手書き風が与える印象は、フォントによって異なります。達筆で力強い印象のものもあれば、かわいらしい印象のものもあるでしょう。
以下では、手書き風フォントが与える印象について解説します。手書き風フォントを選ぶ際にも参考になる内容ですので、ご覧ください。
手書き風フォントは、人が真心を込めて書いたような温かい印象を与えます。明朝体やゴシック体をはじめとした書体では、機械的で冷たい印象を与えてしまうこともあるでしょう。そうした場合に、手書き風フォントを用いることで、一文字一文字を手書きしたような、温かみや親しみやすさを与えられるのです。
商品や料理に関して手作り感を印象づけたい場合や親しみやすい雰囲気を作りたい場合には、手作りフォントがぴったりです。居酒屋や郷土料理店などで手書きフォントが多用されているのも、こうした温かみや親しみやすさが要因のひとつといえるでしょう。
いわゆる「丸文字」のような特殊フォントを使用すると、かわいらしい印象を与えられます。癖のあるフォントは人々の注目を集めやすく、フォントの印象を強くアピールできるので、見た人にかわいらしい印象を強く残したい場合には効果的でしょう。
Instagramやブログのアイキャッチ画像に、手書き風フォントを使用しているものを見たことはないでしょうか。こうしたアイキャッチ画像への利用は、手書き風フォントのもつかわいらしさを活用した例のひとつです。
毛筆で書いたようなフォントを使用すると、力強い印象を与えられます。特に、トメ・ハネ・ハライがしっかりとした達筆なフォントは、硬派なイメージや潔い印象を与えることができるので「強さ」や「洗練された印象」などを強調したい際にはおすすめです。
こうした毛筆系のフォントの使用例には、お酒のラベルや和料理店のメニューなどがあります。和のテイストと力強さを演出したい場合は、毛筆系の手書き風フォントがおすすめです。
線が細い手書き風フォントやトメ・ハネが力強すぎないフォントを使用すると、素朴な印象を与えられます。こぢんまりとした雰囲気や、切なさ・儚さなどを演出したいシーンには、鉛筆や万年筆タッチの手書き風フォントを使用するのがおすすめです。
昨今は、恋愛系や感動系の映画のタイトルクレジットで、線が細い手書き風フォントを使用するケースが増えています。このように、素朴さやか弱さ、切なさなどを演出したい時に、手書き風フォントは重宝するでしょう。
ここからは、おすすめの手書き風フォントを12個ご紹介します。
今回ご紹介するのは、Adobe Fontsに登録されているものです。Adobe Fontsは、Creative Cloudプランユーザーであれば無料で使用でき、商用利用も可能です。20,000以上のフォントの中から、がっしりとしたものや荒々しい雰囲気のもの、線が細くかわいらしいものまで幅広くご紹介しますので、ぜひフォント選定の参考にしてください。
「AB-チョーク」は、チョークで手書きしたような質感の手書き風フォントです。線はチョークらしくやわらかいのですが、トメ・ハネがしっかりとしているので、柔らかすぎず使用しやすいフォントといえるでしょう。
黒板イラストを背景に使用するなどして、レクチャー系の画像や動画に活用するのがおすすめです。
「AB-太郎」は、太い線と丸い字体が特徴の手書きフォントです。癖が強いフォントであるため、人の注目を引きつけやすく、文章を印象づけるときに効果的でしょう。また、柔らかな印象をもっており、温かさや親しみやすさを演出したいシーンにも適しています。
居酒屋や和料理店のメニュー、短いメッセージ画像など、さまざまな場面で利用できるフォントです。
「AB あっぱれ」は、前述した「AB-太郎」よりもぽってりとした質感の手書き風フォントです。AB-太郎だとかすれ具合が気になるという場合や、よりかわいらしい雰囲気が良いという場合には、このAB あっぱれが良いでしょう。
線の太さのバランスが良いので、視認性が高く、メニューなどに使用しても読みやすいフォントです。
「TA風雅筆」は、毛筆系のフォントのなかではかなりバランスが良く、どんなシーンでも使用しやすい手書き風フォントです。看板や表札、年賀状、お品書き(メニュー)など、和の雰囲気や硬派なイメージを作りたいときに重宝するでしょう。
同じ質感の手書き風フォントとして「TA演芸筆」があり、こちらはより線が太くがっしりとした印象です。TA風雅筆だと物足りないという場合には、TA演芸筆もお試しください。
「AB-青龍L」は、線の繋げ部分が細くなっておらず、これにより柔らかさと個性的な雰囲気が両立している手書き風フォントです。ひらがなは柔らかく、漢字は繋げ線によって硬い質感をもっているので、全体的なバランスが特徴的で、キャッチコピーなどにおすすめです。
ただし、ひらがなよりも漢字が多い場合は、若干バランスが崩れる可能性がありますのでお気を付けください。
「TAゆか」は、全体的にやわらかな質感がありつつ線が丸すぎないため、視認性が高いフォントです。字の上下線がブレているため手書き感がとても強く、かわいらしい雰囲気や素朴な印象のフォントとなっています。
イラストのセリフ部分などに用いると、おもしろい手書き風フォントでしょう。
