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スマートフォンの縦向きで再生されることを基準として作られた動画を「縦動画」と言います。スマートフォンの向きを縦にしたままフルスクリーンで再生できる動画のことで、視聴者がどのような向きで再生されるかが基準となっています。
これまでの通常の動画サイズは16:9が一般的でしたが、縦動画では9:16と縦のほうが大きくなっているという特徴があります。当たり前かもしれませんが、縦動画と横動画では、画面比率が違うということを覚えておきましょう。
縦動画にすることによって、他の動画と差別化ができます。横向きにしないことによって画面のサイズが300%上がると言われており、インパクトのある動画配信が可能になるのです。
横型動画をフルサイズで見るためには、スマートフォンの向きを変えなければいけないことに加え、機種によっては画面の固定を解除するという手間がありました。しかし、縦型動画では、画面の向きを変更させる必要がなく、特に設定も必要なくフルサイズで視聴できるという、視聴者にとって大きなメリットがあります。
動画の50%以上はスマートフォンで再生されている状況で、「スマホファースト」という言葉が出ているように、これからもスマートフォンでの再生割合が増えていくことが想定されます。再生を開始してから終了するまで、端末の向きを変更することなく見ることができるので、ユーザーの負担が少なく視聴しやすいというのも人気の理由です。
特に手が小さい方にとっては、スマートフォンを横に回転させるだけでも、片手ではやりにくい事もあるかと思います。その点縦動画なら、普段使っている向きのまま動画を再生することができるので、スムーズな動画再生が可能です。縦動画が女性からの人気が高いのも頷けます。
さらに縦動画では、画面の方向転換の手間軽減に加え、普段見ている画面方向のまま動画を再生することになります。小さいことのように思えますが、片手でいつものように見れるのは負担が少なく、結果的に視聴者の動画離脱率が下がる事にも繋がるのです。
また、「スマートフォンの1分以内の動画は約6割が縦のまま見る」という貴重なデータもあります(※)。このことから、短い尺の動画は縦のまま、長尺の動画は横向きに変更して視聴するという状況が想定されます。そのため、TwitterやTiktokなど短い尺の動画が人気のSNSについては、今後さらに縦動画の需要が増えてくることが予想されます。
縦動画は、Tiktok、Instagramなどと特に相性が良いと言われています。
これらのSNSではアップロードできる動画の長さに決まりがあり、たいていは15秒程度の短いものが主流です。動画の尺が短いので、あえて横型に持ち替えずに、サクッと視聴できる縦動画が好まれているようです。
Tiktokにしても15秒から60秒の短い尺の動画がメインとなっていますので、縦動画のまま再生することによって、ちょっとした休憩時間や複数の動画を見たい際にも最適です。特に、女性からの人気は高く、会社の休憩時間やランチ中に気軽に見らる傾向があるようです。
Instagramでも同様に最長60秒であり、短い尺の動画がメインですので、縦動画のアップロードにはピッタリです。やってみた動画やダンス動画などは縦動画の効果によって臨場感をアップできますし、次の動画の再生にもスムーズに進めるという特徴があります。
多くのSNSがありますが、縦動画との相性は「短い尺の動画」であるかどうかということが大きく関係していると言えるでしょう。
YouTubeでは動画の長さに規定がなく(投稿できる動画の長さはデフォルトで15分ですが、設定次第でそれ以上にする事も可能)、短い動画だけでなく長い動画もあり、縦横どちらが相性が良いかは、動画の長さによるとも言えるでしょう。ただ、現状では基本的に10分以上の動画、チャンネルが人気となっていますが、縦動画の需要が広がるにつれて、縦動画用の短い尺の動画が増えていくことも想定されます。
縦動画とコンテンツの相性は、直接再生数につながってきます。その中でも特に相性が良いのが人物にスポットを当てたメイクやファッション、アクセサリー関連の動画です。縦動画で画面いっぱいに視聴することによって、メイクの仕方をいつもより近い距離で見ることができますし、ファッション動画では全身をくまなく見ることによって、全体的なコーディネートも見やすいといった特徴を全面に出すことができます。これまでの横動画では人物までの距離が遠すぎたり、背景の比率が多すぎて見づらいという難点がありましたが、縦動画では見たい部分だけを最優先に見ることができるのです。
逆に縦動画に向いていないコンテンツもあります。
例えば、スポーツや風景動画です。野球やサッカーの動画を縦動画にしてしまうと、コート全体を画面内におさめることができないため、試合の状況を把握することが難しくなってしまいます。野球に関しても同様で、集団でおこなわれるスポーツはあまり縦動画には適さないと言えるでしょう。また、風景動画に関しても、その場の空気感を伝えるというよりは対象物となるものにスポットが当たりすぎてしまい、風景そのものの良さは伝えにくくなりがちです。
