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「クロマキー」とは、特定の色から映像の一部を透明にし、そこに別の映像を合成する技術のことをいいます。特定の色とは、多くの場合で緑色もしくは青色が使用されます。
クロマキー合成を使用することで、スタジオを使わず小さい部屋でも撮影が可能となります。実際に行けない場所や撮影するには危険な場所、自身で制作した背景なども合成することができるので、さまざまな背景での撮影を実現します。そういったメリットから、クロマキー合成は撮影にかかる費用も抑えることが可能となります。最近では、YouTuberやゲーム実況者も使用する人が多く、注目を集めています。
先述した通り、合成をするために背景を緑色や青色にすることが多いです。では、なぜ緑色や青色にする必要があるのでしょうか。それは、人間の肌の色に関係があります。
人間の肌の色はオレンジ色に近く、その補色となる緑色を使用することで人物との色の違いがはっきりわかり、切り抜きが簡単にできます。クロマキー合成を使用するのは主に人物が絡んでくるため、このように緑色や青色を使用することが多いです。
ただし、人の肌については背景を緑色や青色にすることで切り抜きが簡単になりますが、身につけている服やアクセサリーなどが背景色に近い場合は、切り抜きが難しくなるのでその点は注意が必要です。
補色とは、色相環における反対側の色のことで、互いの色をもっとも目立たせる色の組み合わせのことをいいます。人物の色がオレンジ色に相当するので、その補色に近い色として緑色を使用することで人物の色とのコントラストが強く、切り抜きやすくなります。
ここからは、背景を緑色(グリーンバック)にして撮影する際には何が必要なのか解説します。
まず、背景に設置するための緑色の布(グリーンバック)が必要となります。設置する場所に合わせてサイズが変わってくるので、しっかりと測定して用意をしましょう。
設置タイプの種類は主に「壁掛け型」「自立型」「スタンド型」があります。それぞれに特徴があるので、環境に合わせて選定していきましょう。
壁掛け型は、固定設置しておいて使う時に引き出して使用します。イメージとしてはロールスクリーンのようなタイプです。
自立型は、屏風のように自立します。簡単に組み立て・解体ができ、持ち運びしやすいことが特徴です。
スタンド型は、スタジオなどで使用するような本格的なタイプです。設営がしやすく、しっかりとグリーンバックが固定されるので、もっとも人気のあるタイプです。
グリーンバックの布の素材は、ポリエステル素材・不織布・紙など、さまざまな種類があります。その中でも人気なのがポリエステル素材で、シワや折り目がつきにくいという特徴があります。シワや折り目がつかないことで、キレイに背景を切り抜くことが可能です。
撮影時に、グリーンバックにシワ・折り目・たるみなどが目立つと、その部分に影ができてしまいます。すると映像的にノイズとなってしまい、うまく切り抜けなくなることがあります。
グリーンバックを選ぶときは、ポリエステル素材のようにシワや折り目が付きにくい素材を選びましょう。
初めてグリーンバックを購入するとき、どのグリーンバックがよいのか迷ってしまうことがあると思います。次のポイントに絞って選んでいきましょう。
撮影するものや場所に応じてサイズは変わります。座って撮影するのか、立って撮影するのかにもよってサイズが変わってくるので、撮影対象・撮影場所のサイズを考慮したうえで選びましょう。
常に出している可能性もありますが、場合によっては持ち運びをしてさまざまな場所で使用することもあるかもしれません。先述した、設置方法によって収納のしやすさが異なるので、収納がしやすく持ち運びがしやすいタイプを選定していきましょう。
次に、グリーンバック以外に必要なものについて解説していきます。
LED照明は、クロマキー合成するのにとても重要なアイテムで、照明の輝度などが合成後のシーンに合ったものでなければ不自然となってしまいます。合成後のCGの照明の当たり方が頭上や横からの照明であれば、撮影時も同じ角度で照明を当てて撮影することで、合成したときの違和感をなくすことができます。被写体に光を当てることはもちろんですが、背景のグリーンバックにムラなく均等に光が当たるようにすることで、編集時のクロマキー合成の切り抜きがしやすくなり、時間を節約することができます。
照明を使用するときは、位置や輝度などを調整して、影になっている部分と反射して明るくなってしまっている光をなくすようにしましょう。
また、LED照明は3つ使用することをおすすめします。3つのうち、2つのライトをグリーンバックを均一に照らすために使用し、最後の1つは被写体用のライトに使います。被写体とグリーンバックを別々のライトで照らすことでそれぞれのベストな光の当たり具合を調整できるので3つがおすすめです。可能であれば、より多くのライトを使用して、被写体を照らすためのライトがあるとよいですが、最低でも3つはLEDライトを揃えておきましょう。
