目次
レンダリングとトゥーンレンダリングの違いについて解説していきます。まずは、レンダリングについてどのような工程なのか解説し、トゥーンレンダリングとの違いについても解説します。
レンダリングとは「もとになる情報を整形して表示すること」ということで、3DCGのみではなくIT関係でも使用されることが多い用語です。
例えば、WebサイトだとHTMLファイルなどのコードの記述を見てもユーザーにとっては専門のコードなども出てくるので読むことができません。そのコードをもとに、ユーザーが見やすく閲覧できるページとして整形・表示することが「レンダリング」です。
3DCG制作の現場で使われるレンダリングとは、主に3DCGで制作したモデルを2次元の画像にすることや、合成の作業で完成したものを2次元映像として出力することを指します。高度な3DCGになればなるほど、レンダリングは非常に多くの時間を要します。
「トゥーンレンダリング」とは3DCGのレンダリング方法の一種であり、立体モデルを手描きのアニメ調にレンダリングする表現方法のことです。
トゥーンレンダリングを使うメリットとして、アニメ調に制作したキャラクターデザインが360度すべて完成するという点が挙げられます。3DCGでキャラクターを制作することで、キャラクターの角度や動きに幅をもたせることが可能になり、アクションシーンなどもカメラワークによりあらゆる角度からの描写ができるようになります。
最近では、アニメやゲーム作品などにトゥーンレンダリングで作成されるのが主流になりつつあります。
では、レンダリングとトゥーンレンダリングは何が違うのでしょうか。
先述した通り、3DCGのレンダリングにはいろいろなレンダリング方法があり、その中のレンダリング方法の一種として「トゥーンレンダリング」が存在します。
トゥーンレンダリングについて解説しましたが、3DCG業界でのレンダリングの種類はトゥーンレンダリングだけではありません。ほかにもレンダリングの種類があるので、目的・状況に応じてレンダリングを使い分ける必要があります。
では、具体的にどのようなレンダリング方法があるのか解説していきます。
レイトレーシングは、現在もっとも多く使われている現実世界に近いレンダリングの技術のひとつです。光・影・反射などをリアルに表現することができます。例えば「光の屈折率」や「光の反射率」などを3DCGソフトで計算し、リアルな表現をすることが可能です。レイトレーシングを使用することで、水面・鏡・ガラス・窓などに物質を反射させた映像を撮ることもできます。
メリットとしてはリアリティのある光・陰影・反射を高品質に描画するため、アニメ・ゲームなど、さまざまなジャンルで使われています。形状数が多く、反射・投下・屈折が多いほどレンダリングに時間がかかりますが、その分リアルな画像を書き出すことができます。
スクリーンを横1行ごとに分割して、その1行ごとに奥行きやオブジェクトの交差を計算してレンダリングする手法です。比較的高速ですが、得られる画像の品質は基本的にレイトレーシングに劣ってしまいます。また、透明物の屈折表現が出来ず、金属や鏡などの映り込みが表現できないというデメリットもあります。
テクニック次第では綺麗な陰影を作ることができ、レイトレーシングよりも高速で実写的な表現をすることも可能です。
画素ごとにモデルの奥行きやオブジェクトの交差を計算し、カメラから見えない部分を消去するレンダリング方法です。
ほかの手法に比べて、比較的単純でハードウェアなどを用いて高速化しやすいですが、画面全体についてバッファを確保するため、必要なメモリ領域は大きく長時間でのレンダリングには向いていないです。また、半透明な物体の透過処理などの表現については苦手です。
ここからは、トゥーンレンダリングを実際に使用したい場合、どのソフトであれば対応しているか詳しく解説していきます。
「Maya」とは、Autodesk社によるハイエンド3DCGソフトウェアです。ディズニーなどクリエイティブ企業やハリウッド映画でも使用されています。ゲーム・スマホアプリ・映画などの3DCG制作に高く利用されているため、3DCG制作用ソフトなら「Maya」と名前が上がるようなソフトです。
パワフルな統合ツールセットが搭載されており、アニメーション・環境・モーショングラフィックス・バーチャル リアリティ・キャラクターの作成に使用できます。もちろんトゥーンレンダリングも標準搭載しているので、モデリングからレンダリングまで一貫して制作することが可能です。
「3ds Max」は、Autodesk社によるハイエンド3DCGソフトウェアです。3ds MaxはMayaとは違い、アニメーションCGの制作や建築業界の完成予想図の制作に向いています。アニメーション業界・ゲーム業界・建築業界など、さまざまな業界で3ds Maxが利用されています。
3ds Maxも標準でトゥーンレンダリングが搭載されています。
「LightWave」は、Mayaや3ds Maxと同様、モデリングからアニメーションまで制作できる統合型の3DCGソフトです。モデリングなどを行なう「モデラー」と、モデリングしたデータの配置やアニメーションを設定したうえでレンダリングを行なう「レイアウト」という2つのソフトから構成されているのが特徴です。2つに分けることで動作が軽くなり、高性能ではないパソコンでも対応できます。
