ウェブ動画とは何かを知る前に、まずウェブとは何なのでしょうか。
ウェブとは正式名称が「World Wide Web」で、インターネット上のさまざまな情報(テキスト・画像・動画など)を関連付け、結びつけるシステムを指します。Webという単語が蜘蛛の巣を意味することから名づけられました。
ウェブとインターネットはよく混同されますが、インターネットはTCP/IPプロトコル(世界標準で使用されている通信規則)によるネットワークで、ウェブはインターネット上で行われるサービスだと考えるとわかりやすいでしょう。
ウェブという単語を使用した言葉はウェブ動画以外にもあり、意味は次の通りです。
単語 | 意味 |
---|---|
ウェブページ | ウェブ上にあり、ウェブブラウザで閲覧可能なページ単位の文書のこと。テキスト・画像・動画を用い好きなレイアウトで表示できる。 |
ウェブサービス | 元々は技術用語だが現在はウェブ上で行われるサービス全般を指す。 |
ウェブサイト | 特定のドメイン(インターネット上の住所)名の下にある複数のウェブページの集まりのこと。 |
ウェブブラウザ | ウェブページを閲覧するためのアプリケーションソフトのこと。 |
これらのことからウェブ動画とは、インターネットのネットワーク上にあるサービスを利用した動画であることがわかります。
ウェブ動画の利用法としては、エンタメ・広告・学習教材など近年その裾野が広がりつつあるため、ユーザーが動画コンテンツを配信・共有できる動画配信プラットフォームの種類も増加してきました。動画配信プラットフォームとはユーザーがオリジナルで制作した動画を不特定多数の他のユーザーが視聴できるように配信・共有できるシステムのことを指します。
動画配信プラットフォームにはウェブ動画を管理しやすくするため、おおむね次のような機能が備えられています。
キーワードを入力したり、タグを入力したりして検索をかけると、ユーザーが見たい動画を探し当てることができる機能です。
2020年11月に若年層マーケティングアーカイブメディア「SORENA」が15才~24才の男女800人を対象に行った調査結果によると、40%の人がYouTubeの利用目的を「情報収集」と回答しました。
また、2020年7月に株式会社アスマークが50代~70代の男女600人を対象に行った調査結果によると、50%の人がYouTubeの利用目的を「自分の好きなジャンルの情報を得るため」と回答しました。
これらのことから若年層を中心に行われていたYouTubeを検索エンジンとして活用する方法が、少しずつシニア世代にも広がりを見せ、動画プラットフォームの検索機能が幅広く使用されていることがわかります。
参照元:若年層マーケティングアーカイブメディアSORENAマーケティングリサーチ第3弾「若年層によるSNS使用目的」
参照元:株式会社アスマーク「シニアのSNS利用実態・認知購買行動調査」
動画配信プラットフォームではあらかじめ撮影・編集しておいた動画をウェブ動画として配信できるだけではなく、ライブ配信ができる機能も備わっています。また、LIVE配信専門のプラットフォームの数が増加し、そこでLIVE配信を行う人たちを「ライバー」と呼ぶようになりました。
このLIVE配信をリアルタイムで視聴することができなくても、動画配信プラットフォームにはアーカイブ機能がついているため、見逃した配信をウェブ動画として視聴することが可能です。
LIVE配信専門の主なプラットフォームとアーカイブ機能の有無を表にまとめてみました。
プラットフォーム名 | アーカイブ機能 |
---|---|
17LIVE | あり |
LINE LIVE | あり |
Facebook LIVE | あり |
VARK | あり |
Streaming+ | あり |
近年LIVE配信専門のプラットフォームでも、ユーザーからのニーズでアーカイブ機能を後付けでリリースするといったことが増加しているようです。例えばVR専門のLIVE配信プラットフォーム「VARK」では、アーカイブ機能が2020年12月からリリースされ、「アーカイブチケット」を購入することでウェブ動画を繰り返し視聴できるシステムとなっています。
ユーザーがウェブ動画に対する評価を入力したり、感想や意見を書き込むことができたりする機能です。動画プラットフォームは、ウェブ動画クリエイターとユーザーがコミュニケーションを楽しむ場でもあるため、このような機能がついています。
ウェブ動画クリエイター側は、ユーザーの意見を聴くことで次にどのような動画を制作すればよいかのアイデアのヒントやモチベージョンの維持につながり、ユーザーは憧れのウェブ動画クリエイターに直接自分の意見を伝えることができるので満足感を得られるでしょう。
今までご紹介した動画プラットフォームでは、ウェブ動画を不特定多数のユーザーに対して発信することで活用していました。しかし、ウェブ動画を必要な人たちだけで共有したい場合にはどのようにすればよいのでしょうか。
このようなニーズをかなえ、動画サイトを利用してウェブ動画を制作できる動画共有システムについてご紹介します。
動画共有システムは動画プラットフォームと同じように動画配信・共有ができるシステムで企業などの組織でよく使用されますが、動画プラットフォームとは異なる機能が2つあります。
誰でも閲覧できる状態を避け、特定の組織内だけにウェブ動画を配信できる機能のことです。
例えば企業内のイントラネットのように、その企業に所属する人だけがウェブ動画を閲覧することができます。
撮影や編集をした動画や生配信のアーカイブなどで制作した動画を、単品やサブスクリプション方式で販売することができる機能です。
