目次
NDフィルターとはNeutral Density Filterの略称で、直訳すると「中間濃度フィルター」です。
NDフィルターを使用することで、カメラが取り込む光の量を発色に影響を及ぼさずに少なくすることができます。つまり色合いは通常通りでありながら、明るさのみを暗くできるフィルターということです。
NDフィルターではNDの次にフィルター番号と呼ばれる番号を付与して、カメラが取り込む光の量をどのくらい少なくできるのかがわかるようになっています。
例えば「ND4」であれば光の量は通常と比較して1/4、「ND32」であれば1/32になるということです。
NDフィルターには減光量による分類と形による分類があります。減光量による分類について表にまとめてみました。
NDフィルターの種類 | 内容 |
---|---|
固定式NDフィルター | 1つのフィルターに1つのフィルター番号が付与され濃度が固定されている |
可変式NDフィルター | フィルターの前枠を回転させることで減光量を調整することができる |
可変式は固定式と比較するとフィルターを交換しなくてもよいので便利に感じますが、価格はその分高めとなっています。
次に、形による分類について表にまとめてみました。
NDフィルターの種類 | 内容 |
---|---|
丸型フィルター | 丸型の最もオーソドックスなフィルターで、レンズの径についているネジ部分に装着するのでレンズ径に合ったサイズを選択する必要がある |
角型フィルター | 広角レンズなどレンズが丸く飛び出していて丸型フィルターを装着できないレンズに専用ホルダーを装着して用いる |
ハーフNDフィルター | 半分だけ暗くなっているNDフィルターで、境目がはっきり直線になっているハードタイプ、グラデーションになっているソフトタイプ、中央から外側にかけてグラデーションになっているリバースタイプなどがある |
NDフィルターは使用目的に応じてさまざまな種類から選択できるのがわかるでしょう。
NDフィルターは、明るすぎる環境での静止画像の撮影・屋外での動画の撮影・ドローン撮影とさまざまなタイミングで用いられています。
特に屋外で動画を撮影する場合、NDフィルターは必須の機材であると言われますが、一体なぜなのでしょうか。その理由をご紹介します。
動画は連続した静止画像を続けて見せることで動いているように見えます。1秒間の動画が何枚の画像で構成されているかを示す単位をフレームレートと言い、frames per secondの頭文字を取ったfpsという単位で示されるのです。
例えば、走っている人を静止画像で撮影する場合は、シャッタースピード(シャッターが開閉する時間のことで1/60秒・1/125秒といった数値で表す)を速くしてブレのないよう工夫しますが、動画で撮影する場合に、シャッタースピードを速くすると1枚1枚の静止画像にピントが合い過ぎて、連続して見た時にカクカクした不自然な動画となってしまいます。
そのため、動画撮影におけるシャッタースピードは、動画のフレームレートの1~2倍に固定した方が良いと言われているのです。24fpsなら1/25秒~1/50秒、120fpsなら1/125秒~1/250秒に固定するということです。
しかし、上記のようにシャッタースピードを遅くすると、光を取り込み過ぎて露出(カメラに取り込む光の量)がオーバーするでしょう。そこでNDフィルターを使用してカメラが取り込む光の量を少なくし、この問題を解決するのです。
動画撮影においてNDフィルターを使用するメリットとデメリットをNDフィルターの種類別にご紹介します。
動画撮影においてNDフィルターを使用するメリットを表にまとめてみました。
NDフィルターの種類 | メリット |
---|---|
固定式NDフィルター | ・減光ムラがほぼできないこと ・種類が豊富でニーズに合わせて選択できること |
可変式NDフィルター | ・フィルター交換が不要なこと ・構図やピントを決めやすいこと |
丸型フィルター | ・価格が手ごろであること ・種類が豊富でニーズに合わせて選択できること |
角型フィルター | ・高品質な動画が撮影できること ・汚れを落としやすいこと |
ハーフNDフィルター | ・明暗差が軽減できること |
それぞれのメリットを把握することで自分がどのような動画を撮影したいのか、またNDフィルターにどのような効果を求めるのかで、使い分ける材料となるでしょう。
動画撮影においてNDフィルターを使用するデメリットを表にまとめてみました。
NDフィルターの種類 | デメリット |
---|---|
固定式NDフィルター | ・都度フィルター交換が必要なこと ・レンズフードがつけられないこと |
可変式NDフィルター | ・減光ムラができる場合もあること ・解像度が低下しやすいこと ・レンズフードがつけられないこと |
丸型フィルター | ・レンズ径ごとに複数のフィルターが必要となること |
角型フィルター | ・高価であること ・大きくて重いこと ・レンズフードがつけられないこと |
ハーフNDフィルター | ・カメラにホルダーを装着して取り付けるためとっさの撮影はできないこと ・不必要な部分も減光され暗くなってしまうこと |
それぞれのNDフィルターのデメリットも知っておくことで、より自分のニーズに合ったNDフィルターを選択できるでしょう。
動画撮影におすすめのNDフィルターをご紹介する前に、まずはNDフィルターの性能は価格に比例するこということを知っておきましょう。
安すぎるNDフィルターは、色かぶりやX状のムラが発生しやすいだけではなく壊れやすいといったデメリットがあるのです。
海外製のNDフィルターは極端に価格が安い分、品質や性能に問題がある場合が多いので、予算に余裕があるなら日本のメーカーの製品を選択するというのも良いでしょう。
これを踏まえて、動画撮影時におすすめのNDフィルターを5つご紹介します。
