コラム

企業で動画を使用するメリット
動画マーケティング

企業の活用事例から見る動画の効果とは?ブランディング・集客・採用も?

動画を活用したマーケティングの事例をよく目にすることが多くなってきており、自社での検討を行っている企業も多いのではないでしょうか。 しかし、動画を使ったマーケティングが自社商品やサービスに向いているのか、どのように活用すればよいのか分からないという方も多いのではないでしょうか。 この記事では、動画の市場感や動画を活用するメリット、動画の活用が向いている商品やサービス、企業の活用事例を紹介しながら解説していきます。

企業が動画を活用する理由

5G

動画マーケティングの市場は拡大の一途をたどっており、成長が続くと予想されています。

株式会社サイバーエージェントが2018年に公表した『動画広告市場規模推計・予測(デバイス別)[2017-2024年]』によると、2019年の動画広告の市場規模は2,312億円で昨年対比125%の成長をしています。また、2020年には2,900億円、2024年には4,957億円に達する見込みとされています。

世界的に見ても動画マーケティング市場規模は拡大しています。アメリカでは、2018年の動画広告出稿費の着地見込み額は830億ドルで、日本円換算すると約9兆円です。

企業のマーケティング目的に合わせた動画広告の媒体やフォーマットの選択肢も広がっており、動画へのニーズ自体が拡大しています。ここまで大きく動画の市場規模が拡大している理由は2つあります。

通信回線の高速化

2020年には回線が4Gから5Gに変わる予定で、本格的に5Gが普及すると、通信速度は1,000倍となりWi-Fiが必要なくなるくらいに速くなると言われています。つまり、大容量のコンテンツでもスムーズにスマホで見ることができるようになり、動画をより見やすい環境となります。

2019年秋に開催されたラグビーワールドカップ日本大会では5G端末の無料貸し出しが行われるなど、プレサービスが開始しました。今後一般層への普及が見込まれますが、当初は東京オリンピックを控えた首都圏を中心に対応エリアが広がることになるでしょう。ゆくゆくは全国の通信インフラが整い、5Gに対応したスマートフォンも順次発売されることになります。

現在は、動画を再生されるまでにサーバーの反応遅延が数秒あり、サイトに訪問したユーザーが動画を閲覧しないまま離脱するということも多いですが、5G回線になると、その遅延も緩和されるので、動画でのアプローチもよりしやすくなるでしょう。

さらに驚くべきことに、2030年以降の商用利用を目標に5Gの次世代通信「6G」の研究開発が進行しています。すでに米国や中国では6Gの実現について言及しており、フィンランドでは6Gの開発プロジェクトを立ち上げました。5Gの処理能力をはるかに超えた6Gなら、さらなる通信容量の拡大と通信高速化はもちろんのこと、人々は当たり前のように3D映像を楽しんだり、大容量通信を意識することなくバックグラウンドで処理したりするようになるのです。

SNSの急速な浸透

2015年以降ソーシャルメディアでも動画領域での活用が広がっています。

ソーシャルメディアでの黎明期では、TwitterではTwitCasting(ツイットキャスティング:通称『ツイキャス』)というTwitterと連携して生配信ができるサービスや、6秒のショートムービーを制作して共有できるVineなどを活用が行われていました。

もともとPCの使用がメインで広がっていたニコニコ生放送(通称:ニコ生)と比べ、スマホファーストで日常の中で使いやすくなっていることでより動画に触れる機会が多くなっています。

また、2016年頃から、MixChannel(通称:ミクチャ)やTikTokなど中高生の層に人気の動画サービスが台頭し、Instagramの利用者のうち7割が見ると言われているストーリーズやIGTVなど企業の中での動画利用の多角化が見られます。Snapchatやストーリーズは24時間で投稿した動画が消える仕様で、よりリアルタイムのつながりが重要視されるようになっています。

これらのSNSでの動画活用が広がったことで、よりユーザーがアクティブに動画を視聴する傾向が強くなっています。

・TwitCasting

動画を生放送で配信できるサービスです。Twitterとの連携投稿ができ、配信中のリアルタイムコメントなどが行えることで、人気を博していました。

・Vine

6秒間のショートムービーを制作して共有できるソーシャルメディアです。ムービーは無限ループされる仕様で、ある時点では2億人のアクティブユーザーを抱えていました。

・MixChannel

10秒の短編動画の投稿やライブ配信を行える動画共有サービス・アプリです。Web、アプリを含めた月間訪問者は300万人、ダウンロード数は130万を達成しています。

・TikTok

15秒から1分ほどの短い動画を作成、投稿できる、短尺動画プラットフォームです。流行ったダンスを踊ってみた動画で人気を集めました。

・Instagramのストーリーズ

フィード投稿とは別に、写真や動画の投稿、ライブ配信ができる機能です。投稿は24時間で消えるため、アクティブユーザーの増加にもつながっています。

・InstagramのIGTV

2018年6月にローンチした、縦長フォーマットの長尺動画アプリです。Instagramのフィード投稿やストーリーズでは投稿しきれない尺の長い動画の投稿ができる点やライブ配信に人気が集まっています。

