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動画制作・編集

【2023年最新】VFXとは?CGやSFXとの違いや活用事例についても解説!

皆さんは「VFX」という言葉を聞いたことありますか?
映像制作に携わる人でも、VFXについて詳しい人はあまり多くありません。
それほど、VFXは奥が深いグラフィック技術です。
今回は、VFXの基礎知識から、 CG(3DCG)やSFXとの違い、VFXを作れるソフトの紹介から
VFXを使った実例動画の紹介まで、余すところなくVFXについて解説します。
実は世の中にたくさん溢れていて、意外にも身近な存在である「VFX」について紐解いていきましょう!

VFXとは

グリーンバックでの撮影風景

「CGってよく聞くけど、じゃあVFXってなんだろう?」という方は多いと思います。VFXは「Visual Effects(ビジュアル・エフェクツ)」の略で、視覚効果という意味があり、現実には存在しないものや実写では撮影できないものを作り出す映像技術を指します。

まず、3DCGを作り、それを実写映像と合成する手法が主流です。実写とデジタル映像のミックス映像と考えると理解しやすいでしょう。撮影はグリーンバック(背景にグリーンの幕を貼る)で行い、その背景の前に役者さんの演技を立たせ撮影します。その後、さまざまなVFXアーティストが手を加えていき、リアリティさを増していきます。

多くの工程を経て作られるVFX

一口にVFXと言っても、それぞれに分野に特化したクリエイターがいるほど、VFXは特殊な技術です。

例えば、以下のようなものが挙げられます。

  • トラッキング(実写に追従する技術。映像の中のある地点を追跡(Track)する工程)
  • モデリング(3DCG空間内で、キャラクター、小道具、メカ、背景などを造形する工程)
  • テクスチャリング(皮膚や衣服、様々なものに、質感を出す工程)
  • アニメーション(モーションキャプチャなどを使ってモデルに動きを付けて行く工程)
  • ライティング(3DCGシーンを照らす様々な種類の光源を設定し、シーンの最終的な見映えを決める工程)
  • ダイナミクス(手付けでは難しいリアルな動きを表現する工程)

上記はあくまでも一例にすぎず、VFXにはさまざまな工程や、業種がたくさんあり、それぞれの工程に特化した会社が幾多存在するほどです。VFXは素人が気軽に出を出すにはとても難しい世界だということは、きちんと理解しておいた方がいいでしょう。

VFXが使われる場面

映画を見る男性と女性

「VFXってなに?」といわれるくらいの知名度とは裏腹に、私たちがふだん観ている映画やテレビ映像にもVFXは多用されており、映像に壮大さと、視覚効果をもたらすために非常に大事な技術なのがVFXなのです。そんなVFXは、もはや使われていない場所のほうが少ないほど、多種多様な映像制作の場面で使われています。

最もイメージしやすいのが映画での使用です。例えば、映画『スター・ウォーズシリーズ』で登場するライトセーバーは、ライトセーバーの模型を持って撮影をして、後からVFXで剣部分がレーザーに見えるような加工を施しています。また『スパイダーマンシリーズ』では、ワイヤーアクションで撮影した映像のワイヤー部分をVFX技術で消して、あたかも宙に浮いているような映像を作っています。

このように、特殊効果で迫力のある映像を作ったり余計な情報を消してより非現実的な映像に仕上げたりするためにVFXは用いられています。

VFX、CG(3DCG)、SFX、どう違うの?

複数の紙の船、そのうちいくつかはカラフルな色がついている

VFXを初めて知った方が疑問に思うのが「VFXとCGはどう違うの?」という点です。どちらもコンピューターを使った映像技術という点では共通していますが、技術の内容には大きな違いがあります。

CGとVFXの意味を簡単に説明します。

  • VFX:実写映像に視覚効果を付け加える技術
    (例:トランスフォーマーシリーズ、 ロード・オブ・ザ・リングシリーズ、)
  • CG:フルデジタルで映像を作り上げる技術
    (例:トイ・ストーリー)

CGは「コンピューターグラフィックス」の略で、背景から人物、道具など映像のすべてをデジタルで作る技術です。VFXは実写映像に視覚効果を付け加える技術なのに対して、CGは実写映像を使わず、1からデジタルで映像を作るという点が異なります。

ただし、昨今はVFXとCGの技術をミックスして映像を制作するケースも多く、特に実写映像にCGで作成した背景やキャラクターを合成した作品は非常に多くあります。また、VFXはもともとCG技術が派生してできた技術ということもあり、昨今ではVFXとCGの区分も曖昧になりつつあります。

  • SFX:特殊効果
    (例:ジュラシック・パーク、エイリアン、E.T.)

