IGTVとは、画像・動画投稿SNS「Instagram」より2018年6月にリリースされた動画投稿・視聴専用のプラットフォームです。
Instagramのアカウントを持っていれば無料で閲覧・投稿できますが、2020年12月にアライドアーキテクツ株式会社がInstagram利用ユーザー1104名を対象に行ったアンケート調査の結果によると、IGTVを知っていると回答した人が66%だったため、まだそれほど認知度が高くないことがわかります。
IGTVには専用のアプリがある他、Instagramアプリの中にも機能として内臓されているので、IGTVを積極的に活用してInstagramと使い分けをしたい人はIGTV専用アプリをダウンロードすることをおすすめします。
2020年5月にInstagramはIGTVに広告を実装するためのテストを開始したと発表しましたが、本格的に運用が開始されればIGTVを用いたSNSマーケティングがさらに活発化することが予想されます。
※参照元:アライドアーキテクツ株式会社「Instagramを見て購買するユーザーの実態調査」
※参照元:「Instagramでクリエイターをサポートするために、もっと多くのことを行う」
InstagramにはIGTVのほかにも動画投稿機能がありますが、それぞれの違いを表にまとめました。
IGTV | フィード動画 | ストーリーズ | リール | インスタライブ | |
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サービス開始 | 2018年6月 | 2014年2月 | 2016年8月 | 2020年8月 | 2017年1月 |
機能 | 動画投稿 | 画像・動画投稿 | 画像・動画投稿 | 動画投稿 | 動画のライブ配 |
動画の長さ | 15秒~15分(フォロワー数が1万人以上の場合60分) | 1分 | 15秒 | 15秒~30秒 | 最長4時間 |
アクセス方法 | ・ホーム画面上部のIGTVアイコン・IGTVアプリを起動 | ホーム画面 | ホーム画面上部のアイコン | ホーム画面の虫眼鏡アイコン→「リール」と表示されているサムネイルをタップ | ホーム画面上部のアイコン |
専用アプリ | 有 | 無 | 無 | 無 | 無 |
IGTVではより長い時間の動画投稿が可能なことと、専用アプリがあることが特徴的だと言えるでしょう。
企業においてIGTVを活用するメリットを5つご紹介します。
2018年に総務省が行った「平成30年通信利用動向調査」の結果によると2017年の各世帯におけるスマートフォンの保有率は75.1%、PCの保有率は72.5%となりスマートフォンの保有率がPCの保有率を初めて上回りました。
またインターネットの利用目的として「動画投稿・共有サイトの利用」を挙げた人は60.4%です。そしてアメリカの大衆紙「USA TODAY」によると縦長動画の完全視聴率は、横長の動画と比較して9倍高くなったとのことです。
これらのことからスマホで動画を視聴する人が増加し、縦長動画の方が見やすいと感じられてきている現状を踏まえると、IGTVは企業が動画投稿をする上で活用するのにメリットの大きいプラットフォームだと言えるでしょう。
精神科医の樺沢紫苑氏の著書「脳のパフォーマンスを最大まで引き出す神・時間術」によると人間の集中力にはリズムがあり、深い集中を保てるのは15分程度、一般的な集中力を持続できるのが45分程度、集中力の限界時間が90分とされています。
また、2013年にVIDEO HUBが行った調査によると、動画広告がどこまで再生されたかとCTR(クリック率)の相関関係はないという結果が出ました。これらの結果を鑑みると、現在動画広告は短い尺のものが望ましいとされていますが、離脱率さえ抑えることができれば、長い尺の動画広告があってもよいことになります。
実際に投稿できる動画の長さはプラットフォーム別にいろいろと異なりますが、仮に企業が動画広告を投稿する媒体としてIGTVを捉えた時、最長60分の尺を取れるというのは伝えられる情報量が多くなるのと動画にメッセージ性を持たせやすくなるため、広告効果を高めることが期待できるでしょう。
※参照元:SMARVEE PRESS「結局、動画の長さはどれくらいがいいのか」
通常Instagramのフィード動画やストーリーズではURLリンクを設定できないので、広告動画として考えた時、Webサイトへの効率の良い遷移ができないということになります。
しかしIGTVでは投稿動画のキャプションにURLリンクを設置できるので広告動画をユーザーに視聴してもらった後、説明文を読んだりLP(集客や販売に特化したページ)に遷移したりとコンバージョン(Webサイトの成果)につながる行動を起こしてもらいやすくなります。
これはIGTVがInstagram内のほかの動画よりも、企業におけるSNSマーケティングツールとして使いやすい点だと言えるでしょう。
IGTVで動画を公開した場合、企業のInstagramアカウントと連携させ、そこに紐づいたフォロー・フォロワー情報を引き継がせることでInstagramのフォロー・フォロワー全員に動画を見てもらえます。
Web広告を運用する場合ターゲティング(商品やサービスを販売する際どのような顧客層をターゲットにするか考えること)に頭を悩ませることが多いですが、企業のInstagramアカウントのフォロワーは少なくともその企業や製品に興味を持っているため、よりコンバージョンに繋がりやすくなるでしょう。
YouTubeの動画広告などを運用しある程度の広告効果を得られているなら、制作や運用ノウハウが自社に蓄積されているためIGTVに参入する敷居はあまり高くないと言えるでしょう。
IGTVを活用することで自社の売りたい商品やサービスのSNSマーケティングを2つの媒体で支えることができ、プラットフォームを変えることで新たなターゲット顧客層を開拓できる可能性もあります。
新しいプラットフォームやアプリができるたびにユーザーが一定数移動するのは、インターネットを多用する人ほど新しいツールに敏感だからです。SNSマーケティングにはスピードも大切なので、既存の動画広告を活用できていてこれからも主な集客媒体として考えているならIGTVの活用も検討してみましょう。