・YouTube

Googleによって運営されている世界最大の動画共有サービスです。動画投稿・視聴ともに原則無料であり、Webブラウザやスマホアプリがあればだれでも視聴可能です。

企業が動画を活用するメリット

たくさんの情報が詰め込まれた動画

では、企業が動画を採用するメリットとは何でしょうか?5つのポイントでご紹介していきます。

1.情報量が多く伝えられる

動画コンテンツは、従来のテキストや写真に比べ約5,000倍の情報量があると言われています。1分間の動画が伝えられる情報量は180万語で、Webページ3,600ページ分と言われています。

視覚・聴覚から情報を伝えることができるため、文章を読むのは苦手という方に対しても、ハードルが低く、飽きずに見続けられるというのがポイントです。

2.短時間で情報を伝えられる

テキストと写真は一度理解をして解釈を必要としますが、動画は映像や音などで情報を伝えることができるため、多くの情報を伝えることができます。

例えば、料理する際の『砂糖少々』の『少々』をテキストだとおよそ小さじ1杯分など記載する必要がありますが、動画だと特筆する必要がなく視覚的に伝えることができます。

3.CVに繋がりやすい

スマートキャンプ社の『動画マーケティングの重要性を感じさせる統計データ』によると、動画を利用することで、そのサービスやプロダクトへの理解が74%高まり、商品購入率が64%高まるといった結果が出ているように、動画は従来の手法に比べよりコンバージョンが高いアプローチ手法と言えるでしょう。

広告においても、テキストのみやテキストと画像のバナー広告に比べ、動画を用いたバナー広告のほうがユーザーにクリックされやすい傾向があります。

また、従来の広告はユーザーが能動的に読み進めていく必要がありましたが、動画の場合は自動再生されることも多いため、閲覧の敷居が低く、注目が集まりやすいです。

4.SEOに良い影響を与える

検索クエリに沿った動画コンテンツを掲載することは、SEOに良い影響を与えると言われています。

ただし、ただむやみやたらに動画を埋め込むだけでは良い評価にならないため、ページのテーマに沿った良質な動画コンテンツを埋め込むようにしましょう。

また、動画の信頼性も評価基準に入ります。例えばYouTube動画であればチャンネル登録数が多く、評価の高い動画を埋め込むようにしましょう。

5.SNSでの拡散性が良い

前に紹介したように動画はSNSで急速に提携やサービス自体が増えているため、SNSとも相性が良いです。タイムライン上に流れてきた動画がユーザー間で拡散されることで、より多くのユーザーにリーチすることができます。

動画コンテンツに向いている企業や商品・サービスとは

OKする男性

動画の活用には向いている商品やサービスの相性があります。

今回は動画広告に関して、どのような業界が向いているのかご紹介していきます。

アメリカで動画マーケティングを展開しているAdform社が2015年に発表した『Digital advertising benchmark report』(Digital advertising benchmark report)のデータによると、クリック率が高い業界の1位は車・スポーツなど個人の趣味全般にあたる『趣味系・興味系(0.82%)』でした。続いて2位は、洋服・美容品・消耗品などの『ショッピング系(0.67%)』です。3位は、転職・語学教室・リスティング代行などの『ビジネスサービス系(0.62%)』でした。

ワースト3は、ギャンブル系(0.15%)、社会系(0.15%)、宗教・スピリチュアル系(0.21%)という結果でした。

上位に入る業界はBtoCの個人の興味・関心と紐付きやすいもので「お、なんだろう」という気軽な気持ちで押しやすいものです。

一方下位では、逆にギャンブルやスピリチュアル系など「なんか怪しそうだな・・」という負の感情を与えるものがランクインしています。

1位の『趣味系・興味系』に関してはこだわりや納得感がCVに大きな影響を与えるため、動画の活用は短時間で多くの情報量を伝えられるという点で相性が良いと言えます。

実際に自動車メーカーのメルセデス・ベンツやBMW、スポーツ用品のNIKEなどは積極的に動画広告を活用し、選定の際にオンライン情報が大きな影響を与えているというGoogleの調査結果(※)があり、高いマーケティング効果を獲得しています。

※参照元:テレビとYouTube:リーチと効果を最大化するためのメディアプランニング

企業の動画活用事例

企業の動画活用は様々な目的で行われています。主にはサービスや企業の認知度向上や、企業活動の紹介、キャンペーンのプロモーションや採用、社内向けの教育コンテンツなど多岐に渡ります。

ブランディング目的

ブランディングは価値観やイメージといった抽象的な概念であり、文章や画像のみで正確かつ魅力的に伝えるのは難易度が高いものです。動画は視覚と聴覚に訴えかけることができるため、表現の幅が広がります。企業コンセプトや社会的価値など、言語化しにくい情報を感覚的に伝えられるため、ブランディングと動画は非常に相性が良いのです。