SFXは『Special effects(スペシャル・エフェクツ)』の略で特殊撮影という意味があります。美術や光学処理をした撮影技法や、怪物やモンスターの着ぐるみなどを機械を使って動かしながら撮影する技法です。『ゴジラ』や『スターウォーズ』のヨーダなどがこれに当てはまります。つまり、VFXと違い、特殊な加工を直接的に行う撮影技術を指すのがSFXです。

SFXと聞くと馴染みがないように感じますが『特撮』と聞けば日本人には馴染み深い、特撮ヒーローのイメージが浮かびますね。初期がSFX→CG→VFX→と第三形態していると考えるとシンプルです。

VFXは自分でも作れる?おすすめのソフト5選!

動画編集する男性の後ろ姿

VFXを作ることは不可能なことではないですが、上の項で説明したように、VFX制作はさまざまな工程を経て作られます。一人で作るのは容易なことではないでしょう。

しかし、そんな難しいVFXの世界ですが、初心者でも安心して動画編集ができるソフトも存在します。さらにここでは、初心者向けからプロも使う本格的なソフトをまとめました。おすすめソフトの厳選5つと、そのメリットとデメリットをご紹介します。

Blender

  • メリット:無料で利用できる。日本語に対応しておりユーザー数も多いため、ネットで情報を探しやすい。
  • デメリット:3DCG関連の技術を網羅しているため、機能が多すぎて修得が難しい。また、操作が独特で、既に3DCGやVFXの経験がある方にとっては少し扱いにくい。
  • 特徴:VFX以外にも、さまざまな3DCG技術を体験できる。
  • 費用:無料

CINEMA 4D

  • メリット: 初心者でも簡単。After Effectsとの連携可能。維持費が安くソフトが落ちない。
  • デメリット:製品のパッケージが複数あり、初心者にはとっつきづらい。
  • 特徴:安定性と操作性が評価されている。
  • 費用:7,883.33円 / 月<年間契約プラン> 無料お試し可能

Filmora

  • メリット:初心者でも簡単。プラグインを使えば、ハリウッド級のグラフィックス可能。
  • デメリット:単純な作業のみで基礎的なことしかできない。
  • 特徴:ビジュアルエフェクト(映像効果のテンプレート)を使用して、簡単にVFXを利用できる
  • 費用:15,000円程度(プランにより異なる) 無料利用可能

Maya

  • メリット:豊富なツールセットを装備している。
  • デメリット:スクリプト作成に知識が必要(プログラマースキルが必要)。
  • 特徴:VFXに特化しており、高度な加工にも対応できるソフト
  • 費用:36,300円〈月契約〉 無料お試し可能

After Effects

  • メリット: 比較的操作がわかりやすく、チュートリアルなどが探せば豊富に見つかる。Creative Cloudを契約すれば、Adobeの他のソフトも使用可能。
  • デメリット:サブスクリプションでの契約しかできない。
  • 特徴:ユーザー数が多い。Premiere ProなどほかのAdobe製品との連携もしやすい。
  • 費用:2,728円 / 月〈単体プラン〉 無料お試し可能

VFX制作ソフトを選ぶ際のポイント!

動画編集をしている男性

VFX制作ソフトを選ぶ際のポイントは、以下の5つです。

  1. 推奨している動作環境(スペック)に対応できるか
  2. 料金はどのくらいか
  3. 自分が行いたい作業が行えるか
  4. ネットの情報やオンライン講座が充実しているか
  5. (初心者の場合は)扱いやすいか、操作性はどうか

それぞれ詳しく解説していきます。

推奨している動作環境(スペック)に対応できるか

まず確認しておきたいのは、自分が使用しているパソコンのスペックで動作するかどうかです。VFXはパソコンにかなりの負荷がかかりますので、スペックによってはうまく動作しなかったり、完成に近付くにつれてソフトが落ちやすくなったりします。こうしたことがないよう、推奨している動作環境をしっかりと確認しておきましょう。最低限の動作環境はOSによっても異なりますが、多くのソフトの場合、8〜16GB程度のRAMと8GBのハードディスク空き容量が必要とされています。

