サウンドロゴとは、企業が自社のブランディングに使用する短い楽曲や音のことを指します。サウンドロゴには自社の社名や愛称などを含められたものが多いですが、音声が含まれないものにもサウンドロゴとして認知されているものは少なくありません。
※企業名・商品名などのフレーズを含んだもののみをサウンドロゴと定義する場合もありますが、この記事ではフレーズを含まないものもサウンドロゴの一部として解説していきます。
サウンドロゴは企業のブランディングに効果的とされ、SNSを利用した動画広告が急増した昨今、再注目されています。
映像制作においてよく利用される短い音源には「ジングル」と呼ばれるものがあります。場面の切り替えなどの際によく利用されるジングルも映像制作に欠かせません。
ジングルは、あくまで場面の切り替えなどを視聴者によりわかりやすくするために使用されている「効果音」の1つと考えられています。そのため、ジングルはサウンドロゴとは違い、その企業や商品・サービスを想起させるような役割を持っていません。サウンドロゴとジングルは、どちらも動画広告に利用される短い音源ですが、まったく違った用途で利用されているため混同しないようにしましょう。
サウンドロゴについて理解してもらったところで、そんなサウンドロゴのメリットについて詳しく解説していきます。
サウンドロゴのメリットは、大きく以下の3つです。
サウンドロゴを使用することで、視覚だけでなく聴覚へ訴えかける広告宣伝が可能になります。
聴覚に訴えかける広告宣伝は、視覚に訴えかけるものよりも印象的で、視聴者の記憶に残りやすいといわれています。テレビCMで流れるサウンドロゴ(短いメロディの付いた企業名などを想像してください)を思わず口ずさんでしまった、という経験がある人も多いのでないでしょうか。視聴者にサウンドロゴが記憶されるということは、企業名や商品名などが視聴者に記憶される、つまり企業や商品・サービスが認知されているということになります。
このように、サウンドロゴは企業の認知度向上に効果的です。
サウンドロゴは、効果音というよりも、数秒程度の短い楽曲として制作されることが多いです。この数秒間に企業名だけでなく、企業イメージやアピールしたい企業の強みなどを入れる場合もあります。これらにはサウンドロゴとして消費者に分かりやすく企業イメージを認知させる効果があります。
また、サウンドロゴに使用するメロディには音の高い低いや音の組み合わせなどで、メロディ自体に「クール」や「かわいい」「落ち着いた雰囲気」など、さまざまなイメージをもたせることができます。これらのイメージをもたせたメロディをサウンドロゴに用いることで、企業イメージを間接的に消費者に伝えることも可能です。
サウンドロゴの中には、声を用いないものもあります。これらは、言葉を用いないブランディング手法として、世界中に展開している大企業などで用いられています。
このように、サウンドロゴは使い方次第で、企業自体や企業イメージの認知度向上、世界に向けたブランディングなどさまざまな効果が得られます。
それでは、次はそんなサウンドロゴの作り方について、代表的な2つのパターンを紹介していきます。
企業のサウンドロゴは、外部の制作会社に依頼して制作されるケースがほとんどです。もちろん、最近では映像制作に使用するツールが多く世に出回っていることもあり、サウンドロゴを自作することもできます。
今回は、制作会社に依頼する場合と自分で作る場合について解説します。
サウンドロゴの制作は、多くの映像制作会社・動画制作会社が請け負っています。制作会社も中には、サウンドロゴ制作は行っていない会社もあるため、依頼する前にサウンドロゴの制作実績などもWebサイトで確認するようにしましょう。
サウンドロゴを制作会社に依頼する場合、主に以下の項目を伝えるようにすると良いでしょう。
これらはサウンドロゴを制作する際のポイントにも通ずる部分ですので、後述の「サウンドロゴを作る際のポイント」も参考にしてください。
サウンドロゴを制作会社に依頼する際に気になるのは必要となる費用です。必要な費用は依頼する制作会社によってさまざまですが、5~15万円程度が相場とされています。制作するサウンドロゴの秒数やフレーズの有無、フレーズを吹き込む声優や歌手などによって必要な費用は変わってくるため、制作会社に依頼する場合は構想を固めたうえで見積もり依頼をするようにしましょう。
サウンドロゴは「ロゴ」というだけあって、素人が自分で作るのは簡単ではありません。
とはいえ、最近では映像制作のツールや無料音源を提供しているWebサイトなどが増えたこともあり、いわゆるプロ以外も制作しやすい環境になってきています。サウンドロゴを制作する場合、そのほとんどが商標登録もセットで行います。商標登録が必要な点もサウンドロゴ制作のハードルを高くしている要因です。
サウンドロゴを商標登録する際には、以下の2つが必要となります。
また、サウンドロゴの主な使用目的は宣伝広告にあたるため、使用できる音源も商用利用が可能なものに限られます。もし、自分で一から音源制作ができない環境でサウンドロゴを自作したい場合は、商用利用可能な音源が配布されているWebサイトを利用するのも方法の1つです。
サウンドロゴの主な目的は「認知度向上」です。そのため、多くの人に親しみを与えられるものであることが重要といえます。
親しみを与えやすいサウンドロゴを制作するために、注意するべきポイントを5つご紹介します。
サウンドロゴは、自社のイメージを消費者に伝える重要な広告塔でもあります。どれだけ格好いいサウンドロゴであっても、自社のイメージとかけ離れているとブランディングという意味では期待している効果は望めません。
幅広い層に訴求したいファストフードを展開する企業には親しみやすいサウンドロゴが求められますし、住宅用洗剤を販売する企業には清潔感のあるサウンドロゴが適しています。このように、自社の主力となる商品・サービスや、自社の企業イメージなどに合ったサウンドロゴを作ることが重要です。