例えば企業が顧客に対し、商品やサービスとして動画を販売するという機能を指します。
動画共有システムを利用してウェブ動画を制作するメリットを4つご紹介します。
ウェブ動画に含まれる情報の中には、不特定多数の人に知られてはならない機密情報が含まれている場合があります。例えば、企業の発売前の商品やサービスに関する情報・経営に関する情報などがそれにあたるでしょう。
このような場合、よりウェブ動画のセキュリティ対策を強固にする必要があるため、DRM(Digital Rights Managementの頭文字を取った言葉で、デジタル著作権管理のこと)を意識したデジタルコンテンツ保護と不正防止利用対策を行うことが重要です。
具体的には次のようなシーンではDRMを意識した配信を行うのが望ましいでしょう。
新しいシステムを導入する時、社内の情報システムの人的・物的リソースだけでは追いつかないというのはどの企業でもよくあることでしょう。
しかし動画配信システムを利用すれば、配信業者に不明点をたずねたり、導入がスムーズに運ぶようサポートしてもらえたりするので、より安心・安全にウェブ動画を配信できます。
近年動画配信システムへのニーズは高まってきており、業者の数もその分増加傾向にあると言えます。
このような時だからこそ、動画配信システムを利用する際はすぐに業者を決定するのではなく、いくつかの業者に事前に相談し、複数の見積を取りながら受けられるサービスを比較・検討してから決めるのが望ましいでしょう。
この時、動画配信システムを利用する目的をあらかじめ明確化しておくと、それをかなえてくれる業者をスムーズに選択できます。
今までは企業で情報共有をするとなると、資料を作成したり、文章や画像では伝わりにくい部分を口頭で説明したりと、それなりに手間をかけなければ適切に伝えることはできませんでした。
しかし、動画配信システムを用いてウェブ動画で情報共有を行えば、映像で伝えることができるためテキストよりはるかに多い情報量をわかりやすく伝えることが可能です。
例えば会議などの様子は時間を合わせて必要な各拠点でライブ配信し、参加できない人用にアーカイブで後々見ることができるようにしておけば、情報共有のための会議資料を時間をかけて作成する必要がなくなるので、仕事の効率化にもつながるでしょう。
2020年は緊急事態宣言の発令により、さまざまな学校で授業を通常通りに行うことができなくなった時期がありました。そんな中で、動画共有システムを用いて各教育機関で授業を行うことができるサービスを2020年7月にMicrosoft社がリリースしました。
「Microsoft Stream」というサービスで、PowerPointで動画を制作したり、スマホで動画を撮影したりしてビデオエディターで編集し、学内だけの動画共有システムにアップロードし、それを先生や生徒に共有することができるのです。
先生のみが動画をアップロードするのか、生徒もアップロードできるようにするのかも、設定で選ぶことができるので柔軟に活用方法を変更できます。また公開範囲も全校やクラス単位などで設定できるので、必要な動画だけを生徒が閲覧できるのです。
「Microsoft Stream」は、ウェブ動画を教育の場でも広く活用するきっかけになるのではないでしょうか。
参照元:Microsoft「Microsoft Streamを利用して、学校内だけで利用できる動画サイトを作る手引き」
この記事を読んで、自分のウェブサイトやブログでもウェブ動画を活用したいと考えた人も少なくないのではないでしょうか。
最後に、動画を埋め込む方法を3種類ご紹介します。
YouTubeなどの動画配信プラットフォームにあらかじめ共有したい動画をアップロードしておき、その動画をiframeタグを用いて埋め込むという方法です。
iframeタグは外部サイトのウェブページを自分のサイトにそのまま埋め込むことができる機能を持つタグで、ユーザーをYouTubeの動画ページにリンクで遷移させる必要がないので、自分のウェブサイト内でウェブ動画を視聴してもらうことができます。
ウェブページに動画を埋め込む場合、以前はFlashなどのプラグイン(アプリの機能を拡張するためのプログラム)が必要でしたが、videoタグを用いる場合はプラグインを使用することなく動画を埋め込むことができるようになりました。
あらかじめどこかのサーバーに動画をアップロードしておき、videoタグを用いて自分のウェブサイトから直接読み込むことで動画を表示することができます。現在広く利用されているmp4方式のファイルを、videoタグを用いて読み込むことが多いでしょう。
動画をあらかじめGIFアニメに変換しておき、自分のウェブサイトに表示させる方法があります。背景動画として使用したい時や、ウェブページの読み込み速度を落としたくない時によく利用される方法です。
画質を落とす必要がある場合もあるため、ウェブ動画の視聴そのものを目的とした場合などには不向きでしょう。
ウェブ動画とは、インターネットのネットワーク上にあるサービスを利用した動画で、動画配信プラットフォーム・動画共有システムなどを用いてさまざまな用途で配信されていることがわかりました。
最近では、ウェブ動画広告の利用が増加するなど、アイデア次第で今後も新しい使い道を増やしていける媒体と言えます。
自分のサイトに表示させることもそれほど難しくないため、この記事を参考にしながら、ぜひさまざまなウェブ動画の活用方法を考えてみてください。
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