CROとはコンバージョン率最適化という意味で、コンバージョン率を改善するために行うさまざまな施策や取り組みのことを指します。Conversion Rate Optimizationの頭文字を取って名付けられました。今までWebサイトに対して行う施策というとSEO(検索エンジン最適化)が広く行われ、検索エンジンでの上位表示を狙いアクセス数を増やすための取り組みが重要視されてきました。
しかしWebサイトでの利益はアクセス数×コンバージョン率によって生み出されるため、アクセス数だけを増加させても自社の利益にはつながりません。そのためCROに取り組み、より利益に直結するWebサイトへの改善を目指す企業が増加しているのです。
CROを行うメリットを3つご紹介します。
Webマーケティングを行うと、従来の広告などと比較して安価にターゲット顧客へ自社の売りたい商品やサービスをアピールできますが、それでもコストがある程度かかるのは間違いありません。
しかしCROを行うとWebサイトに訪問したターゲット顧客を効率的にコンバージョンへと導けるため、1つのコンバージョンにかかるコストは低下しWebマーケティングの費用対効果が高くなるのです。
CROを継続的に行うことでWebサイトは結果的にターゲット顧客が使いやすいものへと変化していきます。そのことから顧客満足度が高まり、新規顧客獲得や既存顧客のリピートにもつながっていくでしょう。
近年Webマーケティングは、よりターゲット顧客目線で行うことが重要視されるようになってきました。
例えば市場分析の手法1つを取っても、昔は自社で何を作るかを重要視して分析する4P分析が広く行われましたが、現在ではターゲット顧客の立場から分析する4C分析と併用して総合的にWebマーケティング戦略を考えるように変化してきたのです。
CROを行うことで、ターゲット顧客の求めていることは何かをより意識したWebマーケティング戦略を構築できるでしょう。
CROに関連してEFO、LPO、SEOといった言葉もよくWebマーケティングでは用いられますが、混同しやすいためそれぞれの意味と、CROとどのようなつながりがあるのかを見てみましょう。
EFOとはエントリーフォーム最適化という意味で、エントリーフォームを改善し離脱率を下げるために行うさまざまな施策や取り組みのことを指します。Entry Form Optimizationの頭文字を取って名付けられました。
Webサイトを訪問し、エントリーフォームへとたどりついたターゲット顧客の80%は最終的にコンバージョンに至っていないと言われています。何らかの理由があって途中で離脱してしまっているのです。そのため、なぜターゲット顧客が離脱してしまうのかを分析し、コンバージョンにつながるようなエントリーフォームへと改善するだけでも集客効率は上がります。
具体的には次のような施策が行われます。
これらが全てではありませんが、エントリーフォームへの入力の煩わしさを取り除き、よりユーザビリティを大切にしたエントリーフォームを作ることがEFOの本質であると言えるでしょう。このことから、EFOはCROを行うための施策の1つであることがわかります。
LPOとはランディングページ最適化という意味で、ランディングページを改善しコンバージョン率をアップするために行うさまざまな施策や取り組みのことを指します。1996年に誕生しLanding Page Optimizationの頭文字を取って名付けられました。
インターネットが普及する前の広告媒体では、広告ごとの効果を測定するのは難しかったのですが、現在はさまざまな指標を用いてWeb広告の効果を把握できるようになっています。そのため測定結果から改善を求められるようになり、既存のLPの問題点を見つけて改善するというLPOの手法が用いられるようになったのです。
具体的には次のような施策が行われます。
ターゲット顧客が必要な情報にたどりつきやすく、使いやすいレイアウトにすることがLPOの本質であると言えるでしょう。このことから、LPOもまたCROを行うための施策の1つであることがわかります。
SEOとは検索エンジン最適化という意味で、ターゲット顧客がGoogleやYahoo!などの検索エンジンで検索をかけた際、検索結果の上位に表示させるための施策や取り組みのことです。Search Engine Optimization の頭文字を取って名付けられました。
現在SEOはほとんどGoogleでの上位表示を目指すための対策となっていますが、検索順位を決めるためのルールであるGoogleアルゴリズムは公開されていません。Googleではクローラーを使いリンクをたどってWebサイト内を巡回させ、新しいWebサイトを見つけるとインデックスするという仕組みを持っています。
SEO対策は大きく内部対策と外部対策の2つに分けることができますが、内部対策とはWebサイトにクローラーを呼び込み、その存在を知らせるための施策であり、外部対策とは呼び込んだクローラーをWebサイト全体に巡らせ、各ページを上位表示しやすくするための施策だと言えるでしょう。
