作されるというわけではありません。
しかし、一般的な段取りと制作期間は存在します。動画制作を依頼するところから、通常の納期で納品するまでの流れ・概要・かかる時間の目安を確認します。
動画制作の依頼先にインターネットや電話で連絡し、問い合わせをする段階です。動画制作を依頼できる先は主に3つあります。それぞれのメリットとデメリットを表にまとめました。
<動画制作の依頼先とメリット・デメリット>
動画制作の依頼先 | メリット | デメリット |
---|---|---|
個人(フリーランス) | ・動画制作会社や広告代理店に依頼するより費用を抑えられる
・細かな融通を利かせやすい ・動画制作の1工程だけを依頼できる |
・納期やクオリティなどの保証がない
・信頼できる依頼先を探しにくい ・トラブルが起きた場合に解決しにくい |
動画制作会社 | ・動画制作のすべての工程を依頼できる
・動画制作を専門に行っているため幅広いニーズに対応できる |
・フリーランスと比較すると融通が利きにくい
・会社ごとに得意なジャンルと不得意なジャンルがある |
広告代理店 | ・動画制作のすべての工程を依頼できる
・動画を使った広告戦略を立案してもらえる ・コンプライアンスやセキュリティに対する意識が高い |
・動画制作費用が割高になる
・自社のもつ動画制作のイメージが伝わりにくい場合がある |
自社のイメージどおりの動画を制作してもらうために、どこに依頼するのがよいかをあらかじめ調べてください。いくつか候補を挙げてから絞り込むとよいでしょう。
動画制作の依頼先担当者とヒアリング・打ち合わせを行います。
ヒアリングされる可能性が高い内容は、以下のとおりです。あらかじめ準備しておくと、スムーズに打ち合わせが進むでしょう。
打ち合わせでは動画の完成イメージをしっかりと共有することが大切です。完成イメージの認識にずれがあると、予算をいくらかけてもニーズに合った動画は制作されないでしょう。
受け身な姿勢で打ち合わせに臨むのではなく、不安な点や疑問点は納得いくまで質問してください。コミュニケーションを積極的に図ることが重要です。
ヒアリングの内容を踏まえて、依頼先担当者が見積書や提案書を提出します。見積書や提案書では、以下の条件に注意してチェックしましょう。
似たような見積金額でも、提案書の内容や提示される条件が異なる可能性や、曖昧な条件が指定されている可能性があります。面倒に感じるかもしれませんが、慎重に確認してください。
企画とは、動画の骨組みを作る段階のことです。具体的には「動画制作の目的」「視聴するターゲット層」「掲載先」「動画の構成」を決め、以下の作業を行います。
さまざまなアイデアを具体化し、行動できるようにするための準備作業が企画といえるでしょう。
撮影の準備を行う段階です。カメラ・照明・音声などの機材と、大道具・小道具を調達し、撮影場所を確保します。ドローンなどの特殊な機材を使用する場合や、別途レンタル機材を使う場合もあるでしょう。
制作会社によって所有している機材が異なるので、大型の送風機やクレーンなど特殊な機材が必要な場合は、あらかじめ相談しましょう。
台本をもとに映像素材を撮影する段階です。
撮影にかかる期間は動画のジャンルや制作費によって異なり、1日で終わる場合もあれば、場所を変えながら数日にわたって撮影する場合もあります。素材が足りない、イメージに合わないなどの事態を招かないために、クライアントとして立ち会うとよいでしょう。
PCと動画編集ソフトを用いて動画素材を台本どおりに構成し、カットやエフェクトなどを加えます。ナレーション・BGM・テロップなどの音声素材も、この段階で録音・編集します。
初稿提出後、イメージと異なる場合は修正を依頼することも可能です。あまりにも修正の回数や追加編集が多いと納期がずれ、費用負担も大きくなるでしょう。ヒアリング段階でしっかりとイメージの擦り合わせを行うことが大切です。
見積もり・提案の段階で決めておいたフォーマットで動画が納品されます。
通常の納期の場合、動画制作から納品するまでの期間は3か月ほどが目安です。そのため、これより短い期間で制作できれば、短納期での動画制作といえるでしょう。
短納期で動画制作をするためのポイントを、8つご紹介します。
動画制作をする際に、社内のさまざまな部署を横断して意見を調整しなければならない場合があります。編集における修正の段階でさまざまな部署の意見を伝えると、納期の遅れだけではなく費用負担が増える可能性もあるでしょう。
短納期で動画制作を行いたい場合は、まず社内の意見統一を図ってからヒアリング・打ち合わせに臨んでください。イメージのずれを防ぎ、無駄な時間がかかることを防げます。関係各所を確認し、スムーズに確認ができるよう配慮しましょう。
企画の段階で関連する資料を多く提供できれば、本質的な部分を理解しながら動画制作を進めてもらえます。イメージと違うことによる修正などを減らすことができるため、納期を短縮できるでしょう。