LEDライトは、グリーンバックを滑らかに照らすことができるような、ソフトで大きなライトを選びましょう。
ここからは、グリーンバックでどのように撮影するのかを解説していきます。
まず、グリーンバック・LED照明・カメラを設置します。
グリーンバックは先述した通り、シワや折り目があると不自然になります。再撮影することにならないように、設置時にシワや折り目がないことを確認しましょう。
LED照明は、3つあれば、2つはグリーンバックをスクリーンの両側に設置してください。スクリーン全体に均一な配光となるように調整することがポイントです。この際、影がスクリーンに入り込まないように注意してください。
カメラは、三脚を設置して撮影しましょう。三脚を使用することで安定して撮影ができるます。また、可能であれば撮影モードは「オート」ではなく、フォーカスや露出を設定することで一貫した撮影が可能となります。
グリーンバック・LED照明・カメラを設置したら、撮影しましょう。
グリーンバックで撮影した後「クロマキー合成」で編集をしていきます。
ここからは、どのようなアプリやソフトを使用すれば「クロマキー合成」が使用できるのか解説していきます。
PowerDirectorは、6年連続で国内販売シェアNo.1の動画編集ソフトで、誰でも簡単に使えるように設計されています。1ヶ月あたり517円で使用することができ、モーショントラッキングやキーフレームなど、さまざまな機能が搭載されています。レンダリング速度についても高速なので、リーズナブルかつ高性能なソフトといえるでしょう。
Adobe After Effectsは、動画編集と合成が得意な動画編集ソフトで、素材にかけられるエフェクト(特殊効果)が豊富で、細かい調整も思いのままです。また、高度なマスキング機能やトラッキング機能が搭載されており、動きに合わせた映像加工が容易にできるため、映画のような「3D」や「CG」も得意とします。
また、人物を別背景に合成する場合は、通常は撮影時にグリーンバッグを使いますが、普通の映像素材を使わなければならないこともあります。After Effectsの「ロトスコープ」という機能を使うことで、AIが判断し、自動で簡単に対象を切り抜いてくれます。
デメリットとしては、高性能なので初心者にはハードルが少し高いところです。習得すれば表現度は増しますが、習得までに少し時間を要するでしょう。
Final Cut Pro Xは、apple社がリリースしているソフトで、macOS向けの動画編集ソフトです。Windowsで使用することができないので注意が必要です。
動画・写真・画像データの読み込み・カット・連結などの編集機能が搭載されており、それ以外にも、BGM・効果音・エフェクト・テロップなどを追加できます。
Adobe Premiere Proは、Adobe After Effectsと同様にAdobe社からリリースされている動画編集アプリです。Adobe After Effectsに比べ、初心者でも触りやすく、いろいろな編集ができます。Adobe After Effectsは短いカットの映像や細かい設定が必要な映像などを編集する際に使用することが多いですが、Adobe Premire Proは素材となる映像を時間軸でつなぎ合わせて1本の作品に仕上げることができるソフトです。
Adobe CCに加入されている方は「After Effects」と「Premire Pro」を使い分けて使用されることが多いです。
Wondershare Filmoraは、簡単にハイクオリティな動画を編集できるソフトです。ソフトの購入は、買い切り型やサブスクリプション型などのプランが用意されているため、ニーズに合わせて利用できます。凝った動画編集も簡単なステップでできるので、時間をかけずに編集ができます。また、1,000万を超える動画素材・音楽・エフェクトが使えることも大きな特徴のひとつです。
グリーンバックを使って撮影をする時は、緑色などの服やアクセサリーなどは控えましょう。緑色の服などを着てしまうと、クロマキー合成をする際に背景とみなされてしまい、体が透けてしまうという現象が発生します。
また、先述しましたがスクリーンのシワや折り目には十分注意してください。シワがある部分に影ができてしまい、背景を切り抜くことができなくなります。手間を掛けず効率的に作業を行うためにも、スクリーンはキレイな状態を維持して撮影しましょう。
今回は合成のための背景を緑にする理由・クロマキー合成の基礎・クロマキー合成に対応したソフトについて解説しました。
クロマキー合成を使用する場合、グリーンバックやLEDライトが重要となってくるので、購入する場合はしっかりと選定して購入しましょう。また、動画ソフトは自分の目的に合ったソフトで編集していきましょう。
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