コラム

服を手にしながらライブ配信する女性
動画マーケティング

話題のライブコマースについて徹底解説!

動画を見ながら商品をタップしたり、画面をスワイプするとお買い物画面に行ける動画を見たことありませんか?最近はそのような動画とECを組み合わせたマーケティング方法が流行っています。そして今話題になっているのが、それを生ライブでやってしまうことです。
それは『ライブコマース』と呼ばれている、今注目されている販売方法です。この記事ではライブコマースがどうして話題になっているのか、ライブコマースの基礎から配信プラットフォームや成功事例まで紹介していきます。
いま商品販売力のに悩んでいる方は、この記事を読めば、今ご自身が悩んでいる商品販売力の改善に繋がるかもしれません。ぜひ最後まで読んでください。

ライブコマースとは?

ライブ配信する男性

ライブコマースとは、その言葉からもイメージできるように「ライブ」と「eコマース」を掛け合わせた言葉です。それぞれの意味の通り、ライブ配信をしながらネットショッピングができる動画配信を指します。

ライブコマースでは、ショップスタッフやインフルエンサーがライブ配信で商品の解説や実際にデモンストレーションをしながら商品の訴求をします。ユーザーはライブ配信者に直接チャットをしてダイレクトにコミュニケーションを取りながら、商品の検討から購入までその場でできるのです。

特に中国では既に市場規模が広がっており、インフルエンサーが1日で約410億円の売り上げを上げたほどです。(※)

今までの動画マーケィングとの違いは?

今までの動画マーケティングとの大きな違いは、2つあります。

  • リアルタイムでユーザーの悩みや相談に対応できる点
  • 配信中に購入ができ、さらに配信者に感謝の気持ちを伝えることで、実際の店舗と同じような買い物体験をユーザーに体感してもらうことができる

YouTubeなどの動画配信サービスを利用したマーケティングの場合、一方的に商品の魅力を伝えることや、配信者が想定するターゲットの悩みについてコンテンツを作る形になります。

その場合ターゲットへの訴求はできるものの、ターゲット外のユーザーへの訴求や実際のニーズを汲み取れない場合があります。しかしライブコマースでは生でユーザーのニーズを聞き出すこともできるのです。

また、配信者とユーザーがコミュニケーションを取れるので、ユーザーが生の買い物体験を味わうことができるのです。その点においてただの動画配信では味わえない満足感がある点も大きな違いです。

ライブコマースのメリット

ライブコマースのメリットをまとめると

  • 配信者とユーザーが直接コミュニケーションを取りながら商品訴求ができる
  • 生配信で実際の使用感を見れるため、商品レビューに対する信頼度が上がる
  • ユーザーが知りたい質問にその場で答えられるため、購入につながるケースが増える
  • ユーザーからの質問を受けることでニーズを網羅しやすくなる
  • 複数のインフルエンサーを起用することで、様々な購買層にリーチできる

このようにライブ配信ならではの強みがあり、試してみないとわからない商品をライブで見せることで、ユーザーからの信頼を得ることができます。また、ユーザーとコミュニケーションを取ることでニーズの深掘りができたり、ユーザーの不安解消ができ、購入率を上げることができます。

ライブコマースのデメリット

一方でライブコマースのデメリットは

  • ライブ配信とEコマースをリンクさせる環境整備が必要
  • 閲覧者が少なければ効果が少なく、告知をする手間がある
  • 閲覧者が多いメディアを選ぶ必要がある
  • ターゲット選定に合わせたメディアを利用しなければ効果が薄くなる
  • 有名インフルエンサーを利用する場合、多額の費用がかかる

ライブコマースの大きなデメリットは、閲覧者が少なければ費用対効果が非常に悪いことです。ライブ配信をするために告知やインフルエンサーの起用に費用がかかります。

また、ライブコマースの場合、ユーザーとの生での繋がりを持てなければ効果が無いので、準備に非常に時間がかかるのです。動画自体はアーカイブに残すことは可能ですが、生配信ならではのデメリットは多いので、アーカイブの視聴は効果が薄いと言えるでしょう。生配信性成功のためにも、入念な準備が必要になります。