自社の社員であれば誰でも理解できるようなことでも、依頼先の担当者にとっては初めて耳にする内容かもしれません。企画に関連する資料を揃えてから依頼するとよいでしょう。
ヒアリングの段階で、動画において伝えたいことを明確にしておきましょう。ヒアリングのあとの流れがスムーズになり、短納期での動画制作がしやすくなります。
内容を詳細に決めることが難しければ、メッセージやキーワードだけでも考えておくと、依頼先の担当者と作りたい動画のイメージを共有しやすいでしょう。メッセージやキーワードを決めておけば、どのように表現すると伝わりやすいかなどの演出も検討しやすくなります。
言葉や資料だけで制作したい動画のイメージを依頼先の担当者に伝える時間がかかりそうだと感じたら、あらかじめ参考になりそうな動画を探しておくのもよい方法でしょう。参考動画のどこが共有したいイメージに似ているのかなどを説明できるようにしておくと、さらにスムーズに進みます。
企画の段階で「いつまでに・誰が・何をするのか」を細かい部分まで明確化することで、動画制作にかかる余計な時間を削減することができます。並行に作業できる部分はないか、スタッフに対する分担は適切かなどの観点でスケジュールを見直すと、より短納期での制作が可能となるでしょう。
ヒアリング・打ち合わせの段階で、完成形の動画のイメージをわかりやすく依頼先担当者に伝えましょう。必要な素材のみを撮影し、編集段階での修正回数も減らすことができます。必要であれば字コンテや絵コンテなども用意し、イメージが正確に相手に伝わるよう心がけましょう。
使用するBGMを編集前にある程度決めておくことで、編集時間を短縮することができます。動画から受けるイメージはBGMによって大きく変化します。
ただし、イメージに合わないBGMを選択しないよう注意してください。
アジャイル方式とは、プロジェクトマネジメントにおいてよく使用される言葉で、チームがプロジェクトを複数の段階に分割し、すべての段階で密に関係者とコミュニケーションを取って工程の改善を繰り返す管理方法を指します。
クライアントとして、動画制作の各段階において積極的に担当者とコミュニケーションを図り、報告や相談を促しましょう。より効率的に作業が進むことが期待できます。
通常よりも短い納期で動画制作を依頼する場合、制作者の選定や依頼方法などには細心の注意を払いましょう。注意点を知らずに依頼すると、クオリティが低くなる場合や、想定外に費用がかかる場合があります。
以下、短納期で動画制作を依頼する際の注意点を4つご紹介するので、参考にしてください。
どれだけスキルがある制作会社やフリーランスでも、納期を短くしすぎるとクオリティが落ちます。心身への負担が大きいだけでなく、ほかの案件との兼ね合いがうまくいかなくなり、モチベーションや集中力が低下するためです。
満足いく仕上がりの動画を制作してもらえるように、短納期で動画制作を依頼する場合は、制作サイドの都合もしっかりと考慮しましょう。
短納期の場合、制作状況によってはクオリティが低くなることや、ミスが多くなることがあります。動画の制作途中や完成後は、細かい部分までしっかりとチェックしましょう。
修正に数日かかっても問題ないように、あらかじめ余裕をもって納期を設定することも重要です。例えば、YouTubeでの公開予定日を納期にすると、修正が必要な場合に対応できません。最低でも修正に2〜3日ほどかけられるように納期を設定してください。
短納期だからといって、見積もりを取らずに制作を進めるのはよくありません。予算内で制作できるか、追加料金が発生しないかなどを確認できないためです。制作し終えてから予算オーバーが発覚する可能性もあります。
見積もりを取ってどのような工程が発生するか確認しないと、不要な工程がないかもチェックできません。必要のない工程が入っていて、無駄にコストがかかるケースもあります。急いでいる場合でも見積もりを取って、納得のいく予算と工程で進められるかを確認しましょう。
短納期で依頼する場合、ある程度のスキルがないとクオリティが下がります。また、予定どおりに制作が進まず、納期までに完成しないリスクもあるので注意が必要です。制作会社やフリーランスを選ぶ際は、必ずこれまでの実績を確認しましょう。
実績ページにある動画作品のジャンルが、自分が制作したいと考えているものと同じかも確認してください。動画ジャンルによって必要になるスキルが異なるため、作りたいジャンルにおける実績が豊富だと、クオリティが高い動画を効率よく制作してもらえます。
動画制作会社は数多くあるので、どこに依頼すればよいのか迷う方も少なくありません。動画制作会社を選ぶ際は、料金や実績だけでなく担当者との相性も確認しましょう。相性がよくコミュニケーションをしっかりと取ることができれば、理想どおりの動画を制作してもらえる可能性が高まります。
以下、動画制作会社を選ぶポイントを3つご紹介するので、参考にしてください。
