動画マーケティング 公開日: 2022/06/22

STP分析とは?初心者でも今すぐ使える方法と事例を学ぼう

Vector Illustration Plan And Model Of STP Marketing Process Means Segmentation, Targeting, And Positioning As Multiple Circles Then Aim At Selected One Then Compare To Other Ones On Blue Background

STP分析は、事業を拡大していくために重要となるマーケティング手法の1つです。
しかし、STP分析を効率良く事業に取り入れるためには、
各項目や活用方法のポイントなどを理解する必要があります。
この記事では、STP分析が重要な理由や各項目・指標の詳細、
分析時に気を付けるべきポイントなどを詳しく解説します。
マーケティングを行う際に、ぜひ役立ててください。

STP分析とは?      

STP(エスティーピー)分析とは、以下の英単語の頭文字から名付けられた分析方法です。

  • Segmentation(セグメンテーション)
  • Targeting(ターゲティング)
  • Positioning(ポジショニング)

これはフィリップ・コトラーが提唱したものであり、取り扱う商材や業種に関係なく活用できるフレームワークとして知られており、日本国内に限らず、欧米諸国など多くの国で使用されています。

ビジネスを大きく成長させていくためには、効率良くかつ的確に戦略を練る必要があります。STP分析では市場を細分化し、ターゲットを明確に定め、自社と競合他社との位置関係を決定します。STP分析を的確に活用すれば自社の成長だけでなく、共通認識を持つことで社内の連帯感も高まるでしょう。

STP分析が重要な理由について

STP分析は、なぜ重要だといわれているのでしょうか。ここでは、STP分析が重要な理由について3つピックアップして解説します。

他社や自社の解像度の向上が図れる

新たに事業を立ち上げたり新商品を展開していくためには、既存の競合について理解することは必要不可欠です。競合他社について、何もリサーチせずにプロジェクトへと着手してしまえば「既に似たような商品やサービスが有名企業から出ていて、入り込める市場が無かった……」という事態も十分考えられます。

STP分析を活用すれば他社との差別化を図ることも事前にできるため、効率的に自社独自の商品やサービスを打ち出すことが可能です。

また、セグメンテーションやポジショニングを行っていく過程において、他社の解像度が上がるだけでなく、自社の現在の立ち位置や他社と比べて有利な点など、自社についての理解を深めることができます。自社のポジションやサービスの解像度が上がれば、そこから自社ならではの強みを見つけ出せるでしょう。

顧客理解に繋がる

事業を拡大するために戦略について考えてばかりいると、いつの間にか自社本位になり、顧客を置いてけぼりになりがちです。ビジネスにおいて顧客を理解することは必須であるといえます。

STP分析を活用することによって、顧客の理解を深めることも可能です。STP分析のセグメンテーションでは市場分析も行います。その過程では「市場規模」だけでなく、その市場を構成する「顧客」についても理解を深めていく必要があり、必然と「この市場にはどのような顧客がいる」と把握できるのです。

ビジネスモデルや事業計画を立てる際、具体的な顧客像であるペルソナを作成することが必須とされています。また、有効なペルソナを作るためにも、市場の把握と顧客理解は必要不可欠です。STP分析は効率よく事業の戦略を立てることにも役立つといえるでしょう。

チームワークの向上が期待できる

STP分析を行うことで、間接的にチームワークの向上が期待できます。STP分析では、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング、それぞれの項目を詳細に明文化します。全てのデータを目で見て把握できるようになるため、大人数で同じ分析結果を共有できるので、認識のズレを防ぐことに繋がります。

STP分析を行う前でも、自社の狙うべき市場・競合についてや具体的な顧客増などは社員個人個人の経験によってある程度の想像は持ち合わせているでしょう。ミーティングなどを通してチーム内での共通認識はあるかもしれません。

しかし、実際具体的に擦り合わせをしたり、他部署と話してみると、細かな点において認識のズレが判明することも珍しくはありません。STP分析を行えば、全員で共通認識を持ち、業務を進められます。細かなズレが発生しないので社員同士の連携も取りやすく、チームワークも向上し、業務を円滑に進めることができるでしょう。