NIKE

大手スポーツメーカーのNIKEはスポーツ選手向けの専門店の印象を一般市民向けに愛されるように方向転換しています。従来のプロモーションビデオでは、スポーツ選手が中心に起用されていましたが、一般の太った男性を起用し、誰でもスポーツする価値があることをメッセージとして世界へ発信しました。

島村楽器

『あなたにとってギターとは』をテーマに複数人のミュージシャンに語ってもらい、実際に演奏することでギターの楽しさや演奏のかっこよさを伝えています。

東洋証券

サービス認知度拡大のためのブランディング動画をWeb CM用に制作しています。資産運用とは無縁だった主人公が運用をはじめ、当初もっていた不安を払拭するストーリーで配信しています。

プロモーション目的

動画プロモーションは、短時間で一度に大量の情報を伝達することができます。文章や画像で伝わりにくいような使用感や雰囲気、イメージなどの微妙なニュアンスも表現可能です。視覚と聴覚の両方に訴えかけることで、視聴者の記憶に長く残りやすいというメリットもあります。

とくに、無形商材を扱う企業や、市場に類似商品が多く出回っている企業にとって動画プロモーションは有効です。文字や口頭では理解しにくい商品特徴もより伝わりやすくなるでしょう。

RMK

化粧品会社のRMKは、3色のアイシャドウの使い方を動画で紹介しています。片側の目だけメインしていくことで、ビフォーアフターを分かりやすくし、より商品の良さが伝わりやすいかたちとなっています。

コナミスポーツクラブ

体操で人気の内村航平が登場し、子どもや初心者に向けて簡単な技を実践して解説することで、スポーツクラブの新規入会を促進いています。

キットオイシックス

SNSのプロモーション動画を制作し、レシピ付き献立ミールキットの利便性を紹介しています。プロモーション目的ではあるものの、SNSとの親和性を考え、セールス色の低い親しみやすい動画になっています。

展示会・セミナー

展示会やセミナーでは会場内にいる来場者に対して、短時間で関心を向けさせなければなりません。動画を活用することにより、人々をダイナミックな音や動きによるアイキャッチ効果で注目させ、集客を促す効果が期待できます。

特にセミナーは現在Web上で配信される動画「ウェビナー」に注目が集まっており、場所を選ばずいつでもどこでも参加できる点が支持されています。

アスカインデックス

計測器や半導体装置などの中古品を扱う企業であり、業界関係者以外にはなじみが薄い商品情報や製造過程を視覚的に分かりやすく伝えています。リズミカルな音楽で親しみやすさがあり、展示会ブースの集客を促進します。

日本能率協会

BtoB企業に向けたマーケティングセミナーをウェビナー配信しています。専門家や業界有識者の登壇や繰り返し再生が必要な勉強会など、動画のメリットを生かしたコンテンツをいくつも配信しています。

HowTo・マニュアル

複雑な作業手順を正確かつ分かりやすく伝えるためのHowToやマニュアルは、動画コンテンツにすることに大きなメリットがあります。文章だけでは収まりきらない細かい説明も動きで表現できるため、学習側の習得スピードも大幅UPが見込めるでしょう。

サイボウズ

提供しているOffice10のメールシステム使用方法のハウツー映像を制作しています。本物のシステム画面を操作しているアニメーションで視覚的に分かりやすい演出です。

パナソニック

自社ブランドテレビである「4K有機ELビエラ・4Kビエラ」の操作方法を動画公開しています。テレビは新型が発売されるたびに機能が増え、リモコン操作が複雑になりますが、基本操作を動画配信することでどこに何が表示されるかが分かりやすく伝わります。

採用目的

採用情報を動画として配信することで、求職者の目に留まりやすくなります。実際の現場の様子や社員の人柄、社風などの文章や写真では伝えきれない企業情報を発信することができるのです。

現在使われている多くの求人サイトでは文章と写真のみで採用募集されており、動画を使用した採用活動は他社との差別化にもつながるでしょう。

ヤマハ

採用サイト上での動画を公開しています。企業のグローバル性や先進的な取り組みを紹介し、音楽が好きという層以外の優秀な学生の獲得を狙っています。

Yahoo!Japan

採用サイト上で社員の紹介動画を公開しています。エンジニア、デザイナー、ビジネス各職種の社員が自社の魅力について語り、社内についての映像を映すことでより社内の雰囲気や文化が伝わりやすくなっています。

社内向け

資生堂

社内広報の記事や、記者会見、イベント報告などに動画を活用しています。全国に従業員がいるため、臨場感を持って情報を伝えられるという評価を得ているようです。

リクルートライフスタイル

1年社史では、取り組みを季節ごとに紹介している動画を制作し、コンパクトにいつ、何を行ったかを紹介しています。

おわりに

動画を再生する手

動画の市場は2019年以降も伸び続けることが予想されており、企業の活用も広がっていくと考えられます。

動画が向いている業界やサービスは上位で個人の趣味系がランクインしていますが、BtoBの動画活用の動きも広がっているため、そちらの動向もチェックしておくと良いでしょう。

目的に応じた動画の制作を行うことが、より効果の高い動画制作をするポイントです。

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