CV(conversion:コンバージョン)とはWebサイトにおける特定の目標達成を指します。英語の語源では『変換』や『転換』を指しており、ビジネスにおける良い状態変化を指す意味合いで使われています。
CVR(Conversion Rate:コンバージョンレート)は、コンバージョン率のことを指し、CVを訪問数で割った値で算出します。訪問数はユーザー単位でカウントするユニークユーザーか、アクション単位でカウントするセッションかの2パターンあります。
CVの指標はWebサイトごとに異なり、例えばECサイトでは『商品購入』『カート保存』、キャンペーンでは『セミナー申込み』や『資料請求』などが定義されます。
まずは、自社のサイトが何を目的としたサイトかを踏まえ、CVの指標を決定しましょう。
では、CVやCVRを理解するために例を見ていきましょう。
Webサイトでは、広告や検索エンジンから流入し、初めて訪れるページをLP(Landing Page:ランディングページ)と呼びます。訪問者が着地(ランディング)するイメージが由来のようです。
ただ、上記は広義な捉え方で、一般的に呼ばれるLPというものは、「広告施策用に制作する商品購入や問い合わせなどを目的とした1枚の長いWebページ」と狭義的な意味を指すことが多いです。今回はこちらの意味でLPを捉えて解説していきます。
LPでは、商品購入や問い合わせや資料請求などをコンバージョンの指標とします。ユーザーが途中離脱した場合、LP制作にかけた人的リソースやコストが無駄になってしまうので、いかにコンバージョンさせるかを考える必要があります。
また、LPの効果を見る上では、多くの訪問者を集めてCV数が多いとしても、CVRが悪いと効率が良くなく、無駄なコストをかけているという判断になります。そのため、CV数だけでなくCVRを見ておくことが重要です。
▼LPでのCVRの良い例・悪い例
LPでは、そのページに訪れたユーザーにとって「自分が期待しているページである」と認識してもらう必要があります。そのためには、しっかりとコンバージョンまでの動線を設計しておく必要があります。
それでは、LPのCV、CVRを上げるためのポイントを6つご紹介していきます。
バナー広告やリスティング広告の訴求内容と、ページ内容を一致させる必要があります。ユーザーが訪れたページを見て「広告の内容と違う」と感じれば、別のページに訪問したかもしれない思いすぐに離脱されてしまいます。
広告などバナーから遷移させる場合は、訴求内容やデザインの統一感を意識して作成しましょう。
訴求やイメージが相違している例
『見た目が9割』という著書が一躍流行ったように、LPのファーストビューはLPを見続けてもらえるかという点で押さえておくべきポイントです。
人は最初の3秒間でそのWebページを見るかどうかを判断すると言われているため、ファーストビューにおけるキャッチコピーやフレーズの印象付けやインパクトは非常に重要です。
ファーストビューで印象づけを行う方法の例として、購入サイトでは『無料』『〇〇%OFF』というフレーズでお得感を出す、資料請求を目的とするサイトでは『満足度No.1』『実績1万件』など信頼度を高めるフレーズを入れておくなどがあります。
ファーストビューのキャッチコピーやフレーズは複数用意し、A/Bテストを実施すると良いでしょう。
アクションボタンはCVをさせるためのボタンとなるので、非常に重要度が高いです。アクションボタンは『文言』『色』『クリッカブル』を意識して作成しましょう。
まず『文言』ですが「こちらをクリック」など曖昧な言葉ではなく「購入する」など目的の行動でラベリングすることで、ユーザーも遷移するページが何かを瞬時的に理解できます。
また、行動のみでなく、心理的ハードルを下げる文言にするとより良いでしょう。購入を促進させる意図である場合、「購入する」よりも「初期無料プランへ申し込む」や「モニター料金で買う」のほうが、よりCVしやすくなる傾向にあります。
続けて『色』ですが、アクションボタンをサイトのメインカラーと同色にしてしまい埋もれてしまう……なんてことのないよう、差別化・目立った色にしましょう。
最後に『クリッカブル』ですが、マウスオーバーしたときに色の変化を持たせることや、影をつける、アイコンをつけるなどして、クリッカブルさがあると良いでしょう。
LPでは複数のメッセージや商品を伝えたくなりますが、よほど熱心なユーザーでない限り、自分が興味のあるコンテンツが表示されている部分を探すことはしません。
また、申し込みの対象となる商品・サービスが複数あると、ユーザーに迷いが生じ、申込みを躊躇させてしまいます。
商品やサービスが複数ある場合は、商品ごとのLPを作成し、CVしたページで関連した商品の紹介などを訴求するなどして、単一の商品を見せると良いでしょう。
LPに訪れたユーザーが魅力を感じてくれていても、その場で決断できるだけの理由がなければCVは起こりません。その場で決断させるためには、商品やサービスに希少性や限定感をつけることがポイントです。
例えば、商品を数量限定にしたり、割引が行われる期間を限定したりすることで、ユーザーは「お得な期間内に申し込んだほうがよい」と感じやすくなります。
心理学でも、人は無意識に得することよりも損することを避けようとする損得回避の法則があると言います。『今申し込まないと損をする』という心理状態になることで、お申込みや購入などの行動へ至りやすくなるでしょう。