STP分析の各項目と指標     

ここでは、STP分析の各項目と指標について解説します。

セグメンテーション

「セグメンテーション」とは市場細分化のことを指し、顧客を類似したニーズごとに分類して考えます。

例えば、新たに吸水型ショーツを販売すると仮定します。この商品を購入するのはどのような顧客なのか考えてみましょう。吸水型ショーツを日常的に使うと想定できるのは「女性」であると考えられます。この場合「性別」でセグメンテーションを行ったといえます。

もう1つ例をあげてみましょう。新たに小型犬の洋服を販売すると仮定します。この商品を購入するのは誰かを考えると「小型犬を飼っている人」と想定できます。この場合は「ライフスタイル」でセグメンテーションを行ったといえます。

そのほかにも、商品やサービスによっては「性別」「年齢」などの項目でもセグメントを分けることができるでしょう。

このように、項目ごとに分類していくことをセグメンテーションといいます。なお、セグメントには大きく分けて4つの指標があります。

デモグラフィック

デモグラフィックとは、人口統計的変数のことを指します。年齢や性別、学歴・職歴、家族構成といった指標であり、統計調査のデータなどを基に判断していきます。

サイコグラフィック

サイコグラフィックとは、心理的変数のことを指します。個人の価値観や金銭感覚などの考え方や、ライフスタイルを基にした情報で分類します。アンケート調査などの結果を基に判断していきます。

ビヘイビアル

ビヘイビアルとは、行動変数のことを指します。主に個人の行動で分類され、購入動機や商品の買替・購入タイミングなどの情報が使用されます。顧客の行動追跡データなどを基に判断していきます。

ジオグラフィック

ジオグラフィックとは、地理的変数のことを指します。地理的要因である国や市町村、宗教、気候などで分類され、地図または国の調査結果などを基に判断していきます。

ターゲティング

ターゲティングとは、市場からさらにターゲットを絞ることを指します。この作業はセグメンテーションと共に行われるものであり、ターゲットを絞ったマーケティングの手法は以下の通りです。

差別型マーケティング

セグメントされた複数の該当する市場に、ニーズに合致した商品またはサービスを提供する手法のことを指します。多くの企業で採用されており、複数のタイプ・プラン別に分かれた商品展開を行うといった方法があります。

無差別型マーケティング

セグメントを無視し、市場すべてに同種の商品を供給する手法のことを指します。主に大企業に多く見られる手法であり、食料品などがこれにあたります。

集中型マーケティング

限定された市場にのみマーケティングを行う手法のことを指します。主にラグジュアリーなブランドや珍しい商材など、コアな顧客を抱える企業が採用している手法です。

ポジショニング

ポジショニングとは、市場における自社のポジションを定めることを指します。ポジショニングを行うときは、必ず競合と比べるための軸をしっかりと定めましょう。この項目が明確になっていなければ、ポジショニングを定めることができません。

また、複数の軸を定める場合には、多くとも4つ程度で収めるようにしましょう。あまりに多くの軸を定めてしまうと、データが溢れ返り、必要な情報を取り逃してしまいかねません。厳選した軸でデータを収集することをおすすめします。

STP分析を行う際の注意点と気を付けるべきポイント

STP分析を行う時には、いくつかの注意点があります。

着手の順番は気にせず行う

STP分析には3つの項目がありますが、どこから着手しようか迷ってしまう人もいるのではないでしょうか。以前まではSTPの順に着手するのが基本とされてきました。

しかし、昨今では「社会が複雑化しているためポジショニングを優先して決めた方が良い」といった意見も見られます。さまざまな意見があるものの、STP分析はどの項目も連動しており、結果的に全ての項目に着手する必要があります。そして、どの項目から着手しても得られる結果は一緒ですので、あまり気にする必要はありません。1つの項目に着手してみて、行き詰まってしまった場合には他の項目を進めてみるなど、柔軟に対応しつつ少しずつでも分析を進めるのが良いでしょう。

市場規模・成長率も加味して定期的に更新する

STP分析以外に市場規模や成長率にも注目する必要があります。たとえSTP分析で自社のポジションが見つかったとしても、ずっとそのポジションが最適だという保証はありません。

どの業種・サービスにもいえることですが、常に市場は変化しています。その動向に合わせたポジショニングの変更は、ビジネスを発展させていくうえで必須といえます。STP分析で導き出したポジションは、市場規模や成長率を加味しつつ定期的に見直しを図りましょう。