動画制作にはさまざまな工程があり、会社ごとに細かく料金プランを設定しています。基本的な料金や追加料金などの説明がわかりにくい場合、予想以上に費用がかかる可能性があるので注意してください。
悪質な会社の場合、きちんと料金プランの説明をせず、あとから高額な追加料金を請求してくるケースもあります。予算内で動画制作をするために、料金プランは明確か、説明に納得できるかをしっかりとチェックしましょう。
動画制作の実績がない会社だと、どのような作品ジャンルに対応しているのか、どのくらいの制作レベルなのかがわかりません。特に、初めて動画制作を依頼する場合は、制作者側がどのくらい自分の意向を汲み取ってくれるかが非常に重要になるので、実績が豊富な制作会社を選びましょう。
動画制作の実績は、公式ホームページや制作者のSNSなどから確認してください。作風や動画のクオリティ、どのような企業に作品を提供しているかも重要な判断材料です。
担当者とコミュニケーションをしっかり取れると、自分の理想どおりの作品を作りやすくなります。依頼側に動画制作をした経験がない場合、制作者とコミュニケーションを取りながら、完成イメージを具体化していかなくてはなりません。
意見を交換しやすい担当者のほうが、イメージを伝えられるでしょう。理想の仕上がりになる可能性が高くなります。
短納期で制作した動画の事例を、3つご紹介します。
旅行会社Mydoトラベルにおいて、半期に一度行われる「売りつくしスーパーセール」のB4チラシデータをもとに、最短5営業日で納品可能なプランを用いて作られた広告動画です。
具体的には、Adobe Illustratorで作成したB4チラシのデータを取り込んで、夏らしい明るいBGMと効果音を挿入して再構成しています。安くなった価格を強調し、無駄な情報を省いているため、非常にわかりやすいでしょう。
30秒という短い尺の中で、4種類のおすすめ旅行を紹介しています。行き先・価格・期間をしっかりと確認できるため、急かされるような印象をもちません。最後に検索窓に「マイドゥ」と打ち込んで検索ボタンを押すシーンが挿入されていることから、詳細はWebサイトで確認すればよいこともすぐに理解できます。
広告動画として顧客に必要な情報を提供し、次の行動を促すという目的が十分に果たされる動画に仕上がっているといえるでしょう。
システムバンク株式会社の会社案内パンフレットを素材として作ったWeb用動画です。パンフレットをもとに作られているため、新たな撮影も不要で納期だけでなく余分なコストを抑えています。同社は最短5日間で動画制作を請け負っているため、動画制作だけなら短納期で制作できるでしょう。
導入部分はコインパーキングを上空から撮影したようなビジュアルのアニメーションで、道路には「System Bank」と記載しています。システムバンク株式会社の動画であることがわかるように制作されているのです。ナレーションはなくBGMのみが流れていますが、画面の説明に集中できる要因になっているでしょう。
道路を走る自動車が画面の切り替えとして挿入されているため、パンフレットのページをめくるような感覚をもつことができます。システムバンク株式会社の強みを説明するシーンでは、1枚の画像と短い文言のみで内容が表現されるため、強みがしっかりと印象に残ります。
短納期で制作されていますが、難解さを極力省き、短めの尺にまとめたことで、最初から終わりまで集中して視聴することのできる動画に仕上がっているといえるでしょう。
株式会社ネクスコ東日本エンジニアリングが展示会用に制作した、トイレ忘れ物防止システムの説明動画です。
動画は、株式会社ネクスコ東日本エンジニアリングの文字と会社ロゴからゆっくりと始まります。お手洗いから出ようとする女性がスマホを忘れ、システムにより「忘れ物はございませんか?」と声がけされてスマホを取りに戻るシーンへと移ります。
そのあと、改めてナレーションとBGMが入り、本格的なトイレ忘れ物防止システムの説明が開始されるのです。説明はナレーションの音声だけではなく、アニメーションと実写映像を織り交ぜて行われるため、飽きずに画面に集中することができます。
忘れ物を感知するセンサーの仕組みと導入するメリットを伝えて動画は終わります。もう少し詳細に知りたいと思わせる情報量で動画が終了するため、問い合わせや検索に結び付きやすいでしょう。
企画・撮影・編集期間は約1か月間と短納期の動画ですが、動画の目的がはっきりと伝わり成果につながりやすい動画に仕上がっています。
動画制作を短納期で行うためには、基本的な動画制作の流れを理解し、ヒアリングなどの早い段階でできるだけ依頼先担当者と制作したい動画のイメージを共有することが重要です。効率的なスケジュールを組んで、編集時の手直しが最小限で済むよう配慮することが大切といえるでしょう。
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