入力フォームとは、電話番号や住所・氏名などを入力する部分を指します。ユーザーはフォームへ入力をしてから申し込みボタンを押すため、コンバージョンに非常に影響力がある要素です。
ユーザーが入力フォームに情報を入力していても、途中でなんだか面倒だと感じてしまうことで、離脱につながってしまいます。
入力フォームにはいくつかチェックポイントがあるので、下記の点を意識した設計を心がけましょう。
入力項目が多すぎると離脱しやすくなるため、項目数は最低限にしましょう。例えば会員登録を目的としたLPの場合は、入力項目をメールアドレスだけにし、コンバージョンさせた後にメールから本登録の入力フォームに進ませるという手法もあります。
申し込みボタンを押した後に別ページでフォームを入力するパターンがよくありますが、ページ遷移を挟むと離脱しやすくなります。できるだけフォームはLP内に埋め込むと良いでしょう。
入力フォームが複数ページに分かれてしまう場合は、『1/3 PAGE』などと記載する、ナビゲーションバーを配置するなどして、今どこまで入力が進んでいるのか直感的に分かりやすくしましょう。どのくらい入力工程があるのかわかることで、ユーザーは安心して入力を進めることができます。
アスタリスクをつける、「必須」と記載する、入力必須項目の欄をグレーアウトするなど、視覚的にどの項目が必須なのか認識しやすくしましょう。
フォームの入力エラーの場合、「入力エラーです」の表示だけでは、ユーザーになぜエラーなのか考えさせてしまうことになり、面倒だと感じて離脱率を上げてしまいます。そのため、エラーパターンは複数作成し、エラーに応じて出し分けるようにしましょう。
例えば、住所一つとっても「入力されていません」「数字が全角入力になっていません」など、複数のエラー内容が考えられます。
また、エラー内容をまとめてフォームの上部などに記載される場合がよく見られますが、それだと、エラーの箇所をユーザー自身で調べることとなるので、エラー文はエラー箇所に出してあげると親切です。
LPの改善を行うことで、CV数やCVRがどのようにアップしたのか事例をいくつか見ていきましょう。
結果:CVRが1.7倍改善
施策:
この事例では、競合との差別化、メインターゲットに合わせたデザイン、アクションボタンを目立たせるということを行っています。
参照:ランディングページ最適化(LPO)事例で学ぶ問い合わせ数10倍の手法
結果:資料請求の申し込み率(CVR):1〜2ポイント向上
施策:
この事例では、主に検索エンジン広告からの流入に対する施策を行っています。複数存在する検索キーワードの中から重視するキーワードを決定していることがポイントです。
例えば、『英会話 安い』と検索したユーザーよりも、『英会話 上達』と検索したユーザーへ『無料体験レッスン』を強調したLPを準備しています。一見『安い』のキーワードを入れているユーザーのが『無料』という訴求が刺さりそうですが、契約をコンバージョンの指標とした場合、『上達』を検索しているユーザーのほうがCVRは高くなるという結果でした。
参照:英会話教室がLPO(ランディングページ最適化)で成果、安さより上達にこだわる見込み客に積極的に無料体験を告知
結果:月間のCV数が4倍以上改善
施策:
こちらの事例では、競合調査からヒントを得ています。従来のアイキャッチ画像で使用していた『食材や料理の画像』ではなく、競合サイトに使われている『女性の画像』へ変更することで、ターゲットである女性に商品を使っているイメージを持たせました。
また、自社サイトで収集していたアンケートから、既存ユーザーにメリットに感じてもらえている点をメインメッセージに変更し、商品購入の際にネックとなる価格に関しては『月額1,000円』ではなく『1日あたり33.33円』とし、少しでも安く感じてもらえるように訴求内容を変更しています。
参照:【CVRが1年で3倍に】LPOで効果が出た5つの施策を紹介 – リスマガ【Web集客の教科書】
結果:遷移率(CVR)が72.05%改善
施策:
こちらのサイトはアフィリエイトサイトのため、バッグサイトからの遷移率をCVRの指標としています。
施策として信頼性のあるバッチを入れています。これを応用すると、モンド・セレクションや@cosmeのランキングバッチ、グッドデザイン賞などの受賞マークや、メディアの掲載実績を入れるなどが考えられます。バッチマークにより信頼性があがり、コンバージョンにも良い影響が出やすくなる例です。
参照:LPOとは? 成功事例4選・ツール3選:手順とポイントを徹底解説! | ポップインサイト公式ブログ
複数の改善事例を紹介してきましたが、実際は行った施策に対してすぐに効果が出ないことも多々あります。そのため、改善を行ったタイミングで必ず効果検証を行うことが重要となります。
地味な作業も多いですが、LPの改善は仮設を立てて実行し、検証、改善の繰り返しです。CVRが20%の改善を4回繰り返すと2倍の成果になるので、地道な改善を繰り返すことで、最終的にCV、CVRがより良い数値になっていきます。
今回あげた改善例は一部ではありますが、自社で参考にできる施策があればぜひご活用ください。
LPにおけるCV、CVRを改善するためのやり方と事例について解説してきました。
重要なのは、ユーザーが自分の期待している情報が乗っていると認識し、離脱しにくい設計にすることです。そこを意識してLP制作を行い、改善を繰り返してCV、CVRアップへつなげていきましょう。
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