2011年にKenko Tokinaが発売したバリアブルNDXは、可変式NDフィルターのなかでもトップクラスの性能を誇り、今でも使用している人は多いのですが、2019年7月に発売されたバリアブルNDXⅡはそれをさらに進化させた商品と言えるでしょう。
バリアブルNDXⅡの特徴を表にまとめてみました。
特徴 | 内容 |
---|---|
フィルター番号 | ND2.5〜ND450相当 |
回転枠の可動範囲 | 90°(着脱可能なレバー付き) |
色カブリへの対策 | 新開発の偏光膜採用により色カブリせずに減光可能 |
フィルター径 | 67mm・77mm・82mmの3種類(ステップアップリング=サイズの異なるフィルターなどを装着できるようにする変換リングの併用も可能) |
使用用途 | 一眼動画撮影で露出オーバー防止に使用できるが、静止画でのスローシャッター撮影にも使用可能 |
買い替えの目安 | 偏光膜の劣化に応じて7年程度 |
NDフィルターとしては高価格な商品と言えるかもしれませんが、機能の多さと用途の多彩さで動画撮影に使用するにはぴったりのNDフィルターだと言えるでしょう。
バリアブルNDXⅡはある程度予算に余裕があり、品質の良い動画を撮影したいという人におすすめです。
マルミ光機の固定式NDフィルターには、撥水・防汚コーティングがしてあるものとしてないもの、枠の構造の違いによりEXUSシリーズ・DHGシリーズの2種類から選ぶことができます。
画像のように減光量・シャッタースピード・絞りに応じて選択肢が幅広いのが特徴的なので、どのような動画を撮影したいのかさえはっきりしていれば、それのニーズに合ったNDフィルターを選択できるでしょう。
また、マルミ光機のホームページには静止画像ではありますが、それぞれのNDフィルターを使用した際にどのような画像を撮影することができるのかを商品別に掲載されています。
具体的なおすすめの周辺機材や設定方法までも詳細に記載があるので、NDフィルターについて情報収集をある程度行い、購入を検討している人にはとても参考になるのではないでしょうか。
マルミ光機のNDフィルターは、どのような動画を撮影したいのかある程度の方針が定まっている人におすすめです。
K&F conseptは、2011年に中華人民共和国で創業された写真アクセサリーの専門メーカーですが、ラインナップに固定式NDフィルター・可変式NDフィルター・丸型フィルター・角型フィルター・ハーフNDフィルターのすべてが揃っているのが特徴的と言えるでしょう。
NDフィルターの商品解説の画面においては、フィルター番号の違いによる明るさの違いを示した画像が掲載されていたり、商品ケースの画像が掲載されていたりと、内容が一目で理解できる工夫が施されています。
また、Amazon・楽天市場・Yahoo!ショッピングなどの大手通販サイトでも購入自体は可能ですが、K&F conseptのECサイトで購入すると割引価格が適用されたり、期間限定のセールで購入できたりするのです。
NDフィルターの割引率は8%~61%などさまざまなので、タイミングによってはかなりお得に購入することができるのではないでしょうか。
K&F conseptのNDフィルターは動画撮影においてさまざまなNDフィルターを使い分けてみたい人や、手ごろな価格になるまで購入を待つことができる人におすすめです。
2005年に中華人民共和国で光学製品の研究開発所として誕生したNisiは、創立以来カメラ用フィルターを開発し続け、現在までに100種類以上のフィルターとホルダー製品を制作してきた実績があります。
NDフィルターにおいては「角型フィルターシステム」という形でホルダーキット・ホルダーフレーム・角型フィルター・アクセサリーなどを1つのページにまとめて掲載し、NDフィルターだけではなく撮影に必要なものを網羅できるようになっているので初心者でも購入がスムーズにできるでしょう。
角型フィルターが主力製品ではありますが、丸型フィルターもラインナップの中にはあり、フィルター径も10種類以上の中から選択できるので、角型フィルターと丸形フィルターを両方試してみたい人は内容をチェックしてみるのも良いのではないでしょうか。
NisiのNDフィルターは、それなりに予算をかけても高品質な動画を撮影したい人におすすめです。
Tiffenは、1938年にアメリカで創業した老舗のカメラアクセサリーメーカーです。元々カメラフィルターを製造してはいなかったのですが、1951年に新しい独自のColorCore技術を開発してガラスフィルターを製造したことをきっかけに、フィルターの製造にも携わるようになりました。
NDフィルターにおいては種類やサイズが豊富なのはもちろんのこと、10年などの長期間における保証制度があったり、商品に不備があればリターンセンターという場所で返品を受け付けたりと、購入後のサポートまでしっかりと行われているのが特徴的です。
また、TiffenのNDフィルターはプロの動画撮影者にファンが多いのと、YouTubeで解説動画がたくさん見受けられるという特徴があるので、初心者の人でも動画を見てプロの人の参考意見を取り入れた上でNDフィルターを選ぶことができます。
何かを通販で購入する際に口コミを参考にする人は多いかもしれませんが、その口コミの中でもプロ動画撮影者の意見を参考にできるというのは大きなメリットと言えるでしょう。
TiffenのNDフィルターは幅広い商品の中から検討して購入したい初心者の人におすすめです。
NDフィルターとはNeutral Density Filterの略称で中間濃度フィルターのことを指し、使用することで、カメラが取り込む光の量を発色に影響を及ぼさずに少なくすることができます。
屋外での動画撮影時に必須の機材ですが、静止画像やドローン撮影などさまざまな用途にも使用できるので、汎用性が高いと言えるでしょう。
製品の品質は価格に比例するということを踏まえながら、なるべく日本製や信頼のおける海外メーカーの製品を選択するのがおすすめです。
ぜひこの記事も活用して、自分の撮影したい動画に合ったNDフィルターを見つけてみてください。
WEBでのお問い合わせはこちら