動画の方向には向き、不向きがありますので、それぞれコンテンツの特徴を生かせる動画の向きで制作していく必要があるのです。
横動画から縦動画に変更する場合は、16:9から9:16に画面比率を変更するソフトを利用する必要があります。
画面比率さえ変更できるものであれば、どのソフトを使っても問題ありませんが、無料で利用できる「ApowerEdit」や8600円から利用できる「VideoStudio」がおすすめです。
無料のソフトであっても画面比率を変更したり、テキストやBGMの挿入も標準搭載されているので、特に問題なく編集が可能です。そのうえで、編集作業の効率化や質を上げたい場合が出てくれば、有償のソフトを使っていくスタイルで問題ないでしょう。
動画編集の速度を上げたい場合には、ソフト内アイコンが分かりやすく軽快に動かすことができるVideoStudioを使うようにすると良いでしょう。動画編集ソフトについては各社から多くのソフトが出されていますので、「縦動画への画面比率変更が可能」、「操作性が良く使いやすいもの」という2点を基準に選択していきましょう。
画面比率の変更自体はソフト内の機能を利用すれば簡単におこなうことができますが、返還された動画は縦動画用のものとなりますので、これまでの編集作業とは若干異なります。例えば、テキスト、テロップの挿入においては横動画の感覚のままおこなってしまうと、画面におさまりませんので、適宜改行を入れたり挿入する文字数を減らしたりと工夫が必要です。横動画ではフルでセリフを入れていた場面でも、実際の映像で発言していることをかみ砕いて短くしたり、インパクトを残したいところのみテロップを挿入するなど、編集の仕方も多少変えていかなければいけません。
ではここでは、効果的に縦動画を取り入れた事例を紹介します。
縦動画のInstagramの広告動画の制作例として出されている動画です。上記で説明したように、縦動画はSNSとの相性が良いので、広告に取り入れれば効果を発揮しやすいと言えるでしょう。
これまでの広告動画は、縦動画として作られることは珍しいものでしたが、現在は縦動画の広告も増え始めています。スマートフォンで縦動画が増えている中で、動画作成のサンプルも縦動画として出すことによって、視聴者もイメージが付きやすく広告の効果も得られやすくなっています。
特に縦動画の広告は視聴者のスマートフォンの画面いっぱいに表示して、幅いっぱいにコンテンツの魅力をアピールすることができます。 そのため、訴求したい内容のインパクトも残りやすいです。これから企業の広告も縦型のものが増えてくることが想定されています。
Perfumeのミュージックビデオです。これまでこうした動画は横動画で撮影されることが多かったのですが、あえて縦動画にすることによって、アーティストの全身も大きく写すことができます。横動画ではどうしても引きにするとアーティストなどの人物は小さくなってしまいがちですが、縦動画なら大きく見ることができ、ファンには嬉しい映像です。
金工作家 宮田琴さんの作品作りの様子を写した動画です。冒頭に映し出された名前部分はまるで名刺のよう。これも縦動画にすることでの効果ですね。まるでこの動画を見れば、この作家さんの名刺がわり、と言ったメッセージ性も感じられます。
また、縦型にすることで、工房の全体的な様子から、手元にいたるまで、細部まで見やすく映し出されています。
作業を写す時にも、手元だけでなく作家さんの表情も映るので、どことなく目がいきます。会話などはないながらも、真剣な作業風景が伝わります。淡々とした動画ながらも、あたかもその場にいるかのような臨場感を感じることができるのも、縦動画を活用するメリットではないでしょうか。
縦動画について紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。縦動画は視聴者にとってメリットが大きいというのが一番重要な部分です。これまでの通常の動画比率が16:9が一般的でしたが、縦動画では9:16となっています。主に短い尺の動画で採用されることが多いのが縦動画という特徴もあります。
「スマホファースト」という言葉が出ているように、動画の視聴はパソコンよりもスマートフォンで、という流れがあります。縦動画にすることによって動画制作者、視聴者ともにメリットを生み出すことができるのです。
動画によって縦動画にしたほうがいいのか、横動画のほうがいいのか最適な選択をする必要はあります。今後は配信するコンテンツに合わせて動画の向きも選ぶような時代になってくることが想定されますので、いつでも縦動画での編集ができるように準備しておくことをおすすめします。
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