※参考:中国「ライブコマース」は世界の10年先をゆく、業界の構造と利益配分率も詳解

ライブコマースはなぜ注目されているのか

ライブ配信する女性

ライブコマースが注目されている理由は大きく3つあります。

  • Eコマース市場と動画配信市場が成長しているから
  • 動画配信サービスやSNSの活用で商圏を広げることができるから
  • 5Gの普及

簡単にまとめると、スマートフォンやSNS・EC物流の発達により、いつでもどこでも情報をキャッチし商品を購入できるようになっていることが背景にあります。そして、2020年の新型コロナウィルスによる巣篭もり需要で、ライブコマースに追い風が吹いているのです。

ではそれぞれ細かく見ていきましょう。

Eコマース市場の成長と動画配信市場の成長

経済産業省による調査によると、2019年の国内B2CのEC市場は、物販系分野で10兆515億円、伸び率が前年比の約8%で、毎年伸びています。また、C2CのEC市場も1兆7,407億円で9.5%の伸び率で、市場規模は拡大しています。(※1)

併せて動画配信市場も毎年2桁成長をしており、一般財団法人デジタルコンテンツ協会の『動画配信市場調査レポート2020』によると2024年には動画配信市場が3,440億円を越すと予想されています。(※2)

そのような中で、ライブ配信アプリや動画配信とEコマースを繋げるインタラクティブ動画技術の普及もあり、ライブ配信市場の成長も見込まれているのです。既に中国ではライブコマース事業が急成長しており、流通額が総額14兆円を超えるほどの普及をしているのです。

全国へ市場が広げられるライブコマース

ライブコマースのメリットの一つは、全国へ市場を広げられることです。ライブコマースのメイン商材は物販になりますが、物販は基本的には店頭販売がメインになりますよね。しかし、SNSやEコマースの普及で全国どこでも買い物ができるようになったため、商圏が大きく広がっているのです。そして、ライブコマースでは物販のデメリットである「実際に見てみないとわからない、使ってみないとわからない」という問題が解消しやすい利点があります。

収録動画でなく、ライブ配信をすることで、ユーザーの要望を聞きながら使ってみたり、加工が一切ない生配信ならではの信頼感を全国に広げることができるのです。

5Gの普及で、よりリアルな買い物体験に

さらにライブコマースが注目される理由が5Gの普及です。現在の配信技術ではどうしても時間のラグがあったり、ライブ動画では画像が荒く商品の良さが伝えきれないケースが多いです。しかし5Gの普及で、時間のラグが一切ない環境で、よりクリアな映像で商品の魅力を伝えることができるのです。

時間のラグがなく映像がクリアであれば、実店舗で商品を見て接客を受けるような感覚で、どこにいてもお買い物ができるのです。

(※1)参考:令和元年度 内外一体の経済成長戦略構築にかかる 国際経済調査事業 (電子商取引に関する市場調査)
(※2)参考:『動画配信市場調査レポート2020』発刊について

ライブコマースの配信告知はどうするの?

赤背景にメガホン

ライブコマースの大きなデメリットとして、多くのユーザーが見てくれなければ費用対効果が薄いことが挙げられます。ライブコマースの場合はインフルエンサーを起用したり、インタラクティブな環境を構築するための費用もかかります。そのため、より多くのユーザーにライブを視聴をしてもらって購入をしてもらわなければ効果が薄いのです。

そこで重要なポイントが告知です。告知をしっかりできていなければユーザーが配信に集まってきません。ここではライブコマースの告知の方法に関してお話をしていきます。

企業のWebサイトやSNSでの告知

メインとなるのは企業のWebサイトやSNSでの告知になります。ライブ配信のURLを貼り付けユーザーに参加を促します。直前での告知ではなく事前に何度も繰り返して告知を行い、ユーザーへの認知を図る必要があります。

より多くのユーザーにリーチするために、ライブコマースをする企業はYouTubeやInstagramなどの動画閲覧者が多いプラットフォーム上での告知を優先して行うようにしましょう。外部メディアを利用する際は、自社製品のターゲット層が閲覧するメディアを選定することが重要になります。