プラグインの数が多いので、いろいろカスタマイズして使用することが可能です。
「MotionBuilder」は、Mayaなどを開発したAutodesk社がリリースしたソフトです。統合型ソフトではなく「リアルタイム3Dキャラクターアニメーションソフトウェア」となっています。
精度の高い、複雑なキャラクターアニメーションを制作することが可能で、さまざまな作品に使用されています。
「CINEMA 4D」は通称「C4D」と呼ばれ、3Dモデリングをはじめ、アニメーション・シミュレーション・レンダリングに対応している統合型3DCGソフトです。3ds MaxやMayaなど、ほかの3DCGソフトウェア間でデータのインポート・エクスポートが可能で、CAD形式のインポートにも対応しています。Adobe社のAfter Effectsとの連携も対応しており、CINEMA 4Dで3DCGを制作しながらAfter Effectsで確認することが可能となります。
また、CINEMA 4Dを使用する特徴として「MoGraph」も挙げられます。「MoGraph」は、動きが複雑で抽象的なアニメーションをすばやく簡単に作成可能なモデリングおよびアニメーションのツールセットです。
「アニメーションマスター」は、3DCGアニメーション制作ソフトウェアです。
通常、多くの3DCGアニメーションを制作する際は立体を表現するのに「ポリゴン」を使用するのに対し、アニメーションマスターは「スプライン」が使用されます。スプラインを使用することによって複雑な曲線を表現することが可能となり、人物のモデリングに強みを発揮します。
無料で使用できる3DCGソフトとして知名度が高い「Blender」は、初心者でも導入がしやすく、3DCGがどのようなソフトか体感するのにはよいソフトです。インターネット上でもWeb記事やYouTubeで「Blender」について多くの操作方法・活用方法・レビューなどの情報があるので、参考にしやすいです。
機能も豊富で、モデリングからレンダリングまで一貫して制作できるので、無料とは感じさせない3DCGソフトと言えるでしょう。
「MODO」は統合型3DCGソフトで、モデリングからレンダリングはもちろん、3Dスカルプティングツールなど、いろいろな機能を備えているソフトです。複数のマシン間(レンダー ファームとも呼ばれる)で、レンダリング方法のネットワークレンダリングにも対応しています。
トゥーンレンダリングには、ソフトによってはレンダラーが必要になります。ここではトゥーンレンダリングに対応したレンダラーを解説していきます。
Solid Angle社がリリースした「Arnold」は、レイトレーシング3Dレンダリングアプリケーションです。先程解説したMayaや3ds MAXには標準のレンダラーとして搭載されており、CINEMA 4Dなどではプラグインとして提供されています。
大きなジオメトリや多数のテクスチャでも安定性が抜群であることが特徴的です。また、エラー発生時も細かい問題点の解説をしてくれるので、原因特定しやすいです。
レンダラーとしては設定がシンプルであるため、設定に悩まされることなく、時間を取られることがありません。
「Pencil+」は、アニメ調のトゥーン表現・線画や色鉛筆・セル画のような表現が可能なレンダリングプラグインで、色鉛筆やペンで描いたようなCGを表現することができます。Mayaや3ds MAX以外はもちろん、UnityやAfter Effectsにも対応しています。
最近の新機能として「マルチスレッドレンダリング」にも対応し、数千個のオブジェクトが重なり合う複雑なシーンでも高速にラインを描画することが可能となりました。
3DCGがオブジェクトの数が増えたり複雑化すればするほど、レンダリングの時間を要します。トゥーンレンダリングを高速化する方法はいくつか存在します。ここでは、どのようにして高速化させるか解説していきます。
トゥーンレンダリングだけでなく、ほかのレンダリングでも同じですが、パソコンのGPUやCPUを交換・メモリを増設させることで、性能を上げてレンダリングのスピードを向上させることができます。その場合、パソコンが高性能になればなるほど高額となっていきます。
クラウド型レンダリングサービスとは、インターネットを通じて利用できるレンダリングサービスのことです。
通常、レンダリングは個人のパソコンから行いますが、クラウド型レンダーリングサービスはインターネットの向こう側に数百台などのレンダリング用のコンピュータ(サーバー)が用意されており、レンダリングのスピードを大幅にアップできます。パソコンの性能を上げずに済むので、レンダリングのためだけにパソコンの性能を上げるのに抵抗がある人は、こちらのサービスの利用を推奨します。
サーバーに使われているCPU・GPUの種類やノード数によって料金に違いはありますが、料金は安くて1時間あたり1ドル以下、高くても1時間あたり10数ドル程度です。
今回はトゥーンレンダリングについて解説しました。
トゥーンレンダリングはさまざまな3DCGソフトに対応しているので、自分自身がどのような機能が必要か洗い出し、自分に合う3DCGソフトを見つけて使用していきましょう。
WEBでのお問い合わせはこちら