コラム

動画制作
動画制作・編集

フレームレートとは?動画制作者なら知っておきたい適切な数値設定と注意点!

動画において、フレームレートは重要な数値の1つです。
一部の動画編集者やプロゲーマーを除く多くの人にとっては、聞き馴染みのない言葉ではないでしょうか。
フレームレートは、視聴者に動画がどのように見えるかを決定づける数値のため、
動画全体のきれいさや印象に関わってきます。
今回は、そんなフレームレートについて、動画におけるフレームレートの役割や
フレームレートの違いによる見た目の差、フレームレートの設定における注意点などを詳しく解説していきます。
この記事を読めば、フレームレートの設定で悩むことはもうなくなります。
今日からあなたも、動画の目的に合わせた最適なフレームレートを設定できる動画編集者の1人です。

フレームレート(fps)とは

FPSと書かれたバー

フレームレートとは、1秒間に表示される(切り替わる)画像の数を表す数値です。

フレームレートは「fps(frame per seconds)」で表され、数値が高いほど1秒間に表示される画像数が多いため、動画がより滑らかな印象になります。昔のアニメでキャラクターの動きがカクついて見えるのは、このfpsの低さが原因です(※後述のリフレッシュレートの低さが原因ともいわれています)。テレビや映画などは一般的に24~30fps(1秒間に24~30コマ)で制作されており、この数値はふだん人が目で見ている映像と大体同じ程度のフレームレートといわれています。白黒テレビとは逆に、フレームレートの数値が高いほど動きが滑らかできれいな印象を与える動画になります。

それでは、具体的にフレームレートの違いで生じる見た目の差を見てみましょう。

フレームレートの数値の違いによる見た目の差は?

緑色のバー

上の動画は、60fpsで撮影された動画を15fps、30fps、60fpsでそれぞれ編集・書き出した動画です。60fpsと比べると15fpsの動画は、動画全体がカクついているのがわかるかと思います。

もう少し詳しく、フレームレートの違いによる見た目の差について解説していきます。

昔の白黒テレビで放映されていたアニメを想像してみてください。現代のアニメに比べて昔の白黒テレビで放映されていたアニメは、キャラクターの動きがかなりカクついて見えるはずです。これは、今のアニメは12fps~24fpsが主流なのに対し、当時のアニメは8fpsで制作されていたためです。

1秒間に再生されるコマ数が8コマ(8fps)の場合、人がおおよそ1秒でできる動作を8分割して表現する必要があります。1秒あれば、テーブルに置いてあるコップに手を伸ばすことくらいはできそうです。この動作を8コマに分割してパラパラ漫画のように繋げると、コマとコマの間に手が移動する距離が長すぎて、どうしてもカクカクした見え方になってしまいます。このように、フレームレートは動画全体の滑らかさを決定づける重要な要素なのです。

では、フレームレートは高ければ高いほど視聴者により良い体験を与えられるのでしょうか。次に、フレームレートを高くする場合に注意するべきポイントについて解説していきます。

フレームレートを高くすることによる注意点

動画制作

フレームレートは、動画の滑らかさに直接関わってくる数値です。基本的には高ければ高いほどきれいな動画になるため「とにかく高フレームレートで!」と考えがちです。

フレームレートは一般的に30fps程度で十分といわれており、特に意味なく高フレームレートにする必要はありません。また、正しく理解しないまま高フレームレートで動画を編集してしまうと、容量が重たくなったり動画がカクついたりと、さまざまな不具合が起こる可能性があります。

フレームレートの設定でせっかく編集した動画の魅力を損なわないために、フレームレートを高くする際に注意すべきポイントをいくつか紹介しておきます。

容量が大きくなる

フレームレートが高ければ高いほど、動画の容量が大きくなります。また、動画の画質に関わる解像度も同じく高くすればするほどデータ量が増えてしまうため、高解像度かつ高フレームレートの動画はかなり容量の大きな動画となってしまうのです。

