動画制作・編集

【簡単解説】動画制作依頼と見積もりの方法とは

電卓と時計をデスクに置き商談しているビジネスマン
動画制作を依頼するために動画制作会社やフリーランスに見積もりを依頼したものの
どのようなことに気を付けて比較検討すればよいのかわからず、困っている人はいませんか?
この記事では、動画制作における見積もりの作り方から
適正料金で動画制作を依頼するためのポイントまで、詳しく解説します。

見積価格の決まり方

見積書と電卓とペン

動画制作における見積価格は次の式で表すことができます。

見積価格の合計=企画費+人件費+諸経費

この中で最も費用がかかるのは人件費ですが、それぞれの費用を細分化し、どのような費用がかかっているのかを見ていきましょう。

企画費

企画費に含まれる費用は次の2つです。

  • 企画構成費
  • ディレクション費

それぞれの内容をご紹介します。

企画構成費とは

企画構成費とは、クライアントからヒアリングした希望の動画内容に基づいて、動画制作の骨格となる企画を制作するための費用です。具体的には、動画を制作する目的・視聴してほしいターゲットの設定・演出方法などを決めます。

機材選定・スケジュール表の作成・スタッフのプロフィール資料の作成にかかる費用も企画構成費に含まれます。

ディレクション費とは

ディレクション費とはディレクター費とも言われ、ディレクターにかかる人件費のことです。

ディレクターが行う主な業務は次の5つです。

  • クライアントとの企画・台本についての打ち合わせ
  • 撮影準備
  • 現場での指揮
  • 演出
  • 動画におけるシナリオ台本・絵コンテの制作

動画制作の見積もりの中でディレクション費は合計金額の20%~30%を占めますが、この費用が5万円~15万円であれば新人から中堅のディレクター、20万円以上であれば熟練したスキルのあるディレクターが起用されていることが多いでしょう。

人件費

動画制作の人件費について理解するには、まず動画制作にどのような人が関わっているのかを知る必要があります。また、撮影やアニメーションの有無によって必要な人件費に幅があります。

動画制作に関わる職種とその人たちが動画制作において果たす役割、人件費の要否について表にまとめてみました。

職種 仕事の概要 人件費の要否(◯:必要 / △:希望による / ×:不要)
撮影あり 撮影なし アニメーションあり アニメーションなし
プロデューサー 動画制作のプロジェクト全体を管理する
ディレクター 動画制作の打ち合わせや現場の総監督を行う
エディター 動画編集を行う
アニメーター アニメーションを制作する × ×
カメラマン 動画素材の撮影を行う × × ×
照明 撮影対象に光を当てて画質を向上させる × × ×
ヘアメイク 髪型やメイクを整える × × ×
スタイリスト 衣装を準備する × × ×
キャスト 動画に出演し主要な登場人物となる × × ×
エキストラ 主要な登場人物ではない役割で動画に出演する × × ×
ナレーター ナレーションを吹き込む

人件費は、動画の内容に応じて関わる職種が異なります。撮影に関わる作業は撮影をする動画のみ関わっています。また、内容によってはカメラと撮影をカメラマンが行ったり、エディターがアニメーションを作成する場合もあります。内容によって、費用の振り幅が大きいという特徴があることを覚えておきましょう。

諸経費

諸経費は見積項目が多いのが特徴的ですが、依頼する制作会社によって金額の差はあまりありません。

諸経費に含まれる費用は次の通りです。

  • 撮影機材費
  • 撮影スタジオ・ロケ費
  • 音響効果費

また、画像やイラストなどのフリー素材の購入や作成費用として、別途かかる可能性があるのは次の通りです。

  • デザイン費用
  • 素材費用

それぞれの内容をご紹介します。

撮影機材費とは

動画素材を撮影するための機材にかかる費用を指します。

撮影機材の主な種類を表にまとめてみました。

撮影機材の種類 内容
撮影機材 カメラ・レンズ・三脚・ドローン
照明機材 白熱球・蛍光灯・LED
音声機材 ガンマイク・ワイヤレスマイク・ピンマイク

どのような動画を制作するのかによって必要な機材は変わりますが、高性能な機材を使用するほど費用は多くかかります。また、これらの機材を撮影場所まで運搬する費用を「車両費」として見積書に記載する場合もあるため、遠方で撮影を行う場合は確認が必要です。

撮影スタジオ・ロケ費とは

撮影スタジオのレンタル費用やロケを行う場所の使用料金を指します。移動や宿泊にかかる費用も含まれますが、ロケを行う際に下見としてロケハンを行う場合は、その時にかかるディレクターやカメラマンの人件費・交通費・宿泊費が加算されることに注意が必要です。