これは企業全体のサウンドロゴではなく、商品・サービスに対するサウンドロゴを制作する際に重要となるポイントです。
企業全体ではなく、商品ごとにサウンドロゴを制作することで、商品の強みや特徴を伝えることができます。「ニオイがつかないムシューダ」や「取っ手のとれるティファール」などは、商品の特徴を盛り込んだサウンドロゴとして広く認知されているものの代表といえます。
サウンドロゴは、それ単体で企業や商品を消費者に想起させることで効果が発揮されます。つまり、聴きなじみのあるようなフレーズや印象に残らないようなメロディだと、あまり効果が期待できません。
特徴的なもの、独創的なものになるように意識することもサウンドロゴを作る際の重要なポイントの1つです。
声を使ったフレーズをサウンドロゴに用いる場合、同じフレーズを繰り返す表現も認知度向上に効果的な手法の1つです。
リズムに合わせて企業名や商品名を繰り返すことで、その分、一度の視聴で消費者の記憶に残りやすくなります。
いかに独創的なものであっても、それを聴いた人が覚えられないような難解なフレーズだとやはり高い効果は期待できません。誰でも口ずさめるような簡単なリズムにすることも、記憶に残りやすくブランディングに効果的なサウンドロゴを作る際に重要なポイントの1つです。
サウンドロゴは自分で作る場合であっても、制作会社に依頼する場合であっても、上記のポイントを抑えておくことが重要です。
なお、制作会社に依頼する場合は、あらかじめ決めておいたこれらのポイントに対するアプローチを制作会社に伝えることが重要です。こうして作られたサウンドロゴは、企業のブランディングに活用されており、その多くは企業の著作物として商標登録されています。
一般的にはあまり知られていませんが、サウンドロゴは商標登録ができます。
サウンドロゴは「音商標」と呼ばれる商標登録が可能で、世界的に商標登録がされているWindowsの起動音も有名なサウンドロゴの1つです。音の商標登録に関しては、諸外国に比べると日本は後発ではあるものの、商標法に具体的に記載される以前にも、音に対する著作権をめぐって大手企業が提訴されるなど、2000年代初頭から日本国内でも「音商標」に関しては議論が重ねられていました。こういった背景もあり、2015年4月の商標法改正によって日本でも音の商標登録が可能になったのです。
私たちがふだん意識せずに見ているテレビCMにも、多くのサウンドロゴが使われています。そんな数あるサウンドロゴの中から特徴的かつ有名なものをいくつかご紹介しましょう。
マクドナルドのCMでよく耳にする「たらったったった~」という短い楽曲が有名なサウンドロゴの1つです。長い期間、このサウンドロゴを使い続けていることもあり、この楽曲を聴いただけで多くの人がマクドナルドだとわかるくらい、高い認知度を誇るサウンドロゴです。
マクドナルドでは、使用するCM(商品)に合わせて、落ち着いた雰囲気や明るい雰囲気、口笛風、ロックアーティストの声など、サウンドロゴをアレンジしているのも特徴的です。
エステー株式会社は「ムシューダ」や「消臭力」を販売している企業です。どちらもサウンドロゴを意識したCMが特徴的で、同社で広告宣伝において早い段階でサウンドロゴの重要性に着目していたことが伺えます。
「ニオイがつかないムシューダ」は、テンポのよいリズムで商品の特徴と商品名を視聴者にわかりやすく伝えるお手本のようなサウンドロゴです。それに対して歌手の西川貴教さんが美声で歌い上げるCMが話題となった「消臭力」は、西川さんの声が特徴的なサウンドロゴといえます。
株式会社ニトリは「お値段以上 ニトリ~」のCMで有名な大手インテリア用品販売会社です。
この「お値段以上 ニトリ」は小さな子どもにも口ずさまれるなど、親しみやすいサウンドロゴとして広く認知されています。また「比較的安価で高品質」という企業コンセプトを簡潔に伝えているブランディング効果の高いサウンドロゴの代表例でもあります。
Nintendo Switchの本体・ソフトのTVCMなどで発売当初から使用されている、ロゴが組み合わさる際の「カチッ」という音もブランディングを意識して作られたサウンドロゴの1つです。
サウンドロゴと合わせて表示されるロゴデザインはNintendo Switchのコントローラーを模した形となっていて、サウンドロゴと合わせることで、コントローラーをはめて「今からソフトを起動する」というイメージをユーザーに想起させるよう意識してデザインされていることがわかります。ユーザーをCMに没入させる効果を生んでいる非常に効果的なサウンドロゴの代表例と言えます。
アコム株式会社は多くの人が知る貸金業者(消費者金融)で「はじめて~のアコ~ム~」のフレーズは誰もが聞いたことがある非常に有名なサウンドロゴの1つです。
消費者金融ながら明るいCMも多く、消費者が利用することに対してネガティブになりにくいよう、サウンドロゴも明るいトーンでデザインされている点が特徴的です。「はじめてのアコム」というフレーズから、消費者金融を使ったことがない人でも利用しやすいイメージを与えるという役割も担った、意図が消費者に伝わりやすくブランディングに高い効果を発揮しているサウンドロゴの1つです。
サウンドロゴは、企業や商品のイメージ、特徴、コンセプトなどをたった数秒で伝える非常に重要な役割があります。改めて考えてみると、テレビCMを出稿するような大手企業のほとんどがサウンドロゴをすでに導入しています。具体的に商標登録について言及された2015年よりも以前から、サウンドロゴというブランディング手法はすでに浸透していたとも考えられます。
企業の大小に関わらず、SNSや動画配信プラットフォームを通して、動画広告を使った広告宣伝が簡単に行えるようになってきました。今までは意識していなかった企業も、これを機に一度自社のサウンドロゴの活用について改めて考えてみてはいかがでしょうか。
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