IGTVで動画を視聴したり、アップロードしたりするにはどうすれば良いのでしょうか。それぞれの方法をご紹介します。
IGTVの視聴方法はInstagramから視聴する方法と、IGTVアプリをダウンロードして視聴する方法の2種類が存在します。
Instagramのホーム画面を開き、「IGTVアイコン」をタップすると動画を視聴することができます。
また、検索画面上にある「IGTVボタン」からランダムで表示される動画を視聴することも可能です。
IGTVアプリを起動してログインすると、IGTVにアップロードされている人気の動画がランダム表示されるので、流行っている動画をチェックしやすいのが特徴的と言えるでしょう。
また、「フォロー中」「人気」「履歴」などのボタンから選択して動画を視聴したり、検索画面からキーワード検索を行って出てくる動画を視聴したりすることも可能です。
IGTVへはPCからもスマホからも動画をアップロードすることができますが、アップロード要件を守る必要があります。
Instagramに指定されている、主なIGTVへの動画のアップロード要件について表にまとめました。
アップロード要件の種類 | 内容 |
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動画の再生時間 | ・モバイルデバイスからアップロードする場合:15分 ・Webからアップロードする場合:60分 |
動画のファイルタイプ | MP4 |
アスペクト比 | ・9:16の縦型動画 ・16:9の横型動画 |
解像度 | 720ピクセル以上 |
フレームレート | 30FPS以上 |
ファイルサイズ上限 | ・再生時間が10分以内なら650MB ・再生時間が10分以上なら3.6GB |
カバー画像の推奨サイズ | ・420ピクセル×654ピクセル ・アスペクト比1:1、55 ※アップロード後の編集不可 |
これらの要件を満たさない動画はIGTVにアップロードできなくなってしまうため、動画を制作する際はInstagramヘルプセンターより、最新のアップロード要件を確認してから制作することをおすすめします。
※参照元:Instagramヘルプセンター「InstagramのIGTVへのアップロード要件について教えてください」
企業においてIGTVを活用している事例を2つご紹介します。
レシピ動画サービスのクラシルは、2020年6月にInstagramの公式アカウントのフォロワー数が300万人を突破し、日本国内のレシピ動画アプリ運営企業アカウントにおいてフォロワー数No.1となりました。
クラシルのSNS戦略は幅広く、Webサイトと公式アプリだけではなく、FacebookやInstagram、Twitter、YouTubeを積極的に活用し、おすすめの献立や食材の選定の仕方などの料理の基礎知識から、旬の食材やトレンドのレシピまで幅広く発信しているのが特徴的と言えるでしょう。
料理の手順はテキストより動画で説明した方が圧倒的にわかりやすいことと、キッチンにおいてスマホで確認しながら料理を行うことを想定して運用するSNSアカウントの数を増やし、受け皿を広くしたのが顧客のニーズに合っていたことがSNS戦略成功の要因となったのではないでしょうか。
インナーやルームウェアのブランド、ピーチ・ジョンではインスタライブ配信の動画をIGTVに投稿しています。
商品紹介一辺倒ではなく、ルームウェアを着たスタッフの座談会など、しっかりと作り込まれたというよりは親近感のあるカジュアルな内容が25万人いるフォロワーに人気です。
隙間時間に見ることができるよう、尺を10分以内に抑えているのも特徴的と言えるでしょう。
IGTVを活用する際のポイントと注意点を3つご紹介します。
Instagramの動画機能の中でフィード動画、ストーリーズ、リールは動画を撮影し、そのまま投稿することができるのでIGTVも同じことができると誤解しがちですが、Instagramのスマホアプリでも、IGTVアプリでもアプリ内での撮影・投稿はできません。
ただしインスタライブを配信した後は、「IGTVにシェア」を選択するとIGTVの動画として投稿することが可能なので、もしどうしてもアプリ内で撮影・投稿を行いたい場合はインスタライブを行い、その後に投稿を行うようにしましょう。
IGTVでは投稿した動画の途中をカバー画像として設定することができますが、手間をかけたくないからとこの方法を続けると動画の内容が一目ではわからず、ユーザーにとって使いにくいアカウントという印象を持たれてしまいます。
カバー画像には企業のブランドイメージを損ねないような統一感のある画像を使用し、動画の内容が視認できるよう工夫を凝らすことが重要だと言えるでしょう。
企業でIGTVをSNSマーケティング戦略の1つとして活用するなら、インサイトをチェックしてデータ分析を行う必要があります。
Instagramのプロアカウントを取得する必要がありますが、「いいね!」の数、コメントの数、再生数、動画が平均で何パーセント再生されたか、オーディエンスリテンショングラフなどが確認できるようになるのです。
インサイトを活用し、どの動画に人気があるのか、どのようなユーザー層が自身の企業アカウントに興味を持っているのかを考え、運用改善につなげていきましょう。
※参照元:Instagramヘルプセンター「InstagramでIGTVにアップロードした動画のインサイトを確認するには、どうすればよいですか」
IGTVとはInstagramより2018年6月にリリースされた動画投稿・視聴専用のプラットフォームですが、まだそれほど認知度は高くなく、2020年5月から広告を実装するためのテストが開始されているため、今から運用を開始しておけば企業にとって新しいユーザー層にアプローチできるのでメリットが大きいことがわかりました。
縦長動画が特徴的なため、スマホで動画をよく見ている若年層にアピールしたい商品やサービスにはぴったりの動画が配信できるのではないでしょうか。
ぜひ新たなターゲット層の掘り起こしに、IGTVを積極的に活用してみてください。
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