音響効果費とは

制作した動画で使用する音楽の購入・使用料、またオリジナル楽曲の制作にかかる費用を指します。

使用する音楽によって動画全体の印象は大きく変わります。近年YouTubeの企画などで、動画のあるシーンのBGMのみを別の音楽に差し替えるという実験がよく行われているのを目にした方もいるかもしれません。より動画のクオリティーを高めるために印象的な音響を使いたい場合やオリジナル楽曲の制作まで試みるといった場合には、より高額な費用がかかるため、あらかじめ予算として確保しておくのが望ましいでしょう。

素材費用とは

制作した動画で使用する画像・イラストなどのフリー素材を購入した場合にかかる費用を指します。素材費用については別途かかる可能性があります。素材を使用することで、クオリティの高い動画を作ることができ、より魅力的な作品になるといえるでしょう。

デザイン費用とは

制作した動画で使用する画像やイラストなどの素材をデザインする場合にかかる費用を指します。デザインは簡単なものであれば自作でも可能ですが、プロに依頼することで訴求先などを検討したうえで希望のデザインに仕上げてもらうことができます。

素材費用と同様に別途かかる可能性がある費用となり、必ずしも必要なものではありませんが、依頼することでオリジナリティ溢れる作品に仕上げることができPR効果も得やすいでしょう。

見積もりを体験してみよう

ビジネスマンが向かい合い資料を見せている

ここまでの内容で、動画制作における見積もりの主な項目の意味はご理解いただけたかと思います。そのうえで、自社で制作したい動画の費用相場を知ることも含めて、仮の見積もりをいくつか見ておきたいという人も多いでしょう。

そのような時に役立つのが、CREATIVE VILLAGEが無料で公開している「動画制作見積もりシミュレーター」です。CREATIVE VILLAGEは、クリーク・アンド・リバー社が運営するWeb・ゲーム・映像・広告・出版などの業界で活躍しているクリエイターのための総合情報サイトですが、このサイトにアクセスすると動画制作見積もりシミュレーターを使用して仮の見積価格を算出することができるのです。算出する方法はとても簡単で、スタートボタンをクリックした後、見積もりシミュレーターからのいくつかの質問に回答するだけです。所要時間もおおむね1分程度のため、忙しい人でも手間をかけずに仮の見積価格を知ることができます。

少し時間がある場合は、依頼したい動画制作会社のホームページを確認してみましょう。動画制作会社によっては見積例を公開しているため、希望の動画に近い条件の見積例を見つけることができれば、その動画制作会社におけるおおよその見積価格が予想できます。「比較・検討のために見積もりが欲しいだけで依頼するかわからない」「多数の動画制作会社に比較用の無料見積依頼をするのは心苦しい」と感じている人は、ぜひ試してみてください。

見積価格を下げるためには

タブレットから表示されているグラフをビジネスマンが指している

動画制作における見積もりの内訳についてご理解いただいたところで、見積価格を下げるにはどのような方法があるのでしょうか。

内訳の項目別に、見積価格を下げる方法をご紹介します。

企画費を削減する方法

動画制作の見積もりにおける企画費の中でも、ディレクション費は人件費にあたるため削減しにくいですが、企画構成費は次の3つの方法で削減することが可能です。

構成を自前で準備する

構成を自前で準備すると、動画制作会社が企画を考える必要はなくなるため費用を削減できます。

ただし、構成は住宅の基本設計のようなものなので、曖昧な構成だとしっかりした動画制作を行うのは難しいといえるでしょう。社内に構成経験豊富な人がいる場合以外では、企画構成費を削減するのはあまりおすすめできません。

コンテの内容を簡易なものにする

台本に付け加えるコンテの内容を、文字で表現する字コンテやイメージ画像のみを使用したコンテにすると費用が削減できます。

しかし、手書きの絵コンテや映像コンテと比較するとイメージが共有しにくくなるため、よりこだわった動画制作を希望している際は注意が必要です。

市場分析や競合調査のデータを共有する

自社で市場分析や競合調査をすでに行っている場合、企画の段階で新たに動画制作会社がそれらを行う必要がなくなるため費用が削減できます。資料やデータがあれば、見積もり前に共有しておきましょう。

人件費を削減する方法

動画制作における見積もりにおいて、人件費を削減する方法を2つご紹介します。

キャストとエキストラを自社で調達する

キャストとエキストラを自社で調達できないかを検討してみましょう。キャストとエキストラを自前で準備できれば、人件費を削減できるだけではなく、作りたい動画に合ったキャストやエキストラを探したりオーディションを行うといった手間も省けます。