具体的な内部対策と外部対策の方法をご紹介します。
ターゲット顧客が手早く必要な情報を収集できるように配慮することが、SEOの本質であると言えるでしょう。SEO対策でアクセス数を増やし、CROでコンバージョン率を増やすため、Webサイトにとってこれらは車の両輪のようなものだと考えることができます。
CROとEFO、LPO、SEOについてそれぞれご理解いただいたところで、次はCROがあまり良くない場合どのようなところに目を向けて改善していったらよいのかと具体的な指標について説明します。最初にCROが良くない場合に目線を向けてほしいのは、Webサイト全体としてコンバージョンにつなげる仕組みを持っているかどうかです。
よくあるCRO改善の失敗例としてEFO、LPOなどの個別の改善ばかりに集中しすぎて、Webサイト全体を見渡した時に成果につながる道筋ができていないというのがあります。
具体的には、Web広告では商品やサービスの使い勝手の良さをアピールしているにもかかわらず、LPではブランディングを意識して高級感を出し、エントリーフォームでは入力項目が多いといった状態を指します。最終的にCROを改善してより多くのコンバージョンにつなげるためには、Webサイト全体に統一感を持たせ、その上でターゲット顧客にとって使いやすいものにしていく必要があるというのを覚えておきましょう。
次にCROを改善するのに見ておくと役立つ指標をご紹介します。
CVRとはConversion RateのことでWeb広告からWebサイトに流入した人がコンバージョンした割合のことです。
計算式は「コンバージョン数 ÷ クリック数(アクセス数) x 100」となります。
Webサイトに訪れたターゲット顧客が、他のページに遷移せずに離脱する割合のことです。
Webサイトに訪れてそれぞれのページを閲覧したターゲット顧客が、Webサイトから離脱したページの割合を指します。
ターゲット顧客がLPに流入した経路です。
PVとはPage Viewの頭文字を取った言葉で、Webサイト内にあるページが表示された数を指します。他にも役立つ指標はたくさんありますが、それぞれの指標から現在のWebサイトにおける問題点を見出し、CROの改善につなげることが大切です。
CROを改善するための具体的な施策をEFO、LPO以外で3つご紹介します。
CTAとは行動喚起と訳され、ターゲット顧客に対して商品やサービスの購入や問い合わせなどの行動を促すバナーやボタンのことです。Call To Actionの頭文字を取って名付けられました。具体的にはWebサイト上の「資料請求」や「問い合わせ」などのボタンを指します。CTAはコンバージョンへの道筋を目立たせる役割を果たしているため、CTAをターゲット顧客にとって使いやすいものにすることは、CRO改善につながるのです。
CTAの改善ポイントを7つご紹介します。
ターゲット顧客がスムーズに行動できるような配慮をすれば、CTA改善はよりうまくいくのではないでしょうか。
前提として導線とはWebサイトを作る側がターゲット顧客を導く経路で、動線とは実際にターゲット顧客が動いた経路を指します。インターネット上にはさまざまなWebサイトがあるため、もしターゲット顧客にとって自社のWebサイトが迷路のように複雑で、どこに行けば目的の情報にたどり着くのかをイメージできなければ離脱してしまいます。このようなことを防ぐために、Webサイトにおいては、導線がシンプルでわかりやすいものになるよう改善していく取り組みが必要なのです。
動線はGoogleアナリティクスを用いることで次の3点を確認することができます。
これらのデータを分析して、定期的に導線の改善を行っていくとCROが良くなるでしょう。
Webサイトの表示速度はコンバージョン率を高めるための重要な要素と言えます。なぜなら、ユーザーの47%はWebページが2秒で表示されることを望むと言われているからです。逆に考えると現在自社のWebサイトを表示するのに3秒以上の時間がかかっているのなら、それが原因でターゲット顧客が離脱している可能性が高いと言えます。このような場合、Webサイトの表示速度を遅くしている原因を早急に突き止め改善することで、すぐにCROの向上につながるでしょう。
CROはコンバージョン率最適化という意味を持ち、Webサイト全体の統一感を損なわないようにしながらEFO、LPO、CTA、導線などさまざまな観点からの改善を続けていくことが大切だとわかりました。SEO対策と比較するとまだCROの考え方は世の中に浸透しているとは言えませんが、早期に対策を講じることで他社との差別化にもつながるのではないでしょうか。
Webマーケティングに予算をたくさん投入して広くターゲット顧客にアピールするのも1つの戦略ですが、1人1人のターゲット顧客を大切にして取りこぼしのないよう努めることも立派な集客戦略と言えます。ぜひ積極的にCROの考え方を活用して、より効率的なWebマーケティングを行ってみてください。
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