ライブ配信者のSNSやYouTubeでの告知

2つ目の方法は、ライブ配信者のSNSやYouTubeでの告知です。ライブコマースは企業がインフルエンサーを起用して配信をするケースが多いです。

そこで、インフルエンサーのYouTubeやSNSで告知の発信をしてもらいます。インフルエンサーの影響力が集客のポイントになるので、企業は自社製品のターゲット層とインフルエンサーのフォワーがマッチしているかを事前に必ず精査する必要があります。ターゲット層が合っていなかったり、インフルエンサーと告知方法について了解を取っていないと、効果が薄くなってしまう場合があるので注意をしましょう。

ライブ配信後の次回告知とアーカイブ

ライブ配信後の対応も重要になってきます。おそらくライブコマースの初動は想定以上に良くはないでしょう。結局はリピーターや口コミで広がりがなければ、今後の視聴者が伸びないのです。

そこで重要なポイントは

  • 配信後に次回告知をし、定期的に配信をする
  • アーカイブを残し、後から来たユーザーにも内容がわかるようにする

このポイントが重要です。ライブコマースでは告知が重要になるので、ユーザーがわかりやすい周期で配信をする必要があります。

また、アーカイブを残しておくことで後から訪問したユーザーにライブ感を伝えることもできます。アーカイブを企業やインフルエンサーのInstagramストーリーズにあげるなどをして、事後告知をしても良いでしょう。

ライブコマース配信プラットフォーム

ライブコマースをするためには配信プラットフォームが必要になってきます。ライブコマースとライブ配信の違いは、ライブ配信画面から購入までシームレスで簡単にできるところです。

単純にライブ配信を行い、概要欄から企業のECサイトのURLに移ってもらってオンライン購入をしてもらうだけであれば、動画配信環境やZoomなどのアプリがあれば問題はありません。

しかしその場合、ライブ配信画面からECサイト画面に移ることで離脱率が上がったり、ユーザーが購入に至るまでのストレスになりCVRが落ちる可能性があるのです。

そこで、ユーザーがライブを見ながらそのまま購入まで辿り着けるようにライブコマース配信プラットフォームを利用するのが得策です。ここではいくつかおすすめのライブ配信プラットフォームを紹介します。

楽天ライブ

楽天ライブ スクリーンショット

楽天にショップを持っている方であればこれを使う手はないでしょう。

楽天ライブの特徴は

  • スマホがあれば誰でも無料でライブ配信ができる
  • 楽天市場と連携してライブコマース機能を簡単につけることができる

通常のライブ配信機能として利用できることはもちろん、楽天市場と連携をすることでユーザーがライブ配信を見ながら楽天でお買い物をすることができるのです。スマホがあれば無料で誰でもできるので、個人でも参入しやすい点においてメリットが大きいです。

TAGsAPI(タグズエーピーアイ)

TAGsAPI スクリーンショット

TAGsAPIは三越伊勢丹やBEAMSなどの大手小売企業でも採用されているライブコマースプラットフォームです。

TAGsAPIの特徴は

  • クラウド型のライブコマースサービスで、新たにストレージを用意する必要がない
  • 既存のECサイトにAPIを利用しコードを加えることで、ライブコマース機能を実装できる
  • 専任のコンサルタントがライブ配信から分析までサポートしてくれる

通常ライブコマース機能を実装する場合、新たに開発環境を作る必要がありますが、TAGsAPIでは既存のECサイトにコードを加えるだけでライブコマース機能をつけることができるため手軽です。また、大規模配信にも対応可能。カスタマイズもできるので、企業のECサイトに合わせた柔軟性も魅力です。ライブコマースを導入したとしても、ユーザービリティを落とすこともありません。