動画の容量が重いと再生に時間がかかってしまったり、投稿できる媒体が限定されたりと、いくつかのリスクが考えられます。動画コンテンツは動画配信サービスやWebサイト、SNSなどで発信することが多いため、上記のような機会損失を防ぐためにも動画の全体容量には注意が必要です。

画質が悪くなるケースもある

高フレームレートに設定することで動画全体のデータ量が大きくなり、動画の容量自体を超えてしまうケースがあります。この場合、設定したフレームレートが優先されるため、解像度を下げることで容量不足を補ったうえで書き出されることになります。

このように、フレームレートの設定が意図せず画質の劣化を招く原因となる場合もあるため注意が必要です。

元動画のフレームレートに依存する

動画編集時に行うフレームレートの設定は、編集した動画をどのフレームレートで編集・書き出すかを設定する項目です。既に撮影されている元動画のフレームレート自体を変更することはできないため、設定可能なフレームレートは元動画自体のフレームレートとなります。

どうしても元動画よりも高いフレームレートの動画素材が必要な場合は、専用のソフトを利用して動画のフレーム補完を行う必要があります。フレーム補完は、フレームレートを上げるためにフレームとフレームの間のコマを自動で増やしてくれる機能です。フレーム補完機能があるソフトを利用することでフレームレートを上げることは可能ですが、その分容量が大きくなってしまうため注意が必要です。

再生できる媒体が限定される

動画投稿サービスやSNSにはそれぞれ対応している動画形式や容量が異なります。

  • YouTube:60fps
  • Twitter:40fps(60fps)
  • Instagram:40fps
  • Facebook:30fps
  • TikTok:不明

YouTubeのように、もともとPCやタブレットといった端末での再生が前提でできているサービスは、対応しているフレームレートも高く設定されているようです。Twitter、Instagramなどモバイル端末向けのSNSでは、30~40fps、60fpsなどの高フレームレート動画は対応していません。

より高品質な動画を制作することも重要ですが、その動画がどの媒体を使って発信されるものかをあらかじめ確認し、対応しているフレームレートで制作するようにしましょう。

用途ごとに適切なフレームレートとは?

昔のテレビ

フレームレートだけに限らずですが、動画においてそれぞれの設定は作りたい動画のジャンルや雰囲気によって異なります。フレームレートにおいては「ただ高くすれば良い」というわけではないことはしっかり覚えておきましょう。

それでは、一般的に適切とされているフレームレートを具体的な例を挙げながら紹介していきます。

  • 24fps:映画
  • 30fps:スポーツ、テレビ、YouTube、SNS
  • 60fps:4K対応動画、テレビゲーム
  • 120fps以上:スロー映像、アクション(シューティング)ゲーム、3D映画

日本国内において、映画やテレビでは24~30fps、ゲームや高画質動画で60~120fpsが主流となっており、テレビゲームにおいては動きの激しいジャンルほどフレームレートも高く設定される傾向にあります。

媒体によって推奨フレームレートが違う理由

フレームレートは高ければ良いというわけではありません。テレビや映画、テレビゲームなど、ジャンルによってフレームレートが異なる大きな理由として視聴するデバイスや再生する端末の違いが挙げられます。

それぞれのジャンルでどうしてフレームレートに違いが生じているのか、いくつか特徴的なジャンルについて解説していきます。

テレビゲームが高フレームレート?

対戦格闘ゲームでは60fpsが中心ですが、シューティングゲームでは120fpsのものが近年増えつつあります。テレビゲームにおいてフレームレートを高くすることで、キャラクターの動きや飛び交う銃弾など動きの速いものをより滑らかに表現でき、臨場感やリアリティが増すというメリットがあります。

余談ですが、対戦格闘ゲームやシューティングゲームなどのeスポーツで活躍しているプロゲーマーの多くは、この60~120fpsで表現されているゲームにおいて1フレームを感じながらゲームをプレイしているそうです。

映画は何故フレームレートが低いのか

映画は、古くはフィルムのコマ数がフレームレートになる正にパラパラ漫画のような方法で制作されていました。そのため、コマ数を倍にするとフィルム自体も倍となってしまうという物理的な理由で、長い間この24fpsというフレームレートが使われていたのです。現在の技術ではもちろん30fps以上の映画を作ることは難しくありません。