ただし、これは動作に必要な最低限のスペックであり、快適に作業するためにはさらに高いスペックが必要です。以下に、今回ご紹介するソフトの動作環境が記載されたページURLをまとめましたので、参考にしてください。 

料金はどのくらいか

ソフト名 料金
Blender 無料
CINEMA 4D 7,883.33円 / 月〈年間契約プラン〉 13,750.00円 / 月〈月払いプラン〉 (無料お試し可能)
Filmora 9,979 円 / 月〈年間契約プラン〉 11,979 円〈永続ライセンス 〉 (無料利用可能)
Maya 36,300円〈月契約〉 286,000円〈1年契約〉 815,100円〈3年契約〉 (無料お試し可能)
After Effects 2,728円 / 月〈単体プラン〉 (無料お試し可能)

VFXに利用できるソフトは、BlenderとFilmora以外はすべて有料です。有料ソフトはいずれも月額10,000円前後しますので、使い続けられる料金プランかどうかも確認しておきましょう。

1年ごとの年間契約であれば料金が安く抑えられますが、一回の支払い料金は高額になってしまいます。ソフトやプランによって料金は細かく変わりますので、予算に合わせたソフト・プラン選びが重要です。

自分が行いたい作業が行えるか

ソフトによって機能や特化しているものは異なります。ソフトによっては、自分が行いたい作業ができず、できたとしてもかなり複雑な作業になってしまう場合がありますので、自分が行いたい作業が行えるかどうかも確認が必要です。

例えば、Filmoraは効果テンプレートを使用して簡単にVFX技術を活用できますが、自分の思い通りに1から演出を作っていくのには不向きです。一方、Blenderは、VFXやCGアニメーション制作など、行える作業が幅広いですが、操作性が独特でそれぞれの作業に特化したソフトのほうが扱いやすいといった評判もあります。

このように、ソフトによってできることや強みは異なりますので、ソフトごとの特性をしっかりと理解して選ぶことが大切といえるでしょう。

ネットの情報やオンライン講座が充実しているか

VFXを初めて扱う場合には、誰かから教わったり、自分で情報を調べながら作業を進めたりしなくてはなりません。特に独学の場合は、ネット記事やオンライン講座がどの程度充実しているかによって、作業効率や修得スピードは大きく変わってくるでしょう。

しかし、ソフトによってユーザー数は異なり、ネットの情報量やオンライン講座の講座数も異なります。そのため、導入したいソフトがある程度絞れてきたら、ネット上の情報やオンライン講座の開講状況などを調べて、自分でも情報が得やすいかどうかを確認しておくことをおすすめします。ネットに情報がたくさんあり、自力で学習を進められる状況であれば、導入後も挫折しにくくなるでしょう。

(初心者の場合は)扱いやすいか、操作性はどうか

初心者の場合は、無料版を使って操作性を確認しておくのも大切です。VFXは、ソフトごとに使い勝手が異なるので、いくつかのソフトを試してみて、自分にあった操作感のソフトを探すと良いでしょう。

初心者におすすめのソフトは、FilmoreとAfter Effectsです。

Filmoreは3Dグラフィックスではなく動画編集がメインのソフトのため、操作がシンプルで扱いやすい特徴があります。また、前述のとおり、効果テンプレートを使用するだけで映像にVFXの効果を適用できるので、CG制作のスキルがない方でも非常に扱いやすいでしょう。

After Effectsも動画編集やアニメーション制作などを得意としているソフトのため、3DグラフィックやCG制作に特化したソフトに比べると操作がしやすい印象です。また、今回ご紹介するソフトの中ではアマチュアユーザーが多く、ネット上に情報もたくさん出回っているため、独学でわからなくなった際にも解決しやすいでしょう。「Adobe Creative Cloud」というプランを選択すれば、After Effectsを含む全Adobeソフトを使用できるのも魅力的です。

VFXを活用した事例を紹介

カップルの前にさまざまな映像が浮き上がっている

どの世界も職人技の世界には圧巻させられます。VFXの世界の作業工程も、調べれば調べるほど膨大かつ骨も精神も折れそうな作業に圧巻させられます。

その一例が、10秒間のカットをレンダリング(なんらかの抽象的なデータ集合を元に、一定の処理や演算を行って画像や映像、音声などを生成すること)しようとしたら、40時間かかるということでしょう。