「TA恋心」は、トメがしっかりとしていて読みやすい手書き風フォントです。要所要所に膨らみがあるため、ぱっと見た印象は柔らかいイメージですが、線の太さが安定しているため視認性が高いといえます。
文章やタイトルロゴなどにも使用しやすいフォントといえるでしょう。
「VDL 京千社」は、つなげ線や筆の入りに特徴のある手書き風フォントです。入りやトメ部分がぼてっとしている点と線がしっかりとしている点、そして繋げ線が強く残っている点などによって、密度感のあるフォントとなっています。
ポスターのタイトル部分をはじめとした、目立たせたい部分に使用するのがおすすめのフォントです。
「黒龍爽」は、字は小ぶりながらもがっしりとした字体で、荒々しさがありながらも読みにくくない、絶妙のバランスに仕上がっている手書き風フォントです。力強くダイナミックな印象のフォントなので「祝」「華」のように、1文字だけで使用しても映えるフォントでしょう。
タイトルにおすすめの黒龍爽ですが、名簿や文章などに使用すればがっしりとした硬派な印象を与えられます。
「AB-手紙」は、万年筆風の細い線が特徴的な手書き風フォントです。字のサイズが不均一で、正方形の下寄り・上寄りなどの配置バランスもまばらになっているため、手書き感が強いフォントとなっています。
イラストのセリフや、映画タイトルなどに使用するのがおすすめです。
「かづらき SP2N」は、タテ書き・ヨコ書きどちらでも使いやすいようにデザインされたフォントです。
線の太さに緩急がありながらも、バランスが良く扱いやすいため、個性を出したいけどバラバラした雰囲気にしたくない方におすすめできます。長文の文章や名簿など、視認性が求められる文章にも適しているでしょう。
「TA Yugemeijin(弓削名人)」は、不安定な線が特徴的な手書き風フォントです。上下左右に大きくズレていないため、読みにくさを感じさせず、それでいてアンバランスな印象を感じさせるフォントに仕上がっています。
少し間の抜けた雰囲気や吹き出し内のセリフを印象づけたい際には、このフォントがおすすめです。
手書き風フォントにはさまざまなものがあり、どれも個性があるため、積極的に使用したいものです。昨今は無料の手書き風フォントも多数提供されていますが、こうしたフォントを使用する際にはいくつかの注意点があります。
以下で、手書き風フォントを使用する際の注意点を3つ解説しますので、使用前にご確認ください。
手書き風フォントはやわらかく温かな印象を与えますが、ビジネスでのプレゼンや学会発表、社会人を対象としたフォーマルなシーンなどには不向きでしょう。これは、明朝体やゴシック体に比べるとカジュアルなイメージが強く、締まりのない印象を与える場合が多いためです。もちろん、内容によっては積極的に手書き風フォントを使用したほうが良い場合もあります。
しかし、洗練された雰囲気やカッチリとした印象が欲しい場合には、手書き風フォント以外のフォントが適しているケースがほとんどです。
ネットで「手書き風フォント」と検索すると、数多くのフリーフォントがヒットします。こうしたフリーフォントはどれも魅力的ですが、中には商用利用不可のものやクレジット掲載が必須のものがあるため注意しましょう。
営利目的の動画やポスターなどで商用利用不可の手書き風フォントを使用してしまうと、動画削除や掲載停止を求められてしまうケースもあります。特に営利目的で使用する場合には、規約をしっかりと確認するようにしてください。
手書き風フォントは、字の上下が揃っていないケースが多くあります。そのため、4行以上の文章で使用すると、バラバラとした印象を与えやすいため注意が必要です。特に、ヨコ書きだと上下の不揃い感が強くなってしまうため、ヨコ書きの長文で手書き風フォントを使用する際は、全体の見え方をしっかりと確認しましょう。
手書き風フォントを長文で使用したい場合には、タテ書きにするのがおすすめです。タテ書きならば字の上下が不揃いでも目立ちにくく、見づらさを感じません。
しかし、フォントによっては読みにくい印象を与える場合もあるため、フォント選定にはしっかりと時間をかけましょう。
手書き風フォントは、対応している漢字数が少ない傾向があります。今回ご紹介したフォントでも、頻出漢字が1,000字程度しか対応していないものも多く、長文で使用するとエラーが出てしまうケースが少なくありません。
日常生活で使用する漢字はおよそ2,000字、JISで定められたフォントの対応漢字数は6,355字です。このように、対応漢字が1,000字前後は非常に少ないため、不便を感じる場合も多くあります。
手書き風フォントは、フォントごとに「温かみ」「洗練」「硬派」「荒々しい」「素朴」「かわいらしい」「不安定」など、さまざまな印象をもたせることができるため、多くのシーンで活用できます。文章はもちろん、タイトルロゴやセリフ文字などにもぴったりで、自分の持っているイメージを具現化するために、手書き風フォントはとても役立つでしょう。
しかし、フォーマルな場面での使用や営利目的でのフリーフォントの使用などは注意が必要です。TPOや利用規約をしっかりと確認したうえで、適切な場面で最適なフォントを選択できるようにしましょう。
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