大手物販系の企業で取り入れられており、撮影のサポートまでしっかりしてくれる実績もあります。自社ECサイトを持っている場合は積極的に取り入れても良いでしょう。

ライブゲート

ライブゲート スクリーンショット

自社でライブコマースプラットフォームを作るのであればライブゲートを利用しましょう。

ライブゲートの特徴は

  • ライブコマースアプリを目的に合わせて作ることができる
  • 担当者と販売プランの策定は研修なども行ってくれる
  • 値段がリーズナブル

既存のライブコマースアプリでは、データ管理や安全面の部分で大手企業では扱えない部分もあるでしょう。そこでライブゲートなら、自社の目的に合わせてライブコマースプラットフォームを作ることができます。

オープンなライブコマースからクローズドなライブコマースまで、様々な要件に対応でき、販売までしっかりサポートしてくれます。値段も150万円からとアプリ開発にしてはリーズナブルで、企業であれば着手しやすい値段になっています。

ライブコマースの成功事例

CASE STUDYという立体的なテキストと、ノートやペン、スマートフォン

ライブコマースは中国では上記の通り、1時間で数億円の売り上げをあげるケースがありますが、国内ではどうなのでしょうか。まだ国内ではライブコマースがまだ普及をしていない状態ですが、着々と成果を出している企業もあります。ここではいくつかライブコマースの成功事例を紹介していきます。

BEAMSが1時間の配信で6000人の視聴者!

大手セレクトショップのBEAMSが2020年3月にライブコマースを実施しました。その結果、1時間の配信で6,000人強の視聴者と100万円弱の売り上げを上げることができています。

客単価の高いBEAMSでは、実店舗では1時間で6,000人の来客を呼ぶことは難しいですし、いくら単価が高くても、1時間で100万年売り上げるのは至難の技です。ライブ映像にすることで商品の質感などの顧客ニーズに細部まで応えることができた点においても大きな効果がありました。

アーカイブはこちら
https://cdn1.beams.co.jp/special/live/?live_id=4jdXymTp1ukNCvB77B0N

土屋鞄製作所のインスタライブ活用

土屋鞄製作所はインスタライブを活用してランドセルの選び方やケアの仕方などを配信しました。ランドセルは高単価商材で、実物をみて購入をするケースが多い中、外出自粛で実物が見れない顧客のためにインスタライブを活用してニーズに応えるようにしました。

告知方法としては、事前にインスタストーリーズやコメントで質問の受付をすることで認知とユーザー参加を促すことをしていました。

資生堂が接客販売をライブで実施

資生堂が自社のビューティーコンサルタントを活用して、化粧品の接客販売を開始しました。

  • 三越伊勢丹や阪急百貨店などとコラボしたライブコマース
  • 独自のライブコマースイベント『Shiseido BEAUTY EXPO by watashi+』の開催

このような多方面での取り組みで、巣ごもり需要の中化粧品の販売訴求をしています。

各百貨店のプラットフォームを利用したライブコマースでは、ビューティーコンサルタントが商品を説明しながら、ユーザーの質問に対して接客をしていきます。視聴者は質問をしたり、他のユーザーの接客を聞きながら商品への理解を深めることができるのです。

その他にも、芸能人やインフルエンサーを招待して独自のオンラインイベントの開催も行なっており、ライブコマース事業への力の入れようがわかります。

阪急百貨店のオンラインサイトで実施したライブコマースの様子はこちら
https://web.hh-online.jp/hankyu-beauty/special.html?fkey=hb_special_shiseido_live

まとめ

ビデオ通話で話す女性

EC市場と動画配信市場が成長している中、ライブコマースの市場は今後も国内でも追い風になってくるでしょう。

この記事の内容をまとめると

  • ライブコマースは店頭で接客を受けるような臨場感で、商品の購入までシームレスに行うことができる
  • ライブコマースにおいて重要なポイントは告知であり、インフルエンサーの起用や告知媒体をターゲットに合わせて考えることが重要になる
  • ライブコマースは企業でも取り入れやすく、無料のライブ配信アプリを利用すれば個人でもできる

今後各企業は店頭だけでなく、SNSやライブ配信の活用をして商圏を広げていく必要があります。また個人の発信力が強い時代では、企業とインフルエンサーの繋がりも大切にしていくことが重要です。

この記事を参考にライブコマースへの取り組みの参考にしてみてください。

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