STP分析のみに視野を絞らない

STP分析を行い、市場の中で適したポジションを見つけ出すのはマーケティングにおいて必要事項ですが、このフレームワークだけを使っていれば事業が成功するわけではありません。STP分析で最適なポジションを見つけた後の販売手段やプロモーションなどは、他の手法を活用して再び考える必要があります。

STP分析はあくまで市場を分析しターゲットを絞り込み、最適なポジションを見つける手段のひとつに過ぎません。STP分析だけに頼らず、他の手法を活用するなど多くの視点から事業の方向性や展開を検討することが大切です。

客観的な視点を忘れない

STP分析を活用する際に忘れてはいけないのが「客観的な視点」です。客観的な視点を維持しつつ得られたデータを分析すれば、STP分析で得られた結果は適切なポジショニングや事業の方向性を定める指針になります。

もし自社目線でデータを分析してしまえば、希望的観測や先入観など余計な情報が入ってしまい、肝心なデータを存分に生かすことができません。「このような結果になって欲しい」「自社の製品は他社より優れている」などの考えはもたずに、実際にあるデータのみを基にしてSTP分析を行うよう心がけましょう。

STP分析の上手な活用方法と企業事例

ここでは、企業事例を通してSTP分析の活用方法を詳しく解説します。

ライフネット生命

今まで国内にある生命保険会社では、企業に直接訪問し営業を行うことで契約を得るのが主流でした。

しかし、ライフネット生命はオンライン上で行うことで、他社との差別化を図るだけでなく、保険料や人件費のコストダウンにも成功しています。

ライフネット生命の事例をSTP分析にあてはめてみると、以下の通りです。

セグメンテーション

既婚や未婚、子供の有無などのライフステージと、年齢による区分を行っていることがうかがえます。保険のニーズだけでなく、ネットの活用度やオンラインでの保険契約に関してのハードルの高さなども、顧客を年齢ごとにセグメントを分けることで実態が把握できるでしょう。

ターゲティング

ライフネット生命では、ターゲットを「未就学児がいる若年層の既婚者で保険の必要性を感じつつある方」としていることがうかがえます。この世代はオンラインで契約をしたり物を購入することに抵抗が無く、ネットリテラシーも高い傾向にあるため、ライフネット生命の商品とマッチするでしょう。

ポジショニング

ライフネット生命はオンライン上で保険契約が全て完結するため、低コストかつ短時間で契約を結べるのが大きな特徴です。これは従来の保険では得られないニーズであり、他の保険会社との差別化を図ることができたといえます。

日本コカ・コーラ

日本コカ・コーラではミネラルウォーター「いろはす」を販売しています。ミネラルウォーターの市場は国内だけでなく国外にも競合が多く、有名メーカーといえど参入は一見厳しく思えます。

しかし「いろはす」は現在人気商品として存在を確立させることに成功しています。この事例をSTP分析にあてはめてみましょう。

セグメンテーション

ミネラルウォーターの市場といえば水質や山地に注目されるのが一般的ですが、「いろはす」の場合は「環境意識」に着目していることがうかがえます。今までセグメントの項目に加えられることが少なかった分野をあえてセグメントすることで、日本コカ・コーラの「いろはす」は多くの競合他社との差別化に成功しています。

ターゲティング

「いろはす」は、水だけでなく容器であるペットボトルに関しても環境に配慮している商品です。一貫して環境を意識している点から「環境意識の高い人」をターゲットにしていることが分かります。価格ではなく環境への配慮に着目した商品は、今までとは違ったターゲティングに成功した一因だといえるでしょう。

ポジショニング

「いろはす」は、おいしい水が飲めるだけでなく同時に環境にも貢献できる価値を提供している点で、他のミネラルウォーターとは違ったポジションを確立しました。この事例から、競合が多いなかでも的確にポジションを定め、他社と明確に差別化を図ることで顧客獲得ができると分かります。

まとめ

STP分析は事業を拡大していくために欠かせないマーケティング手法の1つです。STP分析を行うことで他社や自社の解像度を上げられるだけでなく、顧客理解も深められ、社内認識を統一する働きも期待できます。そのため、STP分析の重要性は高く、マーケティングを行うにあたって必ず理解しておきたい手法だといえるでしょう。

STP分析では3つの項目を明確に定めます。どの項目も重要であるため、必ずすべてを決める必要があります。STP分析を行う際は客観的な視点を忘れずに、着手の順番に囚われることなく進めることが肝心です。

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