例えば、VFXといえば『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』(2011)が印象的ですが、こちらの映画のとある1シーン1フレームをレンダリングするのに288時間かかったそうです。TVでは1秒を30フレーム、映画では24フレームに分けるので、1フレームというのは1秒にも満たない数字で、考えただけでめまいのしそうなVFXの世界だと感じるのではないでしょうか。

ここでは、そんなVFX映像を活用した作品をご紹介します。

ジュラシックパーク

まずご紹介するのは、VFXの初期と言われているのが『ジュラシックパーク』(1993)です。『ジュラシックパーク』(1993)といえば恐竜のイメージが強いですが、この恐竜はCGとSFXを使って作成された映像で、SFXからVFXに大きく移行するきっかけになった作品です。

スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け

次にご紹介するのが、先ほどもご紹介した『スター・ウォーズ』シリーズの最後の作品でもある『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』(2109)でのVFXの工程の映像です。

『ジュラシックパーク』(1993)と同様に、VFXの歴史を紐解いたときに切ってもきれない『スターウォーズ』シリーズもまた、多種多様な映像制作の場面で使われるようになった基盤を作った映画です。完全デジタルのCG技術を投入したVFXが生まれたのも、『スターウォーズ』の賜物だったことが分かり、これが現在の世界でのVFXの結晶といえるでしょう。

VFXメイキングムービー

次にご紹介するのは、実際に日本のVFXアーティストが一つの映像を作りあげていく映像です。とても細かく、操作方法を理解するのは勿論ですが、集中力や忍耐力も大切な部分だなと見ていて感じるのではないでしょうか。

そして、この編集工程を元に出来上がった映像がこちらです。

編集工程で作られた映像が使用され、壮大な世界が作り上げられています。莫大な時間と莫大な人数の結晶が詰まった映像は浪漫でいっぱいです。

パラサイト 半地下の家族

そしてつい最近の記憶に新しいVFX作品といえば『パラサイト 半地下の家族』(2020)です。

こちらはVFX感が薄いですが、立派なVFX作品です。車のワンシーンや、家のワンシーンですらVFXであり、私たちが思っているよりも非常に多くのVFXが当たり前のように使われているのがわかります。

るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning

2021年公開の『るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning』も、VFXを用いて制作された映画のひとつです。燃えさかる町並みの炎や崩れる瓦、爆風などの迫力ある映像をVFXで制作しています。

また、建物や人物のようなものから鞄などの小道具まで、さまざまな部分でVFXを活用しているのもこの作品の特徴です。例えば、狭い場所で撮影した映像にVFXで町並みを追加することによって、よりスケールの大きな広がりのある映像に仕上げるといった形でVFXを活用しています。特に日本は、広大な草原や砂漠、地平線まで伸びる道など、スケール感のある映像を撮るのが難しいケースが少なくありません。

しかし、VFXの技術を活用することで、こうした制限のある中で撮影した映像でも、スケール感の大きな映像に仕上げることができるのです。

The Evolution Of Visual Effects(視覚効果の発展)

最後に、こちらは1878年から現在までの映像が一本にまとまった作品紹介です。今までの映像技術の発展が分かる作品です。

当たり前に処理されている映像を観るのも楽しいですが、作業工程が観られるのはとてもワクワクしますね。映像技術が進化し、発展していく様子を描いた映像ですが、こうやって古い映像を見ていくと、逆にリアリティさが増すような感覚があります。

YouTubeで「VFX breakdown」と検索すると、非常にたくさんのVFXの工程前の映像が見つかるのでオススメです。

まとめ

エイリアンが降り立つ様子

VFXとは、実写のリアリティを最大限に活かした上で、映像にド迫力な視覚効果をもたらしてくれる魔法のような技術です。その魔法のようなVFXの技術により、現実世界のようでありながら非現実的なアクションシーンや壮大な風景を楽しむことができます。

時代がどんなに発展し、VRやARやさらに優れたデジタル技術的が出てきても、対をなして実写の生々しいリアル、人間味の追求は欠かせません。さまざまな視覚効果をもたらしてくれるVFXの世界は、これからも進歩し続けていくことでしょう。無限の可能性を秘めた最先端の映像技術から、これからも目が離せません。

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