また、自社で調達したキャストとエキストラにヘアメイクは自前でしてもらい衣装は手持ちの洋服を着用してもらうことによって、ヘアメイクとスタイリストの人件費も削減できるでしょう。

撮影日数をできるだけ少なくする

人件費は時間単位で計算されるため、撮影日数をなるべく短くすることで削減できます。撮影スケジュールを確認し、効率のよくない点はないかを検討してみるのが望ましいでしょう。

諸経費を削減する方法

動画制作の見積もりにおいて、諸経費を大きく削減するというより、項目別に少しずつ減らしていくことが重要です。諸経費を削減する方法を5つご紹介します。

凝った撮影機材を使用しないようにする

例えばドローンなどを用いた空撮動画は見栄えがよく、近年流行りの演出方法でもありますが、このような凝った機材を用いると、撮影機材費は高くなってしまいます。動画の演出はクオリティの高い動画を制作するうえで重要な要素ではありますが、高額な機材が本当に必要かどうかはよく検討する必要があるでしょう。

高額な機材を使用して制作された動画が必ずしも視聴者の心を打つ動画になるとは限らないことを心に留めておきましょう。

天候に左右されない撮影場所を選ぶ

屋外撮影の場合、天候に撮影日程が左右されるため、予定していたスケジュールより撮影期間が延びてしまうことも予想されます。初めから屋内撮影のみの企画にしたり屋外撮影でも天候に左右されない企画にすることで、撮影機材費・ロケ費が高くなるのを防ぐことができるでしょう。

地方ロケを行わない

地方でのロケを行わなければ、ロケ費・ロケハンにかかるディレクターやカメラマンの人件費・交通費・宿泊費などがかからずに済みます。また、ロケ地として自社のオフィスを使うことができれば、ロケ費をかけずに撮影を行うことも可能です。

フリー素材の音楽をBGMとして使用する

オリジナルのBGMを最初から制作するとなると、どうしても音響効果費がかかり、見積もりは高くなってしまいます。ブランドイメージを大切にする動画であれば聴いたことのあるBGMはあまり望ましくないといえるのかもしれませんが、そうではない場合はフリー素材の音楽をBGMとして用いることを検討してもよいでしょう。

適正料金で動画制作を行うには?

白枠に緑色のチェック項目

適正な料金で動画制作を行うには、どのようなことに気を付ければよいのでしょうか。注意点を3つご紹介します。

事前準備を行う

見積依頼をかける際、次のようなことを事前にまとめておくと、より自社の動画制作のイメージが伝わりやすくなるでしょう。

  • 動画の目的・用途・具体的なイメージ
  • 動画の尺
  • 撮影時間や必要なカメラの台数
  • 撮影場所とロケを行うかどうか
  • 実写以外にアニメやCGを使用するかどうか
  • ナレーション・BGMの有無
  • 納期

制作したい動画のイメージや内容が正確に伝わるほど、予算を多めに見積もる必要がなくなるため、一度で適正な金額の見積書を作ってもらうことができます。

見積書の内訳の内容に、自社にとって不要な費用が含まれていないかチェックする

「見積書の合計金額=企画費+人件費+諸経費」と先に説明しましたが、企画費・人件費・諸経費の中には自社の動画制作に必要不可欠な費用ばかりとは限りません。手間はかかりますが、これらの項目を1つずつ丁寧に確認し、自社の動画制作に必要な費用のみに予算をかけるようにしましょう。

相見積もりを取る

動画制作会社に見積もりを依頼する際は、自社で作成したい動画のジャンルで実績を持つ会社を複数ピックアップし、それぞれに依頼をかけるのが望ましいでしょう。なぜなら、動画制作の費用は依頼先と依頼内容に応じて変わるためです。

もし余裕があれば、見積依頼をかけた際に担当者に次のようなことをチェックしてみるのもよいでしょう。

  • コミュニケーションがスムーズに取れるか
  • 対応にスピード感があるか
  • 回答に根拠があり明確な内容となっているか
  • 自社の制作意図を理解してくれるか
  • 動画制作における自社の負担を少なくしてくれるか

どの動画制作会社に依頼するかは、見積もりの金額と担当者との相性を総合的に判断して決めましょう。

まとめ

デスクの上でパソコンと資料を広げ電卓を持っている女性

動画制作における見積価格とは、企画費・人件費・諸経費の合計を指しますが、見積書に記載している費用の内訳を理解し、自社に必要な金額かどうかを精査することで適正な価格で動画制作を行うことができるとわかりました。

見積もりを依頼する際は必ず複数の動画制作会社に見積依頼をかけ、その中から自社のニーズを理解して動画制作をしてくれる会社を選ぶようにしてください。

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