しかし、長く「映画は24fps」に慣れてきた私たちにとってそれは受け入れがたいもので、実際に48fpsで制作されたハリウッド映画は評判が悪かったそうです。試行錯誤の結果、現在の24fpsが映画はフィクションでありファンタジーという雰囲気を表現するのに最適と考えられています。

スロー映像は高フレームレート

フレームレートについて考える必要がある特殊なジャンルとして、スロー映像を扱う動画があります。

スロー映像は、撮影した映像の再生速度を遅くしたものを編集・書き出しして制作します。50%の速度で再生した場合、1秒間に撮影された映像を2秒かけて再生することになります。仮に30fpsの動画を撮影・編集した場合、撮影時に30フレーム(1秒分)撮影した映像を60フレーム(2秒分)のコマ数で再生することになります。つまり、スロー映像は再生速度を遅くした分だけ必要なフレーム数(コマ数)が増えるということになります。そのため、50%の速度で再生する動画を通常速度で再生した時と同様の滑らかさで制作する場合、あらかじめ倍のフレームレートで撮影する必要があります。

このように、滑らかなスロー映像を制作したい場合は、撮影時のフレームレートに注意するようにしましょう。

SNSとフレームレート

前述のとおり、モバイル端末での視聴が前提のSNSは、対応フレームレートが高くないことが特徴です。

YouTubeが60fpsに対応しているのに対し、Facebookは30fps、Instagramは40fpsと少し低いフレームレートが最大値となっています。Twitterで公式にアナウンスされている対応フレームレートは40fpsまでとなっていますが、一部ユーザーの報告によると60fpsの動画をアップロードする方法があるようです。公式に発表されていない理由は不明ですが、通信回線の高速化やモバイル端末の開発が進むことによって、このように高フレームレート・高画質の動画に対応するSNSは今後も増えてくることが予想されています。

どれだけ高いフレームレートで動画を制作したとしても、ユーザーが動画を閲覧する端末によっては動画を視聴できていない場合もあるため、動画を投稿する媒体ごとに推奨するフレームレートはさまざまです。

再生する端末のリフレッシュレート

動画のフレームレートを決める際に気にするべき数値として「リフレッシュレート」と呼ばれるものがあります。

リフレッシュレートは、その端末が1秒間に表示できる画像数(コマ数)を表す数値で、単位は「Hz(ヘルツ)」で表されます。リフレッシュレートの1Hzはフレームレートの1fpsに相当するため、フレームレートが120fpsの動画を最もきれいな状態で視聴するためには、リフレッシュレートが120Hzの端末を使用する必要があります。モニターやスマートフォンは60Hzが主流のため、120fps以上の動画をそのフレームレートで視聴できる環境は現在では限定されています。こうした背景から、不特定多数の人へ向けた動画を制作する場合は、フレームレートを30~60fpsとするのが一般的です。

このように、フレームレートを高くすると動画全体が重たくなるなどのデメリットも存在します。フレームレートとリフレッシュレートの関係を正しく理解し、動画のターゲットとなるユーザーが主に使用する端末を想定して動画を制作するように心がけましょう。

まとめ

テレビ編集

いかがだったでしょうか。今回は、動画の滑らかさやきれいさに関わるフレームレートについて解説していきました。

最近では、撮影機器や編集ソフトの発展に伴って、誰でも気軽に高フレームレートの動画を制作できるようになってきました。フレームレートは、今ではその道のプロだけが知る専門的な知識ではなくなり、多くの動画編集者にとって重要な知識の1つとなっています。高フレームレートの動画が増えたこと、高フレームレートで視聴できる端末が増えてきていることなどから、視聴者も無意識でフレームレートの違いを感じながら日々多くの動画を視聴していると考えられます。

より綺麗な動画を視聴者に届けるために、今回のフレームレートの解説が少しでもお役に立てれば幸いです。

WEBでのお問い合わせはこちら